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突然だが皆H&K P7って拳銃知ってるか?
他の拳銃には無い機能が付いためっちゃ面白い拳銃なのにほとんど無名な拳銃だから、知らなくても当然だな。
実はこの銃は1972年ミュンヘン五輪虐殺事件の後に威力が不足気味だった当時の制式拳銃を更新する目的で作成されたんだ。
この記事ではそんなH&K P7を紹介、解説していくぞ!
目次だぜ
H&K P7の概要
野戦分解画像
H&K社製の自動拳銃。
H&K P7の仕様と情報
H&K P7 Die Heckler&Koch Pistole 7 | |
種類 | 自動拳銃 |
国 | ドイツ |
使用年度 | 1979〜 |
使用国 | ドイツ、フランス、韓国など |
生産と製造の歴史 | |
開発年度 | 1976年 |
生産年度 | 1979年〜2008年 |
派生型 | P7M8、P7PT8、P7M13、P7K3、P7M10、P7M7 |
仕様 | |
弾薬 | PSP、P7M8、P7M13:9x19mm パラベルラム P7K3:22 Long Rifle、.32 ACP、.380 ACP P7M10:40 S&W P7PT8:9x19mm PT P7M7:.45 ACP |
給弾 | PSP、P7M8、P7K3、P7PT8:8発ボックス型弾倉 P7M13:13発ボックス型弾倉 P7M7:7発ボックス型弾倉 P7M10:10発ボックス型弾倉 |
動作 | PSP、P7M8、P7M13、P7M10:ガス圧式ブローバックシステム P7K3、P7PT8:ストレートブローバック |
戦場 | PSP:166mm P7M8、P7PT8:171mm P7M13、P7M10:175mm P7K3:160mm |
銃身の長さ | PSP、P7M8、P7M13、P7M10、P7PT8:105mm P7K3:96.5mm |
弾速 | PSP、P7M8、P7M13:351 m / s P7K3:275m / s(22 LR)/ 330m / s(.32 ACP)/ 305m / s(.380 ACP) P7M10:300m / s〜345m / s P7PT8:〜 410m / s |
H&K P7の歴史
西ドイツ警察は1972年ミュンヘン五輪虐殺事件の後に威力が不足気味だった従来のワルサーPP 7.65mmピストルを、より制圧時に信頼できる威力の高い新型9mm拳銃と交換しようとしたのがこの銃の開発の始まりだ。
何事も武力増強には理由があるってことだからな。
当時西ドイツ警察が発表した要求条件は、
- 9mmパラベルラム弾を使用すること
- 重さは1kgを超えないこと
- サイズは180 x 130 x 34 mmを超えないこと
- 銃口エネルギーは、500ジュール以上であり、
- 少なくとも1万発の寿命を持たなければならいた。
つまり短く表すならば、9mmパラベラム弾を使用するコンパクトサイズの耐久性のある拳銃が必要だということだった。
採用にあたって4つの拳銃が提出され競合を行ったが、珍しくもドイツ警察は1種以外の3種の拳銃がすべての基準に合格すると評価して、ドイツのヴァルター(ワルサー)社のP5ピストル、P6はスイスのSIG社のP225を、P7にはH&K社のP7を採用した。各警察支部の裁量に基づいて3種の中から欲しいものを選んで使うようにしたんだな。
P7はPSPと呼ばれることもするが、Polizei- Selbstlade- Pistoleの略である。英語と日本語に訳すならば警察の自動拳銃(Police Selfloading Pistol)になる。H&K社では、この拳銃を製作してテストを受けるときに付与された名前がP7で、製品名としてリリースされたときもこの名前を使った。
P7は1979年から生産に入り、連邦警察の対テロ部隊GSG-9とドイツ軍の特殊部隊で使用されており、ギリシャとメキシコでもライセンス生産して使用されており多くの国に輸出された。韓国警察特攻隊もP7を愛用していたことで有名だった。
しかし、初期の民需型モデルの場合ベレッタ92と同様の価格帯であったのにほぼ2倍近い価格帯まで徐々に上げてしまい、その値段がネックとなってそこまで広くは使われなかった。
これが、特に民間では名が知られていない理由だな。当時の米国陸軍に制式採用されたベレッタの人気はすさまじいものだったからな。
H&K P7の特徴
この拳銃の一番面白いところはガス遅延式ブローバックとスクイズコッカーという独特な設計なんだ。すごくユニークで役に立ちそうな装置なのにやっぱり問題もあってあまり広まらなかったのは悲しいんだけどな……。
とりあえず読んでみてくれ!
ガス遅延式ブローバック
P7の最大の特徴であるP7のガス圧遅延式ブローバックの原理。
一般的な拳銃は射撃後ガス圧でスライドがブローバックされてリロードされるが、スライドが速すぎて後退する際に弾丸が銃口を抜け出す前に後退が始まってしまうことができる。この際スライドの後退に応じてケーシング排出口が開き、こちらにガスが漏れ出るようになるが、弾丸に向かって行くガス圧がなくなるために弾速が落ちるのはもちろんのことケーシング排出口からケーシングが正しく排出されないなどの事故が発生することがあった。この問題は、小口径の拳銃では複座バネの弾性を増加させることで解決が可能だが、反動がより強くなる9mm級からは通常これを防ぐための装置が必要とされた。
一般的には、反動によって銃身も軽く後退させながらスライドの後退のタイミングを遅らせる方法を使うがP7の場合は、特異なことに銃身の下の部分に小さなガス管があって、発射直後、この部分にガスが入って、その圧力でスライドを動かなくする方式である。弾丸が銃身を完全に離れると、その時初めて銃口に向かってガスが出ながらガス管内の圧力が落ちて後退が始まる特異な方式なんだ。
前述されたよく使われる方法に比べて大きな利点なのは、命中率が高まるということだ。バレル自体が動かないことで、他の制式拳銃と比べ命中率が優れている。
もちろんメリットがあればデメリットもある。何よりもブローバックを阻止するガス管がトリガーのすぐ上に位置するので、一、二弾倉分の射撃をするとトリガー上部が非常に熱くなるという欠点がある。H&Kは改良型でトリガーの上部にプラスチック板を入れたが、大した効果はなかったようだ。
スクイズコッカー
P7にはスクイズコッカーというものが搭載されていて、グリップの前面にあるこのレバーを軽く強く押すことで発射準備状態になるんだ。すなわち、拳銃のグリップをしっかり握るとレバーが押され発射準備状態になり、レバーを放すと発射が不可能になる。
そのため、別途の安全装置が必要なく、さらにスライドさせる必要さえない。新しい弾倉を入れてレバーを押すと、そのままスライドが前進する。さらに握っている状態で、新しい弾倉を入れるとスライドが前進する。逆に引き金を引いたままレバーを押して発射することもできる。何か面白いよな!
同様の概念でM1911のようにグリップに安全装置がある拳銃もあるが、このようなものは動作圧力が低く、自然に構えるだけで解除されのに対し、P7のスクイズコッカーはボールのバネを動作させる装置であるため、より強く力を与えて構えなければならない。
このため、面白い事例があって、警察が強盗に拳銃を奪われたときに強盗犯がP7の射撃方法が分からず警察に取り押さえられたということがあった。銃を握るのはやや難しいの代わりにレバーがガス充填の役割を代わりにするので、トリガーの圧力は非常に低くすることができて命中率をさらに上げることができる斬新なシステムであったが、例でみたように慣れるまで不便なためか同様の構造の拳銃はあまり世にでていない。
H&K P7の派生型
P7M8
1982年から83年の間に登場した改良型。手袋をはめても撃ちやすいようにトリガーガードのサイズを大きくし、トリガーの上部にはプラスチック製のヒートシンクをつけて多く撃つと熱くなる問題を少し軽減させた。
また、ヨーロッパ式のグリップの下に弾倉固定スイッチがあったタイプだったものを、アメリカ側の好みを反映してトリガーガードの後ろに設置された親指で操作する左右対称のレバー形式に変えたが、元々これを考慮した設計ではなかったので弾倉停止レバーが勝手に操作されて弾倉が抜ける問題が時々発生したという。
P7M13
元々P7は直列の8発弾倉を使用したが、複列弾倉に変えて13発の装弾数を確保することになった。スライドはそのままだが、ピストルグリップ部分がかなり厚くなった。米軍の制式拳銃の採用競争に参加したが、ベレッタ92Fに敗北。ベレッタは15発なのにP7の場合は、スライド構造を変更していない為に弾倉上部はまだ直列構造で装弾数が13発にとどまっていたのが敗因の一つだ。それでもある程度の装弾数が確保されたおかげでP7に関心のある組織や民間市場に主に売られた。
P7M10
米国市場を狙ったモデルで9mmより高威力であり、米国で人気のある40 S&W弾を使用する装弾数10発のモデル。あまり人気のある方ではない。
P7M7
これも米国市場を狙ったモデルでアメリカで人気の高威力な.45 ACPを使用する銃だ。.45 ACPを使用するP7M7(7発装弾数)を開発したはいいものの、高すぎて市場性がなくプロトタイプのみの作成で終わった。
P7PT8
なんとこの銃は実戦的な訓練用低威力プラスチック弾9x19mm PT弾を使用するストレートブローバック方式。玩具の最上位とも言えるし、銃の最低位とも言えるな。少量のみ生産された。
P7K3
P7の長さを減らした短縮形拳銃である。オリジナルP7とは異なり、ガス圧遅延装置がなく、低威力の.380 ACPや.32 ACP弾を使用する単純なブローバック方式であるが、オリジナルP7のガスシリンダーがあった部分に反動を吸収するバッファを入れて置くことによって射手への反動を軽減している。この銃は、スライドと弾倉、バレルを交換して22 LR弾を使用することもできる。
H&K P7のメディアでの登場
認知度がほとんどなく、映画のみに数回登場してゲームでも登場がほとんどない。この記事が読まれる日が来るのかも不明。(笑)
- ダイハードで悪役ハンスグルーバーがP7M13を使用する。
- アイアンマン3のマンダリンがP7M13を使用する。
- ドールズフロントライン(少女電線)で☆4のハンドガンとして登場する。
他にもあるけどこんくらい。ちなみに筆者がこの銃の記事を書こうとしたのはドールズフロントラインに出ていることを知ったから(未実装かも)。ドールズフロントラインに出てくる全ての銃の記事を書くまで、俺は止まらねえんだ!!
だからよ……また見に来てくれよな!!