よう。今回は中世の武器シリーズの記事更新だ。
今回紹介するのは攻城兵器としてあらゆるゲームや映画に登場する攻城兵器「投石器(カタパルト)」だ。最近流行りのなろう系小説でもめっちゃ出てくるよな。
でも案外その動く原理や威力についてはあまり分からない事が多い。だからこの記事で紹介することにしたんだ。ぜひ読んでくれ。
投石器っていうと小さな石を一人でぶん投げる歩兵用武器も含まれるが、この記事では攻城兵器として使われた大型投石器の紹介をする。
そして大型投石器もカタパルト以外にトレビュシェットなどの種類もあるが、一番有名なカタパルトという名前を別名として使用する。
目次だぜ
投石器(カタパルト)概要
主に石を投げて攻撃する攻城兵器の総称。まあ当然だな。
…………そのまんま過ぎて一行で説明が終わっちまうが、詳しい内容は下に読み進めていってくれ。
投石器(カタパルト)の使用方法
城壁越しに損害を与えたり、城壁そのものを壊すために利用されており、投げる石に火をつけ炎上効果を狙ったり、動物や人の遺体などを投げ入れ伝染病を誘導する細菌戦にも利用された。時折、敵の戦死者や捕虜の首や、まだ生きている捕虜を腕や足を切り落とした状態でカタパルトで敵陣に打ち上げ敵陣の士気を低下させる心理戦にも利用されたりもした。
投石器(カタパルト)の歴史
東アジアでは、紀元前4〜5世紀春秋戦国時代からテコの原理を利用したカタパルトが使用され、西洋では古代ギリシャ時代からトーションスプリングを使用する形のカタパルトが存在したと考えられている。
推定的な理由は、あまりにも長い間使われてきた攻城兵器であり、その起源は明確ではないからだ。
中世から砲撃兵器が発達してカタパルトを完全に置き換えた近世までの代表的な攻城兵器として利用されており使用されてきた期間が長く、さまざまな文明圏で利用されてきたことによりその種類は非常に多様である。
投石器の種類
投石器の発射原理は大きく弾性力を利用するものとテコの原理を利用する物に分けることができる。弾性力の物は動物の腱や人の髪、ロープなどにねじりを加え、それが元に戻ろう弾性力を利用して弾を発射し、代表的なものは古代ローマで使用されていた投石器である。
人の髪の毛が立派な材料になった理由は、それ自体でも弾性力がかなりあるうえ保存が簡単だ。当時は捕虜や囚人の髪の毛を切らずに育てた後カットしたり、女性が軍隊に髪を寄付したという。事実髪は、タンパク質繊維と同じ太さの鉄線よりも弾力性が強い。
テコの原理を利用する物は、おもりにより力を加える< おもり式投石器>と人の力を利用する< 人材式投石器>に区分することができる。
前者は、中世から使用されたトレビュシェットが代表的で、後者は主に中国で使用された系列の投石器で使用される発射原理である。これらの物は規模に応じて5、6人から50人以上の人員が同時に腕に接続された縄を引っ張ることで、石を投げた。
投石器(カタパルト)の威力
中国で使用された最も強力な人材式トレビュシェット(traction trebuchet)は57〜63kgの石を75メートル離れたところまで飛ばして送ることができたと確実な記録が残っている。
しかし、「旧唐書」によると、唐・新羅戦争の際に遼東城を陥落させるために貢献した唐軍の人材式カタパルトは300斤(180キロ)もの巨石を約390メートルぶっ飛ばしたとされるし、ヨーロッパ、中東で登場したおもり式カタパルトは、250kgの石を160メートル飛ばすことができたという説もある。まあ盛ってる可能性も高いがな。
人材式投石器はすぐに作成し組み立てて投入することができる一方で、おもり式投石器は組み立てにかなりの期間がかかる欠点がある。攻城の準備のための組み立ておよび配置に最低1週間はかかったと伝えられる。
だがそのデメリットの代わりに、物理的に設定された原理によって一定のおもりを変更するだけで変更可能な射程距離と発射角度の精度がおもり式投石器が人材式投石器よりもはるかに優れたのは考えてみりゃ当然の話だな。人間の疲労や力の差で着弾点が毎回違うんじゃ城壁の破壊なんかには向かない。
攻城兵器は門や城壁を倒してこそ最大の目的を達成できるするものであり、狙った場所を集中的に狙えるようにするために費用と時間がいくら多くかかってもおもり式投石器を作る価値は十分にあるといえる。当時の戦争が短くても数ヶ月、長ければ年単位で続くことを考えると、1週間程度の投資は惜しむほどじゃないしな。もちろん人材式投石器も運用人員の徹底的な訓練を通じて精度をある程度は追いつかせることができたがな。
中国で使用された5連発カタパルトの旋風五砲。よくわからない外見だが、当時としては最強の兵器であった。この兵器は北宋のときに開発されたもので、従来のカタパルトとは異なり、5連発が可能であり、発射角度をその場で簡単に調節(左右回転)することができるという長所がある。
砲撃兵器が開発された初期には、改良され続けた投石器が砲撃兵器よりも強かったため、キャンバス開発後もカタパルトはしばらくの間、戦争で使われた。
なんでも開発された始めってのはメリットもあればデメリットも多いことが多い。ロングボウだって銃火器が登場し始めてからも暫くは活躍してたしな。
日本では何故投石器(カタパルト)が使われなかったのか
日本でも投石器が使われたことがある!?
上は日本でカタパルトが使用されている絵だ。だが日本では戦国時代にはほとんどカタパルトが使用されていなかった。攻城兵器といえば馬鹿でかい丸太を大人数で城門にぶつける破城槌が定番だろう。ただし、応仁の乱の時には発石木、飛砲と呼ばれる一種のカタパルトが活用されたという記録がある。そのことから中世の日本にカタパルトという概念自体が存在しない技術力がなかったわけではなかったことと思われる。
何故日本ではカタパルトが使われなかったのか
しかし、西洋や中国の戦争史の記録でカタパルトがよく見られるのとは異なり、日本でカタパルトが使われたのは、この記録のほか他の史料には一度もないことから、実際に広く使われなかったことが非常に有力である。また、戦国時代後期に入ってからは大砲が導入されたが、これはカタパルトとは異なり大きな戦いではかなり使用されたという記録が残っている。
この理由に関しては日本でも様々な説が提起されていて、有力な説として日本の城はほとんどが山に位置していて攻城兵器を運搬することが難しい点などが挙げられているが確実ではない。
余談でゲームの信長の野望シリーズではカタパルトはないが、時代が進めば大砲は開発することができる一方で、西洋のゲームであるトータルウォー:ショーグン2では、日本でもカタパルトユニットがあるというガバガバ考証なので、信長の方が考証は正しいといえる。異国の文化の考証がガバガバなのはお互い様だな(笑)
投石器(カタパルト)の雑学
英単語catapultに「射出する」の意味があるため、現代でも航空母艦で戦闘機やロボットのようなものを発進させるときに後ろから後押し装置をカタパルトって呼ばれることもある。
それと、映画ロードオブザリングでは馬鹿でかい岩を驚異的な距離で飛ばすことが描写される。これは、実際に比べて誇張されたもので、現実の超大型カタパルトに乗せ飛ばす弾丸(石、油壺など)の重量は40〜100kgの間。射程距離も通常200〜300メートル、最高でも400メートルほどであった。射程距離を犠牲にすれば弾丸の重量は増やせるが、その分敵に近づくことになるので破壊される危険性も高まる。
まあ、ロードオブザリングで使うカタパルトはトロールが引くのだから野暮な指摘だがな。
ローマ軍が使用した様々な攻城/水性機器たち。カタパルトが見える。
石だけでなく、焼夷弾を飛ばしてもいたし、人や家畜の死体を城に飛ばし伝染病を誘導する化学兵器にもした。より過激になれば、家畜ではなく、敵の兵士や住民の遺体を使って心理戦を並行したり、単に敵の戦死者たちの体を丸めて城壁の中に飛ばしたりもする。より過激になると相手陣営から来た使者、捕虜、守備軍要人の知人を生きたまま飛ばしたりもした。想像しただけでゾクゾクするよな。
現代でもカタパルトが使われている!?
現代では当然カタパルトなんか事実上消えたが、暴力デモの現場でしばしば登場したり、メキシコのの麻薬組織が麻薬運搬用カタパルトを製作して米国の国境を越えて麻薬弾を撃って運搬したりもする。冗談みたいな話だが、実際にカタパルトを使用する場面が映された監視カメラ映像がネットに出回っているから気になったら見てくれ。
問題の薬物カタパルト。片側に薬を、他の側に行を連結して引っ張って麻薬の袋を飛ばす形態のカタパルトだ。放った後は、素早く装填できる。
これは古代のものと比較してもかなり粗野なものだが、しっかりとした巨大なものも当然ある。これらのいくつかは、原理が古代中国で使用された<人材式カタパルト>と原理が似ている。違いは縄を引っ張るのが人材ではなく、トラックのような、重車両の車輪を利用して引くことである。ウェブ上の情報によると、50kgを超える薬物束を数百mから最大2kmまで飛ばし送るとする。
流石、ぶっ飛んでる国だな
投石器の種類別名称
- トレビュシェット(Trebuchet)
- フォー(砲) – トレビュシェットの項を参照。
- ペトロボロス(Onager)
古代ギリシャやローマで使用された投石器。原理はマンゴーネルと同じである。性能は、最大25キロの石や焼夷弾を最大400メートルまで投擲可能。時期的にこれカタパルトより先だ。
- カタパルト(catapult)
トレビュシェットはテコの原理を利用するが、カタパルトはひもの張力と木材の弾性を利用する攻城兵器である。トレビュシェットに比べてサイズが小さく、移動しやすいというのも特徴。通常10〜20キログラムレベルの石を200〜400メートルほどする飛ばすことができた。