2025年最新版|現役日本戦車一覧と保有数【最強はどれ?】— 10式・90式・16式を比較
1. はじめに:いまの陸自と「戦車」の役割(2025)
ここ数年、ニュースやSNSで“戦車”という言葉を目にする機会が増えました。
兵器としてのイメージが強い一方で、実は戦車は前線の安全を切り拓く「装甲×機動×火力」のセット。歩兵や車両を守りながら、必要な地点を確保していくための“盾と矛”です。
日本(陸上自衛隊)では、10式戦車と90式戦車が現役の主役。そこに、よく話題に上がる16式機動戦闘車(装輪×105mm砲)が加わって、“重装(装軌)”と“高速展開(装輪)”を組み合わせるのが現在の考え方です。
※16式は厳密には“戦車”ではありませんが、**「戦車に近い任務を担う火力機動プラットフォーム」**として、同じ文脈で語られることが多い存在です。
本記事は、2025年の視点で——
- 現役日本戦車の一覧(名前・特徴)
- 保有数と配備のざっくり全体像
- 性能比較から見た“最強”の考え方
- 世界主要国との保有数を軽く比較
を、やさしい言葉でまとめます。
加えて、読み終わったあとにスムーズに深掘りできるよう、
- 世界最強戦車ランキング(2025)
- 歴代日本の戦車一覧(予定)
- 太平洋戦争の日本戦車一覧(予定)
- 日本の次期戦車・装甲ドクトリン(予定)
といった関連記事もご紹介します。
2. 現役日本戦車一覧と基本スペック
🐤 まずは全体像
いまの陸自で“戦車の柱”になるのが10式と90式。ここに“戦車ではないけれど似た任務”を担う16式機動戦闘車が加わり、状況にあわせて使い分けるのが基本の考え方です。最後に、すでに退役した74式も参考までに触れておきます。
✅ 10式戦車(ひとまわり軽く、賢く、速い)
- ポイント:国産の最新主力。**C4I(部隊間の情報共有・指揮統制)**を前提に設計され、センサーとデータ連接で「見える・つながる・先に動く」を実現。機動性が高く、日本の道路事情にも合わせたサイズ感です。防衛省
- 代表的スペック(目安):主砲120mm滑腔砲/乗員3名/全備重量約44t。前後進ともに高い機動性能を備えます。
- 一言メモ:軽量・高機動+ネットワーク重視という“日本流の答え”。市街地や狭隘路の多い地形で真価を発揮します。防衛省
✅ 90式戦車(重装の看板、いまも頼れる骨太主力)
- ポイント:北海道正面を念頭に導入された重装甲×高火力の主力。自動装填を採用し、乗員は3名。高出力エンジンと優れた走行性能で“厚み”を支えます。防衛省
- 代表的スペック(目安):主砲120mm滑腔砲/全備重量約50t/最高速度約70km/h。防衛省
- 一言メモ:最新の10式に比べると情報連接は控えめですが、火力と防護の信頼感は抜群。改良・整備を重ねつつ、当面は現役の“柱”です。防衛省
✅ 16式機動戦闘車(“装輪の牙”で素早く展開)
- ポイント:装輪(8×8)×105mm砲の“機動打撃”プラットフォーム。高速道路を含む公道での機動と空輸(C-2輸送機)を視野に、離島・南西方面などへ素早く展開できるのが強み。陸自内では戦車に準じる運用が期待されています。
- 代表的スペック(目安):105mm砲/全備重量約26t/最高速度約100km/h/乗員4名。
- 一言メモ:**“重い戦車をどこでも動かせるわけではない”**という日本の事情にフィット。火力は戦車級ではないものの、展開の速さが強みです。
(参考)74式戦車:歴史に幕。ただし“一部保管”の流れも
- 状況:2024年3月に全車が退役。一部は**モスボール(長期保管)**の方針が報じられ、展示・教育用途以外でも“備え”として残す可能性が示されています。
- 一言メモ:長年の主力として活躍。いまは10式・90式・16式へ役割を引き継いでいます。
3. 保有数と部隊配置のざっくり全体像
3-1. まず“規模感”をつかむ
陸自の戦車は、10式と90式が現役の柱。74式は2024年春で一線を退き、一部を「有事に備えた長期保管(いわゆるモスボール)」に回す方針が示されています。つまり、実戦配備の主役は10式・90式という体制です。毎日新聞+1
補足:長期保管の対象は74式・90式・MLRSなどで、保管設備経費等として約7億円が要求・計上されています。数字としては小さく見えますが、「継戦能力を高めるための仕組み」を作る意味合いが強い施策です。防衛省+1
3-2. 「数」は増やすより“入れ替えて賄う”
ここ数年は新規調達で少しずつ10式・16式(装輪の機動戦闘車)を積み増し、古い装備を退役させる入れ替え型の整備が続いています。たとえば**2025年度(令和7年度)**は、10式×12両、16式×15両といった取得計画が盛り込まれています。全体を大きく増やすより、質を上げつつ“可動”を確保する方向です。防衛省
ポイント
- 新型の10式は「軽く・賢く・部隊間でつながる(C4I)」設計。都市・幹線道路の多い日本の地形に合わせた運用がしやすいのが強み。Asian Military Review+1
- 16式機動戦闘車は“戦車ではない”けれど、高速展開できる火力として戦車部隊を補完。南西方面など、展開の速さが要る場面で効きます。Defence Security Asia
3-3. どこに置いている?(地域の考え方)
配備は地政学に合わせたレイアウトです。
- 北海道:第7師団(唯一の“装甲師団”)
いまも90式戦車が集中する、日本の“重装正面”。演習報道や部隊紹介でも、その性格がよくわかります。アームズウェブ+2Hobby JAPAN Web+2 - 本州~九州:各師旅団に分散
10式を中心に、地形・道路事情に適した配備と訓練。16式(装輪)は港湾・空港機能や高速道路を活かした素早い地域展開を担います。Defence Security Asia
この組み合わせで、**“重い盾”(90式)+“軽快な刃”(10式・16式)**のバランスをとり、可動率(動ける車両の割合)と整備性を重視した運用に寄せています。
一言でいえば
数そのものを増やすより、
「どこに・どれを・どう動かすか」で強さを出す——そんな時代に入っている、ということですね。
4. 世界主要国との保有数“ざっくり比較”
戦車の“強さ”を考えるとき、やっぱり気になるのが「日本の数は世界的に多いの?少ないの?」という点ですよね。ここでは細かいランキングではなく、桁と傾向だけを押さえてみましょう。
🌎 世界の主要国の戦車保有数(目安)
- アメリカ
- 約 6,000両(M1エイブラムス系列が中心)
- 現役配備はその一部で、整備・保管も含めて膨大なストックを持ちます。
- NATO展開もあり、“グローバルに動かせる重装”が特徴。
- ロシア
- 公称では 数千両規模(T-72/T-80/T-90など)
- ただしウクライナ戦争での損耗や稼働率低下が大きく、数字と実働にはギャップあり。
- 新型のT-14アルマータは少数。
- 中国
- 約 5,000両(99式・96式が主力)
- 近代化改修が進みつつあり、量と質をそろえる方向。
- 陸上戦力としては世界有数の規模感。
- 韓国
- 約 2,500両(K1系列+最新のK2“黒豹”)
- 日本と比べると数は多く、新型比率も高め。
- 地政学的に北朝鮮を正面に置くため、装甲戦力に厚みを持たせています。
- 日本
- 300両台規模(10式+90式の合計)
- 数は主要国に比べて少なめですが、C4I対応の10式や機動性を活かす16式との組み合わせで、専守防衛に最適化された運用を志向。
💡 日本の立ち位置
こうして見ると、日本は**「数ではなく質」**を追求しているのがわかります。
- 数の多さ=戦力の厚み では、米中露韓に劣る
- ただし、情報連接・精密火力・機動性を組み合わせて、限られた数で最大の効果を出す設計をしている
つまり、日本の戦車部隊は「数で圧す」よりも「質とネットワークで粘り強く守る」タイプだといえるでしょう。
👉 このあたりをもっと詳しく知りたい方は、別記事:
- 【徹底比較2025年版】最新世界最強戦車ランキングTOP10と次世代MBT動向
で各国の“最強戦車”を比較しています。
5. 性能比較と“最強”ランキング(国内版)
日本の戦車を語るとき、多くの人が気になるのが「いちばん強いのはどれ?」という疑問です。もちろん戦場の条件や任務によって答えは変わりますが、ここではわかりやすく比較の軸を整理してみます。
🔎 比較の観点
- 火力:砲の口径・弾薬の種類・射撃管制システムの精度
- 防護力:装甲の厚み・複合材の質・アクティブ防護の有無
- 機動性:重量・エンジン出力・地形適応力
- C4I・ネットワーク能力:部隊間で情報を共有できるか
- 運用のしやすさ:維持整備の容易さ・可動率
🏁 各車両の特徴を比較
- 10式戦車
- 強み:C4Iによる情報連接能力は国内随一。小型軽量で日本の道路事情に適合。都市・山間部での戦闘に強い。
- 弱み:装甲厚は軽量化のため抑えめで、重量級の戦車に比べると“紙の上での防御力”では劣る部分も。
- 90式戦車
- 強み:120mm砲+自動装填装置で安定した火力。防護力も高く、「重戦車らしい安心感」を持つ。特に北海道の広い地形では真価を発揮。
- 弱み:C4I能力が限定的で、最新のネットワーク戦には後れをとる。重量が重く、本州以南の道路や橋梁では制約あり。
- 16式機動戦闘車(参考)
- 強み:装輪で100km/h級の高速展開が可能。離島防衛や即応展開に強い。
- 弱み:防護力・火力は“戦車クラス”には届かない。役割はあくまで機動展開の補完。
🏆 日本戦車“最強”ランキング(2025)
- 第1位:10式戦車
- 理由:ネットワーク時代に合わせた設計。軽快で賢い。現代戦の条件を考えると、総合力で最強格。
- 第2位:90式戦車
- 理由:火力と防護は国内トップ。北海道正面での“重装備の壁”として今なお頼れる存在。
- 第3位:16式機動戦闘車(参考枠)
- 理由:戦車ではないが、日本の防衛に不可欠な「素早く動く刃」。南西方面の抑止力として価値大。
💡 まとめ
“最強”の答えは任務によって変わる、というのが実際のところです。
- 機動性と情報連接 → 10式が最強
- 重装甲で正面決戦 → 90式が最強
- 即応展開・離島防衛 → 16式が最強
つまり、「単体で最強」を決めるより、組み合わせでどう戦うかが大切だということですね。
6. 日本の戦車の今後:増勢・改修・コンセプトの進化
6-1. 10式は“ドローン時代”対応へ小刻みにアップグレード
10式は、これから致死性(火力)と生残性(防護)を底上げする近代化が計画されています。具体的な項目は公表が控えめですが、国防当局の調達文書や業界報道では、対戦車兵器やドローン脅威を見据えた能力向上が示されています。Default+1
とくに近年は、ハード/ソフトのアクティブ防護(APS)や対UAV対策への関心が高く、10式の改修テーマとして取り沙汰されています。アーミーリコグニション
10式はもともと**C4I(部隊間の情報共有)**が強み。これに“ドローン時代の防護・センサー”が重なると、見つけて・つないで・先に動くという日本流の運用がさらに磨かれます。防衛省
6-2. 90式は“重装の壁”を維持しつつ、延命・段階的改修
90式は、北海道正面などの“重装備の壁”として今後もしばらく現役です。新造ではなく、延命整備と要所の近代化で強みを保つのが基本線。装甲・火力の信頼感は依然として高く、10式の“軽快な刃”と役割分担していく見通しです。(詳細な改修仕様は限定的にしか公表されていません。)
6-3. 「数の積み増し」ではなく“入れ替え”で質を上げる
調達は全体数を大きく増やすのではなく、10式や16式(機動戦闘車)を着実に積み増して入れ替える方向です。例えば令和7(2025)年度は、10式12両、16式15両といった規模感で取得が示されています(概算要求・当初予算資料や業界報道より)。欧州安全防衛+2防衛省+2
6-4. 16式(装輪)は“速さ”で地理的ギャップを埋める
16式は“戦車ではない”ものの、装輪×105mmという高速展開の火力として、南西方面などでの即応展開に向きます。令和7年度も15両取得が計上され、装軌(10/90式)と装輪(16式)のコンビで、可用率と展開の速さを両立させる狙いが透けて見えます。防衛省+1
6-5. 退役装備の“モスボール”で継戦力を底上げ
74式戦車など退役装備の一部を**長期保管(いわゆるモスボール)して、有事の予備として活用する制度が始まりました。令和7年度資料にも、74式・90式・MLRS等の保管が明記。「足りなくなったときに補充できる仕組み」**を整える動きです。乗りものニュース+3防衛省+3防衛省+3
6-6. コンセプトの進化:トップ攻撃・UAV時代の“守り方”
ウクライナ以降の戦場が示したのは、上から降ってくる弾(トップ攻撃)や小型UAVへの対処が最優先の課題だということ。日本でも、
- アクティブ防護(ハード/ソフトキル)
- センサー融合によるUAV検知
- 電子戦・妨害
- 車外の無人資産(UGV/UAV)とのチーミング
といった方向に注力が集まっています。10式の改修検討でも、ドローン脅威対策は重要テーマとして扱われています。Asian Military Review+1
くわしい技術要素(APSの方式、センサー、弾薬の更新、車外無人機の活用プランなど)は、別記事 「日本の次期戦車/装甲ドクトリンの行方(仮)」 で整理して深掘りする予定です。
7. もっと強く、もっと深く。“装甲”の沼へ — 関連記事ナビ
ここまで読んで「もっと知りたい」が芽生えた方へ。関連する記事をまとめました。興味あるものから順番にどうぞ。
🔰 はじめてでも全体像がつかめる
- 世界最強戦車ランキング【2025年版】
「結局いちばん強いのは?」を評価軸つきで比較 - 現役日本戦車の基礎知識(用語ミニ解説つき)(予定)
“複合装甲”“C4I”“APS”などをサクッと理解
推奨リンク:
🇯🇵 日本にフォーカスして深掘り
- 日本の次期戦車と装甲ドクトリンの行方(予定)
10式・90式の先、UAV時代の「守り方」を展望
推奨リンク:https://whiteorder.net/worlds-strongest-tanks-ranking/ - 歴代日本の戦車一覧(予定)
61式→74式→90式→10式…系譜で“進化の理由”が見える
推奨リンク:
🕰️ 歴史で“今”が腑に落ちる
- 太平洋戦争の日本戦車一覧(予定)
当時の設計思想と戦場を、写真と年表で
推奨リンク: - 歩兵戦闘車・装甲車との違い(予定)
戦車/IFV/APCの役割の差を一枚で理解
推奨リンク:s
8. 結論:最強は1両で生まれない——編成で勝つ日本の答え
「日本でいちばん“強い戦車”は?」と聞かれたら、つい10式や90式の名前を挙げたくなります。
でも2025年の視点で大事なのは、“どの車両が最強か”ではなく、“どう組み合わせて勝つか”。ここに尽きます。
- 10式:軽快さとC4Iで“見える・つながる・先に動く”。ドローン時代に噛み合う“賢い刃”。
- 90式:厚い防護と120mm砲で“重装の壁”。正面決戦の安心感は今も健在。
- 16式(装輪):公道・空輸を活かした“速さ”で、南西方面などに素早く火力を届ける。
世界主要国と比べると台数は多くありません。その代わりに、質×ネットワーク×機動で“限られた数から最大の効果を引き出す”のが日本のやり方。
そして先を見ると、10式の小刻みなアップグレード、90式の延命と要所改修、装輪の16式の積み増し、さらに退役装備のモスボールで継戦力を底上げ——という、地に足のついた強化が続きます。
これからも楽しみですね。引き続き、最新の情報はウォッチしていきます。
お読みいただきありがとうございます。