『VIVANT』の核融合は実現可能?日本と中国が争う理由

『VIVANT』の核融合は実現可能?日本と中国が争う理由の論点を表す、人物や施設を特定しないオリジナルビジュアル

『VIVANT』第16話で、物語の中心に突然「核融合」が浮上した。結論からいえば、『VIVANT』の核融合は完全なSFではない。核融合そのものはすでに実験室で起こせる現実の技術であり、日本、中国、米国、欧州などが巨額の資金を投入して発電を目指している。ただし、2026年現在、商用の核融合発電所はまだ存在しない

ドラマでエリシャ・ママドフが発明したとされる「核融合を持続化させる技術」は、現実の研究でも極めて重要な課題である。一方で、プラズマを長時間維持できれば翌日から発電所を建設できるわけではない。燃料となるトリチウムの確保、炉壁の耐久性、排熱、発電設備、保守、建設費まで、越えるべき壁が残っている。ITERも核融合出力500MW、増倍率Q≧10を目標とするが、そもそも発電を行う施設ではない。(ITERの目標ITER公式FAQ

そして「日本と中国が核融合を奪い合う」という『VIVANT』の構図にも現実味はある。ただし現実の日中関係は、秘密技術をめぐる単純なゼロサムゲームではない。日本と中国はともにITER参加国であり、国際協力を続けながら、発電実証、産業基盤、知的財産、人材、国際標準では激しく先陣を争っているのである。(ITERの目標

※2026年9月5日時点、第16話までの本編と第17話の公式予告の内容に触れる。

論点『VIVANT』の設定2026年の現実
核融合エリシャが世界を変える技術を発明したとされる核融合反応そのものは実現済みだが、商用発電は未実現
「持続化」実用化を一気に近づける決定的技術長時間プラズマ維持は重要だが、それだけでは発電所にならない
技術の価値一つの研究データをめぐり諜報戦が起きるプラズマ制御、超伝導磁石、材料、燃料循環、保守など多数の技術が必要
日本と中国シンシーによる独占を日本側が警戒ITERでは協力しつつ、発電実証と産業化では競争
リアリティ世界秩序を変える国家機密として描写経済安全保障上の重要技術という見方は現実にも存在する
目次

『VIVANT』第16話で判明した核融合技術とは何か

まず、ドラマ内で確定している情報と、視聴者側の考察を分ける必要がある。

TBS公式では、第16話について「野崎の潜入捜査を巡る真実」が明かされる回と説明されている。公式登場人物ページにはエリシャ・ママドフも追加されており、TBSの人物相関図を紹介したMANTANWEBでは、エリシャについて「7年前に自殺したとされた核融合研究者」で、実際には生存している人物として紹介されている。(TBS第16話TBS登場人物MANTANWEB人物相関図

ドラマ内で判明した設定

第16話の放送内容を報じたクランクイン!によれば、エリシャは、当時「実用化は50年以上先」とも考えられていた核融合について、反応を持続化する技術を発明したとされる人物である。

ところがエリシャは、その技術が世界秩序を変えることを恐れ、研究データを消去して姿を消した。その後は発明自体が失敗だったとの情報や死亡情報も流れたが、実際には生存していた。そしてシンシー幹部の樊林杏がエリシャに接触し、核融合技術のデータを求めていることが野崎側に把握される。

野崎がシンシーへ潜入した目的の一つも、エリシャの技術が本物なのか、シンシーがそれを独占しようとしているのかを確かめることにあったと描かれた。(クランクイン!第16話報道

ここまでが、少なくとも第16話の放送内容から確認できる範囲である。

一方、「エリシャがすでに完成した核融合発電所を持っている」「シンシーがすでに全データを入手した」「テントが核融合発電を進めている」といったところまでは確認できない。第17話の公式あらすじも「シンシーの狙いが見えてきた」とする段階にとどまっている。(TBS第17話予告

シンシーそのもののモデルや中国国家安全部との類似点は別の論点であり、核融合のリアリティを考えるうえでは、まず「奪い合うだけの価値が本当にある技術なのか」に絞った方が分かりやすい。

核融合研究から熱回収、発電、保守までの4段階
反応を起こす技術に加え、熱回収・発電・保守を一体として成立させる必要がある。

核融合とは何か|原子力発電とは原理が逆である

現在の原子力発電は、ウランなどの重い原子核を分裂させ、その際に出る熱を利用する「核分裂」である。

核融合は逆だ。軽い原子核同士を融合させ、より重い原子核へ変化するときに放出されるエネルギーを利用する。

現在もっとも有力視されているのが、重水素(D)と三重水素=トリチウム(T)を融合させるD-T反応である。反応するとヘリウムと中性子が生じ、大きなエネルギーが放出される。

しかし、原子核はともに正の電荷を持つため、そのままでは反発して近づかない。ITERではD-T核融合のため、プラズマを約1億5000万度まで加熱することが想定されている。(ITER公式FAQ

問題は、そんな超高温物質を普通の容器に入れられないことである。

そこでトカマク型核融合装置では、強力な磁場によってドーナツ状の真空容器内にプラズマを閉じ込める。日本のJT-60SA、中国のEAST、フランスで建設中のITERはいずれも、この磁場閉じ込め方式を研究する装置である。

「長時間動いた」だけでは核融合発電成功ではない

ここは『VIVANT』を見るうえでも重要である。

核融合で区別すべきこと

たとえば中国のEASTは2025年1月、高閉じ込め状態のプラズマを1,066秒間維持し、世界記録を更新した。約18分という驚異的な長さである。だが、これは「核融合発電所が1,066秒発電した」という意味ではない。D-T燃料を燃やして商用電力を生み出した記録でもない。(中国科学院・EAST

したがって、劇中の「核融合を持続化させる技術」が現実に存在するとしても、その中身が単なる長時間維持技術なのか、高出力の燃焼プラズマを安定維持する技術なのかで価値はまったく違ってくる。

後者なら、国家レベルで争奪戦になっても不思議ではない。

JT-60SA初プラズマから2030年代の発電実証目標までの年表
2030年代は発電実証の目標時期であり、達成済みの実績ではない。

日本と中国の核融合研究は実際どこまで進んでいるのか

『VIVANT』が面白いのは、日本と中国が核融合をめぐって動くという設定が、ちょうど両国の研究開発が加速している2026年に登場したことである。

ただし日中はまったく同じ道を走っているわけではない。

日本中国
主な大型装置JT-60SAEAST、BEST
最近の成果JT-60SAで世界最大160m³のトカマクプラズマEASTで高閉じ込めプラズマ1,066秒
直近の動き2026年中のJT-60SAプラズマ加熱実験を目指すBESTを2027年末までに完成予定
発電目標政府が2030年代の発電実証を目標BESTで2030年ごろの核融合発電実証を目標
長期的な産業化官民で発電実証・サプライチェーン構築2035年ごろ工程実験炉、2045年ごろ商業実証炉を想定

日本は世界最大のJT-60SAを動かしている

茨城県那珂市にあるJT-60SAは、日本と欧州が共同で建設した超伝導トカマク型実験装置である。

2023年に初プラズマを生成し、その後160立方メートルのプラズマを達成。世界最大のトカマク型装置として認定された。(QST・世界最大トカマク

さらに2026年2月27日から、新しい加熱装置やプラズマ制御機器などを統合する試験運転が始まった。QSTは2026年中の本格的なプラズマ加熱実験を目指している。(QST・JT-60SA試験運転

JT-60SA自体が発電所になるわけではない。その役割は、ITERや将来の原型炉で必要となる高温・高性能プラズマの制御方法を確立することである。

中国はEASTからBESTへ進もうとしている

中国では安徽省合肥のEASTが長時間プラズマ運転の成果を積み重ねている。

そして、その先に建設されているのがBEST(Burning Plasma Experimental Superconducting Tokamak)である。

中国科学院によれば、BESTは従来のEASTとは異なり、実際のD-T燃焼プラズマを扱い、核融合による発電実証を目指す装置である。2025年には400トンを超えるデュワー基部の設置が始まり、2027年末の完成が予定されている。さらに2026年1月には、2030年ごろまでに正味の核融合出力増幅と発電を実証する目標が示された。(中国科学院・BEST建設中国科学院・BEST目標

中国国家発展改革委員会が2026年4月に掲載した報道では、2027年に核融合燃焼実験を開始し、2030年ごろに最初の工程実験炉を建設できる能力を持ち、2035年ごろに工程実験炉、2045年ごろに商業実証炉を建設するという時間軸も提示されている。(国家発展改革委員会掲載報道

計画と実績を分ける

日本も「2030年代の発電実証」へ政策を転換している

日本も動きを速めている。

政府は2025年6月に「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を改定し、2026年4月には社会実装に向けた方針を決定した。現在は、ITERやJT-60SA、原型炉研究と民間企業の開発を並行させながら、2030年代の発電実証を目標としている。(内閣府・核融合戦略内閣府・社会実装方針

2026年4月の政府資料では、2030年代の発電実証について、単にタービンを一度回せば成功という考え方ではない。「市場性があると見込まれる発電システム」の技術的成立性を示し、商用発電所に必要な基本的知見を体系的に獲得することまで要求している。(内閣府・社会実装方針

つまり日中ともに、研究室のプラズマ記録から「実際に電気を作る機械」へ移ろうとしているのである。

反応実験、発電システム、商用運転の違いを示す概念図
実験上の利得と、施設全体の電力収支や商用運転の成立は区別して読む。

エリシャの「持続化技術」だけでは核融合発電所は完成しない

ここが『VIVANT』と現実の最大の違いである。

発電所完成には別の課題がある

それでも発電所完成までには、別の巨大な技術問題が残る。

ITERがQ≧10でも発電しない理由

ITERが目標にしているQ≧10とは、プラズマへ50MWの加熱入力を与え、500MWの核融合熱出力を得るという意味である。

しかし、このQには超伝導磁石、冷却設備、真空ポンプ、制御装置など施設全体が消費する電力は含まれない

発電所で本当に必要なのは、施設全体で使った電力を差し引いても送電網へ電気を送り出せる「工学的な黒字」である。ITER自身も、プラズマのエネルギー収支と発電所全体のエネルギー収支を明確に区別している。(ITER公式FAQ

そしてITERは500MW級の核融合熱出力を目指すにもかかわらず、その熱を使った発電そのものは行わない。冷却系で熱を捨てる実験施設だからである。(ITER公式FAQITER・増殖ブランケット

トリチウムを自分で作らなければ燃料が尽きる

さらに厄介なのがトリチウムである。

重水素は海水中に豊富に存在するが、トリチウムは自然界には十分な量がなく、半減期も約12.3年しかない。現在存在する供給源だけでは、将来多数の商用核融合炉を動かすには足りない。(IAEA・トリチウム増殖

そこで将来のD-T核融合炉は、反応で生じた中性子をリチウム6へ当て、炉を運転しながら自らトリチウムを生産する「増殖ブランケット」を成立させなければならない。

ITERでも日本、中国、欧州、韓国などが異なるブランケット方式を開発しているが、大規模なトリチウム生産と再利用は今後実証しなければならない技術である。(ITER・増殖ブランケット

1億度を閉じ込めても、周囲の機械が先に壊れては意味がない

D-T核融合では高エネルギーの中性子が発生し、炉内構造物へ猛烈な負荷を与える。

特にプラズマから流れ出す熱を受け止めるダイバータ、燃料増殖と熱回収を担うブランケット、第一壁などには極めて厳しい環境が生まれる。

ITERが商用化までの主要課題として挙げているのも、耐放射線材料、ダイバータでの排熱、遠隔保守、大規模なトリチウム生産・再利用、効率的な熱回収などである。(ITER・商用化への課題

プラズマを18分維持することと、年間数千時間にわたって発電所を安定運転することの間には、巨大な工学的な谷がある。

だからこそ私は、エリシャの発明を「核融合発電の完成技術」ではなく、「最大級の障害を一つ消し去る技術」と見る方が、現実の核融合開発には近いと考える。

核融合の経済安全保障をエネルギー、産業、標準・知財、人材・同盟に分けた図
発電技術だけでなく、材料・部品・知財・供給網の主導権が競争の対象となる。

なぜ日本と中国は核融合を争うのか

では、まだ商用発電すら始まっていない技術を、なぜ国家が競争するのか。

理由は「将来、電気代が安くなるかもしれない」だけではない。核融合炉を最初に産業として成立させた国は、発電所そのものだけでなく、その周囲に形成される巨大な産業体系へ影響力を持てるからである。

理由1:エネルギー安全保障を変える可能性がある

核融合発電で有力なD-T反応では、重水素と、リチウムから増殖させたトリチウムが主要燃料になる。

石油や天然ガスのように、特定地域の巨大油田・ガス田へ依存するエネルギー体系とは性質が違う。

もちろんリチウム、発電設備、超伝導材料などの資源・供給網は必要であり、「資源問題が完全になくなる」という話ではない。それでも大規模な核融合発電が実用化すれば、輸入化石燃料への依存や国家のエネルギー戦略を長期的に変える可能性がある。

だから日本政府も核融合を単なる研究テーマではなく、産業競争力とエネルギーを含む経済安全保障につながる技術として位置づけている。(内閣府・核融合戦略内閣府・社会実装方針

理由2:本当に価値があるのは「炉の設計図」だけではない

核融合産業には、超伝導磁石、高出力加熱装置、真空技術、精密加工、耐熱材料、遠隔操作、トリチウム処理、AIによるプラズマ制御など、多数の高度技術が必要になる。

日本はすでにITERで、超伝導コイル、高周波加熱装置、中性粒子ビーム装置、ブランケット遠隔保守機器、ダイバータ、トリチウムプラントなどの調達を担当している。2026年7月時点で日本側の調達取決めは約95.6%まで締結されている。(QST・日本の調達進捗

象徴的なのがジャイロトロンである。

これはマイクロ波を使って核融合プラズマを加熱する装置で、QSTと日本企業はすでに8機をITERへ納入した。その実績を受け、さらに20機の追加調達を受託し、国内6社が製造に参加している。将来の核融合炉では100機以上が必要になる可能性もあり、発電所が普及すれば巨大な市場になり得る。(QST・ジャイロトロン20機

競争相手にも協力相手にもなる

理由3:知財と国際標準を先に握った国が有利になる

新しい産業が立ち上がると、次に争われるのは標準である。

どの安全基準を採用するのか。どの材料を使うのか。部品同士のインターフェースをどうするのか。トリチウムをどのように管理するのか。

最初に大規模な発電実証へ到達した国や企業は、こうしたルール作りでも強い発言力を持つ。

日本政府の核融合戦略も、国際標準化、知的財産、サプライチェーン、海外市場獲得を明示的な政策課題としている。また「守るべき技術」「育成すべき技術」を特定し、経済安全保障の観点から優先順位を付ける方針も示している。(内閣府・核融合戦略内閣府・社会実装方針

石油の時代に価値を持ったのが油田の位置だったとすれば、核融合の時代に希少になるのは「同じ性能の炉を工場で何度でも再現できる技術体系」である。

『VIVANT』の核融合争奪戦を現実へ置き換えるなら、一枚の設計図より、この産業基盤の方がはるかに大きな標的になる。

『VIVANT』のような核融合をめぐる情報戦は現実的なのか

国家が核融合技術を重要情報として扱うこと自体には、かなり現実味がある。

日本政府は、核融合関連技術について経済安全保障の観点から「守るべき技術」を特定する必要性を明記している。2026年4月の社会実装方針にも「我が国のフュージョン関連技術について適切に管理が必要」と記載された。(内閣府・社会実装方針

したがって、画期的なプラズマ制御法、材料の製造ノウハウ、超伝導磁石の設計、トリチウム回収技術、発電所全体を統合するソフトウェアなどが、企業秘密や安全保障上重要な技術になるという設定は十分考えられる。

ドラマと現実を混同しない

現実の核融合炉は、一人の研究者が全部設計できる規模ではない。ITERだけを見ても超伝導磁石、真空容器、加熱装置、極低温設備、ブランケット、ダイバータ、遠隔保守、燃料サイクルなど巨大な技術群の集合体であり、日本、中国を含む7極が分担して開発している。(ITERの目標

しかも現時点で、中国が日本の核融合技術を『VIVANT』のシンシーのような手段で奪取しようとしていることを示す公的根拠は確認できない。逆に、日本の公安当局が核融合研究を理由に中国組織へ野崎のような潜入工作を行っているとする公的事実もない。

ここはドラマ内設定と現実を混同してはいけない部分である。

一方で、「完成してから争う」のでは遅いという発想は非常に現実的だ。発電所が完成する10年前、20年前から、人材、知財、部品メーカー、標準、投資先を押さえた国ほど産業化したときに強い。

私は『VIVANT』の核融合設定で最もリアルなのは、核融合そのものではなく「まだ完成していない段階ですでに情報戦と産業戦が始まっている」という部分だと思う。

テントのフローライトは核融合に必要なのか

第1シーズンを見ていると、バルカで発見された巨大なフローライト鉱床と、第2シーズンの核融合を結び付けたくなる。

しかし、2026年9月5日時点で「フローライトがエリシャの核融合技術に必要である」とTBSが公式に明らかにした事実は確認できない。

現実の核融合技術から見ても、フローライトが核融合発電に不可欠というわけではない。

現在主流のD-T核融合で直接必要なのは重水素とトリチウムであり、将来の炉ではリチウムを利用してトリチウムを増殖させることが重要になる。

ITERが試験するブランケットでも、日本は水冷却セラミック増殖方式、中国はヘリウム冷却セラミック増殖方式を開発している。両者ともリチウムを含む増殖材を利用する構想であり、「フローライトがなければ核融合炉を造れない」という構造ではない。(ITER・増殖ブランケット

したがって、「第1シーズンのフローライトは最初から核融合への伏線だった」という説は面白いが、現段階では考察である。

今後エリシャがテントに求めている条件や、バルカの資源との関係が明かされれば評価は変わる可能性がある。それまでは、ドラマ上の伏線と現実の核融合炉に必要な資源を分けて考えるのが妥当である。

結論|『VIVANT』の核融合は「技術そのもの」より争奪戦の構図がリアル

『VIVANT』に登場した核融合は、荒唐無稽な架空技術ではない。

中国ではEASTが1,066秒の高閉じ込めプラズマ運転を達成し、BESTが2027年末の完成と2030年ごろの発電実証を目標としている。日本では世界最大のJT-60SAが2026年中の本格的なプラズマ加熱実験を目指し、政府も2030年代の発電実証を国家目標として動いている。ITERでは将来的に500MWの核融合出力とQ≧10を実証し、D-T運転は現在の計画で2039年から始まる予定である。(QST・JT-60SA試験運転中国科学院・BEST目標ITER新ベースライン

一方で、長時間プラズマを維持するだけでは核融合発電所は完成しない。施設全体でのエネルギー黒字、トリチウム増殖、耐中性子材料、排熱、遠隔保守、発電設備、建設費、稼働率まで解決する必要がある。

その意味で、エリシャ一人の「持続化技術」が核融合を一気に完成させる部分はドラマ的である。

しかし、画期的な技術が発電実証を10年、20年前倒しできるなら、その技術が国家の産業競争力、エネルギー安全保障、国際標準、数十年先の巨大市場に影響するという発想はかなり現実に近い。

日本と中国は核融合研究では協力国であり、同時に産業化では競争相手でもある。

『VIVANT』が捉えている本質は、「核融合が完成すれば世界が変わる」という点より、「世界を変える可能性が見えた瞬間から、その技術を誰が握るかという競争は始まる」という点にあるのである。

主な確認資料

あわせて読みたい関連記事

この記事が参考になったら、応援の意味で以下のリンクから何か購入いただけると幸いです。執筆の励みになります。リンク先以外の商品でも構いません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

コメント

コメントする

目次