日本の防衛産業・軍需企業一覧【2026年最新版】主要企業の得意分野・代表装備・契約額

航空・艦艇・車両・ミサイル・電子を支える日本の防衛産業
装備を支える企業を分野別に

どの会社が何を作っているのか。 まず分野別に主な顔ぶれを並べ、その後で各社の装備と事業を見ていこう。

目次

分野別に探す|日本の防衛産業の主要企業

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分野主な企業装備・役割
総合・重工三菱重工、川崎重工、IHI航空機、艦艇、誘導弾、エンジン
電子・C4ISR三菱電機、NEC、東芝、富士通、OKIレーダー、通信、ソナー、指揮統制
IT・サイバーNTTデータ、NEC、富士通、日立指揮統制、情報基盤、セキュリティ
造船・艦艇JMU、三菱重工、川崎重工、三井E&S護衛艦、潜水艦、艦艇用主機
航空機・部品SUBARU、新明和、日本飛行機、ナブテスコヘリ、飛行艇、機体部品、操縦装置
火砲・車両・小火器日本製鋼所、豊和、三菱重工、自動車各社火砲、戦車、装甲車、小銃、輸送車両
弾薬・火薬ダイキン、コマツ、日油、旭精機、細谷火工砲弾、小銃弾、火薬、火工品
素材・電池日本製鉄、東レ、帝人、GSユアサ、古河電池高張力鋼、複合材、防護素材、電池
燃料・施設ENEOS、中川物産、建設各社燃料供給、基地・港湾の整備
商社伊藤忠アビエーション、三井物産エアロスペース、双日系輸入装備、部品供給、整備支援
無人機・新興企業テラドローン、ACSL、Oceanic Constellations、Prodrone小型UAV、迎撃機、無人艇、自律制御

完成装備のメーカーから、部品・素材、運用を支える企業までを含めた一覧だ。同じ企業が複数の分野を担うこともある。証券コードは企業本人のものを基本とし、親会社のコードを載せる場合は区別した。

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なぜ今、日本の防衛産業なのか|2026年の地殻変動

2022年12月の安全保障関連三文書で、政府は2023年度から2027年度の5年間で防衛費43兆円程度、2027年度にGDP比2%という目標を掲げた。予算の急拡大の起点はここにある。2026年度の防衛力整備計画対象経費は歳出ベースで8兆8093億円で、SACO関係経費や米軍再編経費を含めれば9兆円を超える。ただし、この増額分がそのまま国内企業の売上になるわけではない。人件費、施設、米国からのFMS調達にも配分される。予算の中身は日本の防衛ビジネス超入門で基礎から書いた。

2026年4月21日、政府は防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、輸出できる装備を限定してきた5類型を撤廃した。殺傷能力のある完成品を無条件に輸出できる制度ではなく、案件ごとの審査と移転後の管理は残る。従来から認められていた装備移転の範囲が広がり、国内向けの生産に加えて海外での供給・整備体制も問われるようになった。装備移転三原則の詳細で制度を整理している。

出典:防衛大臣会見・2026年4月21日

その象徴が、もがみ型護衛艦の能力向上型の豪州向け案件だ。2025年8月に豪州政府が選定し、2026年4月18日に日本で建造する初期3隻の契約が成立した。全体計画は11隻で、残る8隻は豪州で建造する方針だが、11隻すべての契約が同時に成立したわけではない。豪州輸出の中身は別記事で整理した。

出典:防衛省・日豪防衛相による共同発表

無人機も動きが速い。2026年8月25日、防衛装備庁は迎撃ドローン早期取得プログラムでテラドローンと量産調達契約を締結した。6月の公募開始から約3か月での契約である。艦艇や航空機の長期開発とは異なる調達の進め方が、国内企業の参入機会を広げている。無人アセットを組み合わせるSHIELDの構想と合わせて読むと位置づけが分かる。

出典:防衛装備庁・迎撃ドローン早期取得プログラム

防衛省はどの企業と契約しているのか|調達構造の基本

防衛装備庁の2025年度中央調達実績は6,660件、4兆7,887億円。三菱重工が9,724億円で1位、三菱電機が5,284億円で2位、川崎重工が3,308億円で3位だった。

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順位契約相手方契約件数契約額
1三菱重工業210件9,724億円
2三菱電機122件5,284億円
3川崎重工業84件3,308億円
4日本電気(NEC)192件2,902億円
5トライサット・コンステレーション1件2,831億円
6富士通115件1,362億円
7東芝63件855億円
8日本製鋼所31件646億円

中央調達は防衛装備庁が扱う契約の集計で、企業全体の防衛売上や、自衛隊の地方調達までを足した金額ではない。大型契約が1件入るだけでも、その年度の順位は大きく動く。

契約方式別では、一般競争3,281億円、随意契約3兆4,675億円、FMS9,930億円。**随意契約は金額ベースで約72%**を占める。件数の7割という意味ではない。公表額は億円単位に丸められているため、内訳の単純合計と総額に差がある。

装備品の安全性、互換性、秘密保全、修理・補給の継続性から、製造者や技術を保有する企業との契約が必要になる。新規参入では、機体や部品の性能に加え、納入後も支えられる体制が重要だ。

契約額・売上・受注残は、別々の数字である。 契約額はその年に約束した仕事、売上は納入や工事進捗に応じて計上した金額、受注残はまだ売上になっていない仕事を表す。契約額の順位は受益企業ランキング、将来の仕事量は受注残ランキングで比較できる。

出典:防衛装備庁・2025年度中央調達実績

重工御三家|三菱重工・川崎重工・IHI

艦艇・戦闘機・戦車・誘導弾を扱う三菱重工の防衛分野
重工3社でも、三菱重工は総合装備、川崎重工は航空機・潜水艦、IHIは航空エンジン・推進系と得意分野が異なる。

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企業証券コード・所属主な装備・役割
三菱重工業7011F-2、10式戦車、もがみ型、たいげい型、12式改、GCAP機体
川崎重工業7012P-1、C-2、CH-47、たいげい型、航空エンジン
IHI7013戦闘機エンジン、XF9、固体ロケットモーター

三菱重工業(7011)

日本の防衛産業の頂点。2025年度の中央調達は210件・9724億円で1位、防衛・宇宙事業の売上は2026年3月期に1兆1445億円で、2022年度の4749億円から3年で2.4倍になった。受注残は4兆円を超える。

守備範囲は陸海空宇宙のすべてに及ぶ。F-2、10式戦車、16式機動戦闘車、もがみ型と豪州向け能力向上型、たいげい型潜水艦、イージス・システム搭載艦の1番艦、12式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾の研究試作、PAC-3のライセンス生産、そしてGCAPの日本側主契約。反撃能力を支える誘導弾や、陸海空の主力装備を幅広く手がける。三菱重工の防衛事業と株価分析は別記事にまとめた。

川崎重工業(7012)

潜水艦と航空機の会社。2025年度の中央調達は84件・3308億円で3位、防衛関連事業の売上は2026年3月期に4297億円で、全社売上の18.6%を占める。上場大手の中で防衛依存度が最も高い部類だ。

国内で潜水艦を建造できるのは三菱重工と川崎重工の2社だけで、たいげい型は神戸で両社が交互に建造する。潜水艦用ディーゼル機関、艦艇用主機も同社製。固定翼ではP-1哨戒機とC-2輸送機、回転翼ではCH-47の製造とOH-1、そしてスタンド・オフ電子戦機の試作。2024年に発覚した潜水艦修繕事業の不正事案で特別防衛監察を受け、防衛事業管理本部の新設など再発防止を進めている。川崎重工の防衛事業と三菱重工との比較を参照してほしい。

IHI(7013)

航空エンジンと推進系を担う重工大手。F-2やF-15Jのエンジン整備、P-1のF7エンジン、実証機XF9-1の開発を経て、GCAPのエンジンでは英ロールス・ロイス、伊アヴィオエアロと並ぶ主担当を務める。子会社IHIエアロスペースは各種ミサイルと宇宙ロケットの固体ロケットモーターを供給しており、誘導弾の量産が本格化するほど需要が伸びる。2026年6月の説明資料では、防衛事業の2025年度売上収益を2122億円、2026年度見通しを3000億円としている。IHIの防衛事業は別記事で詳しく書いた。

出典:IHI・Investor Day 2026(防衛事業、資料11ページ)

電子・C4ISR・ミサイル|自衛隊の目と耳と神経

レーダー・ミサイル・宇宙・通信を結ぶ防衛電子分野
三菱電機、NEC、富士通などは、センサー、通信、指揮統制、クラウドを通じて装備同士を一つの運用体系へ結ぶ。

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企業証券コード・所属主な装備・役割
三菱電機6503警戒管制レーダー、OPY-2、中SAM、空対空ミサイル、衛星
NEC6701野外通信、衛星通信、ソナー、指揮統制
富士通6702指揮管制、クラウド基盤、暗号
東芝非上場短SAM、近SAM、中SAMレーダー、警戒管制レーダー、対ドローン
日立製作所6501UUV OZZ-7、掃海ソナー、指揮統制
沖電気工業6703ソノブイ、潜水艦ソナー、水中音響
日本無線非上場/親会社3105艦艇用レーダー、通信機
東京計器7721F-15Jレーダー警戒装置、慣性航法装置
日本アビオニクス6946艦艇情報表示システム、指揮所表示装置
三菱プレシジョン非上場シミュレーター、慣性センサー
日本航空電子工業6807慣性センサー、コネクタ
多摩川精機非上場ジャイロ、角度センサー
島津製作所7701HUD、航空機器、暗視装置

レーダーで見つけ、通信で共有し、指揮統制で装備を動かす。C4ISRは指揮・統制・通信・コンピューターと、情報・監視・偵察を指す言葉で、電機・IT各社の技術が重なる分野だ。三菱電機・NEC・富士通・日立の比較では各社の担当を詳しく整理している。

三菱電機(6503)

2025年度の中央調達は5284億円で2位。防衛・宇宙システム事業の売上は2026年3月期に4214億円、2026年4月公表の2027年3月期計画は5600億円だった。空自の固定式警戒管制レーダー、F-2のレーダー、もがみ型のOPY-2、中SAMの取りまとめ、AAM-4とAAM-5、情報収集衛星と準天頂衛星。フィリピン向け警戒管制レーダーで日本初の完成装備輸出を実現し、豪州向けもがみ型にもOPY-2が載る。GCAPでは電子機器の日本側主担当。三菱電機の防衛事業を参照。

NEC(6701)

2025年度の中央調達は192件・2902億円。野外通信、衛星通信、指揮統制、ソナーなど、装備を結ぶ情報システムに強い。航空宇宙・防衛事業の2025年度売上収益は4736億円で、前年の3716億円から27.4%増えた。防衛・宇宙を含む開示事業の売上では、川崎重工や三菱電機を上回る規模である。NECの防衛事業で装備と事業を整理した。

出典:NEC・2025年度決算説明資料(適時開示) / 防衛装備庁・2025年度中央調達実績

富士通(6702)

空自の指揮管制システム、防衛省の基幹業務システム、陸自のクラウド基盤、暗号装置。2023年に防衛3社を統合して富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティを設立した。2025年度の中央調達は1362億円。情報システムの開発だけでなく、長期の運用支援までを担う。富士通の防衛事業を参照。

出典:富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ・企業情報 / 防衛装備庁・2025年度中央調達実績

東芝(非上場)

東芝は2023年に上場廃止となった非上場企業。短距離・近距離の地対空誘導弾、警戒管制レーダー、対ドローンシステムなどを手がける。2025年度の中央調達は東芝名義で855億円、7位だった。統合報告書でも防衛を成長戦略の中心に位置付けており、「上場していない」「防衛売上の内訳が見えにくい」ことと、事業への積極性は分けて考えたい。東芝の防衛事業で詳しく扱っている。

出典:東芝統合報告書2025・成長戦略 / 防衛装備庁・2025年度中央調達実績

日立製作所(6501)

機雷捜索用水中無人機OZZ-7を14式、掃海艦のソナー、対潜航空通信、指揮統制と訓練装置。2025年度の中央調達は594億円で9位。水中無人機では主力供給者の一つだ。日立の防衛事業を参照。

沖電気工業(6703)

ソノブイ、潜水艦と護衛艦のソナー、曳航アレイ。「海自の耳」を作る会社で、2025年度の中央調達は293億円、17位。OKIの防衛事業で詳しく扱った。

日本無線(日清紡ホールディングス 3105)

艦艇用レーダーと通信機で長い実績を持つ。民生の船舶用レーダーで世界的なシェアを持ち、その技術が海自の航海レーダーや通信装置に生きている。

東京計器(7721)

F-15Jのレーダー警戒装置や、艦艇の慣性航法装置などを手がける計器メーカー。2026年3月期の防衛・通信機器事業の売上は260.15億円で、全社の42.5%を占める。ただし、この区分には民間向け通信機器なども含まれる。東京計器の防衛事業で装備と業績を整理した。

出典:東京計器・2026年3月期決算説明資料(適時開示)

日本アビオニクス(6946)

護衛艦や潜水艦、指揮所の表示・情報処理装置を担う。2026年3月期の情報システム事業の売上は238.58億円、全社の81.7%。防衛装置に加えて宇宙用電子部品や産業用電子機器も含む事業だ。日本アビオニクスの防衛事業で詳しく扱っている。

出典:日本アビオニクス・2026年3月期決算説明資料

島津製作所(7701)

航空機のヘッドアップディスプレイ、空調、発電機、暗視装置。分析機器の会社として知られるが航空機器で自衛隊機を支えている。島津製作所の防衛事業を参照。

三菱プレシジョン、日本航空電子工業(6807)、多摩川精機

表に出ないが装備の中に入っている中堅。三菱プレシジョンは航空機と艦艇のシミュレーターと慣性センサー、日本航空電子はミサイルや航空機の慣性センサーとコネクタ、多摩川精機はジャイロと角度センサー。装備の更新や増産を支えるには、こうしたセンサーや制御部品も安定して供給される必要がある。

日本のレーダー・電子戦企業の全体像はレーダー・電子戦企業一覧で整理した。

IT・サイバー|NTTデータと大手SIer

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企業証券コード・所属主な装備・役割
NTTデータ非上場(NTTグループ)指揮統制、情報基盤、3D地図

防衛省の指揮統制と情報基盤では、NEC、富士通、NTTデータ、日立などが開発と運用支援を担う。NTTデータは海上自衛隊の指揮統制系システムに長年関わり、衛星画像から作る3D地図AW3Dなども展開する。2025年度の中央調達は428億円、12位だった。NTTデータの親会社であるNTTデータグループは2025年に上場廃止となり、NTTグループに属する。NTTの株価を見る場合も、防衛事業だけで動く企業とは考えない方がよい。NTTデータの防衛事業で整理している。

出典:防衛装備庁・2025年度中央調達実績

サイバー分野では、防衛省が2027年度までに専門部隊を4000人規模に拡充する計画で、民間の依存は避けられない。防衛サイバー企業一覧と、ITエンジニアが防衛産業でする仕事も合わせて読んでほしい。

造船・艦艇|JMU、三菱重工、川崎重工

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企業証券コード・所属主な装備・役割
ジャパンマリンユナイテッド非上場イージス・システム搭載艦、掃海艦、支援艦艇
三菱重工マリタイムシステムズ非上場(三菱重工系)玉野での艦艇建造・修理
三井E&S7003艦艇用ディーゼル機関

護衛艦の建造では三菱重工の長崎、JMUの横浜磯子、三菱重工マリタイムシステムズの玉野などが拠点になる。JMUは2013年にIHIマリンユナイテッドとユニバーサル造船が統合して発足した会社だ。護衛艦だけでなく、掃海艦や輸送・支援艦艇まで手がける。

出典:JMU・沿革

三菱重工は長崎でもがみ型と豪州向け能力向上型を建造し、玉野では2021年に三井E&S造船から引き継いだ三菱重工マリタイムシステムズが護衛艦を建造する。三井E&S(7003)は造船を手放したが、艦艇用ディーゼル機関の供給者として残っている。潜水艦は三菱重工と川崎重工の神戸の2社。海自の艦艇を作る企業の投資家目線の比較は造船重工株ランキングに、潜水艦を支える十数社の分業は潜水艦関連企業一覧にまとめた。

航空機・部品|SUBARU、新明和、そしてアクチュエーターと脚

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企業証券コード・所属主な装備・役割
SUBARU7270UH-2、AH-64D、T-7、無人実験機
新明和工業7224US-2救難飛行艇
日本飛行機非上場(川崎重工)航空機部品、機体整備
ナブテスコ6268航空機アクチュエーター
住友精密工業非上場降着装置、熱交換器
KYB7242油圧機器
ジャムコ非上場航空機部品、航空機整備

SUBARU(7270)は陸自のUH-2多用途ヘリ、ライセンス生産のAH-64D、練習機、そして防衛装備庁向けの無人実験機。2025年度の中央調達は543億円で10位。中島飛行機の系譜を継ぐ航空機メーカーで、SUBARUの防衛事業を参照。新明和工業(7224)は海自のUS-2救難飛行艇を作る世界でも数少ない飛行艇メーカーで、二式大艇の川西航空機の後身だ。

その下に部品の会社が並ぶ。ナブテスコ(6268)は航空機の操縦系統を動かすアクチュエーター、住友精密工業(非上場)は降着装置と熱交換器、KYB(7242)は油圧機器、川崎重工子会社の日本飛行機は機体部品と整備、ジャムコ(非上場)は航空機部品と整備。F-35の国内整備拠点については別記事で扱った。

火砲・車両・小火器|日本製鋼所から小銃まで

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企業証券コード・所属主な装備・役割
日本製鋼所5631火砲、砲身、AMV装輪装甲車、レールガン
三菱重工業701110式、16式、共通戦術装輪
豊和工業620320式・89式小銃、迫撃砲
トヨタ自動車7203高機動車
いすゞ自動車72023 1/2tトラック等
日野自動車非上場(ARCHION傘下)大型・特殊車両
昭和飛行機工業非上場特装車、トレーラー
コマツ6301弾薬/装甲車両の新規開発から撤退
三菱自動車工業72111/2tトラック

日本製鋼所(5631)は10式戦車の120mm砲、19式装輪自走榴弾砲、艦載砲などを手がける火砲メーカー。パトリアからライセンスを受けた装輪装甲車AMVや、将来レールガンの研究試作にも関わる。2025年度の中央調達は646億円で8位だった。日本製鋼所の防衛事業で装備と開発案件をまとめた。

出典:防衛装備庁・2025年度中央調達実績

戦車と装甲車の本体は三菱重工で、10式、16式機動戦闘車、共通戦術装輪車。コマツ(6301)は軽装甲機動車やNBC偵察車を作っていたが装甲車両の新規開発から撤退し、弾薬事業を続けている。撤退の経緯は別記事にある。

自衛隊の「足」を作るのは自動車メーカーだ。トヨタの高機動車、三菱自動車の1/2tトラック、いすゞの3 1/2tトラックなどがある。大型・特殊車両では日野自動車、特装車やトレーラーでは昭和飛行機工業も関わる。車体の製造に加え、長く使うための部品供給と整備が欠かせない。

出典:陸上自衛隊・車両装備

小火器は豊和工業(6203)で、64式、89式、20式小銃と迫撃砲を作る。豊和工業ガイドを参照。住友重機械は機関銃を作っていたが撤退した。

弾薬・火薬|ダイキン、コマツ、日油、細谷火工

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企業証券コード・所属主な装備・役割
ダイキン工業6367120mm戦車砲弾、127mm艦砲弾、誘導弾弾頭
旭精機工業6111小銃弾
日油4403火薬、炸薬
日本工機非上場(日油系)火工品、訓練弾
細谷火工4274照明弾、発煙弾
中国化薬非上場火薬類
IHIエアロスペース非上場(IHI)固体ロケットモーター

弾薬は防衛力整備計画で「持続性・強靭性」の柱として取得費が大幅に積み増された分野で、地味だが予算配分は大きい。

ダイキン工業(6367)は戦車砲弾、艦砲弾、迫撃砲弾、誘導弾の弾頭や信管を手がける。空調機の会社という印象が強いが、防衛向けの精密加工・組立の事業も続けている。ダイキンの防衛事業で装備と事業の範囲を詳しく扱った。コマツ(6301)も弾薬の供給企業で、車両の新規開発からの撤退と、防衛事業すべてからの撤退は同じではない。

火薬と炸薬は日油(4403)、火工品と訓練弾は日油系の日本工機、照明弾と発煙弾は細谷火工(4274)、小銃弾は旭精機工業(6111)、火薬類は中国化薬。ロケットモーターはIHIエアロスペース。非上場企業も多く、会社の規模や防衛向け売上の割合はさまざまだ。完成弾だけでなく、火薬、信管、ケースなどの供給までつながって初めて量産できる。

素材・電池|鋼、繊維、電池

艦艇レーダーと戦闘システムを点検する防衛産業の技術者
完成装備の受注だけでなく、部品、素材、ソフトウェア、試験、補修、可動維持までが防衛生産基盤を支える。

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企業証券コード・所属主な装備・役割
日本製鉄5401船体・機械向け鋼材
JFEスチール非上場/親会社5411船舶・機械向け鋼材
東レ3402航空機用炭素繊維
帝人3401アラミド繊維(防弾)
GSユアサ6674潜水艦用リチウムイオン電池
古河電池非上場航空・船舶など特殊用途向け電池

装備の陰で素材を供給する企業がいなければ、そもそも装備は作れない。

日本製鉄やJFEスチールなどの鉄鋼メーカーは、船体や機械部品に使う鋼材を供給する。東レの炭素繊維は航空機の構造材に、帝人のアラミド繊維は防護用途に使われる。素材の強度だけで装備全体の性能が決まるわけではなく、加工、接合、検査まで含めた技術の蓄積が必要だ。

電池ではGSユアサ(6674)が潜水艦用リチウムイオン電池を供給し、おうりゅう以降の潜水艦の運用を支えている。古河電池も航空・船舶などの特殊用途向け電池を持つ企業だ。古河電池は2025年12月に上場廃止となっており、現在は非上場だ。

出典:古河電池・株主・投資家情報

燃料・施設|ENEOSとゼネコン

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企業証券コード・所属主な装備・役割
ENEOS非上場/親会社5020航空燃料、艦船用燃料
中川物産非上場燃料供給
五洋建設など1893ほか基地・港湾施設の強靭化

ENEOSは航空燃料や艦船用燃料の供給を担い、2025年度の中央調達では233億円で20位だった。ENEOSの上場親会社はENEOSホールディングス(5020)。中川物産などの燃料商社も含め、燃料は装備を動かし続けるための大きな調達分野である。

出典:防衛装備庁・2025年度中央調達実績

施設の強靭化では五洋建設(1893)をはじめとするゼネコン各社が基地と港湾の整備を担い、南西諸島の部隊配備や施設の強靭化は、装備品とは別に確認したい需要である。

商社|自衛隊の「輸入」を仕切る企業

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企業証券コード・所属主な装備・役割
伊藤忠アビエーション非上場(伊藤忠 8001)JSM、KC-767支援、輸入装備
三井物産エアロスペース非上場(三井物産 8031)USV供試器材、衛星画像、弾薬
双日エアロスペース非上場(双日 2768)ボーイング代理店、F-15J、AH-64D
丸紅・住商・三菱商事系各専門子会社は非上場輸入装備、エンジン・部品、整備支援

海外製の装備をFMS以外のルートで仕入れ、長期にわたって部品と整備を支えるのが防衛商社の仕事だ。2025年度の中央調達では、双日450億円、伊藤忠アビエーション422億円、住商エアロシステム244億円が上位20社に入った。親会社名での契約と専門子会社名での契約は分けて読む必要がある。三井物産エアロスペース、双日エアロスペース、丸紅エアロスペース、三菱商事マシナリなども、機体・エンジン・電子装備の供給や運用支援に関わる。独立系には海外物産、日本エヤークラフトサプライ、JALUXなどがある。防衛関連商社一覧で各社の担当を整理した。

出典:防衛装備庁・2025年度中央調達実績

無人機・新興企業|ドローンと自律制御

無人機・対ドローン・AI分野へ参入する防衛スタートアップ
スタートアップは実証・研究開発・量産契約の段階を分け、提携発表だけを防衛省採用や実戦配備と同一視しない。

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企業証券コード・所属主な装備・役割
テラドローン278A迎撃ドローンTerra B1(量産契約)
ACSL6232小型UAV蒼天
Oceanic Constellations非上場小型USV群のソナー実証
Prodrone非上場対処型ドローン、東芝と連携
JMUディフェンスシステムズ非上場(JMU系)多目的水上自律無人艇

小型無人機や自律制御では、従来の重工・電機に加えて新興企業も契約を得ている。テラドローン(278A)は迎撃ドローンTerra B1で防衛装備庁の早期取得プログラムを単独で通過し、8月に量産契約を結んだ。ウクライナのAmazing Dronesを連結子会社化し、迎撃機の開発を進めている。Terra A1/A2の解説と株価分析は別記事にある。ACSL(6232)は小型UAV蒼天を陸自に継続納入する国産機メーカーで、株価分析とテラドローンとの比較を参照。

非上場ではOceanic Constellationsが小型USV群のマルチスタティックソナー実証を5億円で受注し、Prodroneは東芝と迎撃ドローンで組み、JMUディフェンスシステムズは11mの自律無人艇を作る。三菱重工などの大手も、機体、自律制御、複数機の管制を研究している。研究契約と量産契約では、その先の売上や生産体制の読み方が変わる。防衛ドローン企業一覧と防衛スタートアップ一覧で個別に追っている。

撤退した企業、手放した事業

防衛産業は参入する企業ばかりではない。コマツは装甲車両の新規開発から退き、住友重機械は機関銃の生産から撤退した。三井E&Sの艦艇建造事業は2021年に三菱重工側へ引き継がれた。

ここで区別したいのは、一つの製品からの撤退、事業の譲渡、会社全体の防衛撤退だ。コマツの弾薬、三井E&Sの艦艇用機関のように、別の形で供給を続ける例もある。

調達数が少ない装備では、生産設備や熟練者を維持する負担が重くなる。部品を作る会社が一社抜けただけでも、装備全体の生産や修理に影響することがある。完成品の大手だけでなく、その下の供給網まで見る必要がある。サプライチェーンの脆さでこの問題を掘り下げた。

世界の中の日本の防衛産業

海外にはロッキード・マーティン、RTX、BAEシステムズなど、防衛・航空宇宙を主力とする大企業がある。日本は、重工、電機、自動車、素材といった民間事業を持つ企業の一部門として防衛を担う形が多い。

世界ランキングと比較するときは、集計年、為替、軍事向け売上の定義をそろえたい。宇宙や民間向けを含む日本企業の事業売上を、SIPRIの武器・軍事サービス売上にそのまま当てはめると順位を誤る。世界の防衛企業ランキングとアメリカ軍事企業ランキングでは、海外企業の規模と得意分野を比較している。

投資家として防衛産業をどう見るか

防衛関連企業を受注・売上・利益率・投資負担で比較する
中央調達額が増えても、売上計上時期、原価、設備投資、採算、他事業の変動により企業利益への寄与は異なる。

同じ「防衛関連」でも、会社全体に占める事業の重さは違う。

三菱重工の防衛・宇宙、川崎重工の防衛関連、三菱電機やNECの防衛・宇宙関連事業は、開示資料で売上を追える。IHIも説明会資料で防衛事業の規模を開示している。ただし、会社ごとに民間向けや宇宙事業が含まれる範囲が異なる。

東京計器の防衛・通信機器、日本アビオニクスの情報システムは、全社売上に占める割合が大きい。一方、自動車、素材、燃料、商社では、防衛以外の市況や事業の影響も大きい。「防衛関連企業一覧に載っている」だけで、業績や株価への影響まで判断するのは難しい。

見る順番は、受注内容、売上計上の時期、利益率、設備投資と資金回収。生産を増やすために支出が先行することもあり、契約額の増加がすぐ利益や現金の増加になるわけではない。

個別株の見方は防衛関連銘柄の投資ガイド、分散投資の仕組みは防衛ETF、中小型企業は中小型株10社で扱っている。

よくある質問

日本の防衛産業の企業数はどれくらい?

完成装備のメーカーだけでなく、部品・素材・ソフトウェア・修理の会社まで含むため、どこまでを数えるかで変わる。この一覧も防衛省の全取引先名簿ではなく、主な装備と供給分野を知るためのものだ。

防衛産業の「御三家」とは?

三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工3社。三菱重工は陸海空の総合装備、川崎重工は潜水艦と航空機、IHIは航空エンジンと推進系に強い。

日本一の軍需企業はどこ?

2025年度の中央調達契約額では三菱重工業が9724億円で1位。2位は三菱電機、3位は川崎重工だった。売上ランキングは別の集計であり、同じ順位になるとは限らない。

日本は武器を輸出できるようになった?

2026年4月に5類型は撤廃されたが、案件ごとの審査と移転後の管理は残る。豪州向けフリゲートも、日本で建造する初期3隻の契約と、残る8隻の建造計画を分けて考える必要がある。

防衛産業に就職するには?

重工や電機の大手に加え、航空機部品、素材、IT、保守・整備にも仕事がある。設計だけでなく、生産技術、品質保証、情報管理、調達など職種も広い。ITエンジニアが防衛産業でする仕事ではIT分野の入口を整理している。

防衛関連企業なら、防衛費が増えるほど業績も伸びる?

予算の配分先と、その会社が担当する装備が一致するとは限らない。受注しても売上になるまで時間がかかり、原材料費や増産投資も利益に影響する。契約額だけでなく決算と資金の動きを合わせて見る必要がある。

まとめ

防衛産業を知る近道は、企業名を丸暗記することではなく、一つの装備がどの会社の仕事で成り立っているかを見ることだ。護衛艦なら造船、レーダー、ソナー、機関、電池、燃料。航空機なら機体、エンジン、操縦装置、通信、整備がつながる。

予算の拡大、装備移転の対象拡大、無人機の調達は、その分業に新しい仕事を生んでいる。完成品の大手と、部品・素材・運用を支える会社を合わせて追えば、日本の防衛産業の姿が見えてくる。

出典・参考資料

金額は年度を明記し、契約額と売上を分けて掲載した。上場状況の確認日:2026年10月6日。

防衛産業をさらに知る

装備の調達と企業のつながりをもう少し広く読むなら、こちらの一冊も参考になる。

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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