RPG-7とは|構造・弾頭・世界で使われ続ける理由をわかりやすく解説

博物館展示台に置かれたRPG-7型発射器と冷戦期の補給網を示す背景
博物館展示台に置かれたRPG-7型発射器と冷戦期の補給網を示す背景
RPG-7の長寿は発射器単体の性能ではなく、多国間生産・弾薬・在庫のネットワークから生まれた

RPG-7は、1961年にソ連軍へ採用された再使用式の無誘導・肩撃ち対戦車擲弾発射器である。長寿の理由は「現代戦車を必ず破壊できる万能性」ではなく、発射器を残したまま弾薬と照準器を更新でき、各国の生産・補給網へ広く組み込まれた点にある。

本稿はRPG-7の歴史、分類、一般的な構成、弾頭系列、拡散理由、ジャベリンとの違い、現代戦車に対する限界を公的資料中心に整理する。製造、入手、組立、装填、照準、射撃、改造、具体的な攻撃手順は扱わない。

RPG-7の要点

> この記事の結論 RPG-7は「安価・簡単・多弾種」という三条件だけで残ったのではない。より正確には、単純な再使用式発射器を、多数国の生産、巨大な在庫、世代を超えた弾薬開発へ接続できたことが、60年以上の寿命を生んだ。

目次

RPG-7とは|一言でわかる位置づけ

RPG-7とは|一言でわかる位置づけ

RPG-7は、歩兵が携行できる対戦車用の「肩撃ち無反動兵器」に分類される。発射器は再使用でき、異なる目的の弾薬を同じ系列で使える。一方、飛翔中の弾を目標へ自動的に導く装置はなく、ジャベリンのような対戦車誘導ミサイルではない。

ロシア文化省系の博物館プラットフォームは、RPG-7が1961年にPG-7V弾とともにソ連軍へ採用されたと説明する。Small Arms Surveyの識別ガイドは、RPG-7系列を肩撃ち無反動兵器に分類し、典型的な弾薬では無反動発射とロケット推進を組み合わせると整理している。

ここが最初の重要点である。日本語では「ロケット推進擲弾」、英語ではrocket-propelled grenadeという呼び名が定着したが、RPG-7という一つの発射器系列には、推進原理の異なる弾薬も含まれる。名前から機構を一種類だと思い込むと、40mmという表記、弾頭径、射程、威力をすべて誤読しやすい。

観点RPG-7の位置づけ誤解しやすい点
兵器分類携行式・肩撃ち・無誘導の無反動兵器すべての弾が純粋なロケット弾ではない
発射器再使用式M72のような使い捨て式とは異なる
弾薬対装甲、破片、熱圧など複数系列「RPG-7の威力」を一つの数値にできない
誘導なしジャベリンのような誘導ミサイルではない
40mm表記発射筒の内径を指す弾頭の最大径と同じではない

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RPGは何の略か|英語の略語だけでは説明できない

RPGは何の略か|英語の略語だけでは説明できない

RPGを英語の「Rocket-Propelled Grenade」の頭文字と説明する記事は多い。しかし、ソ連側の名称はロシア語の「Ручной противотанковый гранатомёт」、すなわち「携行式(手持ち式)対戦車擲弾発射器」を意味する。英語表現とロシア語の制式名称は、偶然同じRPGという文字列になるが、語の由来は同じではない。

さらに末尾の「7」は弾頭径や世代数を直接示す値ではなく、系列名の一部である。RPG-2の後継として開発されたからといって、RPG-3からRPG-6までが同じ方式で順番に大量配備されたわけでもない。番号だけから能力を推定してはいけない。

私は、RPG-7の解説で最も大切なのは貫徹値より先に名前をほどくことだと考える。名前の誤読を直せば、「40mmなのになぜ大きな弾頭なのか」「ロケットなのになぜ無反動兵器なのか」「なぜジャベリンと同じミサイルではないのか」という三つの疑問が一度に整理できるからだ。

ロシア語制式名称と英語表現、無反動兵器・ロケット・ミサイルの分類関係図
RPGという同じ三文字でも、ロシア語制式名と英語の一般名では語源が異なる

RPG-7の開発史|RPG-2の後継として1961年に採用

RPG-7の開発史|RPG-2の後継として1961年に採用

第二次世界大戦は、戦車へ対抗する歩兵携行兵器の重要性を大きく高めた。米国のバズーカ、ドイツのパンツァーファウストなどは異なる原理と設計思想を持つが、重い対戦車砲だけに頼らず、歩兵が携行できる成形炸薬弾を使うという方向を広めた。ソ連は戦後、RPG-2を1947年に採用した。

Rostecの企業史記事によれば、RPG-7計画は1958年に始まり、弾薬をGSKB-47(後のNPO Bazalt)、発射器をOKB-575が担当した。1961年にRPG-7とPG-7Vの組み合わせが採用される。博物館資料も1961年採用を支持しており、1962年とする一部の西側資料は初期配備・確認年とのずれを含む可能性がある。

RPG-2からの発展で重要なのは、単に威力を増したことではない。典型的なPG-7V系列は、発射筒から送り出す段階と、その後の飛翔を補うロケット推進を組み合わせた。発射器には光学照準器を取り付ける設計が採り入れられ、後には空挺向け分割型などの派生型も生まれた。

米陸軍レッドストーン兵器廠の1968年沿革には、ベトナムで捕獲されたソ連製RPG-7が同年2月に持ち込まれ、技術評価された記録がある。オーストラリア戦争記念館にも、1968年3月に南ベトナムで捕獲品を調べる兵士の著作権切れ写真が残る。RPG-7は採用から数年でソ連圏の外へ届き、西側が実物を分析するほどの存在になっていた。

私はRPG-7の登場を「突然現れた革命兵器」とは見ない。戦時中の携行対戦車兵器、戦後RPG-2、成形炸薬、無反動発射、光学照準という既存技術を、量産と将来更新に耐える一つの系へまとめたことこそ革新だった。

第二次世界大戦の携行対戦車兵器からRPG-2、1961年RPG-7採用へ続く開発年表
RPG-7は戦時中の携行対戦車兵器と戦後RPG-2の経験を量産可能な更新型体系へまとめた

構造と作動原理|無反動とロケット推進を組み合わせる

構造と作動原理|無反動とロケット推進を組み合わせる

RPG-7の外観は、中央部に保護材を巻いた金属製発射筒、後端の拡張部、撃発部、保持部、機械式または光学式照準器から成る。オーストラリア戦争記念館が所蔵する1969年製RPG-7Vと、1980年頃のロシア製所蔵品は、年代や来歴が違っても、鋼製平滑筒、中央の保護部、後部ノズル、照準器取付部という共通の外形を記録している。

作動原理は概念として二段階に分けられる。最初に発射用のガスが前後へ作用し、反作用の多くを後方へ逃がしながら弾体を発射筒外へ送り出す。典型的なPG-7V系列では、その後に弾体側のロケットモーターが飛翔を補う。Small Arms Surveyは、この混成方式を「ロケット発射器」と「無反動兵器」の区別が混乱する代表例として挙げる。

本稿では意図的に部品の組立順、弾薬の装着方法、撃発操作、照準目盛、風や距離の補正方法を説明しない。構造の理解に必要なのは、後方へガスを逃がすため発射器全体を軽くできること、同時に周囲へ危険な爆風が生じること、無誘導ゆえ環境の影響を自動補正しないことの三点である。

> 安全上の注意 博物館資料を読んで構造を理解することと、現物を扱うことは別である。発射器や弾薬らしい物体は、外見上不活性に見えても触れず、警察・自治体・専門機関へ連絡するのが原則である。

無反動発射と飛翔中のロケット推進を概念的に分けたRPG-7の原理図
典型的なPG-7V系列は発射筒内の無反動作用と筒外でのロケット推進を組み合わせる

「40mm」の意味|発射筒径と弾頭径を分ける

「40mm」の意味|発射筒径と弾頭径を分ける

RPG-7V2のRosoboronexport公式資料は発射器のcaliberを40mm、全長を953mm、二脚付きで光学照準器などを除く重量を6.68kgとする。ここで40mmは発射筒の内径であり、前方へ張り出す弾頭部の最大径ではない。

この設計は「弾頭を発射筒内へ完全に収める」方式とは異なる。発射筒をむやみに太く重くせず、目的に応じて弾体側の形状を変えられるため、後発弾薬を追加しやすい。逆に、弾薬の重量、形状、空気抵抗が変われば、同じ発射器でも照準距離や飛翔特性は同じではない。

公式資料は弾種ごとの最大照準距離を約200〜700mの幅で掲げる。一方、米軍の識別資料では、初期HEAT弾について静止目標と移動目標で異なる距離を示す。この数字は、弾種、照準器、目標条件、定義がそろって初めて意味を持つ。ゲームのように「RPG-7の射程は一律○m」と固定する説明は不正確である。

公開値対象読み方
40mm発射器の口径弾頭径ではない
953mmRPG-7V2発射器の全長派生型すべての共通寸法ではない
6.68kgRPG-7V2、二脚付き・一部照準器等を除く装着品と型式で総重量は変わる
約200〜700m公式資料にある弾種別最大照準距離の幅命中保証距離、危険範囲、全弾共通値ではない
40mm発射筒径と発射筒外へ張り出す弾頭部を区別する寸法概念図
40mmは発射筒の内径であり、目的別に形状が異なる弾頭部の最大径ではない

RPG-7の弾頭・弾薬系列|一つの威力では語れない

RPG-7の弾頭・弾薬系列|一つの威力では語れない

RPG-7系列が長生きした最大の理由の一つは、発射器本体より後に弾薬系列を増やせたことである。RosoboronexportはRPG-7V2用として、PG-7系の複数HEAT弾、PG-7VRタンデムHEAT弾、TBG-7V熱圧弾、OG-7V破片弾を列挙する。これは、RPG-7が「一種類の対戦車弾を撃つ古い筒」ではなく、異なる効果を持つ弾薬ファミリーを受け入れる基盤になったことを示す。

弾薬系列公開資料上の一般分類本稿での扱い
PG-7V/VM/VS/VL単一成形炸薬系世代・型式を混ぜて貫徹値を一つにしない
PG-7VRタンデム成形炸薬系反応装甲への対抗概念まで。構造寸法は扱わない
TBG-7V熱圧効果閉鎖空間への具体的使用法や被害最適化は扱わない
OG-7V破片効果対人運用・射撃条件は扱わない
訓練弾訓練用実弾との見分け方を自己判断用に手順化しない

成形炸薬(HEAT)は爆発時に金属ライナーを高速流へ変え、装甲を貫く効果を狙う。ここで「口径が大きいほど必ず強い」「爆発速度が速いほど必ず厚い装甲を抜く」と単純化してはいけない。弾頭構造、スタンドオフ、入射条件、装甲材、複合装甲、反応装甲など多くの条件が関係する。

Rostecは原型PG-7Vの装甲貫徹を260mmと紹介する一方、米軍の後年資料にはPG-7Vへ330mmを掲げる例がある。名称の転記、試験条件、装甲板規格、評価基準の違いを公開資料だけで完全に解消できないため、本稿はどちらかを「唯一の正解」としない。後発弾を原型弾の数値で評価することも、その逆も避ける。

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RPG-7対応弾薬を単一成形炸薬、タンデム、熱圧、破片、訓練の役割で整理した図
RPG-7は一種類の威力ではなく、異なる効果を持つ弾薬ファミリーとして理解する必要がある

なぜ世界へ広がったのか|性能だけでなく制度と在庫を見る

なぜ世界へ広がったのか|性能だけでなく制度と在庫を見る

RPG-7の普及は「強かったから売れた」の一文では説明できない。Small Arms Survey 2004は、2000年代初頭までに複数国・複数企業がRPG-7派生型と弾薬を製造していたと整理する。ロシア以外での生産、許諾品と非許諾派生、異なる国の弾薬供給が重なり、一国の工場が止まっても系列全体が消えにくい構造になった。

普及理由は少なくとも五層に分けて考えられる。

1. 再使用式発射器:発射器を保持したまま弾薬を補充でき、使い捨て筒を毎回交換する体系とは異なる。 2. 弾薬の追加更新:原型の対装甲弾だけでなく、目的の異なる後発弾が同じ系列へ加わった。 3. 多国間生産:複数国で発射器・弾薬・派生型が作られ、供給源が分散した。 4. 冷戦期の援助と標準化:ソ連式装備・訓練・補給を採り入れた国へ、他の装備と一緒に体系として広がった。 5. 長期在庫と二次移転:正規輸出後の政変、国家崩壊、余剰処分、鹵獲、横流しによって、最初の輸出者が意図しない場所へ移った。

Rostecは世界生産を900万基超、使用国・組織を約100か国とするが、メーカー・国家・非国家主体を統一して追跡する公的台帳はない。Small Arms Survey 2004も900万基という推計を引用する一方、当時確認した正規軍採用国は少なくとも27か国としており、定義と調査時点が異なる。したがって「採用国100」「生産900万」を2026年の確定在庫数として使うべきではない。

私見では、RPG-7の世界性を「貧者の兵器」という呼び名だけで説明するのは雑である。価格の低さだけなら消えた兵器はいくらでもある。RPG-7は発射器、弾薬、照準器、訓練、工場、援助、余剰在庫が一つの生態系をつくったから残った。安価さは入口であり、互換性を期待できる供給網こそ寿命の本体だった。

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設計、各国工場、国家在庫、軍事援助、二次移転がRPG-7拡散を生んだ関係図
多国間生産と長期在庫は供給を強くした一方、管理不能な二次移転の危険も長期化させた

RPG-7とジャベリンの違い|無誘導兵器と誘導ミサイル

RPG-7とジャベリンの違い|無誘導兵器と誘導ミサイル

RPG-7とFGM-148ジャベリンは、どちらも歩兵が携行できる対装甲兵器として並べられる。しかし、同じ用途の一部を共有していても、システムの考え方は大きく異なる。

米陸軍のJavelin紹介は、ジャベリンを中距離の対戦車用fire-and-forget兵器と説明する。Small Arms Surveyの識別ガイドも、RPG-7やカールグスタフのような無誘導システムと、目標捕捉・誘導装置を持つATGMを区別している。

比較項目RPG-7系列ジャベリン
分類無誘導の肩撃ち無反動兵器対戦車誘導ミサイル
発射器単純な再使用式発射筒再使用する照準・発射装置と封入ミサイル
飛翔中の誘導なしセンサーと誘導装置が自動誘導
システム複雑性相対的に低い電子光学装置、誘導部、ソフトウェアを含む
弾薬の幅対装甲・破片・熱圧など精密誘導ミサイルを中心とする体系
比較の要点在庫性・単純性・多弾種精密性・誘導・情報装置

この差は、どちらが常に優れるというランキングではない。ジャベリンは精密誘導のための高価で複雑な装置を持ち、RPG-7はその装置を持たない代わりに単純で広く流通している。軍隊が必要とするのは一発のカタログ性能だけでなく、調達予算、教育、整備、電池、保管、輸送、補充まで含む体系である。

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RPG-7は戦車に効くのか|「弾頭と防御の組み合わせ」で決まる

答えは「対戦車兵器なので脅威にはなるが、RPG-7なら現代戦車を必ず撃破できる、とはいえない」である。RPG-7という名称は発射器系列を示し、実際の効果は弾頭型式と目標側の装甲・防護システム、命中条件によって変わる。

装甲貫徹はしばしばRHA(均質圧延鋼板)換算で表される。米議会予算局の装甲車両技術報告は、RHA換算を装甲または弾頭の能力を比較する近似値と定義し、実際の装甲は形状、品質、材料、事例ごとの性能が異なるため近似にすぎないと注意する。

現代の主力戦車は、単一の垂直鋼板だけで守られていない。複合装甲、空間、反応装甲、追加装甲、内部の破片防護、能動防護など複数の要素を持ち、車種や改修型によって構成も異なる。逆に、同じ車両でも損傷の程度は一様ではなく、「貫徹した=車両全損」「貫徹しない=人的被害なし」という二択でもない。

したがって、公開された「○mm貫徹」という数字を、実戦で特定戦車を撃破する確率へ変換することはできない。本稿は車両の弱点、射角、距離、射撃位置、複数発の使い方を示さない。それらは歴史解説ではなく、具体的な攻撃助言になるためである。

RPG-7が戦車に効くか」を考える最も誠実な答えは、発射器名ではなく弾頭世代と防御世代の組み合わせを見ること、そして実験室のRHA値と人が乗る実車の被害を混同しないことである。

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均質圧延鋼板換算値と複合装甲・反応装甲・能動防護を備えた実車防御の違い
RHA換算値は比較用の近似であり、実車の防護や撃破確率を一つの数字では表せない

RPG-7の限界|無誘導・環境依存・後方爆風

RPG-7の長寿は限界がないことを意味しない。むしろ、限界が明確でも、多数が存在し、補給が続き、用途別弾薬が加わったため残った兵器である。

第一の限界は無誘導であることだ。ジャベリンのようにセンサーが飛翔中の誤差を修正しない。1975年の米陸軍Foreign Science and Technology Center分析は、ロケット補助が弾道を平坦化して距離見積もり誤差の影響を減らす一方、横風の影響を増やし、正味の精度向上は見た目ほど大きくないと評価した。これは、簡単な発射器と簡単な命中が同義ではないことを示す。

第二は弾薬ごとの差である。重さ、形状、推進方式が異なる弾を同じ照準条件で扱うことはできない。Rosoboronexportが弾種別に異なる最大照準距離を示すのは、その差の表れである。

第三は無反動方式に伴う後方爆風である。発射時にガスを後方へ逃がす設計は、重い反動機構を不要にする一方、後方空間に重大な危険を生む。ここでは安全距離や室内運用の条件を示さない。一般読者が実物を扱うための情報ではなく、なぜ軽量化に代償があるかという設計上の説明に留める。

第四は、古い発射器と古い弾薬の状態を外見から判断できないことだ。長期保管、腐食、非正規修理、異なる国の部品混用は信頼性を左右する。広く拡散したこと自体が、品質を一律に語れない理由にもなる。

世界で使われ続けた歴史|戦果より移転経路を見る

RPG-7の実戦史はベトナム戦争、冷戦期の地域紛争、アフガニスタン、湾岸戦争後の中東など広範囲に及ぶ。IWMには1989年製とされるRPG-7Vが収蔵され、アフガニスタンで英軍が得た来歴を持つ。オーストラリア戦争記念館の1969年製RPG-7Vは、イラク軍装備として湾岸戦争に関連づけられている。1968年ベトナムの捕獲写真と並べると、同じ基本系列が数十年を隔てて異なる地域へ現れたことが分かる。

ただし、紛争名を並べるだけでは「なぜそこにあったか」は分からない。最初の国家間輸出、現地生産、軍事援助、同盟崩壊後の在庫継承、鹵獲、転売、非合法移転を区別する必要がある。Small Arms Surveyは、製造国の特定が最終使用者への直接供与を意味せず、合法輸出後に再移転・流出した可能性を切り分ける必要があると注意している。

UNIDIRの通常兵器管理報告は、通常兵器の過剰蓄積、管理されない拡散、誤用が暴力を長引かせ、民間人被害を悪化させると指摘する。RPG-7の「成功」を販売数や戦果だけで称賛する見方は、この現実を落とす。

兵器史に必要なのは、破壊映像を見せ場として消費することではない。鋼管と弾薬が国境を越えた後、誰が管理できず、誰が被害を受け、どの在庫が次の紛争へ持ち越されたかを追うことである。RPG-7の世界史は、工業設計の長寿であると同時に、通常兵器管理の失敗が何十年も残る歴史でもある。

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1968年ベトナム、1991年湾岸戦争、2000年代アフガニスタンの公的所蔵記録を示す博物館棚
公的所蔵品の来歴は、同じ基本系列が数十年を隔てて別地域へ移転した事実を伝える

よくある質問

RPG-7の「RPG」は何の略ですか

ロシア語の「Ручной противотанковый гранатомёт(携行式対戦車擲弾発射器)」に由来する。英語のRocket-Propelled GrenadeもRPGになるため広く定着したが、元の制式名称をそのまま英訳した頭文字ではない。

RPG-7はロケットランチャーですか

一般にはロケット擲弾発射器と呼ばれるが、技術分類では肩撃ち無反動兵器である。典型的なPG-7V系列は、発射用装薬で弾体を筒外へ送り、その後ロケット推進を使う混成方式である。すべての対応弾が同じ推進方式でもない。

RPG-7の40mmは弾頭の直径ですか

違う。40mmは発射筒の内径を示す。弾頭部は発射筒の外側へ張り出すため、弾薬系列によって最大径が異なる。「40mmだから40mmグレネードランチャーと同じ」と理解してはいけない。

RPG-7は現代戦車を破壊できますか

一律には答えられない。発射器ではなく使用される弾頭の世代、車両側の複合・反応・追加装甲、能動防護などとの組み合わせで結果が変わる。公開RHA貫徹値は比較用の近似で、特定車両の撃破保証ではない。

RPG-7とジャベリンは何が違いますか

<span class="swl-marker mark_yellow">RPG-7</span>は無誘導の再使用式発射器、ジャベリンはセンサーと誘導装置を持つ対戦車誘導ミサイルである。両者は対装甲用途を共有するが、精密性、システム複雑性、調達・整備・補給の考え方が大きく異なる。

RPG-7の射程は何mですか

一つの値にはできない。公式資料でも弾種ごとの最大照準距離は約200〜700mと幅があり、目標条件や「最大」「有効」「照準」の定義でも値が変わる。数字だけを切り取って命中距離とみなすのは不正確である。

RPG-7は何か国で採用されていますか

Rostecは約100か国の軍・治安組織と説明するが、Small Arms Surveyの古い調査は少なくとも27か国の正規軍としていた。調査時期、警察・非国家組織、試験採用、派生型を含めるかで変わるため、2026年の確定採用国数とは扱えない。

なぜ60年以上使われ続けているのですか

再使用式で単純な発射器、多目的化した弾薬、多国間生産、冷戦期の援助、巨大な長期在庫が重なったからである。安価さだけでなく、既存の補給・教育・保管体系へ組み込まれたことが大きい。

まとめ|RPG-7が残った理由は「単純な筒を世界規模の体系にした」こと

RPG-7は1961年にソ連軍へ採用された、再使用式の無誘導・肩撃ち対戦車擲弾発射器である。典型的な弾薬では無反動発射とロケット推進を組み合わせ、40mmという表示は発射筒径であって弾頭径ではない。

原型の対装甲弾だけでなく、タンデムHEAT、破片、熱圧などの弾薬系列が加わり、複数国で発射器・弾薬・派生型が生産された。冷戦期の援助と訓練、国家在庫、二次移転も重なり、設計は特定国の製品から国際的な装備生態系へ変わった。

一方、RPG-7は無誘導であり、環境の影響を自動補正しない。後方爆風という安全上の代償があり、弾種ごとに飛翔特性も異なる。公開されたRHA貫徹値は比較用近似であって、現代戦車に対する撃破保証ではない。ジャベリンのような誘導ミサイルとも、精密性、装置、調達体系が違う。

RPG-7は高性能だから残ったのではなく、安価・簡単・多弾種という現実的条件が戦場を選ばなかった――という記事の背骨は半分正しい。残り半分は、単純な鋼管の周囲に工場、弾薬、訓練、援助、在庫という世界規模の制度が積み上がり、兵器そのものより長く生きたことである。

参考資料・出典

  • <a href="https://rostec.ru/media/news/rpg-7-priruchennaya-molniya/">Rostec「РПГ-7: прирученная молния」</a>
  • <a href="https://roe.ru/pdfs/pdf_4588.pdf">roe.ru</a>
  • <a href="https://ar.culture.ru/en/subject/reaktivnyy-protivotankovyy-granatomet-rpg-7">ar.culture.ru</a>
  • <a href="https://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/row/rpg-7.pdf">fas.org</a>
  • <a href="https://history.redstone.army.mil/ihist-1968.html">history.redstone.army.mil</a>
  • <a href="https://asc.army.mil/docs/pubs/alt/archives/1975/Nov-Dec_1975.PDF">asc.army.mil</a>
  • <a href="https://www.iwm.org.uk/collections/item/object/30101822">Imperial War Museums「RPG-7V rocket launcher」</a>
  • <a href="https://www.awm.gov.au/collection/C248827">awm.gov.au</a>
  • <a href="https://www.awm.gov.au/collection/C1190636">awm.gov.au</a>
  • <a href="https://www.awm.gov.au/collection/C317260">awm.gov.au</a>
  • <a href="https://www.smallarmssurvey.org/resource/introductory-guide-identification-small-arms-light-weapons-and-associated-ammunition">smallarmssurvey.org</a>
  • <a href="https://www.smallarmssurvey.org/sites/default/files/resources/Small-Arms-Survey-2004-Chapter-01-EN.pdf">smallarmssurvey.org</a>
  • <a href="https://www.govinfo.gov/content/pkg/GOVPUB-Y10-PURL-gpo156595/pdf/GOVPUB-Y10-PURL-gpo156595.pdf">govinfo.gov</a>
  • <a href="https://www.army.mil/article/3189/javelin">U.S. Army「Javelin」</a>
  • <a href="https://unidir.org/publication/the-changing-role-of-conventional-arms-control-in-preventing-and-managing-violent-conflicts/">unidir.org</a>

参考資料・主な出典

ロシア文化省系の博物館プラットフォーム|資料を確認

Small Arms Surveyの識別ガイド|資料を確認

Rostecの企業史記事|資料を確認

1968年沿革|資料を確認

著作権切れ写真|資料を確認

1969年製RPG-7V|資料を確認

1980年頃のロシア製所蔵品|資料を確認

Rosoboronexport公式資料|資料を確認

Small Arms Survey 2004|資料を確認

米陸軍のJavelin紹介|資料を確認

米議会予算局の装甲車両技術報告|資料を確認

米陸軍Foreign Science and Technology Center分析|資料を確認

RPG-7V|資料を確認

UNIDIRの通常兵器管理報告|資料を確認

fas.org|資料を確認

smallarmssurvey.org|資料を確認

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