予備自衛官は、会社員や自営業など普段の仕事を持つ人が務める「非常勤の自衛官」だ。だから結論として、副業・会社員でも予備自衛官になれる。むしろ、民間の仕事を持つ人が担うことを前提に設計された制度である。
普段は会社員として働き、年に数日の訓練に参加し、有事や大規模災害のときだけ自衛官として招集される。年間の訓練は予備自衛官で5日程度と少なく、2025年から2026年にかけて手当も大きく引き上げられた。ただし、勤務先の理解と就業規則の確認だけは欠かせない。
この記事では、予備自衛官が会社員・副業として成立するのか、仕事と両立するうえでの注意点、最新の手当額までを実務目線で解説する。
まずは会社員が知りたい要点を一覧で押さえてほしい。
| 区分 | 年間訓練日数 | 手当の目安 | 会社員との両立しやすさ |
|---|---|---|---|
| 予備自衛官 | 約5日 | 3年で約68万円(改定後) | しやすい |
| 即応予備自衛官 | 約30日 | 年70〜100万円程度 | 調整が必要 |
| 予備自衛官補 | 教育訓練50日/3年(一般) | 教育訓練手当あり | 未経験者の入口 |
なお、予備自衛官・即応予備自衛官・予備自衛官補の3区分の細かな違いや手当の全体像は予備自衛官・予備自衛官補・即応予備自衛官の違い完全ガイドにまとめてある。本記事は「会社員・副業として成立するか」に絞って掘り下げる。
予備自衛官とは?普段は民間人の「非常勤自衛官」
予備自衛官は、非常勤の特別職国家公務員という位置づけだ。普段はそれぞれの職業に就いて社会人生活を送りながら、定められた訓練に参加し、有事や災害時に招集されて任務にあたる。
なれるのは、元自衛官、または予備自衛官補の教育訓練を修了した人だ。任期は3年で、志願すれば継続でき、近年の制度改正で65歳まで任用が可能になった。元自衛官でなくても、予備自衛官補という未経験者向けの入口があるため、一般の会社員からでも道は開かれている。
常勤の自衛官になる道との違いを知りたい人は自衛官になるには完全ガイドや自衛官候補生と一般曹候補生の違いもあわせて読むと、常勤と非常勤の位置づけがはっきりする。
副業・会社員でも予備自衛官になれる|むしろそれが前提
予備自衛官制度は、民間の仕事を持つ人が国防の一翼を担う「予備戦力」として設計されている。つまり、会社員をしながら務めるのが当たり前の制度だ。
予備自衛官(一般)の年間訓練は原則5日。土日を含む連続5日が基本だが、事情によっては2回に分けることもできる。年5日であれば、有給休暇や週末をうまく使って、本業を続けながら無理なく両立できる範囲だ。
一方、即応予備自衛官になると年間約30日の訓練が必要で、より実戦的な部隊の一員として活動する。手当も手厚いが、30日を職場と調整するのは相応のハードルになる。まずは予備自衛官として年5日から始め、慣れてから即応へステップアップする人が多い。
要するに、「会社員だから無理」ではなく、「会社員だからこそできる」制度なのだ。
会社員が予備自衛官をやるときの注意点
副業として成立するとはいえ、会社員が予備自衛官になるなら、押さえておくべき注意点がある。ここが本記事のいちばん大事なところだ。
勤務先への事前申告は必須
年5日(即応なら約30日)の訓練で職場を不在にする以上、勤務先に「予備自衛官として訓練に行く」ことを事前に伝えておくべきだ。理由を隠して有給を取ると不自然さが生じるうえ、災害などで緊急招集がかかったときに対応できない。
また、訓練中のケガは現役自衛官と同じ補償の対象になるが、会社に伝えていないと、いざというときの調整やサポートで支障が出かねない。予備自衛官は後ろめたい副業ではなく、公的な任務だ。胸を張って勤務先に伝え、理解を得ておくことが、長く続けるコツになる。
副業・兼業の扱いを就業規則で確認する
法令上、予備自衛官の召集や訓練は労働基準法上の公務には該当しないとされている。そのため会社側は、これを通常の副業・兼業と同じように就業規則で扱うことができる。
つまり、副業を許可制や届出制にしている会社では、予備自衛官も就業規則上の手続きが必要になる可能性がある。入社前・在職中を問わず、自社の就業規則を確認し、必要なら届け出ておくのが安全だ。
雇用企業給付金という会社側のメリットを伝える
予備自衛官や即応予備自衛官を雇用する企業には、国から雇用企業給付金が支給される制度がある。これは会社にとってのメリットになるため、勤務先に予備自衛官を続けたい旨を伝える際の説得材料にもなる。「会社にも給付金という形でプラスがある」と示せれば、理解を得やすい。
公務員でも予備自衛官になれる
会社員だけでなく、地方公務員や国家公務員でも、所定の手続きを経て予備自衛官になれる。国の制度として推奨されているため、職場の理解は得やすい傾向にある。いずれにせよ、所属組織の兼業ルールを事前に確認しておきたい。
予備自衛官の手当はいくら?【2025〜2026年改定の最新】
予備自衛官の手当は、2025年9月から2026年4月にかけて大幅に引き上げられた。会社員にとっては、本業に上乗せできる副収入になる。
予備自衛官(一般)の手当は、毎月固定で支給される予備自衛官手当と、訓練に参加したときに出る訓練招集手当の2本立てだ。改定により、3年間あたりの受取総額はおよそ27万円から68万円へと約2.5倍に増えた。内訳の目安は、予備自衛官手当が年間約147,600円、訓練招集手当が年間約55,000円、さらに3年に一度の勤続報奨金が約70,000円だ。
即応予備自衛官はさらに手厚く、即応予備自衛官手当が月額16,000円から18,500円へと約15%引き上げられた(全階級共通)。訓練招集手当と合わせると、年間でおおむね70万〜100万円程度になる。
なお、これらの手当はいずれも課税対象で、所得税の源泉徴収後の額が支給される。訓練時の旅費は支給され、食費・宿泊費は無料だ。
本業の給与に予備自衛官手当という副収入が加わるなら、その一部を資産形成に回すのも堅実な選択だ。少額から始められるネット証券で、副収入を投資の種にしておく方法もある。
副収入の貯め方・増やし方は自衛官の貯金・資産形成ガイドが参考になる。常勤自衛官の年収水準と比べたい人は自衛官の年収ガイドもどうぞ。
未経験の会社員が予備自衛官になるには|予備自衛官補ルート
自衛隊未経験の会社員が予備自衛官を目指す場合、入口になるのが予備自衛官補だ。予備自衛官補には一般と技能の2コースがある。
一般コースは、特別な資格がなくても応募でき、3年以内に合計50日の教育訓練を受けて予備自衛官になる。技能コースは、医療・語学・ITといった保有資格や専門スキルを活かすルートで、教育訓練は2年で10日と短い。手持ちのスキルを国防に活かしたい社会人に向く。技能を活かせる資格については自衛隊で取れる資格・免許 職種別まとめも参考になる。
予備自衛官補には採用試験があり、教育訓練では基礎体力も問われる。会社員が久しぶりに体を動かすなら、応募前から少しずつ体力を戻しておくと、訓練でつまずきにくい。腕立て伏せを正しいフォームでこなせるようにしておくと安心だ。
体力検査の具体的な基準は自衛隊の体力検定ガイドで確認できる。女性で予備自衛官に関心がある人は女性自衛官のリアル完全ガイドもあわせて読んでおきたい。
予備自衛官のメリット・デメリット(会社員目線)
会社員が予備自衛官になることの損得を整理しておく。
メリットは、本業を続けながら副収入を得られること、社会貢献・国防への参加というやりがい、自衛隊での経験や規律を身につけられること、そして災害時に人の役に立てることだ。元自衛官にとっては、現役時代のつながりを保ちながら社会復帰できる利点もある。任期満了で自衛隊を辞めた後に予備自衛官として関わり続ける道もあり、その判断材料は自衛隊をすぐ辞めたくなる理由と任期制という逃げ道で、退職後の本業の選び方は元自衛官のリアル転職完全ガイドで扱っている。
デメリットは、訓練で休日や有給が消費されること、勤務先の理解が必要なこと、そして重い責任が伴うことだ。とくに、防衛出動の招集は正当な理由なく拒否すると罰則の対象になる。災害招集は個別事情が勘案されるが、予備自衛官は「いざというとき国のために動く」立場であることを理解したうえで志願したい。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社に知られずに予備自衛官になれますか?
おすすめしない。年5日の訓練や緊急招集で職場を不在にするため、勤務先に伝えておくべきだ。隠していると、有給取得や緊急対応で支障が出る。公的な任務なので、堂々と伝えて理解を得るのが正解だ。
Q. 副業禁止の会社でも予備自衛官になれますか?
予備自衛官の訓練は労働基準法上の公務には該当せず、会社は通常の副業と同様に就業規則で扱える。副業を許可制・届出制にしている会社では手続きが必要になる可能性があるため、まず就業規則を確認しよう。
Q. 訓練は土日にありますか?
予備自衛官(一般)の年5日訓練は、土日を含む連続5日が基本だ。事情によっては2回に分けることもできる。即応予備自衛官は年約30日で、平日も含めた調整が必要になる。
Q. 予備自衛官の手当はいくらですか?
2025〜2026年の改定後、予備自衛官(一般)は3年間でおよそ68万円が目安だ。即応予備自衛官は年70〜100万円程度になる。いずれも課税対象で、旅費は支給、訓練中の食費・宿泊費は無料だ。
Q. 自衛隊未経験の会社員でもなれますか?
なれる。予備自衛官補という未経験者向けの入口があり、一般コースなら資格がなくても応募できる。教育訓練を修了すれば予備自衛官になれる。
まとめ|会社員だからこそできる、国防への関わり方
予備自衛官は、会社員や自営業など普段の仕事を持つ人が務める非常勤の自衛官だ。副業・会社員でもできるどころか、それが制度の前提になっている。年5日程度の訓練で本業と両立でき、2025〜2026年の改定で手当も増額された。
成功のカギは、勤務先に事前に伝えて理解を得ること、そして就業規則を確認しておくことだ。未経験の会社員は予備自衛官補から始められる。国防に関わりたい、社会貢献したい、副収入とやりがいを得たいという社会人にとって、現実的で意義のある選択肢だ。
制度の全体像や3区分の違い、手当の詳細は予備自衛官・予備自衛官補・即応予備自衛官の違い完全ガイドで確認し、自分に合った関わり方を見つけてほしい。
※本記事の制度・手当は2026年6月時点の公開情報に基づく。手当は2025年9月および2026年4月に改定されており、最新の正確な額・採用条件は防衛省の自衛官募集サイトおよび自衛隊地方協力本部の公式情報で確認すること。

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