
ネイビーシールズ(Navy SEALs)は、世界で最も名前を知られた特殊部隊である。2011年のビンラディン殺害、2009年のマースク・アラバマ号の人質救出、そして、関与が報じられた2026年4月のイラン領内での撃墜機搭乗員救出。映画と手記の数では英SASを上回り、「特殊部隊」という言葉を聞いて多くの人が思い浮かべる姿は、暗視装置をつけたSEAL隊員のものだ。
同時に、SEALsほど「知られているのに実態が誤解されている」部隊もない。2022年の訓練中の死亡事故は選抜課程の構造的な問題を露わにし、2025年9月には2019年の北朝鮮潜入作戦の失敗が報じられた。私はこの記事で、SEALsの起源と組織、脱落・再履修率68%の選抜課程、装備の変遷、そして帝国海軍と自衛隊にとっての意味を、公開情報の範囲で整理する。
部隊を横断して比べたい読者は世界の特殊部隊10選と世界の特殊部隊一覧へ、Tier 1という区分の意味はTier 1特殊部隊とはへ進んでほしい。原型となった英国の部隊はSASの記事で扱った。この記事は米海軍のSEALsだけを掘る。
ネイビーシールズとは何か|30秒でわかる定義
SEALsは米海軍の特殊部隊で、名前はSea(海)・Air(空)・Land(陸)の頭文字に由来する。海・空・陸のどこからでも潜入し、どこでも戦えるという設計思想がそのまま部隊名になっている。上位組織は海軍特殊戦コマンド(NSWC、本部カリフォルニア州コロナド)で、2023年に公開された米海軍の調査報告書によれば、現役のSEAL隊員は約3,000名、舟艇を操る特殊戦艇要員(SWCC)が約780名、支援要員と予備役・文民を含めたNSWC全体で約10,000名である。
任務は直接行動(襲撃・破壊・要人殺害)、特殊偵察、対テロ・人質救出、非正規戦、そして海からの潜入を専門とする水中作戦。米陸軍のグリーンベレーが現地部隊の訓練を主任務とするのに対し、SEALsは「自分たちで行って、自分たちで戦う」部隊である。
起源|1943年の水中爆破隊から、1962年のケネディの命令まで

SEALsの原点は第二次世界大戦の水中爆破隊(UDT)にある。1943年、ノルマンディー上陸と太平洋の島嶼上陸に備え、上陸海岸の障害物を事前に爆破する海軍戦闘爆破部隊が編成された。彼らは水着とフィンだけで敵前の海岸に泳ぎ着き、機雷と障害物を爆破して帰る「裸の戦士」だった。1944年のサイパン、1945年の硫黄島と沖縄で、UDTは上陸の前日に海岸を調べている。
戦後、UDTは朝鮮戦争で北朝鮮の鉄道橋を爆破するなど、水際を越えて内陸に踏み込む任務を始める。そして1962年1月1日、ケネディ大統領の指示で、UDTを母体に「海・空・陸のどこでも戦える非正規戦部隊」としてSEALチーム1(西海岸)と2(東海岸)が創設された。ベトナム戦争でSEALsはメコンデルタの水路で待ち伏せと斬り込みを繰り返し、「緑の顔の男たち」としてベトコンに恐れられた。
帝国海軍の「水中の兵士」はなぜ特殊部隊にならなかったのか
私はUDTの歴史を読むたびに、同じ太平洋で戦った帝国海軍の「水中の兵士」を思い出す。1945年、帝国海軍は本土上陸に備えて「伏龍」を編成した。潜水服を着た隊員が海底で機雷を抱えて待ち、上陸用舟艇の下で自爆する特攻兵器である。人間魚雷「回天」も同じ発想だった。
米海軍のUDTと帝国海軍の伏龍は、どちらも「水中で敵の上陸に関わる兵士」であり、時期も同じ1945年だった。決定的に違ったのは、UDTが「生きて帰り、次の海岸を調べる」ことを前提に装備と訓練を組んだのに対し、伏龍は最初から帰還を想定していなかった点である。生きて帰る前提があるから技術が蓄積し、蓄積した技術が戦後のSEALsになった。SASの記事でも書いたが、特殊部隊の本質は一回の奇襲ではなく「奇襲を再現できる組織」にあり、帝国海軍の水中兵器はその入口で別の道を選んでいた。
組織|8個のSEALチームと、名前を持たない「チーム6」

現在のSEALsは、東西2つの海軍特殊戦群(NSWG)の下に8個のSEALチームを持つ。西海岸のコロナドにチーム1・3・5・7、東海岸のリトルクリークにチーム2・4・8・10である。各チームは複数の小隊(プラトーン)からなり、1個小隊は士官2名と下士官兵14名の16名、これが作戦単位となる。
これに加えて、潜水艇を運用するSEAL輸送艇チーム(SDVT)、舟艇を操るSWCC部隊、そして海軍特殊戦開発群(NSWDG、通称DEVGRU)がある。DEVGRUは1980年、イラン大使館人質救出作戦「イーグルクロー」の失敗を受けて、リチャード・マルシンコ中佐が創設した対テロ専門部隊で、当時「SEALチーム6」と名乗ったことから今もその名で呼ばれる。米陸軍のデルタフォースと並ぶ統合特殊作戦コマンド(JSOC)直轄のTier 1部隊であり、ビンラディン殺害を実行した部隊で、2026年のイラン救出作戦への関与も報じられた。ただし後者について、米中央軍の公式発表は救出部隊名を明示していない。
DEVGRUの隊員は既にSEALとして数年勤務した者から選抜され、さらに別の選抜課程を経る。SEALsのなかのSEALs、という構造は、英SASと英特殊部隊支援群の関係とも、陸自の特殊作戦群と一般部隊の関係とも異なり、「同じ部隊のなかに二層の選抜がある」点がSEALs特有である。
主要作戦|勝利と損失の両方で語られる部隊
SEALsの戦歴は、華々しい成功と重い損失が交互に並ぶ。
1983年のグレナダ侵攻では、降下した4名のSEAL隊員が海上で溺死した。1989年のパナマ侵攻では、パイティージャ飛行場襲撃で4名が戦死している。開放的な飛行場に少人数で突入するという作戦計画自体が批判された。
2005年6月、アフガニスタンのレッドウィング作戦では、4名の偵察チームがタリバンに包囲され、救援に向かったヘリコプターが撃墜されて8名のSEAL隊員を含む16名が死亡した。生還したマーカス・ラトレルの手記は映画「ローン・サバイバー」になった。2011年8月には、チヌーク輸送ヘリ「エクストーション17」がRPGで撃墜され、DEVGRU隊員を中心に米軍30名が死亡した。SEALsが一度に失った人員として最大である。
そして2026年4月、イラン領内で撃墜されたF-15E戦闘攻撃機の搭乗員が米軍に救出された。米中央軍の4月5日発表では、撃墜は4月2日、2名を別々の捜索救難任務で回収し終えたのは4月4日である。DEVGRUやCIAの関与は報道で伝えられた一方、この公式発表には部隊名や捜索時間の記載はない。戦闘中に搭乗員を帰還させる任務の重さを示す事例だが、公開されていない役割分担までSEALs単独の成果として断定することは避けたい。
2025年に露見した北朝鮮潜入作戦の失敗
ここは省けない。2025年9月、ニューヨーク・タイムズは2019年初頭にDEVGRUが北朝鮮沿岸で実施した作戦を報じた。目的は金正恩の通信を傍受する電子機器の設置で、隊員は小型潜水艇で海岸に接近した。しかし途中で接近してきた小舟に発砲し、乗っていたのは非武装の貝採り漁民だった。作戦は中止され、傍受装置は設置されず、この事実は6年間公表されなかった。
DEVGRUについては、アフガニスタンでの行動について元隊員の証言を含む調査報道が過去にもあり、指揮官が問題を黙認したとの指摘がある。英SASがアフガニスタン調査で問われているのと同じ「監督の届かない精鋭部隊」の問題を、SEALsも抱えている。私はSEALsを称賛するだけの記事にはしたくない。強い部隊ほど、外部の目が要る。
選抜と訓練|BUD/Sの脱落・再履修率68%と「地獄週間」

SEALsになるための課程は、世界で最も脱落率の高い軍事訓練の一つである。米海軍が2023年に公開した調査報告書には、めったに公表されない脱落率のデータが含まれていた。以下の訓練の流れは同報告書が対象にした時期のもので、課程や実施場所は改編される。
| 段階 | 場所 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| NSW準備課程 | イリノイ州グレートレイクス | 約8週 | 水泳・走力の基礎作り。ここで基準に達しなければBUD/Sへ進めない |
| BUD/Sオリエンテーション | コロナド | 3週 | 課程への適応 |
| BUD/S第1段階 | コロナド | 7週 | 体力と水中適性。3〜4週目に地獄週間 |
| BUD/S第2段階 | コロナド | 7週 | 戦闘潜水。閉鎖回路呼吸器と水中航法 |
| BUD/S第3段階 | サンクレメンテ島 | 7週 | 陸上戦闘・爆破・小火器 |
| 落下傘課程 | 各地 | 3週 | 自由降下を含む |
| SEAL資格訓練(SQT) | コロナド | 26週 | 小隊戦術、寒冷地、CQB、医療。修了でトライデント章 |
2023年の報告書では、基礎訓練コマンドは年間平均888名のSEAL候補者を受け入れ、175名の修了を目標としている。BUD/Sの1個クラスは平均148名で始まり、全段階の脱落・再履修率は1998年11月以降の平均で68%。地獄週間前の3週間では開始時人員に対して45%、地獄週間中は同週間に入った候補者に対して21%とされ、後者の内訳には自発的辞退15%、医療上の再履修5%がある。SQTだけの脱落・再履修率は1%未満で、これを契約時点から資格取得までの修了率に読み替えることはできない。段階によって分母が違い、再履修者には後のクラスで修了する者も含まれる。
地獄週間とは何か
BUD/S第1段階の3週目末から始まる5日半の連続訓練で、睡眠は合計約4時間。冷たい太平洋の波打ち際で丸太とゴムボートを担ぎ、砂浜を走り、体温を下げられ続ける。候補者が辞退するとき、訓練場の真鍮のベルを3回鳴らす。SEALsの選抜が英SASの選抜と根本的に違うのは、SASが単独行軍で「誰にも見られていないときに自分で決められるか」を測るのに対し、BUD/Sは徹底してボートクルー単位で「仲間が限界のときに自分が動けるか」を測る点である。海から潜入する部隊は、水中で一人になった隊員は生き残れない。
2022年の死亡事故と改革
2022年2月4日、地獄週間を修了した直後の候補生カイル・マレン(24歳)が急性肺炎で死亡した。海軍の調査は、医療監視の不備、症状を申告しにくい文化、経験の浅い教官が「後ろの集団を狩る」ように脱落を目的化していたこと、一部候補生の禁止薬物使用を指摘した。マレンのクラスでは脱落率が90%を超えていた。
改革の結果、35ポンド以上の背嚢を背負っての走行は廃止され、地獄週間までは1日最低6時間の睡眠が義務づけられ、頭上にボートを載せての走行は歩行に変わり、心臓検査と薬物検査が強化された。脱落率は歴史的な平均に戻ったとされる。私はこの改革を「訓練が甘くなった」とは見ない。生きて帰る前提で組まれた課程で候補生が死ぬなら、それは課程の設計が目的を裏切っているからだ。
応募条件と、日本の特殊部隊志望者にとっての意味
応募は米海軍の現役水兵または新規入隊者で、年齢は原則17歳から28歳、視力・泳力・体力検定(PST)の基準を満たす必要がある。PSTの最低基準は500ヤード(約457m)水泳12分30秒、腕立て伏せ2分で50回、腹筋2分で50回、懸垂10回、1.5マイル(約2.4km)走10分30秒だが、実際に修了する候補生の平均はこれを大きく上回る。2016年に女性の応募が認められたが、公開情報の範囲でBUD/Sを修了した女性はまだいない。
日本の自衛隊にSEALsと同じ課程はないが、海上自衛隊には2001年創設の特別警備隊(江田島)があり、英SBSや米SEALsを参考に海からの潜入と船舶臨検を専門としている。陸上自衛隊の特殊作戦群は米デルタフォースやSASを参考にした部隊で、入口はレンジャー課程である。どちらを志望するにせよ、前提は自衛隊の体力検定で上位に入る体力であり、8週間の準備プログラムで書いたように、入隊前に脚と心肺と水泳を作っておくことが遠回りに見えて近道になる。BUD/Sが教えるのは、筋力より先に「冷たい水のなかで動き続ける回復力」があるということで、それはタンパク質と睡眠の管理から始まる。
SEALsとSASの比較|同じ「原型」から分かれた二つの設計

SEALsは英SASを参考にしたと言われることが多いが、実際には出発点が違う。SASは砂漠の飛行場を焼く陸上の襲撃部隊から始まり、SEALsは上陸海岸を調べる水中の爆破部隊から始まった。その違いは今も組織の隅々に残っている。
| 項目 | 米海軍 SEALs | 英陸軍 SAS |
|---|---|---|
| 創設 | 1962年(母体のUDTは1943年) | 1941年 |
| 母体組織 | 海軍 | 陸軍 |
| 規模(推定) | 現役隊員約3,000名 | 正規連隊1個、各中隊約60名(非公式) |
| 基本作戦単位 | 16名小隊 | 4名パトロール |
| 選抜の重心 | ボートクルー単位、水中適性 | 単独行軍、地図読み |
| 選抜期間 | 約1年(準備課程からSQT修了まで) | 約6か月 |
| 選抜の公表値 | BUD/Sの脱落・再履修率68%(1998年以降の平均) | 合格率10%未満とされるが、集計対象は異なる |
| Tier 1部隊 | DEVGRU(SEAL内部から選抜) | 22 SAS全体がTier 1相当 |
| 主力小銃 | M4A1/Mk18、DEVGRUはHK416 | L119A2(コルト・カナダC8系) |
| 拳銃 | P226からGlock19へ | P226からGlock17/19へ |
| 特徴的な潜入手段 | 原潜と潜水艇、閉鎖回路呼吸器 | 車両、空挺、山岳 |
| 公開度 | 元隊員の手記と映画が多数 | 政府は非コメント、手記は多い |
基本作戦単位の差が最も本質的だと私は思う。SASの4名パトロールは「見つからずに数週間潜む」ための最小単位で、SEALsの16名小隊は「見つかっても撃ち勝って帰る」ための火力単位である。海から上陸した部隊は退路が海しかなく、隠れ続けるより押し切るほうが生還率が高い。選抜がボートクルー単位なのも、装備が重火力寄りなのも、すべてこの前提から導かれている。
海上自衛隊・特別警備隊|日本の「SEALs」はどこが似て、どこが違うか
海上自衛隊の特別警備隊は2001年3月、1999年の能登半島沖不審船事件を直接の契機として江田島に創設された。任務は不審船への立入検査と、海上における武装した相手への対処で、隊員は英SBSと米SEALsで訓練を受けた幹部が中心になって育成された。定員や装備は非公表だが、閉鎖回路呼吸器を使った潜水と、船舶への強行乗船を専門とすることは公表されている。
SEALsとの違いは、法的な行動範囲にある。SEALsは大統領の命令で外国領内に潜入し、要人を殺害し、施設を破壊する。特別警備隊は自衛隊法上の海上警備行動と防衛出動の枠内でしか動けず、平時に外国領内で行動する法的根拠を持たない。2026年のイラン救出作戦のような任務を海自が担う想定は、現行法にはない。装備と訓練の水準がSEALsに近づいても、任務の幅は法律が決める。日本の特殊部隊を語るとき、この点を抜きに「強さ」を比べることはできない。海自の他の部隊との関係は自衛隊の最強部隊ランキングで扱った。
装備|HK416、Mk18、そしてP226からGlock19へ

SEALsの装備は英SASと違い、比較的多くが写真と公開資料で確認できる。以下は確度の高いものに絞る。
小銃:M4A1、Mk18、HK416、SCAR
一般のSEALチームの標準小銃はM4A1カービンと、その銃身を10.3インチに詰めたMk18 Mod 1(CQBR)である。艦船の臨検や屋内戦闘では短銃身のMk18が、野外ではM4A1が使われる。M16/M4の記事で書いた系譜の、最も短い末端にMk18がある。
DEVGRUはこれとは別に、H&K製のHK416を主力としてきた。ガス圧作動のショートストロークピストンを採用したHK416は、砂と水に強く、水中から上がった直後でも作動する。ビンラディン殺害作戦で使われた小銃もHK416とされる。7.62mm弾が必要な場面ではFN SCARのMk17が使われ、5.56mm版のMk16は2010年ごろに調達が打ち切られた。M4系とAR-15の関係はAR-15とM4の違いにまとめてある。
HK416の実銃は日本では触れないが、東京マルイのHK416Dは次世代電動ガンとして完成度が高く、SEALs装備を再現するなら最初の1丁になる。
M4A1とMk18の系統を揃えるなら、同じマルイのSOPMOD M4が定番だ。
拳銃:SIG P226 Mk25からGlock19へ
SEALsは1980年代末からSIG P226(海軍名Mk25)を使ってきた。しかし2015年から2016年にかけて、より小型で軽いGlock19 Gen4への移行が始まり、現在はGlockが主力とみられる。この「P226からGlockへ」の流れは英SASとも共通で、Glock17とP226の比較で書いたとおり、軽さ・単純さ・弾倉の入手性が決め手になった。
サブマシンガン、機関銃、狙撃銃
DEVGRUは消音器付きのH&K MP7を室内制圧に使うとされ、MP5の時代は終わりつつある。分隊支援火器はMk46(5.56mm)とMk48(7.62mm)、狙撃銃は.300ウィンチェスター・マグナム弾のMk13 Mod 7と7.62mmの半自動Mk11/M110。マースク・アラバマ号で海賊を撃った狙撃手は、揺れる艦尾から約25mの距離で3発同時に命中させた。
水中装備と潜入手段
SEALsを他の特殊部隊から分けるのは水中装備である。閉鎖回路呼吸器ドレーゲルLAR Vは気泡を出さず、水面から発見されない。SEAL輸送艇(SDV)Mk11は隊員が水に浸かったまま乗る「濡れる潜水艇」で、近年は乾いた状態で移動できる乾式戦闘潜水艇(DCS)が配備されつつある。これらの潜水艇を運ぶ母艦が、オハイオ級巡航ミサイル原潜とバージニア級攻撃原潜で、艦背に乾式デッキシェルターを載せて隊員と潜水艇を海中で発進させる。2019年の北朝鮮作戦で使われたのも小型潜水艇だった。
暗視装置は4本の管を持つGPNVG-18で、視野の広さがビンラディン作戦の映像で知られるようになった。装備でわかるのは、SEALsが「海から来る」ことを徹底して守り続けている部隊だということだ。陸上作戦が中心だったアフガニスタンの20年を経ても、潜水艇と原潜の組み合わせを手放していない。
投資家の視点|SEALsの銃を作る会社
DEVGRUの主力小銃HK416を作るH&Kは、H&K AG(ユーロネクスト・パリ、ティッカーMLHK)として上場しており、外国の小火器メーカーのなかで日本の証券会社から手が届く数少ない銘柄である。ただし同社の売上の大半はドイツ連邦軍とNATO諸国向けで、米特殊部隊向けは規模としては小さい。SIGザウエルは非上場、Glockは同族企業、FNハースタルはベルギー・ワロン地域政府の所有で、いずれも投資対象にならない。米特殊作戦コマンドの装備調達は米国防予算に含まれ、投資家として追うなら米国防衛企業ランキングで扱った大手の側から見るほうが実態に近い。
本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断は自身の責任で行ってほしい。米国株と日本株を一つのアプリで扱える証券口座を持っておくと、こうした記事から企業情報へすぐ移れる。
SEALsをもっと知るための本と映像
SEALsは元隊員の手記がSAS以上に多い部隊である。ビンラディン作戦を隊員の側から書いた「ノー・イージー・デイ」、レッドウィング作戦の生還者による「ローン・サバイバー」、そしてDEVGRU創設者マルシンコの「ローグ・ウォリアー」は、部隊の三つの顔をそれぞれ伝えている。映画では「ゼロ・ダーク・サーティ」「キャプテン・フィリップス」「ローン・サバイバー」が実際の作戦を扱った。
長い手記は通勤中に耳で読むのが向いている。SEALs関連の英語原書はオーディオブック化が進んでいる。
よくある質問
ネイビーシールズは何の略か
SEALはSea・Air・Landの頭文字で、海・空・陸のどこからでも潜入して戦う部隊という意味である。正式名称は米海軍特殊戦部隊(Naval Special Warfare)で、SEALはその中核となる隊員の呼称である。
SEALチーム6とは何か
海軍特殊戦開発群(DEVGRU)の通称で、1980年に対テロ専門部隊として創設された。一般のSEALチームから選抜された隊員で構成され、米陸軍のデルタフォースと並ぶTier 1部隊である。ビンラディン殺害を実行し、2026年のイラン救出作戦への関与も報じられた。ただし米中央軍の同作戦の発表は部隊名を明示していない。
ネイビーシールズになるにはどうすればいいか
米海軍に入隊し、体力検定に合格したうえでBUD/S課程とSEAL資格訓練を修了する必要がある。外国人は原則として応募できない。日本人が同種の部隊を目指すなら、海上自衛隊の特別警備隊か陸上自衛隊の特殊作戦群が対応する。
BUD/Sの脱落率はどのくらいか
米海軍の2023年の報告書では、BUD/S全体の脱落・再履修率は平均68%、SQT単独では1%未満である。再履修を含むため、そのまま最終的な不合格率や契約時点からの修了率とは言えない。基礎訓練コマンドは年間平均888名を受け入れ、175名の修了を目標としていた。
ネイビーシールズとSASはどちらが強いか
比較できる公開情報がない。任務の重心が違い、SASは陸上の長距離偵察と対テロ、SEALsは海からの潜入と直接行動を専門とする。両者はDEVGRUとSAS対テロ部隊の間で訓練交流を続けており、互いに相手を参考にしてきた。
日本にネイビーシールズのような部隊はあるか
海上自衛隊の特別警備隊(2001年創設、江田島)が最も近い。船舶臨検と海からの潜入を専門とし、英SBSと米SEALsを参考に設計された。陸上自衛隊の特殊作戦群は陸軍系の特殊部隊である。
まとめ|「海から来て、生きて帰る」ことを80年守り続けた部隊
SEALsの本質は、1943年のUDTから変わらず「海から来て、生きて帰る」ことにある。帝国海軍の伏龍が帰還を想定しなかった同じ1945年に、UDTは生きて帰るための装備と訓練を積み上げ、それが80年後の原潜と潜水艇と閉鎖回路呼吸器につながっている。
同時に、2022年の訓練中の死と2019年の北朝鮮作戦の失敗は、生きて帰る前提が訓練と作戦の両方で崩れうることを示した。日本の特別警備隊と特殊作戦群がSEALsから学ぶべきは、選抜の過酷さや装備の選び方より、「精鋭であること」と「監督されること」を両立させる仕組みのほうかもしれない。
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出典・参考
- 米海軍「Command Investigation into the Death of Seaman Kyle Mullen」(2023年5月公開)— BUD/Sの脱落率データ、部隊規模、改革内容
- Sandboxx News「New Navy report reveals rare SEAL training attrition data」(2024年3月)— 報告書の数値要約
- Rolling Stone(2023年9月)— マレン事故後の訓練改革の具体内容
- New York Times(2025年9月5日)— 2019年北朝鮮潜入作戦の報道
- Military.com/Army Recognition(2026年4月)— イラン救出作戦の部隊関与に関する報道
- 米中央軍「U.S. Continues Strikes into Iran After Successful Rescue of F-15E Aircrew」(2026年4月5日)— 撃墜日・救出完了日・2名の回収に関する公式発表
- 米海軍特殊戦コマンド公式サイト(nsw.navy.mil)— 組織構成と応募条件
- Naval History and Heritage Command「Underwater Demolition Teams」— UDTの起源
- 各種装備の型式は報道写真・米特殊作戦コマンド予算資料・メーカー公開情報からの推定であり、公式の装備一覧は公表されていない






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