ステアーAUGとは|ブルパップ小銃の構造・性能・採用国

ステアー AUGに関わる主要な装備と運用環境
通常配置とブルパップ配置で銃の全長を比較する模型
ブルパップ配置は機関部と弾倉を引き金の後方へ置き、銃身長を保ちながら全長を短縮する

ステアーAUGとは、オーストリアのステアー社が開発し、1977年にオーストリア軍がStG 77として採用した5.56mmブルパップ小銃である。機関部と弾倉を引き金より後方へ置き、通常型小銃に近い銃身長を保ちながら全長を短くした。さらに樹脂製ストック、透明弾倉、固定式光学照準器、交換しやすい銃身、部品群を組み替えるモジュラー構造を一つの制式小銃へまとめた点に特徴がある。[SRC-01][SRC-02]

AUGの価値は、単に外見が未来的だったことではない。歩兵小銃を「木と鋼でできた一丁の完成品」から、「用途に応じて構成を変えられる兵器システム」へ早い段階で押し進めたことにある。私はAUGを、ブルパップ小銃の代表というより、現代的なモジュラー小銃を1970年代に先取りした設計と見る。

ステアー AUGの要点

この記事では、ステアーAUGの誕生、ブルパップ構造、ガス作動機構、性能A1・A3などの派生型、採用国、長所と弱点を整理する。

ステアーAUGの機関部と作動部品を示す透明模型
AUGはガスピストン、回転式ボルト、交換式銃身などをユニット化し、整備と構成変更をしやすくした
目次

ステアーAUGを一言で説明すると

ステアーAUGを一言で説明すると

ステアーAUGは、長い銃身と短い全長を両立させた5.56×45mm NATO弾使用のブルパップ式アサルトライフルである。

名称のAUGはドイツ語のArmee-Universal-Gewehrに由来し、直訳すれば「軍用万能小銃」に近い。日本では「ステアーAUG」の表記が定着しているが、社名Steyrは「シュタイヤー」に近い発音で呼ばれることもある。

基本構造は次のように要約できる。

項目内容
開発国オーストリア
開発企業ステアー社
オーストリア軍名称StG 77
採用年1977年
弾薬5.56×45mm NATO
配置ブルパップ式
作動方式ショートストローク・ガスピストン、回転式ボルト
給弾樹脂製箱型弾倉、標準30発、42発型も存在
銃身382mm、417mm、508mmなどを交換可能
全長382mm銃身で約690mm、508mm銃身で約790mm
重量仕様により約3.2〜3.6kg
特徴固定・交換式光学照準器、透明弾倉、交換銃身、樹脂製外装、モジュラー構造

上記はステアー社が現在公開するAUG A1/A3の代表値であり、軍ごとの改修型、照準器、銃身、弾倉、付属品によって数値は変わる。[SRC-02][SRC-03]

ステアーAUGが生まれた背景

ステアーAUGが生まれた背景

7.62mm小銃から5.56mm小銃への転換

第二次世界大戦後のオーストリア軍は、7.62×51mm NATO弾を使うStG 58、すなわちFN FAL系小銃を主力としていた。しかし冷戦期の歩兵装備は、より軽い弾薬を多数携行し、近距離から中距離で扱いやすい小銃へ移行しつつあった。

ステアー社は1960年代末、新しいアサルトライフルの開発を開始した。オーストリア軍は1977年にAUG A1をStG 77として制式化した。ステアー社の公式史も、開発開始を1960年代末、オーストリア軍の決定を1977年としている。[SRC-01]

ここで重要なのは、AUGが既存小銃を単に小口径化した製品ではなかった点である。配置、素材、照準器、弾倉、銃身交換、分解単位まで一新した。

未来的な外見は目的ではなく結果だった

AUGの緑色の樹脂製外装、垂直フォアグリップ、光学照準器、後方の透明弾倉はSF映画の小道具のように見えた。しかし外形の多くは、全長短縮、残弾確認、照準教育の統一、軽量化という要求をまとめた結果である。

AUGは未来を装った銃ではない。1970年代に一度だけ、未来の歩兵小銃が現在へ折り畳まれて現れたような設計である。

ブルパップ構造とは何か

ブルパップ構造とは何か

弾倉と機関部を引き金の後ろへ置く

一般的なM16、M4、AK系小銃では、引き金の前方に弾倉と機関部がある。対してブルパップ小銃は、弾倉と薬室、ボルトなどの主要機構をグリップより後方へ置く。

この配置の最大の利点は、銃身長を維持したまま全長を短縮できることだ。AUG A1は508mm銃身を備える仕様でも全長約790mmに収まる。ステアー社の382mm銃身型なら全長は約690mmである。[SRC-02]

全長が短ければ、装甲車からの乗降、建物内、森林、塹壕、狭い通路で銃口を物にぶつけにくい。長い銃身は弾丸へ十分な加速距離を与えやすく、短銃身化による初速低下を避けやすい。AUGのブルパップ配置は、カービンの取り回しと小銃の銃身長を同居させる方法だった。

重心が射手の肩へ近い

機関部と弾倉が後方へ集まるため、重量の中心は射手の肩に近づく。銃口側が軽く感じられ、片手で支えたり、狭い場所で方向を変えたりしやすい。

一方、後方が重いことは必ずしも万人に快適ではない。弾倉交換位置が脇の下に近く、通常型小銃に慣れた兵士には手順が直感的でない。伏せた姿勢では、地面と弾倉の位置関係も変わる。短さという利益を得る代わりに、操作配置の常識を作り直す必要がある。

ブルパップの弱点も抱える

ブルパップ式では、引き金と後方の撃発機構を連結する部品が必要になる。このため、構造上は通常型より引き金の感触を明瞭にしにくい。AUGは引き金の引き量でセミオートとフルオートを切り替える「プルスルー」方式を採用する仕様があり、半分まで引けば単発、さらに引き切れば連発となる。[SRC-02]

この方式は外部のセレクターレバー操作を減らせる反面、繊細な引き金操作を要求する。訓練された射手には合理的でも、精密射撃用トリガーのような明快さを求める設計ではない。私はAUGの弱点を「命中精度が低い」ことではなく、「高い命中性能を引き出す操作感が射手を選ぶ」ことだと評価する。

AUGに装着する照準器と光学機器の比較
初期型の一体式照準器からA3系のレール構成へ進み、任務別の光学機器を選べるようになった

ステアーAUGの作動方式と内部構造

ステアーAUGの作動方式と内部構造

ショートストローク・ガスピストン

AUGは発射ガスの一部を銃身上部のガス機構へ導き、ピストンの短い動きでボルトキャリアを後退させるショートストローク・ガスピストン方式を採る。ボルトは回転して薬室を閉鎖し、ステアー社は軍用A1/A3について7個のロッキングラグを持つ回転式ボルトと説明している。[SRC-02][SRC-03]

交換しやすい銃身

AUGを象徴する特徴の一つが交換銃身である。ステアー社の現行説明では、382mm、417mm、508mmの冷間鍛造銃身が示され、銃身にはガスレギュレーターと折り畳み式の銃身グリップが組み合わされる。[SRC-03]

これにより、短いカービン型、標準小銃型、長銃身型を同じ基本機関部から構成できる。理論上は一つの兵器体系で複数任務へ対応しやすい。

ただし軍隊では照準確認、摩耗管理、補給単位が絡む。モジュラー性は毎日自由に組み替えるためというより、調達と整備の選択肢を広げる仕組みである。

樹脂部品とユニット化

AUGはストック、弾倉、トリガー機構などに樹脂を広く使い、銃身やボルトなど荷重を受ける箇所には金属を使う。主要部品を大きな単位で分け、工具を多用せず主要グループへ分解できる点も特徴である。ステアー社は、部隊レベルで構成を変更しやすいと説明する。[SRC-02][SRC-03]

ステアーAUGの照準器

ステアーAUGの照準器

A1の固定式光学照準器

初期AUG A1の印象を決めたのが、キャリングハンドルと一体化した光学照準器である。ステアー社はA1を、光学照準器を統合した小銃として紹介している。[SRC-02]

1970年代の制式小銃では、機械式照準器が標準で、光学照準器は狙撃兵や一部兵種へ配られることが多かった。AUGは一般歩兵へ低倍率光学照準器を持たせる方向を早くから採った。

低倍率光学照準器は、視野を狭めすぎず照準像を素早く重ねやすい。### A3でピカティニーレールへ対応

固定式照準器は統一教育には有利だが、暗視装置、レーザー照準器、倍率の異なるスコープ、個人装備との組み合わせには制限がある。AUG A3では複数のピカティニーレールを備え、各種光学照準器、夜間照準装置、照明・照準補助装置を搭載しやすくなった。ボルトリリースも追加され、再装填操作の迅速化が図られている。[SRC-03]

AUG A3は、原型の短いブルパップ配置を保ちつつ、アクセサリー搭載面で21世紀の標準へ接続した型である。外形はAUGのままでも、運用思想は固定装備型からオープンな搭載基盤へ変わった。

ステアーAUGの性能をどう評価するか

ステアーAUGの性能をどう評価するか

取り回しは最大の強み

AUGの明確な強みは、銃身長に対する全長の短さである。508mm銃身型でも約790mm、382mm銃身型なら約690mmに収まる。[SRC-02]

市街地や車内では銃口を物へぶつけにくく、折り畳み銃床を使わず射撃可能な状態のまま全長を抑えられる。

精度は「短い銃だから低い」とは限らない

AUGは全長が短いが、銃身まで極端に短いわけではない。したがって、外見だけを見て短銃身カービンと同じと考えるのは誤りである。

ステアー社は、ブルパップ配置により銃身長を犠牲にせず全長を抑えたと説明する。[SRC-02][SRC-03] 実際の命中性能は弾薬、照準器、射手、整備状態で変わるため、単一の有効射程だけで評価すべきではない。

現在のオーストリア軍A1 MOD Nightfighterでは、上部のAimpoint Micro T2を200mまでの迅速な射撃に、3倍光学照準器をより長距離の射撃に使う構成が公表されている。2025年の公式説明では、後者による交戦距離を400mとしている。[SRC-04]

信頼性は長期運用で証明された

オーストリア軍はStG 77を1970年代から使い続け、2025年にも4,000丁のA1 MOD Nightfighterを部隊へ配備する近代化を進めた。公式発表はStG 77を標準装備と位置づけ、簡潔性、信頼性、実用性を評価している。[SRC-04]

長期採用は性能だけでなく、整備基盤、予備部品、教育、改修費にも左右される。私は「長く使われたから最強」とは考えないが、早期退役せず近代化が続いたことは強い実績と見る。

左利き対応は可能だが完全両利きではない

AUGは左右に排莢口を持ち、ボルトなどを変更することで左側排莢へ組み替えられる。ステアー社もA1について右排莢から左排莢へ変更可能としている。[SRC-02]

ただし、その場で肩を入れ替える完全両利き銃ではない。原型AUGは排莢方向を射手に合わせて事前設定する思想である。

2025年のオーストリア軍A1 MOD Nightfighterでは、排莢口後方のケースディフレクターにより左肩射撃へ対応する改修が公表された。[SRC-04] これは原設計の弱点を、全面更新ではなく追加部品で緩和した例である。

AUG A1からA3系までの銃身とレシーバー構成
AUG各型は基本配置を維持しながら、レール、銃身、照準器、操作部を段階的に更新している

AUG A1・A2・A3の違い

AUG A1・A2・A3の違い

AUG A1

A1は原型の性格を最もよく残す型である。固定式光学照準器を組み込んだキャリングハンドル、樹脂製ストック、透明弾倉、交換銃身、プルスルー式トリガーが代表的特徴となる。[SRC-02]

オーストリア軍のStG 77、アイルランド軍が1988年に導入したAUG A1など、各国の初期採用型はA1を基礎とした。[SRC-06]

AUG A2

A2はA1からA3へ移る更新系統として語られるが、契約国や市場で名称の範囲が一定しない。A1の統合照準器から、交換式照準器・レール搭載へ移る過渡期の系列と捉えるのが安全である。

AUG A3

A3はピカティニーレール、アクセサリー搭載、ボルトリリースなどを取り込み、現代の照準・夜戦装備へ対応した系列である。ステアー社はA3を、工具を使わず部隊レベルで構成変更しやすいモジュラー兵器システムとして説明する。[SRC-03]

A3には標準的な5.56mm型、特殊部隊向けのA3 SF、9×19mm弾を使うA3 9mmなどが用意される。旧来のAUGらしい光学キャリングハンドルを組み合わせる構成も残されている。[SRC-03]

長銃身型・9mm型

AUG系列には長銃身の支援火器型や9mm短機関銃型もある。一つの基本構造から複数任務を派生させる「Universal」の思想を示すが、支援火器型がベルト給弾機関銃を完全に代替するわけではない。

各国独自型のAUG

各国独自型のAUG

オーストリアのStG 77 A1 MOD Nightfighter

本家オーストリアでは、StG 77を全面退役させるのではなく、照準器、レール、排莢対策、操作部、表面処理を更新している。

2025年4月、オーストリア軍はStG 77 A1 MOD Nightfighterを第3猟兵旅団へ引き渡した。4個の陸軍旅団、近衛部隊、教育機関などへ合計4,000丁を配備する計画で、改修費は1,070万ユーロと公表された。Aimpoint Micro T2、3倍照準器、レーザー・ライト用レール、改良チャージングハンドル、ボルトストップ、ケースディフレクター、暗視装置から目立ちにくい表面処理などが盛り込まれている。[SRC-04]

これはAUGが現代化できることの証拠であると同時に、原型のままでは現代の夜戦装備へ十分対応できないことの裏返しでもある。

オーストラリアのF88 AusteyrとEF88

オーストラリアはAUGをF88 Austeyrとして国内生産・改良した代表国である。F88A2は2009年から2016年まで標準戦闘小銃として使われ、2016年にEnhanced F88へ置き換えられたが、旧F88も一部部隊に残ると豪陸軍は説明している。[SRC-09]

現在のEF88はAUGの基本配置を維持しながら、軽量化、操作性、バランス、アクセサリー搭載能力を改善した型である。豪陸軍の公表値は、空重量3.25kg、全長802mm、銃身長508mm、30発弾倉、発射速度毎分850発となっている。[SRC-05]

アイルランドのAUG Mod 14

アイルランド国防軍は1988年にAUG A1を導入した。2014年から近代化を始め、上部へ長いピカティニーレールを追加し、4倍ACOG照準器、レーザー・ライト、暗視・熱画像照準器などを搭載可能にしたMod 14を運用している。[SRC-06]

アイルランド軍の公式説明では、歩兵分隊の各兵士がSteyr AUG Mod 14を装備する。AUGが現在も儀礼的に残っているのではなく、分隊の標準小銃として位置づけられていることが分かる。[SRC-06]

ステアーAUGの採用国

AUGは世界各地の軍・警察・特殊部隊へ広がった。ただし「その国でAUGが確認された」ことと、「全軍の標準小銃である」ことは同じではない。少数部隊、警察、特殊部隊、旧式在庫、ライセンス生産型まで一括すると、採用国数は大きく見える。

国・地域主な名称・型位置づけ(2026年8月時点)
オーストリアStG 77、StG 77 A1 MOD現役標準小銃。Nightfighter改修を継続 [SRC-04]
オーストラリアF88 Austeyr、EF88EF88が現役。F88A2も一部部隊に残存 [SRC-05][SRC-09]
アイルランドAUG A1、AUG Mod 14現役標準小銃として運用 [SRC-06]
ニュージーランドSteyr 5.56mm rifle旧標準小銃。MARS-Lへ交代し、現在の主装備ではない [SRC-07][SRC-08]
ルクセンブルクSteyr系小銃1995年から使用したが、2020年代にH&K系へ更新が進行 [SRC-10]
マレーシアAUG A1系、AUG A3旧主力として使用。2026年には射撃チーム向けAUG A3導入が報じられたが、全軍標準への復帰ではない [SRC-11]

ニュージーランドはなぜAUGを退役させたのか

ニュージーランドは1980年代後半からSteyr 5.56mm rifleを使ったが、2015年にLMT製MARS-Lへの更新を決定し、2017年から新小銃を導入した。政府発表では、調整可能な装備構成、昼夜照準器、サプレッサー、グレネードランチャーなどを含むシステム全体として更新したことが強調されている。[SRC-07]

現在のNZDFはMARS-Lを全軍種の主力個人火器と位置づけている。[SRC-08] これはAUGの信頼性の突然の喪失というより、調整式銃床やアクセサリー統合を含む新システムへの更新である。

輸送・降雨・低温条件を想定した装備ケースの試験
軍用小銃は射撃性能だけでなく、輸送、降雨、低温、砂塵の環境で機能を保てるかが評価される

なぜステアーAUGは採用されたのか

短さと銃身長の両立

最大の理由はブルパップ配置である。標準的な長さの銃身を維持しながら、全長を短くできる。車両、森林、市街地、空挺、警備など幅広い任務に一丁で対応しやすい。

光学照準器を標準化した

AUGは早期から光学照準器を標準装備に組み込んだ。機械式照準器だけを前提とした小銃より、照準像を統一しやすく、一般兵へ光学照準を普及させる先進性があった。

モジュラー構造と整備性

交換銃身、ユニット化された主要部品、樹脂製外装、異なる照準器や弾倉仕様への対応は、調達側にとって魅力だった。兵士一人の利便性だけでなく、同じ基礎設計を複数役割へ展開できるためである。

国家産業との結びつき

オーストリアでは国内メーカーの制式小銃であり、オーストラリアではAusteyrとして国内生産・改良された。小銃採用は性能比較だけでなく、国内雇用、技術移転、補給自立、改修能力に関わる。AUGが長期間残った背景には、兵器と産業基盤が一体化した国がある。

なぜブルパップ小銃は世界標準にならなかったのか

AUG、FAMAS、L85、Tavor、QBZ-95など、ブルパップ式は複数国で主力小銃になった。それでも世界全体では、M4/AR系、AK系、G36、HK416、SCARのような通常配置が多数派である。

理由は、ブルパップが失敗作だからではない。短さの利益と引き換えに、操作系、排莢、引き金、弾倉交換、銃床長の調整へ制約が生じるからだ。

通常配置のカービンも、短銃身と伸縮銃床で全長を縮められる。さらに現代軍では防弾装備や体格に合わせた銃床長調整が重視され、固定長のブルパップは適応面で不利になりやすい。

私はここにAUGの歴史的な逆説を見る。AUGが示した光学照準、樹脂、モジュラー化、短い全長という未来は世界標準になったが、その未来を一つにまとめたブルパップ配置そのものは標準にならなかった。

詳しくはFAMASの構造とフランス軍での運用を参照したい。

詳しくはQBZ-95と中国独自のブルパップ思想を参照したい。

詳しくは歴史的アサルトライフルの比較を参照したい。

ステアーAUGは現在でも通用するのか

結論からいえば、近代化されたAUGは現在でも実用になる。ただし、1977年型をそのまま現代の第一線へ持ち込めば十分という意味ではない。

A3、オーストリアのA1 MOD Nightfighter、オーストラリアのEF88、アイルランドのMod 14は、レール、光学照準器、夜戦装備、操作性、排莢対策を更新している。[SRC-03][SRC-04][SRC-05][SRC-06] これらはAUGの基本配置が生き残った例だが、同時に現代化なしでは不足があることも示す。

現在の評価軸では、次のようになる。

評価項目評価
全長の短さ非常に優秀。長銃身と両立しやすい
基本信頼性長期採用実績があり高い
命中性能銃身長と光学照準器の面で有利。ただし仕様・弾薬・射手に依存
モジュラー性原設計として先進的。A3や各国改修で現代化可能
左右両用性組み替え可能だが、原型は即時の肩替えに弱い
トリガーブルパップ特有の妥協がある
弾倉交換通常配置と異なり、慣れを要する
装備適応A1原型は不足。A3・MOD・EF88では改善
将来性改修余地はあるが、固定銃床と後方排莢の制約は残る

AUGは古い銃か、新しい銃か。この問いには「基本設計は古いが、設計思想はまだ新しい」と答えるのが最も近い。

よくある質問

ステアーAUGのAUGは何の略か

Armee-Universal-Gewehrの略で、「軍用万能小銃」「軍用汎用小銃」に近い意味である。交換銃身や複数構成を前提とした名称である。

ステアーAUGは世界初のブルパップ小銃か

世界初ではない。ブルパップ配置の試作・制式候補はAUG以前にも存在した。ただしAUGは、ブルパップ、樹脂部品、光学照準器、透明弾倉、交換銃身を組み合わせ、大規模かつ長期の制式運用に成功した初期の代表例である。

AUG A1とA3の最大の違いは何か

A1は統合光学照準器と原型の外形を特徴とする。A3はピカティニーレール、各種照準・夜戦装備、ボルトリリースなどを取り込み、アクセサリー搭載と任務別構成を重視する。[SRC-02][SRC-03]

左利きでも使えるのか

左排莢用の構成へ変更できる。ただし原型は、右排莢設定のまま左右の肩を即座に切り替える用途には向かない。オーストリアのA1 MOD Nightfighterではケースディフレクターが追加された。[SRC-02][SRC-04]

透明弾倉の利点は何か

外から残弾の概数を確認しやすいことである。AUGには独自弾倉だけでなく、NATO規格弾倉へ対応するストック構成も用意される。[SRC-02][SRC-03]

オーストリア軍は今もAUGを使っているのか

使っている。StG 77はオーストリア軍の標準小銃であり、2025年には4,000丁のA1 MOD Nightfighterを各部隊へ配備する近代化が発表された。[SRC-04]

オーストラリアのEF88はAUGと同じか

AUGを基礎とするAusteyr系列だが、単純な同一品ではない。EF88はオーストラリアの運用経験を反映し、軽量化、操作性、バランス、装備搭載能力を改めた発展型である。[SRC-05]

ニュージーランドは現在もAUGを使っているのか

標準装備としては使っていない。MARS-Lへ更新され、現在NZDFはMARS-Lを全軍種の主力個人火器としている。[SRC-07][SRC-08]

まとめ

ステアーAUGは、1977年にオーストリア軍がStG 77として採用した5.56mmブルパップ小銃である。短い全長、長い銃身、光学照準器、透明弾倉、樹脂製外装、交換銃身、ユニット化された構造を一つにまとめ、現代小銃の方向性を早い段階で示した。[SRC-01][SRC-02]

最大の長所は、銃身長を保ちながら全長を短縮できることにある。反面、引き金の感触、弾倉交換位置、排莢方向、固定的な銃床長にはブルパップ特有の妥協がある。

それでもAUGは消えなかった。オーストリアはA1 MOD Nightfighterへ、オーストラリアはEF88へ、アイルランドはMod 14へ更新し、原型の骨格を現代装備へ接続している。[SRC-04][SRC-05][SRC-06]

AUGの本当の功績は、すべての軍にブルパップを選ばせたことではない。光学照準器、樹脂、モジュラー化、短い兵器システムという考え方を、歩兵小銃の標準語へ変えたことである。AUGは「未来的な古銃」ではなく、未来の一部を先に実用化し、その代償まで半世紀かけて見せ続けている小銃である。

参考資料

  • [SRC-01] STEYR ARMS, “STG 77 – BIRTH OF AN ICON”/公式沿革。1960年代末の開発開始、1977年のオーストリア軍採用。
  • [<span class="swl-marker mark_green">SRC-02</span>] STEYR ARMS, “<span class="swl-marker mark_blue">AUG</span> <span class="swl-marker mark_blue">A1</span>”/A1の作動方式、寸法、重量、銃身、弾倉、トリガー、左右排莢、モジュラー構造。
  • [<span class="swl-marker mark_yellow">SRC-03</span>] STEYR ARMS, “<span class="swl-marker mark_blue">AUG</span> A3”/A3のレール、ボルトリリース、各仕様、寸法、A3 SF・9mm型。
  • [<span class="swl-marker mark_green">SRC-04</span>] Austrian Armed Forces, “Neue Sturmgewehre für die 3. Jägerbrigade”, 2025-04-10/StG 77 <span class="swl-marker mark_blue">A1</span> <span class="swl-marker mark_orange">MOD</span> Nightfighter、4,000丁、改修内容、費用。
  • [SRC-05] Australian Army, “Enhanced F88”/EF88の現役位置づけ、寸法、重量、銃身長、弾倉、発射速度。
  • [<span class="swl-marker mark_orange">SRC-06</span>] Irish Defence Forces, “Platoon Level Weapons”/1988年導入、<span class="swl-marker mark_blue">AUG</span> Mod 14、歩兵分隊での現役運用、改修内容。
  • [SRC-07] New Zealand Government, “New rifles for Defence Force”, 2015-12-08、および“New era for New Zealand Defence Force”, 2017-12-08/MARS-L採用とSteyr更新。
  • [SRC-08] New Zealand Defence Force, “Modular Assault Rifle System – Light (MARS-L)”/MARS-Lが全軍種の主力個人火器であること。
  • [SRC-09] Australian Army, “F88 Austeyr”/F88A2の標準装備期間、EF88への交代、一部部隊での残存。
  • [SRC-10] RTL Infos Luxembourg, 2023-10-30/ルクセンブルク軍のSteyr系からH&amp;K系への更新。現役移行期の補助資料。
  • [SRC-11] Malaysian Defence, 2026-04-25/マレーシア軍射撃チーム向け<span class="swl-marker mark_blue">AUG</span> A3導入。全軍標準装備とは区別する補助資料。

確認に使った公式資料は、以下のリンクから原文を確認できます。

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