第二次世界大戦の日本の戦艦・空母【完全一覧】――大和から赤城まで“最強”論と実戦のリアルを徹底解説
第1章|導入――砲か、航空隊か。「最強」を決めるのは誰だ
夜明け前の甲板に立つと、聞こえてくるのは二つの“時代の音”。
ひとつは46cm砲の重低音――大和型に象徴される戦艦の咆哮。もうひとつは艦上戦闘機のエンジン音――空母が生んだ機動部隊の鼓動。
**第二次世界大戦(太平洋戦争)の日本海軍は、この二つの音の間で揺れ動きました。では、「最強」とは火力か、航空戦力か、それとも運用と補給の総合力か。この記事は、大日本帝国海軍の戦艦・空母の“一覧”**を軸に、その問いへ読者と一緒に近づいていくための地図です。
本記事のねらい(サクッと要点)
- 日本の戦艦・空母をクラス別に一望できる“実用的な一覧”。
- 「正規空母/軽空母/護衛空母/航空戦艦」など用語の違いを短く整理。
- 各艦の詳細は深掘りせず、個別記事(例:大和・赤城・瑞鶴・信濃 など)へ誘導。
- 編集部コメントで、活躍の実相(戦果だけでなく運用・補給・時期の要素)を補足。
- プラモデル入門の視点(スケールや資料の多さ)も少しだけ触れます。
編集部コメント:
太平洋戦争前半は空母機動部隊が主役、後半は制空権と補給線の差が勝敗を決めました。「大口径砲=最強」という発想はロマンですが、実戦では索敵・早期警戒・航空優勢が“勝てる強さ”でした。
第2章|用語整理――「戦艦」と「空母」の違いを3分で把握
まずは言葉の定義をそろえておくと、一覧がグッと読みやすくなります。ここでの整理は、第二次世界大戦(太平洋戦争)期の日本海軍を前提にした、実用的なミニ辞典です。
戦艦(せんかん)とは
- 主役の武器:大口径主砲(例:35.6cm~46cm)。
- 役割:艦隊決戦・砲撃戦・対地砲撃。厚い装甲と長射程砲で殴り合う“海の要塞”。
- 強み:一撃の破壊力、打たれ強さ、長時間の砲戦継続力。
- 弱み:航空攻撃・潜水艦に脆い。索敵と制空権がないと“見えない敵”に先手を取られがち。
- 編集部コメント:
「最強」=砲口径という考え方はロマンとして魅力十分。ただし実戦では航空優勢が取れなければ、その大砲を活かす舞台に立てません。ここがWikipediaでは伝わりにくい“運用のリアル”です。
空母(くうぼ)とは
- 主役の武器:艦載機(戦闘機・攻撃機・偵察機)。空母自体の砲は補助的。
- 役割:航空打撃・索敵・制空権確保・艦隊/上陸作戦の支援。
- 強み:攻撃半径が広い(航空隊の行動半径)、先手必勝の組み立てが可能。
- 弱み:被弾に弱く(特に飛行甲板・格納庫)、消火・被害管制の訓練や装甲設計で差が出る。
空母の区分
- 正規空母:はじめから航空母艦として設計されたか、艦隊主力運用を前提に大規模な搭載機数・速力・整備能力を備える。日本海軍の主力はここ。
- 軽空母:正規空母より小型・搭載機数少なめ。速力は高いものもあるが、随伴・補助・代替の意味合いが強い。
- 護衛空母:商船などからの改造艦が多く、低速・搭載機数少。船団護衛・対潜哨戒・航空隊輸送など後方任務が中心。
- 航空戦艦:戦艦に飛行甲板や水上機運用機能を加えたハイブリッド。**“戦艦+軽い航空能力”**であり、空母の代替にはなりにくい。
- 編集部コメント:
末期の日本軍は資源・工期の制約から改造艦(軽空母・護衛空母・航空戦艦)に活路を求めました。**数は増えても“質の差(レーダー・搭乗員訓練・被害管制)”**が縮まらなかったのが痛恨点です。
- 編集部コメント:
「性能」指標の見方(初心者むけ速習)
- 排水量:艦の“体格”。大きいほど搭載力・安定性は上がるが、建造・運用コストも増。
- 速力(ノット):機動力と艦隊運用の要。空母は風上に向けて発艦するため、速力は発着艦回数=火力に直結。
- 航続距離:補給なしで走れる距離。太平洋戦争では補給線の維持が勝敗を分けた。
- 装甲厚:被弾への耐性。戦艦は舷側・甲板とも厚い。空母は格納庫・飛行甲板の設計思想(装甲/非装甲)で生存性が大きく変わる。
- 主砲口径/門数(戦艦):一斉射の“火柱”の量。命中率は射撃指揮・レーダー・練度次第。
- 搭載機数(空母):単純な台数より「出せる回数」(発着艦テンポ、整備効率、燃弾補給)が戦力。
- レーダー・通信:索敵・迎撃・被害管制の“目と神経”。有無と質で戦い方の幅が激変。
編集部コメント:
“スペック表”の数字は、練度・索敵・天候・整備で簡単に覆ります。一覧を読むときは「いつ・どこで・誰と戦ったか」を頭に置くと活躍の評価がブレません。
「正規空母・軽空母・護衛空母・航空戦艦」早見表
区分 | 主な任務 | 速力の目安 | 搭載機数の目安 | 強み | 弱み |
---|---|---|---|---|---|
正規空母 | 機動部隊の中核、攻勢 | 高速 | 多い | 打撃力・回転力 | 被弾に弱い、整備負荷大 |
軽空母 | 補助・穴埋め・訓練 | 中~高速 | 中 | 小回り・建造が比較的容易 | 継戦力・防御が弱い |
護衛空母 | 船団護衛・対潜・輸送 | 低速 | 少 | 対潜・護衛でコスパ良 | 前線打撃には不向き |
航空戦艦 | 対空・対地・偵察補助 | 戦艦並 | 少(主に水上機) | 砲戦+限定的航空力 | どちらも中途半端になりがち |
ここまでのまとめ(“最強”の定義を先に決める)
- 砲戦中心なら戦艦、先手を取る打撃戦なら空母。
- 太平洋戦争の現実では、制空権と索敵を押さえた側が“最強”に近づいた。
- 末期の日本海軍は資源・人材・レーダー面の質的ギャップに苦しみ、活躍の舞台を作れなかった。
編集部コメント:
検索キーワードで多い「最強 戦艦」「日本軍 空母 性能」に答えるなら、戦況によって異なるが真相です。
一覧で全体像を掴んだら、個別記事で「その艦が活躍できた/できなかった環境」をチェック――これが“沼”への最短ルートです。
第3章|日本の戦艦一覧――「いつ・どこ・どう沈んだ?+代表的な戦果」がすぐわかる

大和型(Yamato-class)
- 大和(就役:1941年)
戦果(例):**レイテ沖・サマール沖海戦(1944年10月)**の砲戦に参加し、Taffy 3(米護衛空母群)を圧迫。※確実な撃沈戦果は確認されていませんが、戦場の主力として存在感を示しました。海軍歴史センター+1
最期:1945年4月7日、沖縄北方・東シナ海で米機動部隊の大規模空襲により沈没(天一号作戦)。海軍歴史センター+1 - 武蔵(就役:1942年)
戦果(例):シブヤン海(1944年10月24日)で米機動部隊の大規模攻撃を長時間引き付け、多数の出撃を吸収。※直接的な撃沈戦果は乏しい一方、作戦上の“盾”として機能。海軍歴史センター+1
最期:同日、推定19本の魚雷+17発の爆弾命中で沈没。海軍歴史センター
編集部コメント:
“最強の戦艦”と称される二隻でも、制空権がなければ「強さを発揮する舞台」自体が成立しません。ここが数値の性能と勝てる強さの分水嶺。
長門型(Nagato-class)
- 長門(就役:1920年)
戦果(例):サマール沖海戦で砲戦に参加(護衛空母群へ圧力)。※確実な撃沈確認はなし。戦後はビキニ環礁核実験の標的艦に。海軍歴史センター
最期:1946年7月29日、ビキニ環礁で沈没。 - 陸奥(就役:1921年)
戦果(例):訓練・本土防備中心で顕著な戦果は少ない。
最期:1943年6月8日、柱島泊地で弾薬庫爆発により沈没。海軍歴史センター
編集部コメント:
長門は「最後まで生き残った日本の戦艦」として核時代の扉を開けてしまった――歴史の皮肉です。
伊勢型(Ise-class)
- 伊勢(就役:1917年)
戦果(例):航空戦艦化後、捷一号作戦では囮部隊に編入。直接の撃沈戦果は少ないが、艦隊誘引と生残の任務に従事。海軍歴史センター
最期:1945年7月28日、**瀬戸内海(呉周辺)**空襲で沈座。 - 日向(就役:1918年)
戦果(例):**北方部隊(囮)**参加のほか、1945年2月の「北号作戦(Operation Kita)」で南方から戦略物資を本土へ輸送し成功(作戦上の“戦果”)。ウィキペディア
最期:1945年7月、呉空襲で沈没。ウィキペディア
編集部コメント:
航空戦艦は「万能」に見えますが、搭乗員・レーダー・発着艦回転率という質の差は埋め難かった。末期は輸送・囮が主戦場でした。
扶桑型(Fusō-class)
- 扶桑(就役:1915年)
戦果(例):南方方面での護衛・支援中心。**スリガオ海峡(1944年10月25日)**では米艦隊の待ち伏せに遭い、有意な戦果を挙げられず沈没。海軍歴史センター
最期:同上、スリガオ海峡で沈没。海軍歴史センター - 山城(就役:1917年)
戦果(例):同じくスリガオ海峡で奮戦するも、旧式火器+レーダー劣勢の現実に屈し戦果は限定的。USNI News
最期:同上、スリガオ海峡で沈没。海軍歴史センター
編集部コメント:
**“最後の戦列艦決戦”**と呼ばれるスリガオ海峡は、夜間レーダー射撃に主導権を握られた象徴的な戦い。最強=大口径砲の時代が終わった瞬間です。
金剛型(Kongō-class)※改装後“高速戦艦”運用
- 金剛(就役:1913年)
戦果(例):1942年10月13–14日、金剛/榛名のヘンダーソン飛行場への夜間艦砲射撃で滑走路・燃料庫を破壊、数十機を地上撃破(ガダルカナル島)。abmc.gov+2USNI News+2
最期:1944年11月21日、台湾海峡で米潜水艦シーライオンの雷撃により沈没(日本戦艦で唯一、潜水艦による喪失)。USNI News - 比叡(就役:1914年)
戦果(例):第一次ガダルカナル海戦(1942年11月13日)の夜戦で米艦隊に大損害を与える乱戦の一翼(米側は巡洋艦・駆逐艦多数損失)。海軍歴史センター
最期:同日~翌日にかけサボ島北方で損傷甚大ののち自沈処置。 - 霧島(就役:1915年)
戦果(例):第二次ガダルカナル海戦(11月15日未明)で米戦艦サウスダコタに損害を与えるも、ワシントンのレーダー射撃で撃沈。海軍歴史センター+1
最期:アイアンボトム・サウンドで沈没。 - 榛名(就役:1915年)
戦果(例):金剛とともにヘンダーソン飛行場を猛砲撃(数十機撃破・施設破壊)。その後は機動部隊随伴・護衛で活躍。abmc.gov+1
最期:1945年7月28日、呉軍港空襲で沈没。
編集部コメント:
“速さは火力”――空母の発着艦テンポに合わせられる高速戦艦は、太平洋戦争の“最適解”の一つでした。とくにヘンダーソン飛行場砲撃は、戦艦の火力が航空戦の主役(制空)に直接干渉できた希少な成功例です。
第4章|日本の空母一覧(正規空母・軽空母・護衛空母)――「就役年・代表的な戦果・最期」を一気見

正規空母(艦隊型/主力運用)
- 赤城(就役:1927年/改装空母)
戦果:真珠湾攻撃の基幹(機動部隊旗艦)。インド洋作戦でも英艦隊を圧迫。
最期:1942年6月5日、ミッドウェー海戦で被弾後に自沈処分(ミッドウェー沖)。 NOAA Ocean Exploration+1 - 加賀(就役:1928年/改装空母)
戦果:真珠湾・セイロン空襲に参加。
最期:1942年6月4~5日、ミッドウェー海戦で致命傷、翌日自沈(パパハナウモクアケア海域)。 NOAA Ocean Exploration+1 - 蒼龍(就役:1937年)
戦果:真珠湾の第一波に参加。
最期:1942年6月4日、ミッドウェーで被弾・喪失。 ウィキペディア+1 - 飛龍(就役:1939年)
戦果:ミッドウェーでヨークタウンへ2度の反撃を成功させ大破させる。
最期:1942年6月5日、ミッドウェーで被弾後に沈没。 海軍歴史センター - 翔鶴(就役:1941年)
戦果:珊瑚海海戦で米空母(レキシントン撃沈・ヨークタウン大破に寄与)など一連の空母戦で主力。
最期:1944年6月19日、マリアナ沖海戦で米潜水艦カヴァラの雷撃により沈没(12°N/137°46′E)。 海軍歴史センター+2ウィキペディア+2 - 瑞鶴(就役:1941年)
戦果:真珠湾・珊瑚海・南太平洋海戦(サンタクルーズ)でホーネット撃沈戦に関与。
最期:1944年10月25日、エンガノ岬沖で撃沈(囮の北方部隊)。 海軍研究所+1 - 大鳳(就役:1944年/装甲飛行甲板)
戦果:デビュー直後から機動部隊旗艦。
最期:1944年6月19日、マリアナ沖で米潜水艦アルバコアの魚雷1本起因のガス爆発で沈没。 海軍歴史センター+1 - 雲龍(就役:1944年)
戦果:初陣はルソン方面増援輸送(途中で撃沈)。
最期:1944年12月19日、米潜水艦レッドフィッシュ雷撃で東シナ海に沈む。 Combined Fleet+1 - 天城(就役:1944年/雲龍型)
戦果:本土内海での防空・練成中心。
最期:1945年7月24–28日の呉空襲で損傷・転覆、戦後引き揚げ解体。 ウィキペディア - 葛城(就役:1944年/雲龍型)
戦果:末期は本土で航空隊輸送・練成。
戦後:復員船として使用後、解体。 ウィキペディア+1 - 信濃(就役:1944年11月19日/大和型改造)
戦果:なし(回航途上)。
最期:就役10日後の1944年11月29日、米潜水艦アーチャーフィッシュに撃沈(房総沖~伊豆沖)。 ウィキペディア+1 - 隼鷹(就役:1942年/改装空母)
戦果:アリューシャン作戦・南太平洋海戦などで航空打撃に加わる。
最期:終戦まで残存(大破着底、戦後解体)。 Combined Fleet - 飛鷹(就役:1942年/改装空母)
戦果:ガダルカナル方面などで運用。
最期:1944年6月20日、マリアナ沖海戦で空襲→ガソリン爆発により沈没。 ウィキペディア+1
編集部コメント:
「最強の名に相応しいのはどれ?」という検索が多いですが、実戦では制空権・探知(レーダー)・被害管制の総合力がモノを言います。翔鶴型のしぶとさと、大鳳の“設計思想と運用のズレ”は象徴的でした。
軽空母(小型・補助・改装主体)
- 鳳翔(就役:1922年)
戦果:世界初級の**“実用空母”**として早期の空母運用を確立。戦時は訓練・補助中心。
最期:終戦まで残存、戦後解体。 ウィキペディア - 龍驤(就役:1933年)
戦果:**東ソロモン海戦(1942年8月24日)**で進出・ヘンダーソン野砲撃支援の撹乱を担うも、反撃で沈没。 海軍歴史センター+1 - 祥鳳(就役:1942年)
戦果:珊瑚海海戦(5月7日)で米空母機の集中攻撃を受け開戦後初の日本空母喪失。 海軍歴史センター - 瑞鳳(就役:1940年/改装)
戦果:南太平洋海戦・マリアナ沖・エンガノ岬に参加。
最期:1944年10月25日、エンガノ岬沖で沈没。 ウィキペディア+1 - 千歳/千代田(就役:1943–44年/水母改装)
戦果:索敵・補助任務、末期は囮部隊。
最期:両艦とも1944年10月25日、エンガノ岬沖で沈没。 ウィキペディア+1 - 龍鳳(就役:1942年/改装)
戦果:航空隊輸送・訓練中心。
最期:終戦まで残存。 ※被爆損傷あり(別記事で)。 〔参考:一般概説〕
編集部コメント:
軽空母は「台数=強さ」に見えますが、要は発着艦の回転率と熟練搭乗員。末期は航空隊の質がボトルネックでした。
護衛空母(船団護衛・輸送・対潜)
- 大鷹(たいよう)(就役:1942年/客船改装)
戦果:航空機輸送・船団護衛。
最期:1944年8月18日、米潜水艦ラッシャー雷撃で沈没(ルソン沖)。 - 雲鷹(うんよう)(就役:1942年)
戦果:空輸・護衛任務。
最期:1944年9月16日、米潜水艦バーブ雷撃で沈没(南シナ海)。 - 冲鷹(ちゅうよう)(就役:1942年)
戦果:空輸・訓練。
最期:1943年12月4日、米潜水艦セイルフィッシュ雷撃で沈没(八丈島南方)。 - 神鷹(しんよう)(就役:1943年/独客船「シャルンホルスト」改装)
戦果:対潜・護衛。
最期:1944年11月17日、米潜水艦スペードフィッシュ雷撃で東シナ海に沈没。 - 海鷹(かいよう)(就役:1943年)
戦果:航空輸送・訓練・対潜哨戒。
最期:終戦まで残存(戦後スクラップ)。 - しまね丸(特設護衛空母)
戦果:未実戦配備。
最期:1945年7月24日、四国・志度湾空襲で沈没(建造改装艦)。
編集部コメント:
護衛空母の“戦果”は船団を無事に届けたかで測るのがスジ。対潜航空戦は地味でも、輸送=戦略の真骨頂です。
第5章|「最強」は“数字の足し算”では決まらない——レーダー・練度・補給で見る勝敗の物差し
結論先取り:第二次世界大戦(太平洋戦争)で「最強の戦艦/空母を決める鍵」は、性能(砲・装甲・速力・搭載機数)の単純比較ではなく、
①見つける力(索敵・レーダー) ②殴り続ける力(発着艦の回転率と整備) ③失わない力(被害管制) ④続ける力(燃料・弾薬・搭乗員の補充)の総合点です。
1) 見つける力:索敵とレーダーは“最初の一撃”を決める
- 空母機動部隊の主戦場は、互いが見えない距離。先に接敵(発見)できた側が**先手(先制攻撃)**を取りやすい。
- 日本海軍(大日本帝国海軍)は目視・偵察機に依存しがちで、レーダーと**戦闘機の誘導(ファイター・ディレクション)**が弱点。
- 米海軍は早期に警戒レーダー+迎撃の管制をシステム化し、戦闘機(CAP)の迎撃効率を高めた。
編集部コメント:
「最強の空母」も、敵が先に自分を見つければ**“最強の的”。索敵はロマンではなく勝敗のスイッチ**です。
2) 殴り続ける力:発着艦の回転率=空母の“実戦火力”
- 搭載機数より大事なのは、1日あたり何波出せるか(ソーティ生成力)。
- 回転率を上げる要素:
- 甲板運用(甲板での燃料・武装取扱い動線)
- 整備体制(エレベーター位置、予備部品、整備員の熟練)
- 風上運用に合わせた空母・随伴艦の速力
- 日本軍は序盤こそ練度の高さで押したが、消耗戦で熟練搭乗員の再生産が追いつかず、**“台数はあっても回らない”**状況に。
編集部コメント:
実戦の“火力”は甲板の仕事量で決まります。戦艦に置き換えるなら「装填速度+観測精度」に近い感覚。
3) 失わない力:被害管制(ダメコン)は“第二の装甲”

- 空母の弱点は格納庫・燃料配管・弾薬庫。被弾時に延焼・爆発をどう抑えるかが生死を分ける。
- 訓練・区画構造・消火資材・換気設計が良い艦は、致命傷を避けやすい。
- 日本軍は消火・排煙・ガス管理の思想と訓練が後手となりがちで、単発の被害が壊滅的打撃に発展する例が目立った。
編集部コメント:
被害管制は“見えないスペック”。実戦の生存率を左右する核心です。
4) 続ける力:燃料・弾薬・人(練度)のロジスティクス
- 航空燃料・魚雷・爆弾の補給、搭乗員の入れ替え・養成、損耗した艦載機の補充。
- 日本軍は中盤以降、燃料・熟練搭乗員・レーダー部材の三つ巴の不足に苦しんだ。
- 戦艦も燃料と砲弾が尽きれば“ただの鉄の塊”。補給線の確保こそが活躍の前提。
5) ケースで理解する“物差し”の効き方
- ミッドウェー:索敵の遅れと甲板作業のタイミングが噛み合わず、4空母同時喪失という致命傷。
- ソロモン~ガダルカナル:ヘンダーソン飛行場が“海上の空母”として機能。日本軍は夜戦・砲撃で揺さぶるが、昼間の制空で磨耗。
- マリアナ沖:搭乗員練度差+レーダー誘導差が顕在化。迎撃側の効率が攻撃側の損耗を加速。
編集部コメント:
「大和の46cm砲」「翔鶴型の堅牢さ」といった性能の話は重要。でも、戦場の空気(索敵・練度・補給)を吸わせないと、その強さは紙の上だけで終わります。
6) “最強チェックリスト”:艦・部隊・戦域で使える共通指標
艦レベル
- 被害管制:区画防火・消火系統・換気導線
- 甲板運用:エレベーター配置/動線の交差の少なさ
- 防御思想:装甲(戦艦)、格納庫と甲板の設計(空母)
航空隊レベル
- 搭乗員の平均飛行時間・夜間/悪天訓練の有無
- ソーティ回転率(出撃→整備→再出撃のテンポ)
- 迎撃管制(レーダー+無線+戦闘機指揮)
戦域レベル
- 燃料・弾薬の補給周期/船団護衛の健全性
- 索敵網(哨戒機・レーダーピケット・潜水艦偵察)
- 修理・整備のドック/航空基地ネットワーク
編集部コメント:
プラモデルで“実戦感”を出すなら、甲板の混雑具合(整備員・爆弾台車・消火用ホース)を情景に入れると、性能だけでは見えない“運用の汗”が立ち上がります。
7) 迷ったらこの一言(検索クエリへの即答用)
- 「日本軍 最強 空母 は?」 → 単艦ではなく、索敵・回転率・ダメコン・練度が高い編成が最強。
- 「最強 戦艦 は?」 → 火力だけなら大口径砲の艦(例:大和)が筆頭。ただし航空優勢の無い海では“最強”は機能しない。
- 「活躍 の基準は?」 → 撃沈数だけでなく、任務達成(護衛・輸送・囮)や作戦効果で見るのが筋。
第6章|モデラー向け——“史実が映える”プラモデルの選び方・見せ方
狙い:初心者から中・上級者まで、第二次世界大戦/太平洋戦争期の日本海軍(大日本帝国海軍)の戦艦・空母を“らしく”仕上げるための実践ヒントを、題材(艦)選び・塗装・情景の3本柱でまとめます。
編集部コメント:スペックの性能話だけでは伝わらない“運用の汗”を、甲板・艦載機・汚れで再現すると、机上の強さ→活躍のリアルに化けます。
1. スケール別の最短ルート
まずはスケール=完成までの距離感。
- 1/700(ウォーターライン)
- おすすめ題材:金剛型(戦艦)/瑞鳳・翔鶴型(空母)
- 利点:価格・収納・艦隊並べが楽。一覧で触れた艦を“数”で揃えやすい。
- コツ:ディテールは要点集中(艦橋上部・高角砲周辺・マスト)。張り線は伸ばしランナーや極細糸で“ある風に”。
- 1/350(大型)
- おすすめ題材:大和/武蔵/赤城
- 利点:木甲板・飛行甲板の表現、艦載機の塗り分けが映える。
- コツ:レイヤー塗装(下地→基本→フィルター→ウォッシュ→ドライ)で金属感と使用感を足す。
編集部コメント:
“最強の存在感”を出すなら1/350、日本軍艦隊の“並べる強さ”を出すなら1/700。迷ったら1/700金剛型から——太平洋戦争の“速力は火力”が一目でわかります。
2. 題材(艦)選びの鉄板セット——時期×任務で“勝てる”ネタに
同じ艦でも時期によって姿が違います。一覧で挙げた要所と紐づけて選ぶと、説得力が跳ねます。
- 金剛型(戦艦)× 1942年10月 ガダルカナル
- 見せ場:夜間砲撃後の煤汚れ、ヘンダーソン飛行場方向へ砲身を振る角度。
- 演出:探照灯オフ、砲塔周りの煤、錆は最小限(前線でも日本海軍は比較的清潔)。
- 翔鶴型(空母)× 珊瑚海/サンタクルーズ
- 見せ場:木製飛行甲板の退色、着艦標識の擦れ、**艦載機(零戦・九九艦爆・九七艦攻)**の混成。
- 演出:発艦直前の列線・整備員の姿勢・弾薬台車で“回転率=火力”を表現。
- 瑞鳳(軽空母)× エンガノ岬(1944)
- 見せ場:末期迷彩の退色、対空機銃増設のゴチャつき。
- 演出:艦尾の水煙を綿で軽く、被害管制員の配置で“押されている現実”。
- 雲龍型(正規空母)× 呉軍港 1945
- 見せ場:係留索・防舷材、上空警戒の対空姿勢。
- 演出:穏やかな水面+空襲直前の張りつめた静けさで緊張感。
- 大和(戦艦)× 天一号(1945)
- 見せ場:上甲板の人員密度(準備に奔走)、艦橋の旗流。
- 演出:東シナ海の白波、風に逆らう艦首で“片道出撃”の決意を暗示。
3. 塗装・マーキングの“外さない三原則”
- 木甲板(空母):
- ベースは明るい木部色→薄いグレー/茶でフィルター→筋目を鉛筆/色鉛筆で軽く流す。
- 着艦標識は塗装後に軽いスポンジチッピングで踏み跡・タイヤ跡。
- 鋼板(戦艦):
- 明灰色系の基本色→スミ入れで目地を強調→雨だれは垂直線を細筆で“控えめに”。
- 砲口周辺は焼け(黒+茶の極薄)を点で置いて伸ばす。
- 艦載機(戦闘機・攻撃機):
- キャノピーは外枠を濃色→内側を機内色の順で。
- 日章旗・部隊マークはデカール後にクリアで段差消し→軽いウォッシュで一体化。
編集部コメント:
日本海軍の“清潔さ”を忘れずに。過剰な錆・欠けはNG。塩風の退色と燃焼による煤を主役にすると“海の現実”に近づきます。
4. 小さく効くディテール——5つの加点ポイント
- 甲板の“渋滞”:爆弾台車、燃料ホース、整備員(空母)。
- 弾薬箱とホースの“蛇行”:被害管制の痕跡(戦艦)。
- 手すり(防舷網)の“たわみ”:張り直して生々しさUP。
- 張り線の“止め具”:糸端に瞬着の点で“碍子”を再現。
- 海面表現:アクリルメディウムで進行方向の筋→先端に白を置いて指で“掬う”。
5. 作業フロー(チェックリスト付き)
設計図を読む
- どの時期の状態か(増設機銃・レーダー有無)。
- 艦載機の内訳(零戦・九九艦爆・九七/天山など)。
下地処理
- ヒケ消し→サフ→パネルライン再彫り(1/700は控えめ)。
塗装
- ベース→フィルター→ウォッシュ→ドライ→ピグメント(順番固定)。
最終演出
- **人(整備員・甲板要員)**を置く。サイズが合えば“活躍の場”が立ち上がる。
- ベースの銘板に「艦名/年/海域」を記すと資料性が上がり、一覧と相互補完に。
6. “失敗あるある”と回避策
- やり過ぎウェザリング → 写真を1枚決めて寄せる。想像ではなく再現の姿勢。
- 艦載機の主脚・プロペラの色ズレ → 先に機体だけ完成→最後に脚と小物。
- 飛行甲板の木目が太すぎ → シャーペンで細線→上から半透明色で馴染ませる。
- デカール銀浮き → グロス下地→貼る→ソフター→セミグロスで統一
第7章|FAQ——「最強は?」「航空戦艦は強いの?」に即答します
狙い:検索で多い疑問に短く・鋭く。用語はかみ砕き、Wikipediaにない“運用の視点”と編集部コメントを添えて答えます。
(個艦の性能・細部は別記事で深掘り予定)
Q1. 結局「最強の戦艦」はどれ?
A. 砲戦の純粋火力では大和(46cm砲)が筆頭。ただし太平洋戦争の勝敗は制空権・索敵・被害管制の総合力。日本軍が航空優勢を失った局面では、“紙の上の最強”が活躍しづらかったのが現実。
編集部コメント:最強=使い切れる強さ。海域・時期・任務で答えが変わります。
Q2. 「最強の空母」は?
A. 単艦でなく編成が答え。正規空母(翔鶴・瑞鶴・大鳳 等)+随伴の軽空母+レーダー誘導&ダメコンが噛み合った部隊が“最強”。個艦なら翔鶴型は生残性と回転率のバランスが高評価。
編集部コメント:搭載機数より何回出せたか(ソーティ回転)が“空母の火力”。
Q3. 「正規空母・軽空母・護衛空母」の違いは?
A.
- 正規空母:主力。速力・搭載機数・整備力が高い。
- 軽空母:小型。補助・穴埋めが主目的。
- 護衛空母:商船改造など。船団護衛・対潜・輸送が役目。
編集部コメント:末期の大日本帝国海軍は軽/護衛の“数”を増やすも、搭乗員とレーダーの“質”が追いつかず。
Q4. 航空戦艦って強いの?
A. 伊勢/日向のように戦艦+限定的な航空運用。空母の代替にはならず、主に偵察・対空補助・輸送に。
編集部コメント:万能化は魅力でも、発着艦回転率の壁は超えにくい。
Q5. 戦艦は航空機に弱いの?
A. 対空火器・レーダー・迎撃管制・被害管制が整っていれば生存性は上がるが、航空優勢を失えば脆い。太平洋戦争後期はその典型。
編集部コメント:見つけられたら負け——索敵と上空直衛が命綱。
Q6. 「活躍」の基準は撃沈数だけ?
A. いいえ。護衛空母の“無事に船団を通す”、戦艦の“上陸支援の艦砲”、空母の“制空維持”も立派な戦果。
編集部コメント:作戦目的に照らして評価するのが筋。
Q7. 日本の空母で「代表的戦果」は?
A. 赤城・加賀=真珠湾、翔鶴・瑞鶴=珊瑚海/サンタクルーズ、飛龍=ミッドウェーでの反撃(ヨークタウン大破)、金剛型(随伴)=ヘンダーソン飛行場砲撃など。
編集部コメント:序盤の鋭さは練度の勝利、中盤以降は再生産力の勝負に。
Q8. 艦名の読み方・由来が知りたい
A. 例:瑞鶴(ずいかく)/翔鶴(しょうかく)/大鳳(たいほう)/隼鷹(じゅんよう)。多くが瑞祥や地名・山名由来。
編集部コメント:艦名の意味を知ると、プラモデルの銘板が“語る”ようになります。
Q9. 模型(プラモデル)は何から始めれば良い?
A. 1/700の金剛型か瑞鳳がおすすめ。資料多めで仕上がりの見栄え=コスパが高い。1/350大和/赤城は大型で“最強の存在感”。
編集部コメント:清潔>錆、甲板の仕事量>派手ウェザリングが“日本海軍らしさ”。
Q10. よくある誤解は?
A.
- 誤)「大口径砲=最強=勝つ」 → 正)制空権と索敵がないと活かせない。
- 誤)「軽空母を増やせばOK」 → 正)搭乗員・ダメコン・レーダーの質が要。
- 誤)「護衛空母は地味」 → 正)輸送・対潜で作戦全体の生命線。
編集部コメント:数値の性能より、運用の文脈で読むのが上級者への近道。
Q11. 一覧で漏れがちな艦は?
A. 特設護衛空母(しまね丸級)などの改装艦、水上機母艦→軽空母改装(千歳・千代田)、戦艦→空母改装(信濃)は別枠で把握を。
編集部コメント:一覧は“設計系譜”で並べると覚えやすい。
Q12. 「日本軍 空母 最強」で検索して来ました。1行で要点は?
A. 最強は“単艦”ではなく“編成”——索敵・制空・回転率・被害管制の総合力が勝敗を決めました。
まとめ(FAQ版)
- 戦艦のロマンと空母の“回し続ける力”は別物。
- 第二次世界大戦/太平洋戦争の日本海軍を理解する鍵は、索敵・練度・補給・ダメコン。
- プラモデルは「年×海域×任務」を添えると、活躍の文脈が伝わります。
第8章|まとめ——“最強”は単艦ではなく、運用がつくる
編集部コメント:
このシリーズの核は「一覧で全体像→エピソードで手触り→運用で答え合わせ」。第二次世界大戦/太平洋戦争の日本海軍(大日本帝国海軍)を、“数字”だけでなく“現場の空気”で掴むことでした。
この記事で伝えたかった3つのこと
- 戦艦と空母の役割は根本から違う
- 戦艦は砲戦・装甲の“海の要塞”。
- 空母は戦闘機・攻撃機を回し続ける“移動航空基地”。
→ 性能(口径・搭載機数)より、索敵・回転率・被害管制が勝敗を分ける。
- “最強”の物差しは総合力
- 先に見つける(レーダー・偵察)、素早く殴り続ける(発着艦テンポ)、受けても折れない(ダメコン)、長く続ける(補給・練度)。
→ 日本軍は前半の練度で“刺さった”が、中盤以降は補充・装備・管制の差で失速。
- “活躍”は撃沈だけじゃない
- 護衛空母の“無事に護る”、戦艦の“上陸支援”、空母の“制空維持”も立派な戦果。
→ 一覧に**エピソード(いつ・どこ・どう沈んだ)**を添えると、歴史が立体化する。
これだけ覚えればOK(30秒TL;DR)
- 最強の戦艦? 砲なら大和だが、航空優勢がない海では輝きにくい。
- 最強の空母? 単艦ではなく編成。翔鶴型は生残性と回転率の好バランス。
- 敗因の芯:レーダー誘導+被害管制+搭乗員補充の遅れ。
- **模型(プラモデル)**は「年×海域×任務」をタイトル化すると“史実が映える”。
次に読むと理解が深まる導線(内部リンク想定)
- 個艦記事(戦艦):大和/武蔵/長門/金剛型(ヘンダーソン砲撃の再現術も)
- 個艦記事(空母):赤城・加賀(ミッドウェーの甲板運用)、翔鶴・瑞鶴(回転率の秘密)、大鳳(装甲甲板とダメコン)
- 運用・装備:日本海軍のレーダー史、被害管制の現場、艦載機の塗装と整備動線
- モデラー向け:末期迷彩の退色表現、甲板の“渋滞”の作り方、海面の白波レシピ
最後に——読者への一言
“数字の強さ”を“勝てる強さ”に変えるのは、人と運用。
一覧を起点に、あなたの中の「最強」の定義をもう一度、戦場の文脈で磨いてみてください。模型でも文章でも、史実に寄せる工夫こそが最大のチートです。