海上自衛隊 vs 韓国海軍【2026年版】|隻数・イージス・潜水艦・上陸能力・造船力で徹底比較――同じ部品で組んだ、まったく違う二つの海軍

海上自衛隊と韓国海軍の比較記事表紙。並航する艦艇の遠景を描いた扉絵

海上自衛隊と韓国海軍は、どちらが強いのか。

この問いは検索されるわりに、まともに答えた記事が少ない。理由は二つある。一つは日韓が戦う想定そのものが非現実的で、比べる意味が薄いように見えること。もう一つは、両者が驚くほど似ているからだ。どちらも米国製イージス、米国製の艦対空ミサイル、ドイツと日本の系譜を引く通常動力潜水艦、世界トップ級の造船所を持つ。同じ部品箱から組み立てたような二つの海軍を隻数だけで並べても、何が違うのかは見えてこない。

それでも私は、この比較には価値があると思っている。部品が同じだからこそ、組み方の違いに海軍の思想が出る。海自は帝国海軍の反省から「守る海軍」として作られ、対潜と掃海と護衛に極端に寄っている。韓国海軍は北朝鮮と撃ち合いながら育ち、上陸と打撃に寄っている。同じイージス艦を持ちながら、片方は弾道ミサイルを迎撃するために、片方は巡航ミサイルを撃つために積んでいる。その違いを9項目で採点し、最後に「どちらが何に強いか」と「日韓は組めるのか」に答える。

韓国側の全艦リストは韓国海軍の艦艇一覧に、海自側は海上自衛隊の艦艇一覧にまとめてある。対中国の視点は海上自衛隊 vs 中国海軍で扱ったので、本記事は日韓に絞る。

目次

結論——9項目の採点表

項目海上自衛隊韓国海軍優位
隻数と排水量約140隻・排水量は韓国の2倍前後約160隻・約23万トン海自(質量)/韓国(隻数)
イージス艦8隻+イージス・システム搭載艦2隻建造中4隻+2隻建造中海自
潜水艦22隻体制、リチウムイオン電池約20隻、SLBM搭載艦3隻海自(静粛性)/韓国(打撃力)
空母・揚陸いずも型2隻がF-35B運用へ独島級2隻、海兵隊2万9,000人海自(航空)/韓国(上陸)
対潜哨戒航空P-1・P-3C約60機、艦載ヘリ約80機P-8A 6機、P-3C 16機前後海自(圧倒)
掃海掃海艦艇20隻前後、世界屈指掃海・掃討艦艇12隻(別に機雷敷設艦2隻)海自
対地・対艦打撃トマホークと12式改を導入中玄武-3巡航ミサイル、玄武-4-4 SLBM韓国(先行)→接近中
造船力と輸出もがみ型で豪州受注世界トップ級造船所、輸出実績多数韓国
予算と人員防衛費約9兆円、海自約4.5万人国防費約65.9兆ウォン、海軍約7万人予算は集計範囲に注意/韓国(海兵隊込み人員)
結論——9項目の採点表

1. 隻数と排水量——数は韓国、質量は海自

隻数を読む前に、艦種を分ける。大型水上艦:外洋での持続行動/潜水艦:水中での活動/揚陸艦:人員・車両の輸送/高速艇:沿岸での警戒
隻数を読む前に、艦種を分ける。本文で扱う関係を模式的に整理。
艦種海上自衛隊韓国海軍
駆逐艦・護衛艦(3,000トン超)約50隻(DDH4、DDG8、DD、FFM)13隻(イージス4、KDX-II 6、KDX-I 3)
フリゲート・コルベット(3,000トン前後以下)もがみ型FFMを護衛艦に含む20隻前後
潜水艦22隻+練習潜水艦約20隻
揚陸艦3隻(おおすみ型)10隻
ミサイル艇・高速艇6隻(はやぶさ型)約70隻
掃海艦艇20隻前後掃海・掃討艦艇12隻(別に機雷敷設艦2隻)
補給艦5隻4隻
1. 隻数と排水量——数は韓国、質量は海自

この差は「海自の方が金持ちだから」ではない。海自は日本海・東シナ海・太平洋という三つの海で、外洋の対潜戦と弾道ミサイル警戒を常時続ける海軍であり、大型艦でなければ任務が務まらない。韓国海軍は数十km先に敵の港がある海で戦う海軍で、小型艇の数が生存に直結する。隻数の差は思想の差だ。

2. イージス艦——8隻対4隻、そして「何のためのイージスか」

韓国海軍のイージス駆逐艦世宗大王
韓国海軍のイージス駆逐艦「世宗大王」(2008年撮影)。
写真:U.S. Navy/出典(パブリックドメイン)
艦級隻数VLSセル数弾道ミサイル迎撃
こんごう型(海自)4隻90SM-3運用
あたご型(海自)2隻96SM-3運用
まや型(海自)2隻96SM-3 Block IIA、共同交戦能力
世宗大王級(韓国)3隻128探知・追尾のみ
正祖大王級(韓国)1隻+2隻建造中Mk41+K-VLS-IISM-3・SM-6運用可能
2. イージス艦——8隻対4隻、そして「何のためのイージ

1番艦が2024年11月27日に引き渡された正祖大王級は、韓国が初めてSM-3を撃てるイージス艦で、ここで初めて「盾」の機能が加わった。海自側は2027年度以降にイージス・システム搭載艦2隻を加え、SPY-7レーダーで弾道ミサイル防衛を陸上イージスの代わりに担う。2030年頃には海自10隻、韓国6隻という構図になる。艦としての性能序列は世界最強イージス艦ランキングで扱った。

まや型は海自イージスの現時点での到達点で、共同交戦能力によって他艦やE-2Dの探知情報で射撃できる。この艦を手元で組むと、艦橋のSPY-1Dの面とVLSの配置から「盾の海軍」の設計思想が見えてくる。

3. 潜水艦——静かに隠れる海自、弾道ミサイルを撃つ韓国

海上自衛隊の潜水艦そうりゅう
そうりゅう型の1番艦「そうりゅう」。
写真:海上自衛隊/出典CC BY 4.0・縮小圧縮)
項目海上自衛隊韓国海軍
隻数22隻体制(たいげい型5隻、そうりゅう型12隻ほか)約20隻(KSS-III 3隻、214型9隻、209型9隻)
最新艦たいげい型、水中約4,300トン島山安昌浩級、水中約3,750トン
電池リチウムイオン(世界初の実用化)Batch-IIからリチウムイオン
弾道ミサイルなし玄武-4-4 SLBM、KSS-IIIに6〜10セル
原子力潜水艦保有議論の段階2025年10月に米国が建造を「承認」

隻数はほぼ互角だが、中身は正反対だ。海自の潜水艦は対潜・対艦に特化した「隠れる艦」で、たいげい型の静粛性は通常動力潜水艦として世界最高水準と評価されている。韓国の島山安昌浩級は艦内に垂直発射管を持ち、潜水艦発射弾道ミサイルを積む。核を持たない国で弾道ミサイル潜水艦を持つのは世界で韓国だけだ。

2025年10月に進水したKSS-III Batch-IIの張英実は、発射管を10セルに増やし、電池をリチウムイオンに切り替えた。リチウムイオン電池は海自のそうりゅう型後期艦とたいげい型が世界に先駆けて実用化した技術で、この点では韓国が海自を追う立場にある。

3. 潜水艦——静かに隠れる海自、弾道ミサイルを撃つ韓国

4. 空母と揚陸——F-35Bを飛ばす海自、海兵隊を降ろす韓国

上空から見た護衛艦いずもの全通甲板
護衛艦「いずも」(2019年撮影)。F-35B運用に向けた改修前の姿。
写真:海上自衛隊/出典CC BY 4.0・縮小圧縮)
項目海上自衛隊韓国海軍
全通甲板艦いずも型2隻(約26,000トン)独島級2隻(約19,000トン)
固定翼機F-35Bを運用へ(かがで発着艦試験済み)なし(軽空母CVXは見直し中)
輸送艦おおすみ型3隻天王峰級4隻、高峻峰級4隻
上陸部隊陸自水陸機動団(3個水陸機動連隊と支援部隊)海兵隊 約2万9,000人
4. 空母と揚陸——F-35Bを飛ばす海自、海兵隊を降ろ

上陸能力では韓国が圧倒する。海兵隊約2万9,000人は海自の全人員の3分の2に匹敵し、それを運ぶ揚陸艦を10隻持つ。日本は水陸機動団を2018年に発足させ、2025年に自衛隊海上輸送群を新編したばかりだ。韓国海軍が「上陸する海軍」として70年育ってきたのに対し、日本は南西諸島防衛のためにようやく上陸と輸送を組み始めた段階にある。

5. 対潜哨戒航空——海自の圧倒的優位

機種海上自衛隊韓国海軍
固定翼哨戒機P-1・P-3C 合わせて60機前後P-8A 6機、P-3C 16機前後
艦載対潜ヘリSH-60K・SH-60L 約80機ワイルドキャット8機、リンクス20機前後、MH-60R導入中

この項目だけは、比較にならない。海自は世界でも米海軍に次ぐ規模の固定翼哨戒機部隊を持ち、日本周辺の海を毎日飛んで潜水艦を探している。帝国海軍が対潜を軽んじて敗れた反省が、そのまま機数になった分野だ。韓国海軍は2024年にP-8Aを6機導入したが、P-3系約16機も合わせれば固定翼哨戒機は約22機で、上表の海自約60機に対して約3分の1の規模だ。北朝鮮の潜水艦が数十隻あることを考えると、韓国側にとっては最も不安な分野でもある。

掃海も同じ構図だ。海自の掃海隊群は1991年のペルシャ湾派遣以来、世界屈指の評価を持ち、掃海艦艇20隻前後を維持している。韓国は掃海・掃討艦艇12隻で、別に機雷敷設艦2隻を持つ。朝鮮戦争で元山港の機雷に苦しんだ韓国海軍にとって掃海は切実な任務だが、規模では海自に及ばない。

6. 対地・対艦打撃——先行した韓国、追いつく日本

項目海上自衛隊韓国海軍
巡航ミサイルトマホーク400発を導入中、12式改を配備へ玄武-3をイージス艦とKDX-IIに搭載済み
対艦ミサイル17式・90式、12式改海星、超音速対艦ミサイル開発中
潜水艦発射ハープーン系玄武-4-4 SLBM
6. 対地・対艦打撃——先行した韓国、追いつく日本

それが2022年の安保三文書で変わった。海自はトマホーク400発を導入し、SM-6の運用を始め、12式地対艦誘導弾能力向上型の艦載型も配備される。2020年代後半には、海自のイージス艦も韓国のイージス艦と同じく「撃てる艦」になる。韓国の優位は、あと数年で縮まる。

番外:情報と指揮統制——「見つける」を支える目と神経

探知から対処までをつなぐ。探知:航空機・艦艇のセンサー/共有:通信とデータリンク/判断:指揮統制/対処:部隊と装備の連携
探知から対処までをつなぐ。本文で扱う関係を模式的に整理。
項目海上自衛隊韓国海軍
早期警戒空自E-2D・E-767と連接、まや型は共同交戦能力を保持空軍E-737と連接
弾道ミサイル情報日米で常時共有、2023年12月から日米韓でリアルタイム共有同左
艦隊防空の中核イージス8隻+あきづき型・あさひ型の国産FCS-3系イージス4隻+忠南級の国産AESA
番外:情報と指揮統制——「見つける」を支える目と神経

7. 実戦経験と任務——撃ち合った海軍と、撃ち合わなかった海軍

7. 実戦経験と任務——撃ち合った海軍と、撃ち合わなかっ

一方で、海自には海自の「実戦」がある。1991年のペルシャ湾掃海、2009年から続くソマリア沖の海賊対処、そして北朝鮮の弾道ミサイル発射のたびに日本海へ出るイージス艦の常時警戒。撃ち合いはなくても、海自は世界で最も長く「本番」を続けている海軍の一つだ。韓国も清海部隊をアデン湾に常駐させ、海賊対処では日韓が同じ海で同じ任務に就いている。

8. 造船力と輸出——韓国が先を行く、ただし1勝は日本

項目日本韓国
主要造船所三菱重工、ジャパンマリンユナイテッド、川崎重工、三井E&Sハンファオーシャン、HD現代重工業
商船建造量世界3位前後世界2位前後(中国に次ぐ)
艦艇輸出の実績2025年、もがみ型が豪州フリゲート受注フィリピン、インドネシア、ペルーなどへ艦艇・技術輸出
進行中の商談豪州向け新型FFM 11隻カナダ潜水艦計画にKSS-IIIを提案

造船力は、艦の隻数と同じくらい海軍力を左右する。有事に艦を修理し、量産できるかは造船所の規模で決まる。この点で韓国は世界2位の造船国であり、ハンファオーシャンとHD現代重工業は商船と艦艇を同じ造船所で回している。日本の造船業は縮小が続き、艦艇建造は三菱重工とジャパンマリンユナイテッドにほぼ集約された。

輸出では、韓国が2010年代から艦艇輸出を積み重ねてきたのに対し、日本は2025年のもがみ型の豪州受注が初の大型輸出だった。ただしこの1勝は大きい。韓国案が候補絞り込みで外れた後、最終候補のドイツ案を退けたことで、日本の艦艇が「輸出できる商品」であることが証明された。韓国は2026年、カナダの潜水艦計画に向けてKSS-IIIの実艦を太平洋横断させて売り込んでおり、次の日韓対決の舞台はカナダと欧州になる。

もがみ型は「日本の護衛艦が輸出商品になった」記念碑的な艦で、省人化とステルス形状の思想は模型でもよく分かる。

9. 予算と人員——集計範囲の違いにも注意

項目日本韓国
国防予算(2026年度)防衛省分約9兆円、関連費含め約10.6兆円65兆8,642億ウォン(確定予算)
海軍人員海自約4万5,000人(定員)海軍約7万人(海兵隊約2万9,000人を含む)
徴兵制なしあり
人口減少への対応省人化(もがみ型は約90人)2040年軍構造改編を検討中
9. 予算と人員——集計範囲の違いにも注意

10. 想定する相手——北朝鮮を見る海軍と、中国を見る海軍

項目海上自衛隊韓国海軍
第一の想定相手中国海軍(東シナ海・南西諸島)北朝鮮海軍(黄海・日本海の沿岸)
第二の想定相手北朝鮮の弾道ミサイル、ロシア中国海軍(黄海・離於島周辺)
主戦場の距離感数百〜千km単位の外洋数十km単位の沿岸
求められる艦大型で長時間行動できる護衛艦・潜水艦多数の高速艇と、上陸を支える揚陸艦
10. 想定する相手——北朝鮮を見る海軍と、中国を見る海

そして2020年代、両者の想定相手は重なり始めた。中国海軍は黄海と日本海にも艦を出し、北朝鮮の弾道ミサイルは日本の上空を通る。韓国海軍が外洋型のイージス艦と潜水艦を増やし、海自が上陸と輸送の能力を足しているのは、互いの得意分野に相手が寄ってきている、と読むこともできる。

一方にあって、他方にないもの

海自にあって韓国にないもの韓国にあって海自にないもの
F-35Bを運用する全通甲板艦弾道ミサイルを撃つ潜水艦
60機規模の固定翼哨戒機部隊3万人規模の海兵隊
SM-3を撃てるイージス艦8隻米国の承認を得た原潜計画
世界屈指の掃海部隊北朝鮮艇と撃ち合った実戦経験
弾道ミサイル警戒の常時態勢商船と艦艇を同じ造船所で回す量産力

結局、どちらが強いのか——「何に」強いかで答えが変わる

正直に書く。海自と韓国海軍が正面から戦う想定は、地理的にも政治的にも非現実的で、私はその前提での勝敗を論じることに意味を感じない。それでも「どちらが何に強いか」なら答えられる。

局面優位理由
潜水艦を見つけて沈める海自哨戒機・艦載ヘリ・掃海の規模が桁違い
弾道ミサイルを迎撃する海自SM-3運用艦8隻、韓国は1隻
敵の港や陸上を撃つ韓国巡航ミサイルとSLBMを実装済み。日本は導入中
部隊を海から上陸させる韓国海兵隊2万9,000人と揚陸艦10隻
沿岸で高速艇と戦う韓国約70隻の高速艇と延坪海戦の経験
損傷艦を修理し新造する韓国造船所の規模
艦上から固定翼機を飛ばす海自いずも型のF-35B運用

総合力で海自が上、と書いた理由は、海の戦いが「見つける」ことから始まるからだ。相手より先に潜水艦を見つけ、ミサイルを見つけ、艦を見つける能力で海自は韓国を大きく上回る。ただし、見つけた後に「撃つ」能力では韓国が先を行き、日本はいま追いつこうとしている。80年前、帝国海軍は撃つことに全てを賭けて見つけることを軽んじ、敗れた。海自はその逆を選び、いま両方を持とうとしている。韓国海軍は撃つことから始めて、見つける能力を後から足している。二つの海軍は、逆方向から同じ地点に向かっている。

艦名で読む二つの海軍——気象と人物

比較の締めくくりに、艦名を並べてみる。ここに二つの海軍の自己認識がいちばん正直に出る。

艦種海上自衛隊韓国海軍
イージス艦・大型護衛艦山と気象(こんごう、まや、いずも)歴史上の王と学者(世宗大王、正祖大王、栗谷李珥)
汎用護衛艦・フリゲート気象と河川(あきづき、もがみ)道と都市(大邱、ソウル、忠南)
潜水艦龍と海の生き物(たいげい、ちょうげい)独立運動家と武将(安重根、尹奉吉、張保皐)
ミサイル艇鳥(はやぶさ)延坪海戦の戦死者(尹永夏、韓相国)
揚陸艦半島と海峡(おおすみ、しもきた)島と山(独島、天王峰)

海自は帝国海軍以来の伝統で人名を艦名に使わず、気象・地形・生き物の名で統一している。韓国海軍は艦名そのものが歴史教科書で、しかも抗日運動家と対北戦闘の戦死者が並ぶ。安重根の名を冠した潜水艦や、独島の名を冠した揚陸艦を日本人が見れば、複雑な感情を持つのは当然だ。ただ、私はこの命名を「日本への当てつけ」と単純化するより、この海軍が何を自分の物語としているかを知る材料として読んでいる。艦名の由来を知らずに隣の海軍を語ることはできない。海自側の命名規則は海上自衛隊の艦番号一覧で扱った。

直近10年の日韓海軍年表

年月出来事
2018年12月能登半島沖でのレーダー照射問題。日韓防衛交流が凍結
2021年8月韓国初の3,000トン級潜水艦、島山安昌浩が就役
2022年12月日本が安保三文書を決定、反撃能力とトマホーク導入へ
2023年12月日米韓で北朝鮮ミサイル情報のリアルタイム共有を開始
2024年6月日韓防衛相会談でレーダー照射問題の再発防止策に合意。フリーダム・エッジ初回
2024年11月27日正祖大王が韓国海軍へ引渡し
2025年8月豪州がもがみ型を次期フリゲートに選定(韓国案は前段階で候補外)
2025年10月KSS-III Batch-II張英実が進水。米大統領が韓国の原潜建造を「承認」
2026年3月たいげい型5番艦ちょうげいが就役。韓国潜水艦がカナダへ売り込み航海
2026年6月海自と韓国海軍の捜索救難共同訓練が9年ぶりに再開
2026年9月フリーダム・エッジ26は9月7〜11日の実施日程を発表

日韓の海軍は組めるのか——2018年の照射と2026年の再開

比較記事の最後に、避けて通れない話を書く。2018年12月、能登半島沖で韓国海軍の駆逐艦広開土大王が海自のP-1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題は、韓国側が事実を否定し、日韓の防衛交流を6年間凍結させた。海自にとってレーダー照射は攻撃の前段階であり、私はこの問題が「棚上げ」で処理されたことに今も割り切れない気持ちを持っている。

それでも2024年6月の日韓防衛相会談で再発防止策に合意し、2026年6月7日には五島列島西方で9年ぶりの捜索救難共同訓練が実施された。イージス艦こんごうと哨戒ヘリが参加し、海自のヘリが韓国の揚陸艦に着艦した。日米韓の多領域訓練フリーダム・エッジは2024年から定例化し、2026年9月7日から11日には4回目が済州島周辺で行われる。

組めるのか、という問いへの答えは「組まざるを得ない」だ。中国は東シナ海に空母3隻を展開し、北朝鮮は原潜建造を公言している。海自の「見つける力」と韓国海軍の「撃つ力」は、対中・対北では競合ではなく補完関係にある。感情と利害を分けて考えるなら、隣の海軍の艦名と能力を正確に知ることが、その第一歩になる。

投資家の視点:日韓の海軍比較は、造船と電子機器の比較でもある

大型船の建造が進む造船所
造船設備と熟練した人材が、艦艇を含む船舶の建造を支えている。

投資家として日韓の海軍を見ると、比較はそのまま両国の防衛産業の比較になる。

分野日本の企業例韓国の企業例
艦艇建造三菱重工、ジャパンマリンユナイテッドハンファオーシャン、HD現代重工業
潜水艦三菱重工、川崎重工ハンファオーシャン、HD現代重工業
レーダー・戦闘システム三菱電機(FCS-3系、SPY-7関連)ハンファシステム、LIGネクスワン
ミサイル三菱重工、川崎重工LIGネクスワン、ハンファエアロスペース

もがみ型の豪州受注と、韓国のカナダ潜水艦商談は、両国の造船株にとって最大の材料だ。日本の防衛関連銘柄の全体像は防衛関連銘柄 完全投資ガイド造船重工株ランキングに整理してある。韓国企業は韓国市場の銘柄であり、日本の証券口座から扱える範囲と為替リスクは各自で確認してほしい。

念のため書いておくと、この章は特定銘柄の購入を勧めるものではなく、投資判断は各自の責任で行う必要がある。防衛産業を地政学の文脈で押さえたい人には、次の一冊が入口になる。

まとめ——同じ部品で組んだ、まったく違う二つの海軍

海自と韓国海軍は、同じイージス、同じミサイル、同じ系譜の潜水艦を持ちながら、片方は「見つけて守る」ために、片方は「撃って上陸する」ために組み立てられた。9項目の採点では海自が総合で上回るが、打撃力・上陸能力・造船力では韓国が先を行き、原潜では韓国が米国の承認を先に取った。2030年代には海自が「撃つ力」を、韓国が「見つける力」と「原潜」を足し、二つの海軍はいま以上に似てくる。

私は海自の「見つける海軍」という設計を、帝国海軍の敗因を裏返した最良の反省文だと思っている。同時に、隣で「撃つ海軍」が育っている事実から目を逸らすつもりもない。比較の目的は勝ち負けではなく、相手を正確に知ることだ。2026年9月、日米韓の艦が済州島の沖で同じ訓練に並ぶとき、その知識は必ず役に立つ。

海軍と防衛産業の解説書を通勤中に耳で読みたい人には、Audibleに軍事・地政学の書籍が揃っている

よくある質問

海上自衛隊と韓国海軍はどちらが強いのか?

総合力では海自が上回る。対潜哨戒機・イージス艦・掃海の規模で海自が圧倒し、打撃力・上陸能力・造船力では韓国が優位に立つ。

イージス艦の数は?

海自8隻、韓国4隻(2026年9月時点)。海自は2隻のイージス・システム搭載艦、韓国は正祖大王級2隻を建造中。

潜水艦の数は?

海自22隻体制と練習潜水艦、韓国約20隻。韓国はSLBMを積む島山安昌浩級3隻を持ち、原潜建造を計画している。

韓国海軍には空母があるのか?

ない。独島級揚陸艦2隻がヘリを運用する。F-35Bを載せる軽空母計画は見直し中で、海自のいずも型がF-35B運用で先行する。

海自と韓国海軍は共同訓練をしているのか?

2018年のレーダー照射問題で凍結されていたが、2024年6月の合意を経て2026年6月に9年ぶりの捜索救難訓練を再開した。日米韓のフリーダム・エッジは2024年に始まり、第4回は2026年9月7〜11日の実施日程が発表されている。

日本と韓国の防衛費はどちらが多いのか?

日本が2026年度に関連費含め約10.6兆円、韓国が約7.1兆円。ただし韓国は伸び率とGDP比で日本を上回る。

出典・参考

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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