海上自衛隊と韓国海軍は、どちらが強いのか。
この問いは検索されるわりに、まともに答えた記事が少ない。理由は二つある。一つは日韓が戦う想定そのものが非現実的で、比べる意味が薄いように見えること。もう一つは、両者が驚くほど似ているからだ。どちらも米国製イージス、米国製の艦対空ミサイル、ドイツと日本の系譜を引く通常動力潜水艦、世界トップ級の造船所を持つ。同じ部品箱から組み立てたような二つの海軍を隻数だけで並べても、何が違うのかは見えてこない。
それでも私は、この比較には価値があると思っている。部品が同じだからこそ、組み方の違いに海軍の思想が出る。海自は帝国海軍の反省から「守る海軍」として作られ、対潜と掃海と護衛に極端に寄っている。韓国海軍は北朝鮮と撃ち合いながら育ち、上陸と打撃に寄っている。同じイージス艦を持ちながら、片方は弾道ミサイルを迎撃するために、片方は巡航ミサイルを撃つために積んでいる。その違いを9項目で採点し、最後に「どちらが何に強いか」と「日韓は組めるのか」に答える。
韓国側の全艦リストは韓国海軍の艦艇一覧に、海自側は海上自衛隊の艦艇一覧にまとめてある。対中国の視点は海上自衛隊 vs 中国海軍で扱ったので、本記事は日韓に絞る。
結論——9項目の採点表
| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 | 優位 |
|---|---|---|---|
| 隻数と排水量 | 約140隻・排水量は韓国の2倍前後 | 約160隻・約23万トン | 海自(質量)/韓国(隻数) |
| イージス艦 | 8隻+イージス・システム搭載艦2隻建造中 | 4隻+2隻建造中 | 海自 |
| 潜水艦 | 22隻体制、リチウムイオン電池 | 約20隻、SLBM搭載艦3隻 | 海自(静粛性)/韓国(打撃力) |
| 空母・揚陸 | いずも型2隻がF-35B運用へ | 独島級2隻、海兵隊2万9,000人 | 海自(航空)/韓国(上陸) |
| 対潜哨戒航空 | P-1・P-3C約60機、艦載ヘリ約80機 | P-8A 6機、P-3C 16機前後 | 海自(圧倒) |
| 掃海 | 掃海艦艇20隻前後、世界屈指 | 掃海・掃討艦艇12隻(別に機雷敷設艦2隻) | 海自 |
| 対地・対艦打撃 | トマホークと12式改を導入中 | 玄武-3巡航ミサイル、玄武-4-4 SLBM | 韓国(先行)→接近中 |
| 造船力と輸出 | もがみ型で豪州受注 | 世界トップ級造船所、輸出実績多数 | 韓国 |
| 予算と人員 | 防衛費約9兆円、海自約4.5万人 | 国防費約65.9兆ウォン、海軍約7万人 | 予算は集計範囲に注意/韓国(海兵隊込み人員) |
一言でまとめると、海自は「見つけて、守る」海軍として韓国を大きく上回り、韓国海軍は「撃って、上陸する」海軍として海自を上回る。総合力では海自が上だが、それは韓国海軍が弱いからではなく、両者が違う試験を受けているからだ。以下、項目ごとに見ていく。
1. 隻数と排水量——数は韓国、質量は海自

| 艦種 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 駆逐艦・護衛艦(3,000トン超) | 約50隻(DDH4、DDG8、DD、FFM) | 13隻(イージス4、KDX-II 6、KDX-I 3) |
| フリゲート・コルベット(3,000トン前後以下) | もがみ型FFMを護衛艦に含む | 20隻前後 |
| 潜水艦 | 22隻+練習潜水艦 | 約20隻 |
| 揚陸艦 | 3隻(おおすみ型) | 10隻 |
| ミサイル艇・高速艇 | 6隻(はやぶさ型) | 約70隻 |
| 掃海艦艇 | 20隻前後 | 掃海・掃討艦艇12隻(別に機雷敷設艦2隻) |
| 補給艦 | 5隻 | 4隻 |
韓国海軍の約160隻という数字は、半分近くが黄海の北方限界線で北朝鮮艇と睨み合う200〜600トン級の高速艇だ。一方、海自には基準排水量2,000トンのあぶくま型から大型のヘリ搭載護衛艦まであり、もがみ型は3,900トンだ。排水量で比べると海自は韓国のおよそ2倍になる。
この差は「海自の方が金持ちだから」ではない。海自は日本海・東シナ海・太平洋という三つの海で、外洋の対潜戦と弾道ミサイル警戒を常時続ける海軍であり、大型艦でなければ任務が務まらない。韓国海軍は数十km先に敵の港がある海で戦う海軍で、小型艇の数が生存に直結する。隻数の差は思想の差だ。
2. イージス艦——8隻対4隻、そして「何のためのイージスか」

写真:U.S. Navy/出典(パブリックドメイン)
| 艦級 | 隻数 | VLSセル数 | 弾道ミサイル迎撃 |
|---|---|---|---|
| こんごう型(海自) | 4隻 | 90 | SM-3運用 |
| あたご型(海自) | 2隻 | 96 | SM-3運用 |
| まや型(海自) | 2隻 | 96 | SM-3 Block IIA、共同交戦能力 |
| 世宗大王級(韓国) | 3隻 | 128 | 探知・追尾のみ |
| 正祖大王級(韓国) | 1隻+2隻建造中 | Mk41+K-VLS-II | SM-3・SM-6運用可能 |
隻数は海自の8対4。ただし面白いのはセル数で、世宗大王級の128セルは海自のどのイージス艦より多い。韓国はそのセルに国産の巡航ミサイル玄武-3を積み、イージス艦を「北朝鮮の内陸を撃つ艦」として使ってきた。海自のイージス艦は逆に、弾道ミサイルを撃ち落とすためにSM-3を積み、対地攻撃能力を長く持たなかった。同じイージスでも、盾として使うか矛として使うかがまるで違う。
1番艦が2024年11月27日に引き渡された正祖大王級は、韓国が初めてSM-3を撃てるイージス艦で、ここで初めて「盾」の機能が加わった。海自側は2027年度以降にイージス・システム搭載艦2隻を加え、SPY-7レーダーで弾道ミサイル防衛を陸上イージスの代わりに担う。2030年頃には海自10隻、韓国6隻という構図になる。艦としての性能序列は世界最強イージス艦ランキングで扱った。
まや型は海自イージスの現時点での到達点で、共同交戦能力によって他艦やE-2Dの探知情報で射撃できる。この艦を手元で組むと、艦橋のSPY-1Dの面とVLSの配置から「盾の海軍」の設計思想が見えてくる。
3. 潜水艦——静かに隠れる海自、弾道ミサイルを撃つ韓国

写真:海上自衛隊/出典(CC BY 4.0・縮小圧縮)
| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 隻数 | 22隻体制(たいげい型5隻、そうりゅう型12隻ほか) | 約20隻(KSS-III 3隻、214型9隻、209型9隻) |
| 最新艦 | たいげい型、水中約4,300トン | 島山安昌浩級、水中約3,750トン |
| 電池 | リチウムイオン(世界初の実用化) | Batch-IIからリチウムイオン |
| 弾道ミサイル | なし | 玄武-4-4 SLBM、KSS-IIIに6〜10セル |
| 原子力潜水艦 | 保有議論の段階 | 2025年10月に米国が建造を「承認」 |
隻数はほぼ互角だが、中身は正反対だ。海自の潜水艦は対潜・対艦に特化した「隠れる艦」で、たいげい型の静粛性は通常動力潜水艦として世界最高水準と評価されている。韓国の島山安昌浩級は艦内に垂直発射管を持ち、潜水艦発射弾道ミサイルを積む。核を持たない国で弾道ミサイル潜水艦を持つのは世界で韓国だけだ。
2025年10月に進水したKSS-III Batch-IIの張英実は、発射管を10セルに増やし、電池をリチウムイオンに切り替えた。リチウムイオン電池は海自のそうりゅう型後期艦とたいげい型が世界に先駆けて実用化した技術で、この点では韓国が海自を追う立場にある。
原子力潜水艦は逆だ。2025年10月、トランプ大統領が韓国の原潜建造を「承認」し、韓国は約10年以内の保有を目指している。建造場所と核燃料の扱いで米韓の説明にずれがあり、実現には時間がかかると見られるが、日本が原潜保有の是非を議論している間に、韓国は米国の承認という最も高いハードルを先に越えた。2030年代の日韓潜水艦戦力は「静かな通常動力艦22隻」対「原潜を含む打撃型潜水艦部隊」という、さらに違う姿になる可能性がある。通常動力潜水艦の世界序列は通常動力潜水艦ランキングを参照してほしい。
4. 空母と揚陸——F-35Bを飛ばす海自、海兵隊を降ろす韓国

写真:海上自衛隊/出典(CC BY 4.0・縮小圧縮)
| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 全通甲板艦 | いずも型2隻(約26,000トン) | 独島級2隻(約19,000トン) |
| 固定翼機 | F-35Bを運用へ(かがで発着艦試験済み) | なし(軽空母CVXは見直し中) |
| 輸送艦 | おおすみ型3隻 | 天王峰級4隻、高峻峰級4隻 |
| 上陸部隊 | 陸自水陸機動団(3個水陸機動連隊と支援部隊) | 海兵隊 約2万9,000人 |
航空戦力では海自が先を行く。いずも型はF-35Bの運用に向けた改修を進め、かがは2024年に米国でF-35Bの発着艦試験を終えた。韓国もF-35Bを載せる軽空母CVXを計画したが、2026年時点で本格建造には至っておらず、無人機運用艦への再設計を含めて見直しが続いている。
上陸能力では韓国が圧倒する。海兵隊約2万9,000人は海自の全人員の3分の2に匹敵し、それを運ぶ揚陸艦を10隻持つ。日本は水陸機動団を2018年に発足させ、2025年に自衛隊海上輸送群を新編したばかりだ。韓国海軍が「上陸する海軍」として70年育ってきたのに対し、日本は南西諸島防衛のためにようやく上陸と輸送を組み始めた段階にある。
5. 対潜哨戒航空——海自の圧倒的優位
| 機種 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 固定翼哨戒機 | P-1・P-3C 合わせて60機前後 | P-8A 6機、P-3C 16機前後 |
| 艦載対潜ヘリ | SH-60K・SH-60L 約80機 | ワイルドキャット8機、リンクス20機前後、MH-60R導入中 |
この項目だけは、比較にならない。海自は世界でも米海軍に次ぐ規模の固定翼哨戒機部隊を持ち、日本周辺の海を毎日飛んで潜水艦を探している。帝国海軍が対潜を軽んじて敗れた反省が、そのまま機数になった分野だ。韓国海軍は2024年にP-8Aを6機導入したが、P-3系約16機も合わせれば固定翼哨戒機は約22機で、上表の海自約60機に対して約3分の1の規模だ。北朝鮮の潜水艦が数十隻あることを考えると、韓国側にとっては最も不安な分野でもある。
掃海も同じ構図だ。海自の掃海隊群は1991年のペルシャ湾派遣以来、世界屈指の評価を持ち、掃海艦艇20隻前後を維持している。韓国は掃海・掃討艦艇12隻で、別に機雷敷設艦2隻を持つ。朝鮮戦争で元山港の機雷に苦しんだ韓国海軍にとって掃海は切実な任務だが、規模では海自に及ばない。
6. 対地・対艦打撃——先行した韓国、追いつく日本
| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 巡航ミサイル | トマホーク400発を導入中、12式改を配備へ | 玄武-3をイージス艦とKDX-IIに搭載済み |
| 対艦ミサイル | 17式・90式、12式改 | 海星、超音速対艦ミサイル開発中 |
| 潜水艦発射 | ハープーン系 | 玄武-4-4 SLBM |
打撃力は、長く韓国が先行してきた分野だ。北朝鮮の内陸を撃つ必要がある韓国は、2000年代から国産巡航ミサイル玄武-3を開発し、イージス艦と駆逐艦に積んできた。日本は専守防衛の枠内で対地攻撃能力を持たず、この項目では長く「採点対象外」だった。
それが2022年の安保三文書で変わった。海自はトマホーク400発を導入し、SM-6の運用を始め、12式地対艦誘導弾能力向上型の艦載型も配備される。2020年代後半には、海自のイージス艦も韓国のイージス艦と同じく「撃てる艦」になる。韓国の優位は、あと数年で縮まる。
番外:情報と指揮統制——「見つける」を支える目と神経

| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 早期警戒 | 空自E-2D・E-767と連接、まや型は共同交戦能力を保持 | 空軍E-737と連接 |
| 弾道ミサイル情報 | 日米で常時共有、2023年12月から日米韓でリアルタイム共有 | 同左 |
| 艦隊防空の中核 | イージス8隻+あきづき型・あさひ型の国産FCS-3系 | イージス4隻+忠南級の国産AESA |
採点表には入れなかったが、海の戦いで最後に効くのはセンサーと通信だ。海自は空自の早期警戒機と艦を結び、まや型では他艦や航空機の探知情報で射撃できる共同交戦能力を持つ。韓国は忠南級で国産の固定式AESAレーダーを実用化し、イージスに頼らない防空の目を育て始めた。北朝鮮の弾道ミサイル発射情報は2023年12月から日米韓の3か国でリアルタイム共有が始まり、この分野では日韓は競争相手というより、同じ画面を見る同僚になっている。
7. 実戦経験と任務——撃ち合った海軍と、撃ち合わなかった海軍
海自は1954年の発足以来、一度も実戦で砲火を交えていない。韓国海軍は違う。1999年と2002年の延坪海戦で北朝鮮艇と撃ち合い、2002年には6人が戦死した。2010年には哨戒艦天安が北朝鮮の魚雷で沈み、46人が亡くなった。韓国海軍のミサイル艇に戦死者の名がついているのは、この歴史の重さそのものだ。
8. 造船力と輸出——韓国が先を行く、ただし1勝は日本
| 項目 | 日本 | 韓国 |
|---|---|---|
| 主要造船所 | 三菱重工、ジャパンマリンユナイテッド、川崎重工、三井E&S | ハンファオーシャン、HD現代重工業 |
| 商船建造量 | 世界3位前後 | 世界2位前後(中国に次ぐ) |
| 艦艇輸出の実績 | 2025年、もがみ型が豪州フリゲート受注 | フィリピン、インドネシア、ペルーなどへ艦艇・技術輸出 |
| 進行中の商談 | 豪州向け新型FFM 11隻 | カナダ潜水艦計画にKSS-IIIを提案 |
造船力は、艦の隻数と同じくらい海軍力を左右する。有事に艦を修理し、量産できるかは造船所の規模で決まる。この点で韓国は世界2位の造船国であり、ハンファオーシャンとHD現代重工業は商船と艦艇を同じ造船所で回している。日本の造船業は縮小が続き、艦艇建造は三菱重工とジャパンマリンユナイテッドにほぼ集約された。
輸出では、韓国が2010年代から艦艇輸出を積み重ねてきたのに対し、日本は2025年のもがみ型の豪州受注が初の大型輸出だった。ただしこの1勝は大きい。韓国案が候補絞り込みで外れた後、最終候補のドイツ案を退けたことで、日本の艦艇が「輸出できる商品」であることが証明された。韓国は2026年、カナダの潜水艦計画に向けてKSS-IIIの実艦を太平洋横断させて売り込んでおり、次の日韓対決の舞台はカナダと欧州になる。
もがみ型は「日本の護衛艦が輸出商品になった」記念碑的な艦で、省人化とステルス形状の思想は模型でもよく分かる。
9. 予算と人員——集計範囲の違いにも注意
| 項目 | 日本 | 韓国 |
|---|---|---|
| 国防予算(2026年度) | 防衛省分約9兆円、関連費含め約10.6兆円 | 65兆8,642億ウォン(確定予算) |
| 海軍人員 | 海自約4万5,000人(定員) | 海軍約7万人(海兵隊約2万9,000人を含む) |
| 徴兵制 | なし | あり |
| 人口減少への対応 | 省人化(もがみ型は約90人) | 2040年軍構造改編を検討中 |
ここでの予算は海軍単独ではなく国全体の金額で、関連費の範囲と為替によって比較は変わる。韓国の2026年度国防予算は、政府案の66兆2,947億ウォンから減額され、前年比7.5%増の65兆8,642億ウォンで確定した。人員は徴兵制を持つ韓国が多いが、少子化は両国共通の問題で、韓国も2040年に向けた軍構造の改編を掲げている。海自がもがみ型で乗員90人の護衛艦を作ったのは、人手不足への答えでもある。
10. 想定する相手——北朝鮮を見る海軍と、中国を見る海軍
| 項目 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| 第一の想定相手 | 中国海軍(東シナ海・南西諸島) | 北朝鮮海軍(黄海・日本海の沿岸) |
| 第二の想定相手 | 北朝鮮の弾道ミサイル、ロシア | 中国海軍(黄海・離於島周辺) |
| 主戦場の距離感 | 数百〜千km単位の外洋 | 数十km単位の沿岸 |
| 求められる艦 | 大型で長時間行動できる護衛艦・潜水艦 | 多数の高速艇と、上陸を支える揚陸艦 |
両海軍の違いを最も単純に説明するなら、見ている相手が違う。海自は東シナ海で中国海軍と向き合い、隻数で圧倒的に劣る相手に質と探知力で対抗する海軍だ。韓国海軍は目の前の北朝鮮海軍、つまり数百隻の小型艇と数十隻の旧式潜水艦、そして2025年に北朝鮮が公言した原潜計画に備える海軍だ。相手が違えば、答案も違う。海自の哨戒機の多さも、韓国の高速艇の多さも、それぞれの相手に対する正解だと私は思っている。
そして2020年代、両者の想定相手は重なり始めた。中国海軍は黄海と日本海にも艦を出し、北朝鮮の弾道ミサイルは日本の上空を通る。韓国海軍が外洋型のイージス艦と潜水艦を増やし、海自が上陸と輸送の能力を足しているのは、互いの得意分野に相手が寄ってきている、と読むこともできる。
一方にあって、他方にないもの
| 海自にあって韓国にないもの | 韓国にあって海自にないもの |
|---|---|
| F-35Bを運用する全通甲板艦 | 弾道ミサイルを撃つ潜水艦 |
| 60機規模の固定翼哨戒機部隊 | 3万人規模の海兵隊 |
| SM-3を撃てるイージス艦8隻 | 米国の承認を得た原潜計画 |
| 世界屈指の掃海部隊 | 北朝鮮艇と撃ち合った実戦経験 |
| 弾道ミサイル警戒の常時態勢 | 商船と艦艇を同じ造船所で回す量産力 |
結局、どちらが強いのか——「何に」強いかで答えが変わる
正直に書く。海自と韓国海軍が正面から戦う想定は、地理的にも政治的にも非現実的で、私はその前提での勝敗を論じることに意味を感じない。それでも「どちらが何に強いか」なら答えられる。
| 局面 | 優位 | 理由 |
|---|---|---|
| 潜水艦を見つけて沈める | 海自 | 哨戒機・艦載ヘリ・掃海の規模が桁違い |
| 弾道ミサイルを迎撃する | 海自 | SM-3運用艦8隻、韓国は1隻 |
| 敵の港や陸上を撃つ | 韓国 | 巡航ミサイルとSLBMを実装済み。日本は導入中 |
| 部隊を海から上陸させる | 韓国 | 海兵隊2万9,000人と揚陸艦10隻 |
| 沿岸で高速艇と戦う | 韓国 | 約70隻の高速艇と延坪海戦の経験 |
| 損傷艦を修理し新造する | 韓国 | 造船所の規模 |
| 艦上から固定翼機を飛ばす | 海自 | いずも型のF-35B運用 |
総合力で海自が上、と書いた理由は、海の戦いが「見つける」ことから始まるからだ。相手より先に潜水艦を見つけ、ミサイルを見つけ、艦を見つける能力で海自は韓国を大きく上回る。ただし、見つけた後に「撃つ」能力では韓国が先を行き、日本はいま追いつこうとしている。80年前、帝国海軍は撃つことに全てを賭けて見つけることを軽んじ、敗れた。海自はその逆を選び、いま両方を持とうとしている。韓国海軍は撃つことから始めて、見つける能力を後から足している。二つの海軍は、逆方向から同じ地点に向かっている。
艦名で読む二つの海軍——気象と人物
比較の締めくくりに、艦名を並べてみる。ここに二つの海軍の自己認識がいちばん正直に出る。
| 艦種 | 海上自衛隊 | 韓国海軍 |
|---|---|---|
| イージス艦・大型護衛艦 | 山と気象(こんごう、まや、いずも) | 歴史上の王と学者(世宗大王、正祖大王、栗谷李珥) |
| 汎用護衛艦・フリゲート | 気象と河川(あきづき、もがみ) | 道と都市(大邱、ソウル、忠南) |
| 潜水艦 | 龍と海の生き物(たいげい、ちょうげい) | 独立運動家と武将(安重根、尹奉吉、張保皐) |
| ミサイル艇 | 鳥(はやぶさ) | 延坪海戦の戦死者(尹永夏、韓相国) |
| 揚陸艦 | 半島と海峡(おおすみ、しもきた) | 島と山(独島、天王峰) |
海自は帝国海軍以来の伝統で人名を艦名に使わず、気象・地形・生き物の名で統一している。韓国海軍は艦名そのものが歴史教科書で、しかも抗日運動家と対北戦闘の戦死者が並ぶ。安重根の名を冠した潜水艦や、独島の名を冠した揚陸艦を日本人が見れば、複雑な感情を持つのは当然だ。ただ、私はこの命名を「日本への当てつけ」と単純化するより、この海軍が何を自分の物語としているかを知る材料として読んでいる。艦名の由来を知らずに隣の海軍を語ることはできない。海自側の命名規則は海上自衛隊の艦番号一覧で扱った。
直近10年の日韓海軍年表
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 2018年12月 | 能登半島沖でのレーダー照射問題。日韓防衛交流が凍結 |
| 2021年8月 | 韓国初の3,000トン級潜水艦、島山安昌浩が就役 |
| 2022年12月 | 日本が安保三文書を決定、反撃能力とトマホーク導入へ |
| 2023年12月 | 日米韓で北朝鮮ミサイル情報のリアルタイム共有を開始 |
| 2024年6月 | 日韓防衛相会談でレーダー照射問題の再発防止策に合意。フリーダム・エッジ初回 |
| 2024年11月27日 | 正祖大王が韓国海軍へ引渡し |
| 2025年8月 | 豪州がもがみ型を次期フリゲートに選定(韓国案は前段階で候補外) |
| 2025年10月 | KSS-III Batch-II張英実が進水。米大統領が韓国の原潜建造を「承認」 |
| 2026年3月 | たいげい型5番艦ちょうげいが就役。韓国潜水艦がカナダへ売り込み航海 |
| 2026年6月 | 海自と韓国海軍の捜索救難共同訓練が9年ぶりに再開 |
| 2026年9月 | フリーダム・エッジ26は9月7〜11日の実施日程を発表 |
日韓の海軍は組めるのか——2018年の照射と2026年の再開
比較記事の最後に、避けて通れない話を書く。2018年12月、能登半島沖で韓国海軍の駆逐艦広開土大王が海自のP-1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題は、韓国側が事実を否定し、日韓の防衛交流を6年間凍結させた。海自にとってレーダー照射は攻撃の前段階であり、私はこの問題が「棚上げ」で処理されたことに今も割り切れない気持ちを持っている。
それでも2024年6月の日韓防衛相会談で再発防止策に合意し、2026年6月7日には五島列島西方で9年ぶりの捜索救難共同訓練が実施された。イージス艦こんごうと哨戒ヘリが参加し、海自のヘリが韓国の揚陸艦に着艦した。日米韓の多領域訓練フリーダム・エッジは2024年から定例化し、2026年9月7日から11日には4回目が済州島周辺で行われる。
組めるのか、という問いへの答えは「組まざるを得ない」だ。中国は東シナ海に空母3隻を展開し、北朝鮮は原潜建造を公言している。海自の「見つける力」と韓国海軍の「撃つ力」は、対中・対北では競合ではなく補完関係にある。感情と利害を分けて考えるなら、隣の海軍の艦名と能力を正確に知ることが、その第一歩になる。
投資家の視点:日韓の海軍比較は、造船と電子機器の比較でもある

投資家として日韓の海軍を見ると、比較はそのまま両国の防衛産業の比較になる。
| 分野 | 日本の企業例 | 韓国の企業例 |
|---|---|---|
| 艦艇建造 | 三菱重工、ジャパンマリンユナイテッド | ハンファオーシャン、HD現代重工業 |
| 潜水艦 | 三菱重工、川崎重工 | ハンファオーシャン、HD現代重工業 |
| レーダー・戦闘システム | 三菱電機(FCS-3系、SPY-7関連) | ハンファシステム、LIGネクスワン |
| ミサイル | 三菱重工、川崎重工 | LIGネクスワン、ハンファエアロスペース |
もがみ型の豪州受注と、韓国のカナダ潜水艦商談は、両国の造船株にとって最大の材料だ。日本の防衛関連銘柄の全体像は防衛関連銘柄 完全投資ガイドと造船重工株ランキングに整理してある。韓国企業は韓国市場の銘柄であり、日本の証券口座から扱える範囲と為替リスクは各自で確認してほしい。
まとめ——同じ部品で組んだ、まったく違う二つの海軍
海自と韓国海軍は、同じイージス、同じミサイル、同じ系譜の潜水艦を持ちながら、片方は「見つけて守る」ために、片方は「撃って上陸する」ために組み立てられた。9項目の採点では海自が総合で上回るが、打撃力・上陸能力・造船力では韓国が先を行き、原潜では韓国が米国の承認を先に取った。2030年代には海自が「撃つ力」を、韓国が「見つける力」と「原潜」を足し、二つの海軍はいま以上に似てくる。
私は海自の「見つける海軍」という設計を、帝国海軍の敗因を裏返した最良の反省文だと思っている。同時に、隣で「撃つ海軍」が育っている事実から目を逸らすつもりもない。比較の目的は勝ち負けではなく、相手を正確に知ることだ。2026年9月、日米韓の艦が済州島の沖で同じ訓練に並ぶとき、その知識は必ず役に立つ。
海軍と防衛産業の解説書を通勤中に耳で読みたい人には、Audibleに軍事・地政学の書籍が揃っている。
よくある質問
海上自衛隊と韓国海軍はどちらが強いのか?
総合力では海自が上回る。対潜哨戒機・イージス艦・掃海の規模で海自が圧倒し、打撃力・上陸能力・造船力では韓国が優位に立つ。
イージス艦の数は?
海自8隻、韓国4隻(2026年9月時点)。海自は2隻のイージス・システム搭載艦、韓国は正祖大王級2隻を建造中。
潜水艦の数は?
海自22隻体制と練習潜水艦、韓国約20隻。韓国はSLBMを積む島山安昌浩級3隻を持ち、原潜建造を計画している。
韓国海軍には空母があるのか?
ない。独島級揚陸艦2隻がヘリを運用する。F-35Bを載せる軽空母計画は見直し中で、海自のいずも型がF-35B運用で先行する。
海自と韓国海軍は共同訓練をしているのか?
2018年のレーダー照射問題で凍結されていたが、2024年6月の合意を経て2026年6月に9年ぶりの捜索救難訓練を再開した。日米韓のフリーダム・エッジは2024年に始まり、第4回は2026年9月7〜11日の実施日程が発表されている。
日本と韓国の防衛費はどちらが多いのか?
日本が2026年度に関連費含め約10.6兆円、韓国が約7.1兆円。ただし韓国は伸び率とGDP比で日本を上回る。
出典・参考
- 防衛省 令和7年版防衛白書 https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/
- 日本経済新聞「26年度予算の防衛関連費、GDP比1.9%」2026年4月17日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170ZV0X10C26A4000000/
- 聯合ニュース「韓国の26年度国防予算案 過去最大規模に」2025年8月29日 https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250829003100882
- 日本経済新聞「韓国の国防費8%増7兆円台」2025年11月4日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM041R50U5A101C2000000/
- List of active Republic of Korea Navy ships(Wikipedia英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_active_Republic_of_Korea_Navy_ships
- Naval News「Hanwha Ocean Launches First KSS-III Batch-II Submarine」2025年10月22日 https://www.navalnews.com/naval-news/2025/10/hanwha-ocean-launches-first-kss-iii-batch-ii-submarine/
- Hanwha「KSS-III submarine arrives in Canada」2026年 https://www.hanwha.com/newsroom/news/press-releases/republic-of-korea-navy-kss-iii-submarine-built-by-hanwha-ocean-arrives-in-canada-after-over-14000-km-voyage.do
- CNN「トランプ氏、韓国の原子力潜水艦建造を『承認』」2025年10月30日 https://www.cnn.co.jp/world/35239856.html
- 笹川平和財団IINA「韓国の原子力潜水艦導入は実現できるのか」 https://www.spf.org/iina/articles/sanghoe_lee_05.html
- 読売新聞「海自と韓国海軍の共同訓練、9年ぶり再開」2026年6月8日 https://news.infoseek.co.jp/article/yomiuri_20260608_gyt1t00303/
- Jディフェンスニュース「フリーダム・エッジ26を9月7日〜11日に実施予定」2026年8月28日 https://j-defense.ikaros.jp/docs/mod/005832.html
- キヤノングローバル戦略研究所「日韓防衛交流再開『レーダー』棚上げ疑問」2024年6月 https://cigs.canon/article/20240628_8191.html
- Wedge「韓国軍の2026年の方針とは?」2026年1月30日 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40171







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