リボルバーと自動拳銃の違い|次元のマグナムとルパンのワルサーは何が違う?──構造・装弾数・弱点・歴史を同じ軸で比べる

リボルバーと自動拳銃|弾を送る仕組みの違い

『ルパン三世』を見たことがある人なら、ルパンと次元が持っている拳銃の形の違いに気づいていたと思う。ルパンのワルサーP38は、角ばった細身の拳銃で、握りの中に弾を込めた弾倉が入っている。次元のS&W M19コンバット・マグナムは、真ん中にふくらんだ円筒があり、そこに弾を入れて回しながら撃つ。

前者が自動拳銃、後者がリボルバー(回転式拳銃)だ。どちらも片手で撃てる拳銃だが、弾の込め方も、撃つたびに中で起きていることも、壊れ方まで違う。

私は、この二つを「失敗しない機械」と「たくさん撃てる機械」だと思っている。リボルバーは、弾が出なくても引き金を引き直せば次の弾が撃てる。自動拳銃は、たくさんの弾を素早く撃てるが、詰まると手で直さなければならない。この性格の違いが、軍と警察、映画のキャラクターの選び方にまで表れている。

この記事では、リボルバーと自動拳銃を同じ物差しで比べ、歴史の中でどう主役が入れ替わったのか、そして日本では軍と警察でなぜ選ぶ銃が違ったのかまで見ていく。個々のブランドの歴史や威力の順位は、それぞれの記事に任せることにする。

この記事のポイント
目次

結論|同じ物差しで並べる

まず、二つの違いを表にまとめる。

ひとことで言えば、リボルバーは「少ない弾を確実に」、自動拳銃は「たくさんの弾を素早く」撃つための形だ。

回転式のシリンダーと、弾倉から薬室へ送る方式を比較した図
リボルバーはシリンダーを回し、自動拳銃は弾倉から次の弾を送る。 図を拡大する

リボルバーの仕組み

シリンダーが回って、弾を銃身の後ろに並べる

リボルバーの心臓は、真ん中の円筒、シリンダーだ。シリンダーには弾を入れる穴が5つか6つ並んでいて、撃つたびに一つ分ずつ回り、次の弾を銃身の真後ろに持ってくる。

スミス&ウェッソンのModel 10-5。回転するシリンダーを備えたリボルバー。
スミス&ウェッソンのModel 10-5。回転するシリンダーを備えたリボルバー。
写真:Thornfield Hall/出典(CC BY-SA 4.0)

シリンダーを回す力は、人の手から来る。撃鉄を親指で起こすか、引き金を引く。その動きにつれてシリンダーが回り、撃鉄が起き、最後に撃鉄が落ちて弾が発射される。弾を撃った反動やガスの力は、何も動かしていない。ここが自動拳銃との最大の違いだ。

シングルアクションとダブルアクション

リボルバーには、撃ち方の違う二つの方式がある。

シングルアクションは、撃つ前に毎回、撃鉄を親指で起こす方式だ。起こした撃鉄を、軽い引き金で落とす。西部劇のガンマンが、撃つたびに撃鉄を親指で起こしているのはこのためだ。コルトのシングル・アクション・アーミーが代表で、コルトのリボルバーについてはコルト・リボルバーの解説で書いた。

ダブルアクションは、引き金を引くだけで、撃鉄を起こすことと落とすことを一度にやる方式だ。引き金は重くなるが、撃鉄を起こさなくても続けて撃てる。今のリボルバーの多くはこの方式で、必要なら撃鉄を起こして軽い引き金で撃つこともできる。

リボルバーの強み|弾の力に頼らず次の弾を用意できる

リボルバーの最大の強みは、確実さだ。ダブルアクション式は、引き金を引く力でシリンダーを回し、次の弾を用意できる。ただし、不発時はそのまま撃ち続けず、製品の安全手順に従う必要がある。弾の力で部品を動かしていないので、使用可能な弾薬の範囲なら、装薬の強弱に動作が左右されにくい。

もう一つ、見て分かりやすいことも強みだ。シリンダーを横に振り出せば、何発入っているか、空なのかが一目で分かる。

リボルバーの弱み|少なくて、込めにくい

弱みは、装弾数の少なさと、再装填の遅さだ。5〜6発撃ったら、シリンダーを振り出し、空の薬莢を捨て、新しい弾を入れる。弾をまとめて入れる専用の器具もあるが、自動拳銃の弾倉交換ほど速くはない。

また、シリンダーと銃身の間にわずかなすき間があり、撃つとそこからもガスが漏れる。だから、銃口にサプレッサーをつけても音を小さくしにくい。サプレッサーの仕組みについてはサプレッサーの解説で書いた。

自動拳銃の仕組み

撃った力で、次の弾を込める

自動拳銃は、撃った反動やガスの力を使って、次の弾を自動で込める。上に載っているスライドと呼ばれる部品が、撃つと後ろに下がり、空の薬莢を外に弾き出す。そしてバネの力で前に戻るとき、弾倉のいちばん上の弾をすくい取って、銃身に送り込む。

第二次大戦期にイサカが製造したM1911系拳銃。
第二次大戦期にイサカが製造したM1911系拳銃。
写真:Mitch Barrie/出典(CC BY-SA 2.0)

撃つ人がやることは、引き金を引くことだけだ。一発撃つごとに、銃の中では「撃つ、下がる、捨てる、込める」が一瞬で繰り返されている。ちなみに「自動拳銃」と呼ぶが、多くは引き金を一回引くと一発だけ撃つ「半自動」だ。「自動」なのは、次の弾を込める作業のほうだ。

自動拳銃の強み|多くて、速くて、薄い

自動拳銃の強みは、装弾数の多さだ。弾を縦に二列に並べる弾倉なら、15発以上入るものも珍しくない。弾倉ごと交換できるので、再装填も速い。シリンダーのふくらみがないので薄く、服の下に身につけやすい。

自動拳銃の弱み|詰まると手で直す

弱みは、弾詰まりだ。弾や銃の状態、撃つ人の握り方によっては、空の薬莢がうまく出なかったり、次の弾がうまく入らなかったりする。そうなると、引き金を引き直しても撃てない。手でスライドを動かして、悪い弾を取り除く必要がある。

また、撃った力で部品を動かすので、弱すぎる弾ではスライドが十分に下がらず、動作不良を起こしやすい。リボルバーに比べて、装薬の強弱が動作に影響しやすい。

安全装置の考え方も違う

もう一つ、見落とされがちな違いが安全装置だ。

多くのリボルバーには、レバーを動かすような安全装置がない。ダブルアクションの重い引き金そのものが、うっかり撃ってしまうのを防ぐ役目を果たしているからだ。ただし、落下時などの安全性は製品ごとの構造で異なる。撃鉄の位置や引き金の重さだけで、安全だと判断することはできない。

自動拳銃は、方式によって考え方がばらばらだ。M1911のように、親指で操作する安全装置と、握ると解除される安全装置の二つを持つものもあれば、グロックのように、引き金の真ん中の小さなレバーを一緒に引かないと撃てない仕組みで、外側に安全装置のレバーを持たないものもある。自動拳銃を手に取ったら、まずその銃がどの考え方で作られているかを知る必要がある。

ここでも、リボルバーは「誰が持っても扱いが同じ」、自動拳銃は「銃ごとに作法が違う」という性格の差が出ている。たまにしか拳銃を撃たない人にとって、この差は小さくない。グロックについてはグロック17の解説で書いている。

歴史で見る|主役はどう入れ替わったか

19世紀はリボルバーの時代

実用的なリボルバーの始まりは、1836年にサミュエル・コルトが特許を取ったコルト・パターソンだとされる。それまでの拳銃は、一発撃つたびに弾を込め直す必要があった。何発も続けて撃てるリボルバーは、拳銃の世界を一変させた。19世紀の後半、アメリカの西部開拓の時代は、まさにリボルバーの時代だった。

発射方式と、次弾を装填する仕組みは分けて考える。
一般的な自動拳銃の「自動」は、次弾を装填する機構を指す。 図を拡大する

1890年代、自動拳銃が現れる

自動拳銃が商業的に成功したのは、1890年代のドイツだ。ボルハルトのC93が最初の成功作とされ、1896年にはモーゼルのC96が登場する。そしてこの流れから、ルガーP08が生まれ、9×19mmパラベラム弾とともにドイツ軍の拳銃になった。ルガーP08についてはルガーP08の解説で書いている。

1911年、アメリカ軍も自動拳銃へ

アメリカ軍は、20世紀の初めまでリボルバーを使っていた。転機になったのは、1911年に採用されたM1911だ。フィリピンでの戦いで、それまでの.38口径のリボルバーでは相手を止めきれなかった、という経験がよく語られる。以後、M1911は70年以上にわたってアメリカ軍の拳銃であり続けた。M1911についてはM1911の解説で書いた。

軍は自動拳銃、警察はリボルバー

20世紀を通じて、軍の拳銃はほとんどが自動拳銃に移っていった。一方、警察では、リボルバーが長く主役であり続けた。アメリカの警察でも、自動拳銃が主流になったのは、1980年代後半から90年代にかけてのことだ。確実で、扱いが分かりやすいリボルバーは、たまにしか撃たない警察官にとって安心な道具だった。

日本の拳銃|軍が先に、警察はいまもリボルバー

旧日本軍は早くから自動拳銃へ

日本の軍の拳銃も、リボルバーから始まった。1893年の二十六年式拳銃は、引き金を引くだけで撃つダブルアクション専用のリボルバーで、撃鉄を親指で起こすことができない作りだった。9mmの専用の弾を6発込める。この二十六年式は、1945年まで使われ続けている。

その一方で、陸軍は1925年に、自動拳銃の南部十四年式拳銃を正式に採用する。日本の軍は、リボルバーと自動拳銃を併用しながら、自動拳銃へと移っていった。南部十四年式については南部十四年式拳銃の解説で書いている。

戦後の自衛隊は、最初から自動拳銃を使ってきた。今の制式拳銃はH&KのSFP9だ。自衛隊の拳銃の流れはSFP9の解説で書いた。

警察はなぜリボルバーなのか

ところが、日本の警察官の腰にあるのは、今もリボルバーが中心だ。1960年からは国産のニューナンブM60が作られ、5発の.38スペシャル弾を込めるこのリボルバーが、長く日本の警察官の拳銃だった。生産が終わったあとも、アメリカのS&Wのリボルバーをもとにした「SAKURA」M360Jなどが使われている。小型の自動拳銃も一部で使われたが、主役にはならなかった。

なぜ日本の警察はリボルバーなのか。はっきりした理由が公式に説明されているわけではないが、私は、日本の警察官が「撃つこと」より「撃たずに済ませること」を前提に拳銃を持っているからだと考えている。めったに撃たないからこそ、何年もしまっておいても確実に動き、弾が入っているかが一目で分かり、扱いの単純な銃がいい。たくさんの弾を素早く撃つことより、一発目を確実に撃てることのほうが大事なのだ。

軍は早くから自動拳銃に移り、警察はいまもリボルバー。同じ国の中で、拳銃の選び方がここまで分かれているのは、それぞれの組織が拳銃に何を求めているかの違いそのものだと思う。

映画とアニメの拳銃の選び方

この違いは、映画やアニメのキャラクターの選び方にも表れている。

キャラクター 拳銃 方式 似合う理由(私の見方)
ルパン三世 ワルサーP38 自動拳銃 身軽で、細身で、仕事を素早くこなす泥棒らしい
次元大介 S&W M19コンバット・マグナム リボルバー 一発で決める早撃ちの名手。確実さと腕前で勝負する男
ダーティハリー S&W M29(.44マグナム) リボルバー 古いタイプの頑固な刑事。強い弾を確実に撃つ
多くの現代の特殊部隊もの グロックなど 自動拳銃 装弾数と再装填の速さが命の現代の戦い

次元がリボルバーを手放さないのは、装弾数より一発の確実さと自分の腕を信じる男だからだ、と私は読んでいる。拳銃の方式が、そのままキャラクターの生き方を語っている。ルパンのワルサーP38についてはワルサーP38の解説で書いた。

エアガンと本で拳銃を手に取る

ルパンの相棒、ワルサーP38は、ガスブローバックのエアガンで手に取れる。撃つたびにスライドが動く感覚は、自動拳銃の仕組みを理解するのにちょうどいい。

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自動拳銃の代表格、M1911のガスブローバックもある。70年以上アメリカ軍を支えた形だ。

旧日本軍の拳銃、二十六年式と南部十四年式の違いを深く知りたいなら、この本が詳しい。

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エアガンは18歳以上用のものが多く、使える場所も決まっている。ルールを守って楽しんでほしい。拳銃型のエアガン選びはサバゲー用ハンドガンおすすめにまとめている。

よくある質問

リボルバーと自動拳銃、どちらが強い?

目的による。少ない弾を確実に撃つならリボルバー、たくさんの弾を素早く撃つなら自動拳銃が向いている。大口径の強い弾を撃つ拳銃にはリボルバーが多い。威力の比較はリボルバー威力ランキングや世界最強の拳銃ランキングで整理している。

自動拳銃は引き金を引き続けると連射できる?

多くはできない。「自動」なのは次の弾を込める作業で、引き金を一回引けば一発だけ撃つ半自動がほとんどだ。引き金を引き続けると連射できる拳銃はごく一部に限られる。

リボルバーはなぜ装弾数が少ないの?

シリンダーに弾を並べるので、弾を増やすとシリンダーが太く重くなるからだ。持ち歩きやすさとの兼ね合いで、5〜6発のものが多い。

リボルバーの弾はなぜ縁がついているの?

多くのリボルバー用の弾は、薬莢の底のふちが張り出している。このふちがシリンダーの穴に引っかかって弾の位置が決まり、まとめて引き抜きやすくなるからだ。弾の名前の読み方は銃弾の名前の読み方で整理している。

日本の警察の拳銃は何?

国産のニューナンブM60や、アメリカのS&Wのリボルバーをもとにした「SAKURA」M360Jなど、リボルバーが中心だ。一部で小型の自動拳銃も使われてきた。

まとめ|「失敗しない機械」と「たくさん撃てる機械」

リボルバーは、回転するシリンダーに弾を入れ、人の手の力でシリンダーを回して撃つ。弾の発射エネルギーに頼らず次の弾を用意でき、使用可能な弾薬の範囲では、装薬の強弱に動作が左右されにくい。そのかわり、装弾数が少なく、再装填に時間がかかる。

自動拳銃は、撃った力で次の弾を自動で込め、握りの中の弾倉からたくさんの弾を素早く撃てる。薄くて持ち歩きやすい。そのかわり、弾詰まりは手で直す必要がある。

歴史の中で、軍は早くから自動拳銃に移り、警察は長くリボルバーを使い続けた。日本でも、旧陸軍は1925年に自動拳銃を採用し、警察官の腰には今もリボルバーがある。どちらが優れているかではなく、何を求めるかで選ぶ道具なのだ。次にルパンと次元の撃ち合いを見るときは、二人の拳銃の違いに注目してみてほしい。銃の種類全体は銃の種類完全ガイドで整理している。

出典・参考資料

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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