銃の解説を読んでいると、必ずつまずく場所がある。弾の名前だ。
「9×19mmパラベラム」「5.56×45mm NATO」「.45 ACP」「.30-06」「12番」。数字と記号とアルファベットが入り混じって、どこをどう読めばいいのか分からない。しかも、同じ「7.62mm」なのにAK-47の弾とHK417の弾は互換性がなく、「.38スペシャル」と「.357マグナム」は名前の数字が違うのに、弾の太さはほぼ同じだったりする。
私は、銃弾の名前を三つの「方言」だと思っている。ミリで書くヨーロッパ式、インチで書くアメリカ式、そして年式で呼ぶ旧日本軍式だ。方言ごとにルールが違うから、混ぜて読むと混乱する。逆に、どの方言かさえ見分ければ、名前はだいたい読める。
この記事では、まず「弾」の正しい呼び方を整理し、そのうえで三つの方言の読み方と、名前の後ろにつく言葉の意味を早見表にまとめる。威力の比較は弾丸威力ランキングに任せて、ここでは名前と数字の意味に集中する。
- 一般に「弾」と呼ぶものの正式な名前は「実包」で、弾丸・薬莢・発射薬・雷管の四つでできている
- ミリ式の「9×19mm」は、弾丸の太さ(約9mm)×薬莢の長さ(19mm)を表す
- インチ式の「.45」は、0.45インチ(約11.43mm)という太さを表し、後ろの言葉で種類を区別する
- 同じ数字でも薬莢の長さや形が違えば別の弾で、互換性はない
まず「弾」の名前を正しく分ける
実包・弾丸・薬莢・発射薬・雷管
ふだん私たちが「弾」と呼んでいる、銃に込める一発。これの正しい名前は「実包」だ。英語ではカートリッジという。実包は、四つの部品でできている。

ここで大事なのは、「弾丸」は飛んでいく先端の部分だけを指すということだ。撃ったあとに足元に転がる金色の筒は薬莢で、弾丸ではない。ニュースや映画の字幕では、このあたりがよくごちゃ混ぜになる。この記事では、四つまとめたものを「実包」、先端だけを「弾丸」と呼び分ける。
方言1|ミリで書くヨーロッパ式
「公称口径×薬莢の長さ」が基本
いま軍用の弾で最もよく見るのが、ミリで書く方式だ。読み方のルールは単純で、「公称口径×薬莢の長さ」を並べている。公称口径は名前の上での太さで、弾丸の実測直径と必ずしも一致しない。
| 表記 | 読み方の例 | 意味 |
|---|---|---|
| 9×19mm | きゅう・かける・じゅうきゅうミリ | 公称口径9mm、薬莢の長さ19mm |
| 5.56×45mm | ごーごーろく・かける・よんじゅうごミリ | 公称口径5.56mm、薬莢の長さ45mm |
| 7.62×51mm | ななろくに・かける・ごじゅういちミリ | 公称口径7.62mm、薬莢の長さ51mm |
| 7.62×39mm | ななろくに・かける・さんじゅうきゅうミリ | 公称口径7.62mm、薬莢の長さ39mm |

「×」は「かける」のほか、英語風に「バイ」と読む人もいる。会話では後ろの数字を省いて、「ごーごーろく」「ななろくに」と呼ぶことが多い。
前の数字が同じでも、後ろが違えば別の弾
このミリ式で、いちばん大事なのは後ろの数字だ。前の数字は太さなので、似た数字の弾がいくらでもある。後ろの薬莢の長さが違えば、銃に入らないし、撃てない。
その代表が「7.62mm」だ。AK-47が使う7.62×39mmと、HK417や機関銃が使う7.62×51mmは、太さはほぼ同じでも、薬莢の長さが12mmも違う。火薬の量も、弾の勢いもまるで別物だ。私はこれを「同じ苗字の他人」と呼んでいる。苗字が同じでも、家族ではない。AK-47についてはAK-47の解説、HK417についてはHK417の解説が詳しい。
同じことは「9mm」にも言える。拳銃でいちばん普及している9×19mmのほかに、9×18mm、9×17mmなど、太さ9mm前後の弾はたくさんある。「9ミリ」とだけ言われたら、たいていは9×19mmのことだが、それは慣習であってルールではない。
後ろにつく言葉|パラベラムとNATO
ミリ式の後ろには、名前が添えられることが多い。
「9×19mmパラベラム」のパラベラムは、ラテン語の格言「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」から取られた言葉だ。この弾を生んだドイツの会社が、この格言を電報の宛名に使っていたことに由来する。ルガーP08のために作られた弾で、120年以上たった今も、世界の拳銃弾の中心にいる。
「NATO」は、NATO加盟国のあいだで共通に使うと決めた規格の弾だという印だ。5.56×45mm NATOや7.62×51mm NATOがそうで、加盟国どうしで弾を融通し合えるようにしている。
方言2|インチで書くアメリカ式
「.45」は0.45インチ
アメリカ生まれの弾は、インチで太さを書くことが多い。先頭の「.」は小数点で、「.45」は0.45インチ、つまり約11.43mmを表す。日本では「45口径」と呼ばれることも多い。
インチ式は、ミリ式と違って薬莢の長さを書かない。そのかわり、後ろにつく言葉で種類を区別する。ここがインチ式の難しさで、そして面白さでもある。
後ろの言葉の早見表
| 表記 | 読み方の例 | 後ろの言葉の意味 |
|---|---|---|
| .45 ACP | フォーティーファイブ・エーシーピー | オートマチック・コルト・ピストルの略。M1911などの拳銃用 |
| .50 BMG | フィフティー・ビーエムジー | ブローニング・マシンガンの略。重機関銃や対物ライフル用 |
| .22 LR | トゥエンティーツー・エルアール | ロング・ライフルの略。小さな競技・練習用の弾 |
| .38 スペシャル | サーティーエイト・スペシャル | 古い.38弾を強化した「特別版」 |
| .357 マグナム | スリーファイブセブン・マグナム | マグナムは「強装」の意味。火薬を増やした強力な弾 |
| .30-06 | サーティー・オーシックス | .30口径で、1906年に採用されたことを表す |
| .308 ウィンチェスター | スリーオーエイト・ウィンチェスター | 開発した会社の名前 |
| .223 レミントン | ツーツースリー・レミントン | 開発した会社の名前 |

写真:National Park Service/出典(Public domain)
後ろの言葉は、大きく分けて四種類ある。銃の名前(ACP、BMG)、用途や強さ(スペシャル、マグナム)、会社の名前(ウィンチェスター、レミントン)、そして年(.30-06の06)だ。
.50 BMGは、ミリ式で書けば12.7×99mmになる。M2重機関銃が撃つ弾で、同じ弾を対物ライフルも使う。.45 ACPは、M1911のために作られた弾だ。
名前の数字は「だいたい」
インチ式でいちばん意外なのは、名前の数字が実際の弾丸の太さと一致しないことがある点だ。
たとえば.38スペシャル。名前は.38だが、弾丸の実際の太さは約0.357インチで、.357マグナムとほぼ同じだ。昔の弾の作り方のなごりで、名前の数字だけが古いまま残った。だから.357マグナムを撃てるリボルバーの多くは、.38スペシャルも撃てる。名前の数字は違うのに、中身は兄弟のようなものなのだ。
.30-06と.308も似た話だ。どちらも.30口径の仲間だが、「.308」のほうは、銃身の溝の山ではなく、弾丸そのものの太さに近い数字を名前にしている。名前の数字は、どこを測ったか、いつ名付けたかで揺れる。インチ式の数字は「だいたいこのくらいの太さ」という目印だと思っておくと、混乱しにくい。
軍用と民間用は「そっくりだが同じではない」
ミリ式とインチ式が交わるところにも、落とし穴がある。7.62×51mm NATOと.308ウィンチェスター、5.56×45mm NATOと.223レミントンは、外から見るとほぼ同じ寸法だ。ところが、圧力の測り方や、銃の薬室の寸法の基準が違う。
アメリカの射撃団体の解説でも、7.62mm NATOと.308ウィンチェスターは、薬室の寸法や圧力の基準が異なるとされている。名前を見て「同じものだ」と思い込むのは危ない。軍用の規格と民間の規格は、そっくりな双子のようでいて、別々に育てられた兄弟なのだ。
方言3|年式で呼ぶ旧日本軍式
名前が「いつ作ったか」を語る
三つ目の方言が、旧日本軍の呼び方だ。旧日本軍は、弾を「三八式実包」「九九式普通実包」のように、採用した年の数字で呼んだ。三八式は明治38年、九九式は皇紀2599年の採用を表す。
ここに、私がいちばん面白いと思うポイントがある。欧米の名前は「どんな大きさか」を語り、日本の名前は「いつ作ったか」を語るのだ。九九式という名前を聞いても、弾の太さは分からない。そのかわり、どの世代の装備なのかはすぐに分かる。名前の付け方に、それぞれの軍の考え方がにじんでいる。
ミリ式に書き直すと、こうなる。
| 旧日本軍の呼び方 | ミリ式で書くと | 主な銃 |
|---|---|---|
| 三八式実包 | 6.5×50mmSR | 三八式歩兵銃 |
| 九九式普通実包 | 7.7×58mm | 九九式小銃、九九式軽機関銃 |
| 十四年式拳銃実包 | 8×22mm | 南部十四年式拳銃 |
6.5×50mmSRのSRは、薬莢の底のふちが少しだけ張り出した「半起縁式」という形を表す。ミリ式の後ろについた記号も、形の違いを語っているわけだ。
二つの口径が生んだ苦労
この表を見ると、旧日本軍の悩みも見えてくる。三八式歩兵銃は6.5mm、後から出た九九式小銃は7.7mm。戦争の途中で小銃の口径を変えたため、前線には二種類の小銃弾が混在した。違う弾を間違えて届ければ、撃てない。補給の現場の混乱は、想像するだけで胃が痛くなる。
名前を年式で呼んでいたことも、この混乱と無関係ではなかったと私は思う。「三八式」と「九九式」という名前からは、弾の太さの違いが直感的に伝わらないからだ。名前の付け方ひとつが、兵站の分かりやすさに響く。弾の名前は、ただのラベルではないのだ。二つの小銃については三八式歩兵銃の解説と九九式小銃の解説で書いている。
ちなみに、戦後の自衛隊の小銃は、NATOと同じ寸法の弾に合わせてきた。89式小銃も20式小銃も5.56×45mmを使う。名前の付け方も、年式の「89式」は銃の名前に残り、弾はミリで呼ぶ形になった。
番外編|数字が逆さまの「12番」と、大砲の「口径」
散弾銃の12番は「大きいほど細い」
散弾銃の「12番」(12ゲージ)は、三つの方言のどれにも当てはまらない、さらに独特な呼び方だ。これは、1ポンドの鉛から、その銃身の太さの鉛の球がいくつ作れるか、という数で表している。12番なら12個、20番なら20個。だから、数字が大きいほど銃身は細くなる。ふつうの物差しとは逆さまだ。
世界でいちばん作られた散弾銃と言われるモスバーグM500も、12番が代表的な口径だ。
大砲の「45口径」は長さの話
もう一つ、ミリタリーファンが混乱しやすいのが、大砲の「口径」だ。戦艦大和の主砲は「45口径46cm砲」と呼ばれる。この「46cm」は砲弾の太さだが、「45口径」は太さではない。砲身の長さが、太さの45倍あるという意味だ。
つまり、拳銃の「45口径」は太さ、大砲の「45口径」は長さ。同じ言葉が、まったく違うものを指している。大和の主砲については戦艦大和の解説でも触れている。
私流・弾の名前を読む三つの手順
ここまでの話を、私なりの読み方の手順にまとめておく。知らない弾の名前に出会ったら、次の三つを順に確かめるといい。
| 手順 | 確かめること | 例 |
|---|---|---|
| 1 | どの方言か。ミリか、インチか、年式か | 「.」で始まればインチ、「×」があればミリ、「式」があれば年式 |
| 2 | 数字は何を表しているか | ミリなら太さと薬莢の長さ、インチなら太さ、年式なら採用年 |
| 3 | 後ろの言葉は何か | 銃の名前、会社の名前、用途、規格、形の記号 |

この三つで、たいていの弾の名前は読める。そして最後に、もう一つだけ覚えておいてほしい。数字が似ていても、名前が一字でも違えば別の弾だということだ。
よく見る弾の読み方早見表
最後に、この記事に出てきた弾と、よく見る弾をまとめておく。
| 表記 | 主な読み方 | 主な銃 |
|---|---|---|
| 9×19mm | きゅうミリ、ナインパラ | グロック17、SFP9、MP5 |
| 5.56×45mm | ごーごーろく | M4、89式小銃、20式小銃 |
| 7.62×51mm | ななろくに(NATO) | HK417、機関銃 |
| 7.62×39mm | ななろくに(AK) | AK-47 |
| 5.45×39mm | ごーよんご | AK-74 |
| 5.7×28mm | ごーなな | P90、Five-seveN |
| 6.8×51mm | ろくはち | SIG M7 |
| .45 ACP | 45口径、フォーティーファイブ | M1911、トンプソン |
| .50 BMG | 50口径 | M2重機関銃、バレットM82 |
| .30-06 | サーティー・オーシックス | M1ガーランド |
| 12番 | じゅうにばん、12ゲージ | モスバーグM500 |
5.7×28mmについては5.7×28mm弾の解説で、6.8×51mmを使う米陸軍の新小銃はSIG M7の解説で書いている。
エアガンの箱に書かれた「9×19mm」
サバゲーやエアガンが好きな人なら、エアガンの説明に「9mmパラベラム仕様」「.45口径」などと書かれているのを見たことがあると思う。これは、もとになった実銃の弾の名前だ。エアガンそのものが撃つのは、主に直径6mmのBB弾で、実包ではない。
それでも、モデルになった銃がどの弾を使うのかを知っていると、エアガン選びはぐっと楽しくなる。たとえば.45 ACPの代表格、M1911のガスブローバック。
9×19mmの代表格なら、世界で最も使われる拳銃グロック17だ。
自衛隊の5.56×45mmを撃つ89式小銃も、ガスブローバックで手に取れる。
5.56mmと7.62mmの思想の違いを、M4とAKを比べながら深掘りしたいなら、この本がいい。
エアガンは18歳以上用のものが多く、使える場所も法律や施設のルールで決まっている。購入と使用は、年齢と場所の決まりを守ってほしい。サバゲー用の拳銃選びはサバゲー用ハンドガンおすすめにまとめている。
投資家目線|弾は「消耗品」のビジネス
銃は一度買えば何十年も使えるが、弾は撃てばなくなる。だから弾薬は、訓練をするだけで需要が続く消耗品のビジネスだ。2022年以降、世界中で弾薬の不足と増産が話題になったのも、この性質による。
日本で弾薬に関わる企業の全体像は日本の弾薬関連企業一覧にまとめている。
※この記事は特定の銘柄の売買を勧めるものではない。株価や業績は変動し、元本割れの可能性もある。投資判断は自己責任で。
よくある質問
「口径」とは何?
小銃や拳銃では、銃身の内径や弾の太さを示す呼び方だ。ただし、公称口径と弾丸の実測直径は必ずしも一致しない。ミリでもインチでも表す。ただし大砲では、「45口径」のように砲身の長さを表す言葉としても使われるので注意したい。
9mmと.38は同じ太さ?
ほぼ同じだ。9×19mmの弾丸の太さは約9mm、.38スペシャルの弾丸の実際の太さは約0.357インチ(約9.1mm)で、とても近い。ただし薬莢の形も長さも違うので、互いに撃つことはできない。
5.56mmと.223は同じ弾?
寸法はほぼ同じだが、規格は同じではない。軍用の5.56×45mm NATOと民間の.223レミントンは、圧力の基準や薬室の寸法に違いがあるとされる。名前が違う弾は、別の弾だと考えるのが安全だ。
「マグナム」とは何?
もとの弾より火薬を増やして、強力にした弾につけられる名前だ。.357マグナムや.44マグナムが有名で、同じくらいの太さの普通の弾より、反動も威力も大きい。
弾の名前の「R」や「SR」は何?
薬莢の底の形を表す記号だ。Rは底のふちが大きく張り出した起縁式、SRは少しだけ張り出した半起縁式を表す。リボルバーや古い小銃の弾に多い。
まとめ|名前は「方言」を見分ければ読める
銃に込める一発の正しい名前は「実包」で、飛んでいく先端だけが「弾丸」だ。そして実包の名前は、三つの方言で書かれている。ミリで太さと薬莢の長さを並べるヨーロッパ式、インチで太さを書いて後ろの言葉で区別するアメリカ式、採用年で呼ぶ旧日本軍式だ。
方言を見分け、数字の意味を確かめ、後ろの言葉を読む。この三つの手順で、たいていの名前は読める。そして、数字が似ていても名前が違えば別の弾だということ。「同じ苗字の他人」がたくさんいるのが、弾の世界なのだ。
名前の付け方には、それを作った国や軍の考え方も表れる。大きさを語る欧米、年を語る旧日本軍。次に弾の名前を見かけたら、どの方言で書かれているかを考えてみてほしい。弾の名前が、ただの記号から、歴史の手がかりに変わって見えるはずだ。
最後まで読んでくれてありがとう。長い記事を書くときのお供は、だいたいこれだ。







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