M24 SWSとは|自衛隊初の本格専用狙撃銃、その採用から更新までを徹底解説

M24 SWSをイメージした博物館展示

M24 SWS(Sniper Weapon System)とは、レミントン・アームズ社製のボルトアクション狙撃銃と光学照準器などの付属品一式で構成される、アメリカ陸軍の狙撃システムだ。1988年の制式採用以来、M40とはで扱った海兵隊のM40と並び、レミントンM700を土台にした西側狙撃銃の代表格であり続けてきた。

そして日本の読者にとって特に重要なのが、このM24 SWSが、陸上自衛隊にとって「初の本格的な専用狙撃銃」だったという事実だ。それまで自衛隊は64式小銃にスコープを載せただけの装備で精密射撃任務をこなしており、専用に設計された狙撃システムを持っていなかった。本記事では、M24 SWS誕生の経緯・ロングアクションという設計の先見性・自衛隊が初めてこの銃を選んだ理由・そして後継機XM2010への発展までを一本で解説する。

この記事でわかること
M24 SWSをイメージした博物館展示
M24 SWSは、レミントンM700を土台にアメリカ陸軍が1988年に採用した精密ライフルシステムである。
目次

M24 SWSの基本スペック

M24 SWSのシステム構成をイメージした展示ケース
M24は銃単体ではなく、光学照準器や携行ケースなどを含むシステムとして整備された。
まず押さえる特徴

M24とM40は、どちらもレミントンM700系を土台にしているため混同されやすい。しかし、陸軍のM24は将来の大口径化を見据えたロングアクション、海兵隊のM40はショートアクションという違いを持つ。この一点だけでも、両者が似て非なる装備だとわかる。

比較軸M24 SWSM40
採用軍種アメリカ陸軍アメリカ海兵隊
採用年1988年1966年
アクションロングアクションショートアクション
発展方向XM2010など大口径化へ発展PWS手組みでM40A1以降へ発展
項目内容
正式名称M24 Sniper Weapon System
開発・製造レミントン・アームズ社
制式採用1988年(アメリカ陸軍)
ベースレミントンM700ロングアクション
口径7.62×51mm NATO弾(.308ウィンチェスター相当)
作動方式ボルトアクション式
装弾数5発(内蔵式ボックスマガジン、初期仕様)
自衛隊での導入2002年(評価用購入)、「対人狙撃銃」として制式化
主な後継M24E1 ESR(通称XM2010、2010年)、日本ではG28E2(2023年)

まず名称に注目したい。「M24」は銃単体ではなく、ケースや専用の革製スリングなど付属装備一式を含めた「システム」として提供されるため、「Sniper Weapon System(精密ライフルシステム)」という呼び方が正式に採用されている。この設計思想は、単なる銃の性能だけでなく、運用全体を一つのパッケージとして完成させるという、アメリカ軍らしい調達哲学を映し出している。

開発経緯|ロングアクションという先見性

M24 SWSのロングアクション設計思想をイメージした資料展示
M24最大の特徴は、将来の大口径化を見据えてロングアクションを選んだ先見性にある。
ロングアクションの意味

M24のロングアクションは、単なる寸法の違いではない。採用当初は7.62mm NATO弾を使いながら、将来さらに長い弾薬へ移る可能性を最初から残していた。この余白が、後年のXM2010化で効いてくる。

設計判断内容後年への影響
ロングアクション採用.300ウィンチェスターマグナム級への発展余地を残したXM2010化で活きた
M700系ベース民生用として実績ある設計を軍用システム化M40との比較軸になった
システム調達光学機器や携行ケースを含む一式として整備単体性能だけでなく運用全体を重視

M24 SWS誕生の土台になったのは、1962年発売のレミントンM700だ。すでに海兵隊がこの銃をベースにした狙撃銃を1966年から運用していた実績があり、アメリカ陸軍もこれに続く形で、高性能な狙撃銃の開発に乗り出す。

ここで陸軍が下した重要な決断が、M700の中でも「ロングアクション」仕様を選んだことだ。当初の制式弾薬は海兵隊のM40と同じ7.62mm NATO弾(.308ウィンチェスター相当)だったが、陸軍はあえて、より強力な.300ウィンチェスターマグナム弾の使用も見据えたロングアクションのレシーバーを採用した。この判断が、後年M24を.300ウィンマグ仕様へと発展させる際、レシーバーそのものを一から設計し直す必要がないという大きな利点を生むことになる。目先の性能だけでなく、将来の拡張性まで見据えた設計選択だったのだ。M40がショートアクションを選び現在も.308弾にとどまっているのとは対照的に、この一点の違いが、後の両者の運命を分けていくことになる。

具体的な仕様としては、H-Sプレシジョン社製のグラスファイバーストック、リューポルド社製の光学照準器、そしてトリガーガードはアルミ製からダコタ・アームズ社タイプのスチール製へと変更された。銃身はM118LR(175グレイン)のマッチアモに合わせて調整され、レシーバー側面と銃身先端上面にはレッドフィールド製の競技用ピープサイト取り付け用ベースも用意されている。1988年、こうして完成したM24は、アメリカ陸軍の制式狙撃システムとして採用された。

自衛隊への導入|64式スコープからの脱却

陸上自衛隊によるM24 SWS導入をイメージした展示
日本ではM24 SWSが、陸上自衛隊初の本格的な専用狙撃銃として重要な意味を持った。
自衛隊史としての見どころ

陸上自衛隊にとって、M24は単なる輸入ライフル以上の意味を持つ。64式小銃に照準眼鏡を載せた装備から、専用設計の狙撃システムへ移る節目になったからだ。この流れは、後年のG28E2更新までつながっていく。

時期装備・動き意味
M24導入前64式小銃に照準眼鏡を載せた装備で対応専用システム導入前の段階
2002年M24 SWSを評価用として購入本格的な専用狙撃銃導入の出発点
2023年度以降G28E2への更新が始まるセミオート精密ライフルへの世代交代

ここからは、日本にとって特に重要な物語だ。M24 SWSが制式採用されるまで、陸上自衛隊には専用設計の狙撃銃というもの自体が存在しなかった。64式7.62mm小銃に照準眼鏡(スコープ)を後付けした装備で精密射撃任務をこなしていたのだ。しかし本格的な専用狙撃銃と比べれば、有効射程や命中精度の面で見劣りすることは否めなかった。加えて、64式小銃自体が89式小銃とはで扱った89式小銃への更新で数を減らしつつあったことも、状況を後押しする要因になっていた。

2002年、陸上自衛隊はアメリカ・レミントン社製のM24 SWSを、まず評価用として購入する。テロ対処能力の向上という時代の要請も背景にあり、評価を経てこの銃は「対人狙撃銃」の名称で正式に採用された。これが、自衛隊にとって初の本格的な専用狙撃銃だったのだ。以後、富士総合火力演習にもたびたび登場しており、2009年度の展示では、精密射撃能力を示すデモンストレーションも行われている。専用弾を必要とせず、NATO標準の7.62mm弾を使えるという扱いやすさも、選定の一因になったと見られる。

もっとも、この自衛隊のM24 SWSも、いずれその役目を終えることになる。2023年度から、後継としてドイツH&K社の「G28E2」への更新が始まっているのだ。この選定の詳しい経緯や理由については、HK417とは|自衛隊も選んだ、HK416の7.62mm大口径版を徹底解説で詳しく扱っている。

アメリカ本国での進化|M110との併用から、XM2010へ

M24 SWSとM110 SASSの役割分担をイメージした比較展示
アメリカ陸軍では、M110採用後もM24系列が長距離精密射撃用として併用された。
アメリカ軍での進化

M110 SASSの登場で、M24がすぐに不要になったわけではない。セミオートのM110と、ボルトアクションのM24系列は、それぞれ得意な距離や役割が違う。米陸軍はこの違いを踏まえ、M24をXM2010へ発展させていった。

装備特徴M24との関係
M24 SWS7.62mm NATO弾を使うボルトアクション式システム陸軍精密ライフルの基礎
M110 SASSセミオート式の精密射撃用ライフルM24と役割を分けて併用
XM2010.300ウィンチェスターマグナム対応の発展型M24のロングアクション設計を活かした更新
M24 SWSからXM2010への近代化をイメージした展示
ロングアクションを選んだM24は、後年.300ウィンチェスターマグナム対応のXM2010へ発展した。

アメリカ本国でも、M24 SWSは長い進化の道をたどってきた。イラク戦争では、長距離の精密射撃を求められる場面でM24などのボルトアクション式ライフルが評価された一方、連続的な対応にはセミオート式の装備が求められる場面もあった。この課題に応える形で、2008年、アメリカ陸軍はナイツ・アーマメント社製のセミオート狙撃銃を「M110 SASS(セミ・オートマチック・スナイパー・システム)」として制式採用する。

しかし興味深いのは、M110採用後も陸軍がM24 SWSの調達・運用を継続したことだ。市街戦などの近距離ではセミオートのM110、M110では届かない長距離の精密狙撃にはボルトアクションのM24系列、という役割分担が敷かれたのだ。この考え方は、マークスマンライフルという概念とも重なる部分がある。

2010年、M24をさらに発展させた「M24E1 ESR(エンハンスド・スナイパーライフル)」がテストを経て制式採用される。通称は「XM2010」。新型の40Xトリガーアセンブリ、416Rステンレス鋼製の新型銃身、ケブラー・グラファイト複合材の折りたたみ式ストック、そして何より.300ウィンチェスターマグナム弾への対応が、この発展型の核心だ。ここで、M24のロングアクションが持っていた先見性が、ついに実を結ぶことになる。2011年には既存M24を完全にこの仕様へ置き換える方針が決定され、2014年4月までに2,558丁のM24E1 ESRが納入された。なお、これはレミントン社が別途発表していた新設計の口径可変ライフル「MSR」とは異なり、M24の機関部をそのまま流用した発展型である点には注意したい。

さらに特殊作戦軍向けには、.300ウィンマグを上回る.338ラプアマグナム弾を使う「M24A3」も開発され、レミントン社自身の新型MSRやFN社のバリスタ、アキュラシー・インターナショナル社のAXといった強豪との競争を制して採用された。一つの会社が、自社の新旧2つの狙撃銃で競い合うことになったという、なんとも興味深い一幕である。

レミントン・アームズ社という企業と防衛産業の視点

レミントンM700とM24 SWSの産業史をイメージした資料展示
M24の背景には、民生用名作ライフルM700を軍用システムへ展開したレミントンの設計資産がある。
産業史として読むなら

M24とM40を並べて見ると、民生用のM700という設計資産が、軍種ごとにまったく違う装備文化を生んだことがわかる。陸軍はシステムとしてのM24を、海兵隊は内部手組みのM40を育てた。同じ土台から分かれた二つの道として読むと、銃器産業史としてもかなり面白い。

見る軸M24から見えること注意点
製品史M700の設計資産が軍用システムへ展開された民生人気と軍用採用は別の評価軸
調達史光学機器やケースを含む一式として整備された銃単体ではなく運用パッケージで見る
投資視点銃器史は防衛産業を読む入口になる株価は受注、規制、再編、為替で変動する

M24 SWSを生んだレミントン・アームズ社は、民間の狩猟・競技用ライフルとして絶大な人気を誇るM700を土台に、陸軍・海兵隊双方の制式狙撃銃を生み出してきたアメリカの老舗銃器メーカーだ。一つの民生用設計が、異なる軍種でそれぞれ独自の発展を遂げていくという構図は、銃器産業における設計資産の再利用のあり方を考えるうえでも興味深い。

装備を「企業の製品」として見ると、ミリタリーの知識は投資のテーマへとつながっていく。防衛費増額を背景に、世界的に防衛関連企業への関心が高まっている。日本でもどの企業が恩恵を受けるのかを体系的に押さえたいなら防衛関連銘柄 完全投資ガイドが出発点になる。

もっとも、投資は自己責任が原則だ。「銃に詳しいこと」と「関連企業の株で利益が出ること」は別の話で、株価は受注動向や為替、地政学リスクに左右され、上昇も下落もする。値上がりを保証するものは何もない。まずは少額から仕組みを学ぶのが賢明で、証券口座はそのための道具にすぎない。

自衛隊の装備調達の歴史、アメリカ軍の精密ライフル選定の流れ、テロ対処能力向上という時代の要請——こうした知識を体系的に学ぶには良書が近道だ。通勤や移動中に耳から聴けるオーディオブックは、ミリタリーファンの知識を効率よく広げてくれる。

M24 SWSをエアガンで楽しむ

M24 SWS系エアガンを安全に楽しむ趣味用ディスプレイ
日本ではエアガンや資料を通じて、M24やXM2010の造形と歴史を安全に楽しめる。
日本で楽しむなら

実銃を所持できない日本でも、M24 SWSのあの伝統的なボルトアクション狙撃銃のフォルムはエアガンとして親しまれている。後継のXM2010(M24E1 ESR)をモデルにしたエアコッキングガンも、海外メーカーから発売されており、折りたたみストックなど実銃の特徴を再現した製品も存在する。

サバゲーでボルトアクション系エアガンの世界観を安全に楽しみたいなら、まずスナイパーライフル全体の世界を知っておきたい。世界最強スナイパーライフルランキングで、M24と他の名銃との違いを比較してほしい。エアガンの作動方式の基礎を押さえたいなら電動ガン・ガスガン・エアコキの違いも参考になる。

弾道の安定感はBB弾の質にも左右される。安定した品質のものを選びたい。

よくある質問(FAQ)

M24 SWSとM40の違いは何ですか?

どちらもレミントンM700がベースだが、別の軍種・別の系譜の銃だ。M24はアメリカ陸軍が1988年に採用したロングアクション仕様で、レミントン社自身が完成品として法執行機関向けにも販売している。M40はアメリカ海兵隊が1966年に採用したショートアクション仕様で、海兵隊内の専門部署が手作業で組み立てる内部専用モデルだ。

なぜM24はロングアクションを採用したのですか?

初期の制式弾薬は7.62mm NATO弾だったが、アメリカ陸軍は将来的により強力な.300ウィンチェスターマグナム弾を使用する可能性を見据え、あえてロングアクションのレシーバーを採用した。この先見性のある設計選択により、後年.300ウィンマグ仕様へ発展させる際、レシーバーを一から設計し直す必要がなかった。

自衛隊はいつM24 SWSを導入したのですか?

2002年、陸上自衛隊はまず評価用としてM24 SWSを購入し、その後「対人狙撃銃」の名称で正式に採用した。これは自衛隊にとって初の本格的な専用狙撃銃だった。それまでは64式小銃にスコープを取り付けた装備で精密射撃任務をこなしており、専用設計の狙撃システムを持っていなかった。

XM2010とM24はどう違いますか?

XM2010(正式名M24E1 ESR)は、M24の機関部(レシーバー)をそのまま流用しながら、.300ウィンチェスターマグナム弾に対応させた発展型だ。新型の40Xトリガー、416Rステンレス鋼製銃身、折りたたみ式ストックなどが追加されている。2010年に制式採用され、2014年4月までに2,558丁が納入された。レミントン社が別途発表した口径可変式の新設計ライフル「MSR」とは異なる系統の銃だ。

自衛隊のM24 SWSは今どうなっていますか?

2023年度から、ドイツH&K社の「G28E2」への更新が始まっている。セミオート射撃が可能なG28E2の採用は、自衛隊の狙撃思想が新しい段階に入ったことを示す出来事だ。

まとめ|先見性が実を結んだ、陸軍と自衛隊の選択

M24 SWSは、レミントンM700というベストセラー民生銃を土台に、アメリカ陸軍が1988年に完成させた狙撃システムだ。あえてロングアクションを選ぶという先見性ある設計判断が、後年.300ウィンマグ仕様のXM2010へと発展する道を開いた。

そして日本にとって、この銃は特別な意味を持つ。64式小銃にスコープを載せただけの装備から脱却し、初めて専用設計の狙撃銃を手にした——2002年のM24 SWS導入は、自衛隊の狙撃能力における一つの転換点だった。2023年からのG28E2への更新は、その次の転換点だ。一挺の銃の来歴を追うことは、そのまま自衛隊の装備史を辿ることにもなる。

銃器の世界をさらに広げたい読者は、東側の分隊狙撃哲学を体現するSVDドラグノフとはへ、銃器全体のカテゴリを俯瞰した銃の種類完全ガイドへと読み進めてほしい。一挺の銃から、技術・歴史・産業・投資へと、視界はどこまでも広がっていく。

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