世界の特殊部隊一覧|国別・部隊名・所属組織・任務を総まとめ

海上・空挺・偵察任務を準備する複数の特殊作戦チーム
海上・空挺・偵察任務を準備する複数の特殊作戦チーム
特殊作戦部隊は任務ごとに装備・訓練・支援体制を組み替える

世界の特殊部隊を理解する鍵は、派手な戦歴や知名度ではなく、誰の指揮下で何を任される部隊なのかを見ることにある。

SAS、Navy SEALs、GIGN、特殊作戦群は、日本語ではひとまとめに「特殊部隊」と呼ばれやすい。しかし実際には、軍、警察、憲兵、特殊偵察、海上阻止の部隊が混在している。所属も任務も違う部隊を装備や選抜だけで並べても、実像は見えない。

世界の特殊部隊を理解する要点

公開情報で存在と所属を確認できる主要部隊を国別に整理する。非公表の人数、編制、装備、作戦歴は推測せず、2026年7月時点の公式資料を優先した。

最強という評価軸は別記事へ分けている。

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野外偵察を行う軍部隊と建物突入を訓練する警察部隊
軍の特殊作戦と警察の対テロ・人質救出は法的根拠と指揮系統が異なる
目次

特殊部隊とは何か

特殊作戦部隊の基本

NATOは特殊作戦を、特別に指定・編成・訓練・装備された軍事部隊が、通常部隊とは異なる技法と運用方式で実施する軍事活動と説明している。小規模部隊の技能、自立性、秘密性、政治的に敏感な環境での行動が重視される一方、多くの作戦には航空輸送、情報、通信、衛生、補給など通常部隊の支援も欠かせない。[1]

特殊作戦部隊は「少人数で強い兵士」だけを意味しない。国家目標に直結する任務を、専用の指揮・情報・輸送・支援体系と一体で遂行する組織である。私は、実力は黒い装備の威圧感ではなく、国家が数十人にどこまで政治的責任を預けるかに表れると考える。

軍特殊部隊と警察特殊部隊は別物

軍の特殊作戦部隊は、国外を含む戦域での偵察、直接行動、友軍支援、非正規戦などを担う。これに対し、警察特殊部隊は国内法に基づく逮捕、人質救出、銃器犯罪・テロ事件への対処が中心である。

フランスのGIGNは国家憲兵隊、ドイツのGSG 9は連邦警察、日本のSATは都道府県警察に置かれる。いずれも高度な戦術能力を持つが、軍のSASやKSKと同じ指揮系統ではない。イタリアのGISのように、憲兵組織に所属しながら軍特殊部隊と警察対テロ部隊の二面性を持つ例もある。[18][19][20]

コマンド部隊や空挺部隊もすべてSOFではない

「コマンド」「レンジャー」「空挺」という名称だけでは、特殊作戦部隊か判断できない。精鋭通常部隊として大規模強襲を担う例もあるため、本記事では政府・軍が特殊作戦、特殊戦、特殊任務として位置付ける部隊を中心に掲載する。

「Tier 1」は世界共通ランキングではない

Tier 1、Tier 2という言葉は、米軍の任務優先度や資源配分を説明する文脈、あるいはメディアや愛好家の便宜的分類で使われる。しかし、世界各国の部隊を同じ尺度で公式認定する制度はない。

デルタフォースをTier 1、一般のSEALチームをTier 2と呼ぶ説明は広く見られるものの、そのまま日本、フランス、イスラエルの部隊へ当てはめると誤解を生む。部隊の優劣より、指揮権、即応範囲、任務、支援能力を見る方が実態に近い。

特殊部隊が担う主な任務

代表的な任務

各国で用語は異なるが、軍特殊作戦部隊の任務はおおむね次の領域に整理できる。米特殊作戦軍は、人質救出特殊偵察直接行動非正規戦、対テロ、治安部隊支援、大量破壊兵器対処などを公式任務として挙げている。[2]

任務内容
特殊偵察敵支配地域や政治的に敏感な地域で情報を収集し、目標を監視・標定する
直接行動重要目標の襲撃、破壊、奪取、要人・物資の確保など短時間の攻撃行動を行う
軍事支援同盟国・友好勢力を訓練し、助言し、共同で作戦能力を構築する
非正規戦抵抗組織や現地勢力を支援し、通常戦とは異なる方法で敵へ圧力を加える
対テロ・人質救出テロ組織の無力化、人質の救出、国外にいる自国民の保護を行う
海上特殊作戦艦船・海洋施設への潜入、船舶臨検、港湾偵察、水中破壊を行う
戦闘捜索救難敵地や危険地域から航空要員・孤立要員を回収する
CBRN対処核・生物・化学兵器や危険物質に関係する目標の捜索・確保を支援する

一部隊がすべてを担うわけではない。米陸軍特殊部隊は現地勢力との協働、海軍特殊戦部隊は海からの潜入、空軍特殊戦部隊は航空統制や救難に強い。「最強」は任務条件なしには決めにくい。

北米の特殊部隊一覧

北米の特徴
主な部隊所属組織主な任務
アメリカ陸軍特殊部隊群(グリーンベレー)米陸軍特殊作戦コマンド非正規戦、軍事支援、特殊偵察、直接行動
アメリカ第75レンジャー連隊米陸軍特殊作戦コマンド高即応の直接行動、飛行場・重要拠点の奪取
アメリカNavy SEALs海軍特殊戦コマンド海上を起点とする直接行動、特殊偵察、協力国支援
アメリカMarine Raiders海兵隊特殊作戦コマンド直接行動、特殊偵察、外国部隊への助言
アメリカAir Force Special Tactics空軍特殊作戦コマンド航空火力・航空交通管制、偵察、救難支援
カナダJTF 2カナダ特殊作戦軍対テロ、人質救出、高リスク直接行動
カナダCSORカナダ特殊作戦軍直接行動、特殊偵察、軍事支援
カナダ427 SOASカナダ特殊作戦軍特殊作戦航空、部隊輸送・航空支援
カナダCJIRUカナダ特殊作戦軍CBRN環境での偵察、危険物質対処支援

アメリカは、陸・海・空・海兵隊の各特殊作戦部隊を統合軍であるUSSOCOMが束ねる。2026年版公式ファクトブックでは、USASOC、NSWC、AFSOC、MARSOCの4軍種構成コマンドと、統合特殊作戦コマンドJSOC、地域別の特殊作戦コマンドが示されている。[2]

デルタフォースやDEVGRUはJSOC配下の特殊任務部隊として広く知られるが、正式編制と現行任務の公開は限定的である。

カナダはJTF 2だけでなく、CSOR、特殊作戦航空の427 SOAS、CBRN対処のCJIRU、教育部門をCANSOFCOMに統合している。特殊部隊を突入要員だけでなく、航空・化学防護・教育まで含むシステムとして見ると、カナダの編制は分かりやすい。[3]

夜間に船舶へ接近する海上特殊作戦チーム
海上阻止・船舶臨検・沿岸偵察では潜水技能と舟艇運用が欠かせない

ヨーロッパの特殊部隊一覧

欧州の制度差
主な部隊所属組織主な任務
イギリスSASUK Special Forces陸上特殊作戦、特殊偵察、直接行動、対テロ
イギリスSBSUK Special Forces海上特殊作戦、船舶・沿岸目標への直接行動
フランス1er RPIMa陸軍特殊作戦コマンドCAST直接行動、特殊偵察、軍事支援
フランス13e RDP陸軍特殊作戦コマンドCAST長距離特殊偵察、人的情報収集
フランスCommando Hubertフランス海軍戦闘潜水、海上直接行動、偵察
フランスCPA 10フランス航空宇宙軍航空作戦支援、目標指示、直接行動、救出
ドイツKSK陸軍・緊急展開師団特殊偵察、直接行動、国外人質救出、軍事支援
ドイツKSMドイツ海軍戦闘潜水、海上特殊作戦、船舶・沿岸目標への行動
イタリア第9空挺強襲連隊コル・モスキンイタリア陸軍陸上特殊作戦、特殊偵察、直接行動
イタリアGOI海軍COMSUBIN海上特殊作戦、戦闘潜水、対テロ、人質救出
イタリア第17強襲航空団イタリア空軍航空特殊作戦、特殊偵察、直接行動
ポーランドGROMポーランド特殊部隊対テロ、直接行動、人質救出
ポーランドJWKポーランド特殊部隊特殊偵察、直接行動、軍事支援
ポーランドFORMOZAポーランド特殊部隊海上特殊作戦、戦闘潜水
ポーランドAGATポーランド特殊部隊強襲、直接行動、他部隊支援
ノルウェーFSKノルウェー軍特殊部隊陸上特殊作戦、対テロ、特殊偵察
ノルウェーMJKノルウェー軍特殊部隊海上特殊作戦、戦闘潜水、沿岸偵察
スペインMOEスペイン陸軍特殊偵察、直接行動、軍事支援
ウクライナSSOウクライナ軍の独立軍種特殊偵察、直接行動、抵抗運動支援、情報・心理作戦
ロシアSSO、軍参謀本部系スペツナズロシア軍・軍参謀本部系統戦略級特殊作戦、偵察、直接行動など。詳細は非公開部分が多い

英国防省はUK Special ForcesをCyber & Specialist Operations Commandの一部として位置付け、高リスク作戦を担う組織としている。ただし、常備SAS・SBSの編制や活動については厳格な情報公開制限がある。公式に公開される予備役部門には21 SAS、23 SAS、SBS Reserveなどが含まれる。[4]

フランス陸軍では、2024年に従来の特殊作戦陸軍司令部が「陸軍特殊行動コマンド(CAST)」へ発展した。1er RPIMaが行動、13e RDPが深部偵察・人的情報、特殊作戦航空部隊が機動を担う。海軍のCommando Hubert、航空宇宙軍のCPA 10を含め、軍種別の専門性を統合特殊作戦司令部COSが束ねる構造である。[5][6]

ドイツのKSKは緊急展開師団に属し、国外での人質救出、重要人物の確保、特殊偵察、協力国部隊の訓練などを任務として公表している。KSMは海上領域を担当する。ここに連邦警察のGSG 9を混ぜないことが、ドイツの特殊部隊体系を理解する第一歩だ。[7]

ポーランドはGROMだけでなく、JWK、FORMOZA、AGAT、指揮・情報支援のNIL、特殊作戦航空を組み合わせる。私は、欧州で「部隊名の有名さ」と「体系の完成度」が最も混同されやすい国の一つがポーランドだと見る。実態は単一の精鋭部隊ではなく、陸・海・航空・支援を分担する複数部隊の集合である。[8]

ウクライナSSOは軍の独立構成要素として、抵抗運動の組織・支援、対テロ、海上交通の安全、情報・心理作戦などを公式任務に掲げる。進行中の戦争に関係する個別作戦、損害、部隊配置は変動し、作戦保全にも関わるため、本記事では恒常的な任務だけを記す。[9]

ロシアの「スペツナズ」は軍参謀本部系、軍種別、FSB、国家親衛隊系まで含めて語られやすい。軍のSSOと情報・治安機関の部隊を分け、公開情報の不確実性を明示して読む必要がある。

高高度から編隊降下する特殊作戦要員
高高度降下は長距離浸透の選択肢だが航空・気象・回収支援と一体で成立する

中東・アジアの特殊部隊一覧

アジア・中東の見方
主な部隊所属組織主な任務
イスラエルSayeret Matkal参謀本部系統戦略偵察、情報収集、対テロ、国外人質救出
イスラエルShayetet 13イスラエル海軍海上特殊作戦、潜入、偵察、直接行動
イスラエルShaldagイスラエル空軍航空作戦支援、特殊偵察、目標誘導
イスラエルUnit 669イスラエル空軍戦闘捜索救難、敵地・危険地域からの要員回収
日本特殊作戦群陸上自衛隊・陸上総隊陸上特殊作戦。細部は非公表
日本特別警備隊海上自衛隊・自衛艦隊武装が予想される船舶への立入検査など高危険度任務
韓国陸軍特殊戦司令部韓国陸軍特殊偵察、直接行動、空挺潜入、対テロ
韓国第707特殊任務団陸軍特殊戦司令部対テロ、人質救出、特殊任務
韓国海軍特殊戦戦団韓国海軍海上特殊作戦、水中潜入、船舶・沿岸任務
インドPara SFインド陸軍特殊偵察、直接行動、対テロ、空挺潜入
インドMARCOSインド海軍海上・沿岸特殊作戦、偵察、直接行動
インドGarudインド空軍航空基地・重要施設防護、特殊偵察、救難支援
シンガポールCommandos/SOTFシンガポール陸軍・統合任務部隊特殊作戦、対テロ、人質救出
シンガポールNDU Special Warfare Groupシンガポール海軍船舶強襲、海上対テロ、特殊舟艇、水中作戦
トルコÖKKトルコ軍特殊部隊司令部戦略級特殊作戦、直接行動、軍事支援
トルコSATトルコ海軍水中攻撃、港湾・艦船・沿岸目標への特殊作戦
中国「雪豹」「猟鷹」「山鷹」など人民武装警察国内対テロ、迅速反応、人質救出、爆発物処理、偵察
中国各軍種の特殊作戦・偵察部隊人民解放軍陸軍・海軍陸戦隊など戦域偵察、襲撃、目標誘導、統合作戦支援。詳細は限定公開

イスラエルは、任務別の分業が明確である。Sayeret Matkalは参謀本部レベルの偵察・対テロ、Shayetet 13は海、Shaldagは空軍特殊作戦、Unit 669は戦闘捜索救難を担う。イスラエル警察・国境警察のYamamは国内対テロと人質救出の中核だが、軍部隊ではない。[10][11]

日本の特殊作戦群は陸上総隊隷下の部隊であり、詳細な編制・装備・人数は公表されていない。陸上自衛隊は2026年4月、米陸軍特殊作戦コマンドとの実動訓練を実施し、作戦遂行能力と相互運用性を高めたと発表した。[12] 海上自衛隊の特別警備隊は、自衛艦隊司令官の指揮監督を受け、停止が容易でない、または武装が予想される船舶への立入検査などを任務とする。[13]

自衛隊内の部隊を任務別に比較する記事は、別の検索意図として整理している。

関連記事:target_slug=jsdf-strongest-units-ranking / anchor=自衛隊最強部隊ランキング インドは陸軍のPara SF、海軍のMARCOS、空軍のGarudを持つ。三軍種合同演習では空挺潜入、精密打撃、人質救出、対テロ、市街地戦を訓練している。[14]

中国を扱う際は、人民解放軍と人民武装警察を分ける必要がある。米国防総省の2025年版報告書は、人民武装警察の主要特殊作戦部隊として「猟鷹」「雪豹」「山鷹」を挙げ、対テロ、強襲、偵察、爆発物処理、人質救出、狙撃などの能力を記している。[15] 一方、人民解放軍各軍種の特殊作戦部隊は名称や編制の公開が限定され、演習報道上の愛称が恒常的な正式部隊名とは限らない。

オセアニアの特殊部隊一覧

主な部隊所属組織主な任務
オーストラリアSASR豪陸軍特殊作戦コマンド特殊偵察、直接行動、戦略任務
オーストラリア第2コマンド連隊豪陸軍特殊作戦コマンド高即応直接行動、対テロ、人質救出
オーストラリア第1コマンド連隊豪陸軍特殊作戦コマンド予備役を含む特殊作戦能力、他部隊増援
ニュージーランド1 NZSAS Regimentニュージーランド陸軍特殊偵察、直接行動、対テロ、特殊回収、EOD支援

オーストラリア特殊作戦コマンドはSASR、第1・第2コマンド連隊と、通信・工兵・後方支援部隊を組み合わせる。広大な国土、島嶼、砂漠、熱帯、海洋という環境に対応し、インド太平洋で同盟国と共同運用できることが重要になる。[16]

ニュージーランドの1 NZSAS Regimentは、SAS要員だけでなくコマンド、爆発物処理、情報・通信・医療・兵站などの支援機能を含む。NZDFは特殊偵察と深部潜入から、対テロ、直接行動、特殊回収へ能力を発展させたと説明している。[17] 小国の特殊部隊は人数で大国と競うのではなく、政府が実際に使える選択肢を維持できるかが核心である。

中南米・アフリカの主要特殊部隊

中南米・アフリカでは、軍と警察の境界、組織改編、治安作戦への常時投入が国ごとに大きく異なる。公開情報の精度にも差があるため、代表的な組織を簡潔に示す。

主な部隊所属組織主な任務
ブラジルCOpEsp隷下部隊ブラジル陸軍特殊作戦コマンド特殊偵察、直接行動、非正規戦、軍事支援
ブラジルGRUMECブラジル海軍戦闘潜水、海上偵察、艦船・港湾への特殊作戦
ブラジルCOMANFブラジル海兵隊水陸両用特殊作戦、偵察、直接行動
コロンビアCCOES隷下部隊コロンビア軍統合特殊作戦司令部対武装組織、特殊偵察、直接行動、人質救出
南アフリカ4 Special Forces Regimentなど南アフリカ国防軍特殊部隊特殊作戦。任務・即応態勢の細部は限定公開[22]

ブラジル陸軍の特殊作戦コマンドは、特殊作戦を直接行動、間接行動、特殊偵察に分け、心理作戦、CBRN対処、人道支援、非戦闘員退避、戦闘捜索救難なども支援任務に挙げる。[21] 海軍・海兵隊にも別系統の海上特殊作戦能力があり、単一部隊だけで国の特殊作戦能力を代表させるのは適切でない。

この地域では麻薬組織、反政府武装勢力、海上犯罪への対処が経験を形作ってきた。ただし、警察SWATと軍特殊作戦部隊は法的権限と指揮系統が異なる。

軍ではないが有名な対テロ・特殊介入部隊

警察系部隊を分ける理由
部隊所属主な任務
フランスGIGN国家憲兵隊人質救出、対テロ、高危険度逮捕、危機介入
ドイツGSG 9連邦警察対テロ、人質救出、重大暴力事件への特殊介入
日本SAT都道府県警察ハイジャック、重要施設占拠、銃器使用事件の鎮圧・検挙
イスラエルYamam警察・国境警察国家対テロ、人質救出、重大犯罪への介入
イタリアGISカラビニエリ国内対テロと軍特殊作戦の双方に対応
ロシアアルファ部隊連邦保安庁FSB対テロ、人質救出など。詳細は限定公開

GIGNは軍人身分の国家憲兵で構成されるが、中心は危機介入と法執行である。GSG 9は連邦警察の部隊、SATは日本警察の部隊であり、軍の指揮下にはない。Yamamもイスラエルの国家対テロ部隊だが、IDFではなく警察・国境警察系統に属する。[18][19][20]

GISは例外的で、カラビニエリが軍種であると同時に警察機関でもあるため、国内の特殊介入と国防省系統の特殊作戦部隊という二つの性格を持つ。このような制度差こそ、国別一覧で所属組織を確認する意味である。

地形模型とセンサー情報を使って作戦を計画する統合チーム
特殊部隊の実力は隊員個人だけでなく情報・輸送・通信・医療・補給で決まる

世界の特殊部隊を比較するときの注意点

ランキング化の落とし穴

公表されない数字を確定値として扱わない

隊員数、選抜合格率、訓練期間、装備、作戦成功率は、部隊によって非公表である。古い回想録、映画宣伝、まとめサイトの数字が現在も有効とは限らない。特に「合格率数%」「年間数万発を射撃」「世界唯一」といった断定は、一次資料で確認できなければ参考情報にとどめるべきだ。

装備が同じでも能力は同じにならない

HK416、MCX、MP5、Glock、暗視装置、プレートキャリアは多くの部隊で使われる。しかし、市販装備や同系統の小銃を採用しただけで、指揮・情報・航空・衛生・通信・補給の能力まで同じになるわけではない。

私は、特殊部隊を「銃を持った隊員の集合」として見る説明には限界があると考える。実戦で差を生むのは、目標を見つけ、法的承認を取り、遠距離へ運び、数分の行動後に回収し、負傷者を救命するまでの一連の仕組みだからだ。

実戦経験だけで順位は決められない

交戦回数は国家の戦争頻度や政治判断にも左右される。比較するなら、任務適合性、統合指揮、情報、輸送、医療、相互運用性、人材育成を見るべきである。

よくある質問

世界で最も有名な特殊部隊は?

知名度では英国SAS、米海軍Navy SEALs、デルタフォースなどが代表的である。ただし映画、報道、情報公開方針に左右され、能力順位とは一致しない。

デルタフォースとNavy SEALsの違いは?

デルタフォースは米陸軍系の特殊任務部隊として知られる。Navy SEALsは海軍特殊戦コマンドの複数チームの総称で、海上直接行動、特殊偵察、協力国支援を担う。DEVGRUは別の特殊任務部隊として扱われるが、公式情報は限定的である。

SASとSBSの違いは?

SASは陸上を中心とする特殊作戦、SBSは海上・沿岸・船舶を中心とする特殊作戦に強みを持つ。実際の任務には重複があり、統合部隊として支援を受けるため、単純に陸対海だけで完全に分けられるわけではない。

日本の特殊部隊はどこ?

軍事組織では陸上自衛隊の特殊作戦群、海上自衛隊の特別警備隊が代表的である。警察にはSATがある。水陸機動団や第1空挺団も高い練度を持つが、大規模な島嶼防衛・空挺作戦を担う部隊であり、任務区分は特殊作戦群と同じではない。

GIGNやGSG 9は軍の特殊部隊?

GIGNはフランス国家憲兵隊、GSG 9はドイツ連邦警察に属する。GIGN隊員は軍人身分だが、組織の中心任務は法執行と危機介入である。両者を軍特殊作戦部隊として一括するより、対テロ・特殊介入部隊として分けた方が正確だ。

特殊部隊の人数や装備が公開されないのはなぜ?

敵対勢力に対応策を与えず、隊員、作戦手法、情報源を守るためである。公式資料は存在、所属、一般的任務までを示し、細部を伏せる場合が多い。

まとめ

世界の特殊部隊一覧を読むと、同じ「特殊部隊」という名称の下に、戦略偵察、直接行動非正規戦、海上潜入、航空支援、戦闘救難、警察対テロという異なる仕事が並んでいることが分かる。

アメリカのように軍種別コマンドをUSSOCOMが束ねる国もあれば、英国のように情報公開を極端に絞る国、イスラエルのように任務別部隊を細かく分ける国、日本のように存在を公表しつつ細部を伏せる国もある。したがって、部隊名だけを覚えるより、所属組織と任務を一緒に見る方が理解は深い。

冒頭で述べた通り、世界の特殊部隊を理解する鍵は、誰の指揮下で何を任されるのかを見ることにある。最強という一語では消えてしまう制度と任務の違いこそ、各国の安全保障思想を映す部分なのである。

参考資料

1. SRC-01 NATO「Special Operations Forces」(nato.int、2024年3月7日更新) 2. SRC-02 U.S. Special Operations Command「2026 USSOCOM Fact Book」(socom.mil) 3. SRC-03 Government of Canada「Canadian Special Operations Forces Command」(canada.ca、2025年12月更新) 4. SRC-04 UK Government「UK Special Forces」およびBritish Army「UK Special Forces Reserve」(gov.uk/army.mod.uk) 5. SRC-05 French Army「Commandement des actions spéciales Terre」(defense.gouv.fr) 6. SRC-06 French Air and Space Force「Commando parachutiste de l’air no 10」(defense.gouv.fr) 7. SRC-07 Bundeswehr「Kommando Spezialkräfte」(bundeswehr.de) 8. SRC-08 Polish Armed Forces「Dowództwo Komponentu Wojsk Specjalnych」(wojsko-polskie.pl) 9. SRC-09 Special Operations Forces of the Armed Forces of Ukraine公式サイト(sof.mil.gov.ua) 10. SRC-10 Israel Defense Forces「Sayeret Matkal」「Shayetet 13」「Shaldag」(idf.il) 11. SRC-11 Israel Defense Forces「Unit 669」(idf.il) 12. SRC-12 陸上自衛隊「令和7年度米国における実動訓練について」(2026年4月3日) 13. SRC-13 防衛省「特別警備隊の編制に関する訓令」 14. SRC-14 Government of India「Tri-Service Special Forces Exercise DESERT HUNT 2025」(pib.gov.in) 15. SRC-15 U.S. Department of Defense「Military and Security Developments Involving the PRC 2025」 16. SRC-16 Australian Department of Defence「Special Operations Command」 17. SRC-17 New Zealand Defence Force「1st NZSAS Regiment marks 70th anniversary」 18. SRC-18 Gendarmerie nationale「GIGN Organisation / Missions」 19. SRC-19 Bundespolizei「GSG 9」 20. SRC-20 警察庁「特殊部隊(SAT)、銃器対策部隊の充実強化」 21. SRC-21 Brazilian Ministry of Defence「Formação, preparo e emprego das Forças de Operações Especiais」 22. SRC-22 Parliament of South Africa「Committee Commends Defence Force Commitment Despite Need for Significant Recapacitation and Rebuilding」(2026年1月31日)

参考資料・主な出典

NATO|Special Operations Forces|資料を確認

U.S. Special Operations Command|資料を確認

Government of Canada|Canadian Special Operations Forces Command|資料を確認

UK Government|UK Special Forces|資料を確認

Australian Defence|Special Operations Command|資料を確認

警察庁|警察の装備・特殊部隊|資料を確認

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