F-35保有国・保有数ランキング【2026】|導入済み・発注・配備状況を比較

航空博物館の大展示室に並ぶF-35系列3機の非武装展示
航空博物館の大展示室に並ぶF-35系列3機の非武装展示
F-35の国別比較では長期計画、引渡し、現在機隊、自国運用を別々に数える必要がある

2026年3月のメーカー資料で最大の計画数は米国2,456機、次いで日本147機、英国138機である。ただし、これは現在の保有数ではない。

本稿のテーマは、F-35の「保有数」は、計画総数・累計引渡し・現在の機隊・運用状態を分けて初めて意味を持つという一点だ。20か国を同じ資料で比べるランキングと、各国政府が確認した納入・配備状況を別表にし、未引渡し契約を現有機へ足さない。

F-35 保有数 ランキングの要点
目次

F-35保有数ランキングの結論|一つの数字では答えられない

F-35保有数ランキングの結論|一つの数字では答えられない

F-35導入国を一つの数字で並べたいなら、2026年3月3日現在のLockheed Martin「F-35 Fast Facts」にある各国プログラム欄が最も比較しやすい。同資料の数字を合計すると米国2,456機、日本147機、英国138機、イタリア115機、オーストラリア100機の順になる。

しかし、その表を「現在保有数ランキング」と呼ぶのは正確ではない。メーカー表のオーストラリア欄は100機だが、同国国防省が「全機隊」として引渡し完了を発表したのは72機である。英国は長期的に138機へのコミットメントを掲げる一方、2026年4月に初期調達48機の引渡しを終え、2021年の事故損失を差し引いた運用機隊は47機と公式発表した。

つまり、検索画面に現れる「147」「138」「100」は、同じ種類の数字ではない。私の評価では、桁の大きい表より、数字の名札がそろっている表の方が価値は高い。本稿では次の順に読む。

1. 20か国を同一のメーカー資料で比べる「プログラム記載数」 2. 国防省資料で確認できた「引渡し済み・現在機隊」の例 3. 自国での運用開始、IOC、FOCという「状態」

この論点を広く比較するなら、「【2026年最新版】世界最強戦闘機ランキングTOP10|現役配備機限定で徹底比較」もあわせて確認したい。

「保有・発注・納入・配備・運用可能」の違い

「保有・発注・納入・配備・運用可能」の違い

F-35の数を比較する前に、言葉を固定する必要がある。とくに国際共同計画では、契約済みでも未製造の機体、製造済みでも米国内訓練に使う機体、母国へ到着しても部隊運用前の機体が同時に存在する。

用語本稿での意味数に含めないもの
プログラム記載数メーカーの国別欄が示す長期的な計画・需要規模現在手元にあるとの解釈
承認・調達数政府が予算・取得事業で承認した範囲未承認の将来構想
契約数契約または政府間調達の対象になった機数単なる関心表明、選定のみ
累計引渡し顧客が受領した機体の累計事故損失を自動では差し引かない
現在機隊累計引渡しから公式確認できる損失・除籍を反映長期計画、未引渡し分
自国所在自国領内へ到着・運用している機体米国などで訓練中の自国機
運用可能機整備、改修、人員、任務条件を満たす機体単なる保有・所在だけの機体

この区別は言葉遊びではない。ノルウェーは52機をすべて受領したが、政府予算書によれば6機は米国で訓練に使う。したがって「52機受領」と「ノルウェー国内に52機」は同義ではない。

さらにIOC(初期作戦能力)とFOC(完全作戦能力)は、飛行機の台数だけで決まらない。訓練済み要員、整備、補給、施設、指揮系統などを含む組織上の節目である。IOC達成国を「全機が常時出動可能」と読み替えてはいけない。

計画数・引渡し・現在機隊・自国所在・運用状態を分けた五層カード
同じ一機でも契約、受領、所在、運用状態という異なる集計段階を通る

F-35導入国ランキング|2026年3月のプログラム記載数

F-35導入国ランキング|2026年3月のプログラム記載数

次表はLockheed Martinの2026年3月版Fast Factsにある国別の機数を、同数同順位で並べたものだ。米国は空軍・海兵隊・海軍のA/B/Cを合算した。表題を「保有数」ではなく「プログラム記載数」としたのは、各国の確定発注、承認済み取得、長期構想を完全に同じ法的段階へそろえた数字ではないからである。

順位F-35AF-35BF-35C記載合計2026年に読む際の注意
1米国1,7632804132,4563軍種の長期プログラム合計
2日本10542147政府方針の総取得数。現有数ではない
3英国138138長期コミットメント。初期48機とは別
4イタリア75401152025年国防計画文書とも一致
5オーストラリア100100政府が承認・受領した全機隊は72機
6カナダ8888取得計画。初期機は米国訓練に使用予定
7イスラエル7575独自仕様を含むが本稿では性能を扱わない
8フィンランド6464導入初期。母国到着と引渡しを分ける
9韓国6060既存導入分と追加計画を含む規模
10オランダ5757政府の受領報告52機と時点・段階が異なる
11ノルウェー525252機すべて受領済み
12デンマーク4343当初27機からの拡大を反映した計画値
13スイス3636将来引渡し分で、現有機ではない
14ドイツ3535将来取得分で、現有機ではない
15ベルギー34343月版。後の公式方針は追加11機を掲げる
16ポーランド32322026年6月に最初の3機が国内到着
16ルーマニア3232将来取得分で、現有機ではない
18チェコ2424将来取得分で、現有機ではない
19ギリシャ2020将来取得分で、現有機ではない
19シンガポール81220初号機引渡しは2026年末予定と公式説明

資料日後の変更もある。ベルギー国防省の「Strategic Vision 2025」実施ポートフォリオは、既取得34機に11機を追加すると明記した。したがって8月時点のベルギーの計画規模は45機方向だが、ここでは3月3日の横一線のスナップショットを改変せず、更新を注記した。

同じ理由で、メーカー表の合計だけを足して「世界の発注残」や「現在何機あるか」を算出しない。比較基準をそろえたランキングと、各国の最新決定を同じ列へ上書きすると、かえって数字の性格が見えなくなる。

2026年3月のF-35プログラム記載数を国別に比較する横棒図
米国、日本、英国などの記載数は現在機隊ではなく長期プログラム規模の比較である

この順位を「現在のF-35保有数」と呼べない理由

この順位を「現在のF-35保有数」と呼べない理由

最大の理由は、各国欄が同じ調達段階を表していないことだ。オーストラリアは典型例である。メーカー表は100機を掲げるが、豪国防省は2024年12月、最後の9機到着により「全72機」の引渡しが完了したと発表した。国防相も同年、72機を超える第4飛行隊分は将来の選択肢であり、現時点ではF/A-18Fを早期退役させない判断を説明している。

英国では別のずれが見える。政府は長期的な138機へのコミットメントを維持してきたが、会計検査を受けた政府回答は残る90機の承認済み取得日程がないと記録した。その後、2025年6月に12機のF-35A購入が発表され、2026年4月には初期48機の引渡しが完了した。長期目標、次の契約、引渡し済み、現在機隊の四つが共存している。

事故損失もある。英国は48機を受け取ったが、2021年に1機を失ったため、RAFは2026年4月の運用機隊を47機とした。「累計引渡し48」と「現在機隊47」はどちらも正しく、質問が違うのである。

私見を言えば、F-35の国別数で最も危険な誤りは、古い数字を使うことより、違う意味の新しい数字を同じ意味だと思い込むことだ。発表日が最新でも、契約と保有を取り違えればランキングは成立しない。

この論点を広く比較するなら、「世界の戦闘機保有数ランキングTOP20|1位アメリカ1,791機・中国1,443機、日本13位「217機」の重み【2026年最新】」もあわせて確認したい。

F-35は世界で何機生産・引き渡されたのか

F-35は世界で何機生産・引き渡されたのか

Lockheed MartinのFast Factsは、2026年1月7日版で世界累計1,290機超、3月3日版で1,310機超の引渡しを掲げた。2025年中の引渡しは191機で、年間として過去最多だったと説明している。

基準日世界累計引渡し併記された状態読み方
2026年1月7日1,290機超2025年に191機引渡し「超」は丸めた下限値
2026年3月3日1,310機超飛行時間100万時間超全型・全顧客の累計
2026年3月3日20参加国、16軍種が飛行国数と軍種数を区別
2026年3月3日11か国が自国領内で運用発注国数とは別
2026年3月3日14軍種IOC、2軍種FOC機体数ではなく組織状態

1月の「1,290機超」と3月の「1,310機超」を引いて、期間中に正確に20機納入したとは断定できない。どちらも丸めたしきい値であり、基準日間の正確な差を示す連続統計ではないからだ。

また「生産数」と「引渡し数」も同一ではない。完成して検査・受領待ちの機体、顧客への移管時期が異なる機体があり得る。本稿では確認可能性を優先し、メーカーが継続して公表する引渡しを世界規模の指標に使う。

2025年9月にF-35 Joint Program OfficeとLockheed Martinが最終化したLot 18・19契約は、最大296機を対象とし、引渡し開始を2026年としている。これは今後の生産波を示すが、296機すべてが2026年中に各国の「保有」へ加わるという意味ではない。

F-35世界累計引渡し1290機超から1310機超への資料更新を示す時間軸
丸められた累計値の差は期間中の正確な引渡し機数を意味しない

政府資料で確認できる引渡し済み・現在機隊

政府資料で確認できる引渡し済み・現在機隊

全20か国について同一日・同一定義の現有数を公開する公式データベースは確認できなかった。そこで、各国政府が比較的新しい資料で明示した例だけを示す。空欄を推測で埋めないことが、このランキングの重要な品質条件である。

公式に確認できた数字基準日・意味プログラム記載数との差
英国累計48機引渡し/現在機隊47機2026年4月29日、初期調達完了・事故損失1機反映長期138機とは91機差
オーストラリア72機すべて引渡し2024年12月19日、政府がfull fleetと表現メーカー欄100機とは28機差
ノルウェー52機すべて受領2025年4月28日、政府発表記載数と一致。ただし6機は米国訓練用
オランダ52機受領2026年5月DPO、政府事業報告メーカー欄57機は追加分を含む段階差
日本総取得147機2025年防衛白書で方針確認正確な現在機隊は本稿で断定しない
カナダ88機取得事業2026年3月政府資料、最初の8機は2026年度に米国訓練へ引渡し開始と母国到着を分ける
イタリア115機を取得予定2025~27年国防計画文書、A75・B40現在機隊の数字ではない
ベルギー既取得34機+追加11機の方針2025戦略文書の実施ポートフォリオ3月メーカー欄34機より新しい政策更新

表で最もきれいに一致するのはノルウェーである。計画52、受領52がそろい、同国政府は最初に計画全数の引渡しを終えた国と説明した。それでも52機すべてが常に国内にあるわけではなく、2026年度予算書は6機を米国の教育目的で使用すると記す。

オランダは2026年5月の国防事業概要で52機を受領済みと報告し、追加調達と第3飛行隊の整備を続けている。メーカー欄57との5機差は、紛失や誤記と即断せず、受領済みと計画の段階差として読むべきだ。

英国・豪州・ノルウェー・オランダの計画数と政府確認値を分けた比較カード
英国の138・48・47のように、計画・累計引渡し・現在機隊はそれぞれ正しい別指標である

1位アメリカ|2,456機は3軍種の長期合計

1位アメリカ|2,456機は3軍種の長期合計

米国の2,456機は、空軍F-35A 1,763機、海兵隊F-35B 280機、同F-35C 140機、海軍F-35C 273機の合計である。単一の空軍が2,456機を保有しているわけではない。

軍種プログラム記載数制度上の役割
米空軍F-35A1,763通常離着陸型の最大顧客
米海兵隊F-35B280短距離離陸・垂直着陸型
米海兵隊F-35C140空母運用型も取得
米海軍F-35C273空母航空団向け

この数字は計画全期間の規模を示す。年度予算、議会承認、ロット契約、引渡し、部隊配備が順に進むため、2026年の現在機隊と等しくない。米国だけを取り出しても「Program of Record」「調達済み」「納入済み」「作戦部隊在籍」は別の統計になる。

米国の巨大さは、単なる機体数より、3型を3軍種で使いながら試験、訓練、補給、ソフトウェア更新を支えるプログラム母体である点に現れる。他国の購入数と米国の長期3軍種合計を同じ意味の「保有」として比較すると、規模差をさらに誇張する。

2位日本|147機はF-35A 105機・F-35B 42機の総取得方針

2位日本|147機はF-35A 105機・F-35B 42機の総取得方針

日本政府は2018年の中期防衛力整備計画で、F-35A 105機とF-35B 42機、合計147機を整備する方針を示した。2025年版防衛白書も、F-35AとF-35Bを合わせて147機取得する方針を確認している。

数字何を表すか現在保有との関係
105機F-35Aの総取得方針すべて引渡し済みではない
42機F-35Bの総取得方針すべて配備済みではない
147機AとBの計画合計現在機隊へ読み替えない
40機+25機2023~27年度整備計画表のA/B数量同期間の整備枠で、既存分へ単純加算しない

F-35Bは2025年8月7日、防衛省九州防衛局が最初の3機の到着を公表し、4機目は到着遅延とした。同年10月の説明資料は、2026年3月末までに新田原基地へ8機を配備する計画を示した。これは日付付きの到着・計画情報であり、「日本はすでにF-35Bを42機保有」とは言えない根拠になる。

2026年1月の防衛大臣会見は新田原を国内唯一のF-35B配備基地と説明したが、その時点の正確な在籍数までは示していない。本稿は、147機という政府方針と、確認できた初期到着・8機計画を分け、公開資料にない現在の総数を推計しない。

日本のF-35全体像を知るには、F-15J、F-2、次期戦闘機との役割分担も必要だ。ただし本稿はF-35国別数に絞り、自衛隊戦闘機全体の説明は既存記事へ譲る。

この論点を広く比較するなら、「日本の戦闘機一覧【2026】|F-35・F-15・F-2を任務と更新段階で比較」もあわせて確認したい。

日本のF-35A 105機とF-35B 42機の総取得方針を二層で示す図
日本の147機はA型105機とB型42機の総取得方針で、現在の配備数ではない

欧州のF-35導入国|完成機隊・導入中・将来受領を分ける

欧州では、ノルウェーのように計画全数を受領した国、英国・イタリア・オランダのように運用しながら追加取得する国、ポーランド・フィンランド・ベルギーのように母国運用へ移る国、まだ将来引渡し段階の国が並存する。

状態国の例数字の読み方
計画全数受領ノルウェー52機受領。ただし6機は米国訓練用
運用+追加調達英国、イタリア、オランダ、デンマーク現在機隊と長期計画が異なる
母国運用開始期ベルギー、ポーランド米国訓練用受領と母国到着を分ける
米国訓練から移行フィンランド顧客受領と母国到着に時間差
将来引渡しドイツ、スイス、チェコ、ギリシャ、ルーマニア計画数を保有数にしない

ポーランドは2026年6月12日、最初の3機が国内へ到着した。これは「ポーランド向けとして引き渡された全機数が3」という意味ではない。米国で訓練に使われる顧客機が先行する場合があり、母国到着数は累計引渡しと別の指標だ。

フィンランドも同様で、初号機は米国の訓練拠点へ入り、フィンランド国内へ直接届く機体は2026年後半からとメーカーが説明した。カナダ政府も最初の8機を米国で訓練に使用し、最初のカナダ国内到着を2028年とする。国旗が機体に付いた時点、顧客が受領した時点、母国へ着いた時点は一致しない。

ベルギーの例は、ランキングの鮮度管理も教える。2026年3月メーカー表は34機だが、ベルギー政府文書は11機追加を掲げる。固定された「2026年ランキング」でも、どの日の、どの制度段階かを記さなければ数か月で意味が変わる。

欧州F-35導入国を全数受領・導入中・母国運用開始・将来引渡しに分けた帯図
欧州の導入国は同じ年でも、全数受領から将来引渡しまで異なる段階にある

F-35A・F-35B・F-35Cを国別にどう数えるか

国別合計には3型が混在する。F-35Aは通常離着陸型、F-35Bは短距離離陸・垂直着陸型、F-35Cは空母運用型である。本稿は性能ランキングを目的とせず、合計値の内訳を理解する範囲に限定する。

2026年3月表で採用する国・軍種の例国別集計の注意
F-35A米空軍、日本、イタリア、豪州、欧州各国など導入国数が最も多い
F-35B米海兵隊、日本、英国、イタリア、シンガポールAとBを持つ国は合算内訳を示す
F-35C米海軍、米海兵隊Fast Factsでは米国合計へ含む

日本はA105・B42、イタリアはA75・B40、シンガポールはA8・B12という複数型構成である。英国の長期欄はB138だが、2025年には次の12機をA型とする政府発表が出た。これは、長期計画の型別内訳が政策更新で変わり得る例でもある。

したがって「F-35B保有国ランキング」を作る場合も、長期計画と現有機を区別する必要がある。A/B/Cを無条件に同じ価値として足すのも、型が違うから一切合算できないとするのも極端だ。国別の計画規模を見るなら合計、施設・運用方式を見るなら型別、という目的の切替が必要になる。

発注数と引渡し数がずれる仕組み|ロット契約を保有へ足さない

F-35は国ごとに完成機を店頭購入する方式ではない。顧客の承認、米国政府との制度手続き、複数国・軍種をまとめた生産ロット、製造、受領、訓練、母国到着が時間差で進む。

2025年9月に最終化されたLot 18・19は最大296機を対象とし、2026年から引渡しが始まる。ここで296を各国の既存機隊へ一括加算することはできない。ロットには複数顧客が含まれ、引渡しは複数年に及び、どの国のどの機体がいつ顧客受領になるかは別の管理事項だからだ。

段階公開資料で見える表現誤った読み替え
選定「F-35を選定」すでに保有した
政府承認「最大○機を承認」全数が確定契約になった
契約・取得事業「○機を購入」すでに全機納入された
製造ロット「最大○機を対象」一年で全機完成した
引渡し「顧客へ納入」全機が母国基地にいる
母国到着「国内初到着」IOC・FOCを達成した

輸出承認の上限と実契約数も混同しやすい。将来国ほど、発表は「選定」「承認」「政府間契約」「初号機ロールアウト」と段階的に現れる。数字を更新するときは、前の表へ足すのではなく、その国の最新資料がどの段階を置き換えたかを確認する。

配備状況の比較|「自国にある」と「作戦能力がある」は別

2026年3月3日のFast Factsは、20の参加国、16の軍種が飛行、11か国が自国領内で運用、14軍種がIOC、2軍種がFOCとした。ここで国と軍種が混ざっている点に注意したい。米国は複数軍種、日本やイタリアも複数の運用主体を持ち得るため、国数と軍種数は一致しない。

指標2026年3月3日の公表値何を示すか示さないもの
参加国20か国計画への参加・導入全国が機体受領済みとは限らない
飛行する軍種16軍種各軍種の飛行段階自国領内に所在するとは限らない
自国領内運用11か国母国での運用開始FOCや全数受領を意味しない
IOC14軍種初期作戦能力の宣言全機常時稼働を意味しない
FOC2軍種定めた完全作戦能力の達成全顧客共通の同一基準ではない

同じ「配備済み」でも、教育用に米国へ置く機体、試験用の機体、母国の部隊に到着した機体、艦上運用を含む機体では状態が違う。公開情報から航空機一機ごとの整備可否をリアルタイムに数えることもできない。

稼働率やmission capable率は、一定期間・特定組織の整備記録を前提にする別指標である。事故修理、計画整備、ソフトウェア改修、部品待ちなどで日々変わる。国別の「運用可能機数ランキング」を、プログラム総数から一定割合を掛けて推計する手法は採らない。

参加国・飛行軍種・自国運用・IOC・FOCを別指標として並べる段階図
参加国20、飛行16軍種、自国運用11か国、IOC14軍種、FOC2軍種は母集団が異なる

なぜF-35導入国は20か国へ広がったのか

国数の拡大は、機体単体の性能だけでは説明できない。共同開発・生産参加、米国の対外軍事売却、NATOを中心とした相互運用、F-16など旧世代機の更新時期、訓練・補給の共同化が重なった結果である。

欧州で導入が連鎖すると、同じ機体を選ぶことによる教育、部品、整備拠点、ソフトウェア構成、共同訓練の便益が大きくなる。一方、同じプログラムへ集約するほど、改修日程、供給網、米国の制度、共通ソフトウェアへの依存も強まる。

私は、F-35の拡散を「最強だから売れた」の一言で説明すべきではないと考える。戦闘機の調達は、飛行性能の人気投票ではなく、数十年にわたる訓練・補給・産業・同盟関係への参加契約だからだ。国別機数は、その国の脅威認識だけでなく、予算周期、既存機退役、国内産業参加、基地整備の速度を映す。

この見方を取ると、発注数が多い国ほど必ずしも短期に大きな機隊を持つとは限らない理由も分かる。カナダは88機取得事業を進めるが、最初の8機を米国訓練に使い、母国初到着は2028年予定である。制度と人員を先に整えなければ、機体だけ届いても能力にならない。

F-35国別ランキングの限界|公開情報で分からないこと

本稿でも、2026年8月10日の全20か国について「現在保有」「自国所在」「飛行可能」「作戦可能」を一枚にそろえることはできない。各国の公表頻度・定義が異なり、事故後の修理・除籍、顧客受領日、訓練機の移動、整備状態が常時公開されないためである。

確認したい数字公開情報上の問題本稿の処理
現在機隊累計納入から損失・除籍を引く必要公式に明示された国だけ掲載
自国所在数米国訓練機や一時展開で変動母国到着発表を別指標化
運用可能数整備状態が日々変動し非公開も多い推計ランキングを作らない
発注残承認上限、契約、ロット割当が異なる各段階を別記
型別内訳将来計画でA/Bが変更され得る資料日を付す
事故損失損傷機の修理・除籍判断に時間差公式に現機隊へ反映された例だけ採用

とくに現役軍用機の現在地、即応状態、整備上の弱点は、安全上も公開情報の限界を尊重すべき領域である。本稿は国単位の公刊データと制度上の状態に限定し、部隊ごとの可動機、任務、運用手順、現在の紛争での使い方は扱わない。

ここでの「分からない」は調査不足の言い換えではない。公開資料が違う母集団を示すとき、空欄を埋めないこと自体が結論になる。機数表で最も誠実なセルは、推測値ではなく「公式な同一定義を確認できず」である。

資料日・発行者・調達段階・累計と現在・所在を確認する証拠マトリクス
新しい機数発表は資料日と調達段階を確認し、対応する列だけを更新する

F-35の機数ニュースを正しく読む5つのチェック項目

新しい契約や引渡しが報じられたときは、次の5点を確認すると、保有数への誤加算を避けられる。

1. 資料日はいつか:年だけでなく月日まで確認する。 2. 誰の数字か:メーカー、政府、軍種、議会資料で目的が違う。 3. 何の段階か:選定、承認、契約、製造、引渡し、国内到着、IOCを分ける。 4. 累計か現在か:事故損失・除籍が引かれているかを見る。 5. どこにあるか:米国訓練用を含むか、母国所在だけかを確認する。

たとえば「ポーランドに最初の3機が到着」は母国到着の節目であり、32機の契約総数とも、それまで米国で受領した機数とも別である。「ノルウェー52機受領」は全数引渡し完了だが、少なくとも6機は米国で訓練に使われるため、52をそのまま国内所在数にはできない。

ランキングを更新するなら、既存合計へニュースの数字を足してはいけない。新しい発表が「累計」を示すなら旧累計を置き換え、「追加契約」なら計画・契約列だけを更新し、「国内到着」なら所在列を更新する。別の列の数字は動かさない。

この論点を広く比較するなら、「【2026年決定版】世界最強ステルス戦闘機ランキングTOP10|見えない空の支配者たち」もあわせて確認したい。

よくある質問

F-35を最も多く保有する国はどこですか?

プログラム規模では米国が圧倒的で、2026年3月のメーカー資料は空軍・海兵隊・海軍の合計2,456機を掲げる。ただし<span class="swl-marker mark_yellow">長期計画</span>総数であり、現在2,456機を保有している意味ではない。

日本のF-35保有数は何機ですか?

政府の総取得方針はF-35A 105機、F-35B 42機の計147機である。147は現在機隊ではない。2025年8月にはF-35B最初の3機到着が公表され、2026年3月末までの8機配備計画が示されたが、本稿では公開資料で同一日現在のA/B総在籍数を確認できないため推計しない。

F-35導入国は何か国ですか?

2026年3月3日のLockheed Martin資料は20のプログラム参加国を掲げる。同日時点で自国領内運用は11か国、飛行しているのは16軍種であり、「導入国」「母国運用国」「飛行軍種」は同じ数ではない。

世界でF-35は何機引き渡されましたか?

2026年3月3日時点で世界累計1,310機超とメーカーが公表した。「超」は丸めた表現なので、国別の厳密な合計や日々の生産数へそのまま分解できない。

英国は138機持っていますか?

持っていない。138機は長期コミットメントである。2026年4月に初期48機の引渡しを終え、事故損失1機を反映した英国の運用機隊は47機とRAFが発表した。2025年には次の12機をF-35Aとする購入方針も発表されている。

オーストラリアは72機ですか、100機ですか?

現在の政府確認済み全機隊は72機で、2024年12月に全機引渡しを完了した。メーカーの2026年3月表は100機を掲げるが、豪政府は追加第4飛行隊を将来選択肢としており、100を現有数や確定受領数とは読めない。

F-35を全数受領した国はどこですか?

ノルウェー政府は2025年4月、計画した52機すべてを受領し、計画全数の引渡しを終えた最初の国になったと発表した。うち6機は米国で訓練に使用する。

発注したF-35はいつから保有数に入りますか?

本稿では契約時点では保有数に入れない。顧客受領を累計引渡しへ、事故損失などを反映した公式機隊数を現在機隊へ、母国到着を所在へ、それぞれ別に記録する。

IOCを達成すれば全機が運用可能ですか?

そうとは限らない。IOCは軍種が定めた初期作戦能力の節目で、一定の機体・人員・支援体制が整ったことを示す。全保有機の常時稼働や計画全数受領を意味しない。

まとめ|F-35ランキングは「三つの数字」を混ぜない

2026年3月の同一メーカー資料では、F-35のプログラム記載数は米国2,456機、日本147機、英国138機、イタリア115機、オーストラリア100機の順である。しかし現在機隊として確認できる例は、英国47機、オーストラリア72機、ノルウェー52機など、別の数字になる。

差が生じる理由は明快だ。長期計画、政府承認、契約、生産ロット、累計引渡し、母国到着、現在機隊、運用可能状態は、調達の別々の断面だからである。事故損失や米国訓練機を考慮すれば、累計引渡しすら現在国内にある数とは一致しない。

したがって、F-35保有数ランキングの答えは一列では完結しない。計画総数、引渡し済み、現在機隊の三つを混ぜないことが、国別比較の最低条件である。 新しい数字を見るたびに資料日と段階を確認し、別の列へ足さない。それが、もっとも地味だが壊れにくい読み方である。

主な出典・参考資料

  • <a href="https://www.lockheedmartin.com/content/dam/lockheed-martin/aero/f35/documents/26-00130_001A%20F-35FastFacts_3_2026%20%281%29.pdf">F-35 Fast Facts — March 3, 2026</a>(Lockheed Martin、国別プログラム数・世界累計・運用状態)
  • <a href="https://www.lockheedmartin.com/content/dam/lockheed-martin/aero/f35/documents/26-00130_001A%20F-35FastFacts_1_2026.pdf">F-35 Fast Facts — January 7, 2026</a>(Lockheed Martin、世界累計・2025年引渡し)
  • <a href="https://www.f35.com/f35/news-and-features/Lockheed-Martin-Finalizes-Contract-to-Add-Nearly-300-F35s.html">f35.com</a>(Lockheed Martin、Lot 18・19)
  • <a href="https://www.raf.mod.uk/our-organisation/stations/raf-marham/news/the-uks-lightning-force-just-got-stronger/">The UK&#x27;s Lightning Force just got stronger</a>(Royal Air Force、初期48機・現在機隊47機)
  • <a href="https://www.gov.uk/government/news/uk-to-purchase-f-35as-and-join-nato-nuclear-mission-as-government-steps-up-national-security-and-delivers-defence-dividend">UK to purchase F-35As</a>(英国政府、F-35A 12機)
  • <a href="https://www.regjeringen.no/en/whats-new/norway-unveils-its-first-new-super-missile-jsm-and-celebrates-delivery-of-all-52-f-35-fighter-jets/id3098456/">regjeringen.no</a>(ノルウェー国防省)
  • <a href="https://www.regjeringen.no/no/dokumenter/prop.-1-s-20252026/id3123480/?ch=2">Prop. 1 S 2025–2026</a>(ノルウェー政府、52機受領・米国訓練用6機)
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/releases/2024-12-19/final-f-35a-aircraft-delivered">Final F-35A aircraft delivered</a>(豪国防省、全72機)
  • <a href="https://www.defensie.nl/site/binaries/site-content/collections/documents/2026/05/20/defensie-projectenoverzicht-2026/dpo-rapportage-2026.pdf">Defensie Projectenoverzicht 2026</a>(オランダ国防省、52機受領)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/2019/pdf/f35a.pdf">令和元年度以降に係る防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画</a>(防衛省、F-35A 105機・F-35B 42機)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/html/n510303000.html">令和7年版防衛白書</a>(防衛省、合計147機方針)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/plan/plan_table_02.html">防衛力整備計画 別表2</a>(防衛省、2023~27年度の整備規模)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/rdb/kyushu/effort/mod/pdf/070807.pdf">F-35B戦闘機の新田原基地への配備について</a>(九州防衛局、2025年8月の初期到着)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/rdb/kyushu/effort/mod/pdf/071006.pdf">新田原基地におけるF-35Bの配備計画</a>(九州防衛局、8機配備計画)
  • <a href="https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2026/0109b_r.html">国防大臣記者会見 2026年1月9日</a>(防衛省、新田原の位置づけ)
  • <a href="https://www.canada.ca/fr/ministere-defense-nationale/organisation/rapports-publications/divulgation-proactive/2026/comite-permanent-comptes-publics-nddn.html">canada.ca</a>(カナダ政府、88機・引渡し予定)
  • <a href="https://www.difesa.it/assets/allegati/30714/dpp_2025-2027_annesso_pdfa.pdf">Documento Programmatico Pluriennale 2025–2027</a>(イタリア国防省、115機)
  • <a href="https://www.mil.be/media/ac5okcnp/strategic-vision-2025-extended.pdf">Strategic Vision 2025 Extended</a>(ベルギー国防省、34機+追加11機)
  • <a href="https://lockheedmartin.com/f35/news-and-features/Lockheed-Martin-Congratulates-the-Polish-Air-Force-on-First-F-35-Aircraft-Arrival-in-Country.html">First Polish F-35 aircraft arrive in country</a>(Lockheed Martin、2026年6月の国内初到着)
  • <a href="https://lockheedmartin.com/f35/news-and-features/Finlands_first_F35A_multirole_fighter_arrives_at_Ebbing_Air_National_Guard_Base.html">Finland&#x27;s first F-35A arrives at Ebbing</a>(Lockheed Martin、訓練拠点と母国到着予定)
  • <a href="https://www.f35.com/f35/news-and-features/Minister-for-Defence-Reaffirms-Commitment-to-Acquiring-20-F35-Fighter-Aircraft-Singapores-First-F35-On-Track-for-Delivery-in-End-2026.html">Singapore&#x27;s first F-35 on track for end-2026</a>(シンガポール国防相発言、20機・初号機予定)

※数値・状態は2026年8月10日確認。将来計画、契約、納入、母国到着、現在機隊を区別し、運用可能機の推計は行っていない。

参考資料・主な出典

F-35 Fast Facts — March 3, 2026|資料を確認

F-35 Fast Facts — January 7, 2026|資料を確認

f35.com|資料を確認

The UK's Lightning Force just got stronger|資料を確認

UK to purchase F-35As|資料を確認

regjeringen.no|資料を確認

Prop. 1 S 2025–2026|資料を確認

Final F-35A aircraft delivered|資料を確認

Defensie Projectenoverzicht 2026|資料を確認

令和元年度以降に係る防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画|資料を確認

令和7年版防衛白書|資料を確認

防衛力整備計画 別表2|資料を確認

F-35B戦闘機の新田原基地への配備について|資料を確認

新田原基地におけるF-35Bの配備計画|資料を確認

国防大臣記者会見 2026年1月9日|資料を確認

canada.ca|資料を確認

Documento Programmatico Pluriennale 2025–2027|資料を確認

Strategic Vision 2025 Extended|資料を確認

First Polish F-35 aircraft arrive in country|資料を確認

Finland's first F-35A arrives at Ebbing|資料を確認

Singapore's first F-35 on track for end-2026|資料を確認

Treasury Minutes — F-35 Lightning II|資料を確認

National Defence Strategy and Integrated Investment Program press conference|資料を確認

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