F-47とは|F-22の後継をボーイングが取った理由、1機450億円・185機・2028年初飛行の中身──エンジンが3年遅れる問題と、日本には来ない話【2026年版】

F-47とは
要点

私はこの発表を見て、まず名前に引っかかった。47。第二次大戦のP-47サンダーボルトと、空軍が独立した1947年と、第47代大統領。空軍は三つの理由を並べたが、最後のひとつが本音だと誰もが思った。戦闘機の名前に大統領の順番が入るのは、アメリカでも初めてのことだ。

それから1年半。F-47はセントルイスの工場で1号機の組み立てが進み、2028年の初飛行と2029年の実戦配備という、近年の戦闘機開発では考えられない速さの日程が予算書に書き込まれた。ただし、専用エンジンは2031年まで間に合わない。1機450億円、185機。中国のJ-36が白昼堂々と飛んでいる横で、アメリカは夜のネバダ砂漠でだけ飛ばしている。この記事では、F-47が何者で、何が本当で、日本にとって何を意味するのかを書く。

目次

一言でいうと、F-22の後継にして「無人機の親機」

米空軍が2025年3月に公開したF-47の構想図
米空軍が2025年3月に公開したF-47の構想図。
写真出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
一言でいうと、F-22の後継にして「無人機の親機」

公表されている性能は驚くほど少ない。最高速度マッハ2以上、戦闘行動半径1,000海里以上、ステルス性は「ステルス++」。空軍はこの三つしか言っていない。それでもF-22の戦闘行動半径が500海里前後だったことを考えると、航続距離が倍になっている。太平洋で中国と戦うには、グアムから飛んで戻れる足が要る。F-47の設計はそこから逆算されている。

項目F-47(公表・推定)
主契約ボーイング(2025年3月21日選定)
世代第6世代
最高速度マッハ2以上
戦闘行動半径1,000海里(約1,850km)以上
エンジン新型適応サイクルエンジン(GE XA102またはP&W XA103、2030年代初め統合)
調達数185機以上
単価約3億ドル(約450億円)と報道
初飛行2028年目標
実戦配備2029年目標
随伴無人機CCA(1機あたり複数機、空軍全体で1,000機超)

なぜボーイングが勝ったのか:ロッキードが負けた日

F-47の後継対象となるF-22ラプター
F-47の後継対象となるF-22ラプター。
写真出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

ここは少し人間くさい話になる。

NGADは2014年に国防高等研究計画局の構想として始まり、2020年には実物大の実証機が初飛行した。ボーイングとロッキード・マーティンがそれぞれ試作機を飛ばし、2023年までに3機が飛んでいた。誰も見たことがないのに、空軍の中では「もう飛んでいる」ことが公然の秘密だった。

2024年夏、空軍長官ケンドールが突然、計画を止めた。1機3億ドルは高すぎる、F-35の倍以上の値段の戦闘機を本当に買うのか、無人機だけでいいのではないか。半年の見直しの末、空軍は「やはり有人機が要る」と結論を出し、政権交代直後の2025年3月に発表になった。

ロッキードはF-22とF-35で30年間、アメリカの戦闘機を独占してきた。そのロッキードが負けた理由は公表されていないが、私はボーイングの「工場」だったと思っている。ボーイングはセントルイスにF-15EXとT-7練習機と無人機MQ-25の生産ラインを持ち、そこに戦闘機用の新しい工場を建てていた。民間機の事故と品質問題で経営が揺れる中、防衛部門に国家プロジェクトを渡すのは、アメリカ政府にとってボーイングを潰さないための保険でもあった。ロッキードは負けた翌月、「F-35を第5世代プラスに改造する」と言い出した。負けた側が既存機の改良で食いつなぐのは、この業界の常だ。ロッキードの話はロッキード・マーティン株の記事で書いた。

F-22がなぜ187機で打ち切られたか、その反省がF-47の185機という数字にどう影響しているかはF-22の記事で書いたので、あわせて読んでほしい。

技術の見どころ:エンジン、無人機、そして「見えない形」

地上試験のために用意されたCCAのYFQ-42A試験機
地上試験のために用意されたCCAのYFQ-42A試験機。
写真出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

適応サイクルエンジン

技術の見どころ:エンジン、無人機、そして「見えない形」

問題は、このエンジンが2031年まで間に合わないことだ。2026年7月、空軍の担当将官が「2028年の初飛行は予定通り、ただしエンジンは暫定品を使う」と認めた。つまり初飛行するF-47は本物のエンジンを積んでいない。機体の飛行制御とソフトウェアを先に試し、エンジンは後から載せ替える。F-35が開発中にエンジン問題で何年も止まったことを思うと、私はここを一番心配している。政治的に決められた2028年という日付と、技術者が正直に答えた2031年という日付の間に、3年の溝がある。

無人僚機CCA

F-47は1機で飛ばない。CCAと呼ばれる無人戦闘機を複数機引き連れ、無人機に前に出てセンサーを働かせ、ミサイルを撃ち、必要なら囮になってもらう。空軍は2025年にジェネラル・アトミックスとアンドゥリルの試作機を初飛行させ、1,000機以上を買う計画だ。1機450億円のF-47を守るために、1機30億円の無人機を使い捨てる。この発想の転換が第6世代の本体で、機体そのものより大きい。無人僚機の話はMQ-28ゴーストバットの記事GCAPの随伴無人機の記事で書いた。

公式のイラストは、機首をわざとぼかした横からの絵しかない。カナードが付いているように見える、という指摘が多く、ステルス機にカナードは不利という常識と矛盾する。2026年6月にネバダの夜空をサーマルカメラで撮った映像が出回り、シャベルのような機首と大きなカナードと後退翼が映っていたが、それがF-47なのか実証機なのかは誰も確認していない。中国のJ-36は昼間に街の上を飛んで写真を撮らせている。アメリカは見せない。どちらが自信の表れなのかは、見方による。

中国のJ-36、そしてGCAP

2024年12月26日、中国の成都と瀋陽で、翼が三角形の大型ステルス機と双発の新型機が相次いで初飛行した。J-36とJ-50と呼ばれているこの2機が、F-47発表の直接の引き金になったのは間違いない。アメリカが半年止まっている間に中国が2機飛ばした。空軍はそれを見て、有人機を諦めるという選択肢を捨てた。中国の戦闘機の並びは中国空軍の戦闘機一覧J-20の記事で書いた。

日本にとって身近な比較相手は、日英伊で開発中のGCAPだ。こちらは2035年配備を目指していて、F-47より6年遅い。ただしGCAPは航続距離と搭載量を重視した大型機で、狙っている土俵はF-47と似ている。アメリカが2029年に第6世代を配備し、日本が2035年に追いつく。その6年の間、日本の空はF-35とF-15J改で持たせることになる。第6世代機全体の並びは第6世代戦闘機一覧にまとめた。

海軍のF/A-XXは置き去りにされている

海軍のF/A-XXは置き去りにされている

理由は単純で、造船所も工場も人も足りない中で、二つの第6世代機を同時に作る余裕がアメリカにないからだ。空軍が先、海軍は後。空母の艦載機がF-35CとF/A-18で2040年代まで持つのか、という問題はアメリカ海軍の艦艇一覧で書いた空母の話とつながっている。

日本には来ない、という話

編隊飛行するF-22。既存の有人戦闘機運用の一場面
編隊飛行するF-22。既存の有人戦闘機運用の一場面。
写真出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

F-22は輸出禁止だった。日本は2000年代に何度も欲しがり、結局買えず、F-35に切り替えた。F-47も同じ道を辿る可能性が高い。制空戦闘機の最高機密を海外に出すことをアメリカ議会は嫌う。

ただしトランプ大統領は2025年4月、「同盟国には性能を1割落とした型を売るかもしれない」と口にした。私はこれを本気だとは思っていないが、日本にとって意味はある。GCAPが遅れれば、F-47の「1割落とし」を買う選択肢が浮上する。そのときF-35のときと同じく、国産計画と輸入機の間で日本は揺れるだろう。空自の今の戦闘機は日本の戦闘機一覧、F-35の話は空自F-35の記事を読んでほしい。

帝国海軍ファンとして書いておきたい、P-47と烈風と震電

ここは私の趣味の話だ

F-47の「47」のひとつはP-47サンダーボルトから来ている。P-47は1945年、伊江島や沖縄から日本本土上空に飛んできた戦闘機で、日本の戦闘機隊はこの重い頑丈な機体に手を焼いた。8トンの機体が急降下で追いつけない速度を出す。零戦の軽さと運動性という日本の哲学が、エンジン出力と頑丈さというアメリカの哲学に押し切られた象徴のひとつだ。

一方で、日本にも「次世代機」はあった。零戦の後継、烈風。前翼機の震電。どちらも1945年に試作機が飛ぶか飛ばないかのところで終戦になった。震電の記事で書いたが、震電の形は今見ても前衛的で、F-47のカナード付きの想像図を見たとき、私は少し震電を思い出した。

日本の次世代機は間に合わなかった。アメリカの次世代機は「間に合わせる」と決めて、エンジンが間に合わなくても飛ばす。この差は技術の差ではなく、国が持っている時間と金の差だと思う。80年前にそれで負けた国の人間として、F-47の2028年という日付を見ると複雑な気持ちになる。

F-47の模型はまだ存在しないので、前任機のF-22を机に置いて、次の制空戦闘機がどこから来たかを眺めるのが今できることだ。

投資家目線:F-47で儲かるのは誰か

私は防衛株を持っているので、ここも自分の目線で書く。

主契約はボーイングだ。ボーイング株の記事で書いたように、この会社は民間機で信用を失い、防衛部門で信用を取り戻そうとしている。F-47の開発契約は200億ドル超で、2027年度の開発予算は50億ドル超に増え、2028年にピークを迎える。185機を1機3億ドルで買えば、生産だけで500億ドル以上の仕事になる。ボーイングの防衛部門にとって、向こう20年の柱だ。

エンジンはGEエアロスペースとRTX(プラット・アンド・ホイットニーの親会社)の競作で、どちらが選ばれても勝者は一社。ここは2030年前後の決定待ちだ。無人機はジェネラル・アトミックス(非上場)とアンドゥリル(非上場)で、上場企業から買うならセンサーと電子戦のL3ハリスやノースロップになる。負けたロッキードは、F-35のアップグレードで食いつなぐ。

正直に言えば、F-47は「予算が付くかどうか」がすべての計画だ。F-22は750機の予定が187機で切られた。同じことが起きる可能性はある。だから私はボーイング1社に賭けるより、アメリカ防衛株を複数持つほうが安全だと思っている。全体像は防衛関連銘柄の投資ガイドにまとめた。

投資判断は自己責任で。本記事は特定銘柄の売買を勧めるものではなく、私自身の見立ては将来変わる。数字は公表資料と報道をもとにしているが、時点によって変わるので一次資料を確認してほしい。

よくある質問

F-47とは何か

アメリカ空軍がF-22の後継として開発中の第6世代制空戦闘機で、2025年3月にボーイングが主契約に選ばれた。無人僚機CCAを引き連れて戦う「システムの中のシステム」の中核機だ。

F-47の性能は

公表されているのは最高速度マッハ2以上、戦闘行動半径1,000海里以上、ステルス性「ステルス++」の3点だけ。航続距離はF-22の約2倍と見られ、太平洋での運用を前提にしている。

F-47はいつ飛ぶのか

初飛行は2028年、実戦配備は2029年が目標だ。ただし専用の適応サイクルエンジンは2031年ごろまで間に合わず、初期の試験機は暫定エンジンで飛ぶ見込み。

F-47の値段は

空軍が示唆している単価は約3億ドル、日本円で450億円前後。F-35Aの3倍以上、F-22の2倍だ。185機以上の調達を計画している。

日本はF-47を買えるのか

現時点で輸出計画はない。F-22と同じく輸出禁止になる可能性が高いが、トランプ大統領は同盟国向けに性能を落とした型の輸出に言及したことがある。日本はGCAPを2035年に配備する計画だ。

あわせて読みたい

ここまで読んでくれた人へ。まだ飛んでいない飛行機の記事を書くのは、正直に言うと少し怖い。2028年にこの記事を読み返して、どこが外れたかを笑いたい。深夜の作業のお供はいつもこれだ。

出典・参考

  • FlightGlobal「F-47 on track for first flight in 2028, while F/A-XX lags」(2026年4月13日)
  • Army Recognition「US Air Force’s first F-47 fighter will take off in 2028 years before its next-gen engine is ready」(2026年8月3日)、同「F-47 (Boeing)」製品ページ(2026年8月7日)
  • SOFREP「America’s First Sixth-Generation Fighter Will Fly Three Years Before Its New Engine Is Ready」(2026年7月13日)
  • 19FortyFive「F-47 NGAD Fighter Will Fly 1,000 Miles, Top Mach 2, and Cost $300 Million Each」(2026年6月12日)
  • MiGFlug「F-47 NGAD: 185 Jets, Mach 2+, and One Big Problem」(2026年6月11日)
  • Wikipedia en「Next Generation Air Dominance」「F/A-XX program」、米空軍 発表(2025年3月21日)

基本情報の確認資料

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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