P90 vs MP7|PDW最強はどちら?弾薬・貫通力・実戦運用を比較

展示ケースに並ぶP90とMP7の外形比較

「P90とMP7、結局どちらが強いのか」。

見た目だけなら、答えは簡単に見える。50発を抱える未来的なFN P90と、拳銃をそのまま長くしたようなH&K MP7。どちらも通常の9mm短機関銃より小口径・高速の専用弾を使い、防弾装備が普及した時代の近接戦闘を意識して生まれたPDWだ。

P90 MP7 比較の要点

だが、両者を比べると面白いことが分かる。P90は「小さな銃にできるだけ多くの戦闘力を詰め込む」設計で、MP7は「必要な瞬間まで邪魔にならない銃」を突き詰めている。私はPDWという言葉本来の意味で判定するならMP7を上に置く。ただし、近距離での継続戦闘や弾薬システムまで含めると、P90にはMP7が簡単には追いつけない強みがある。

上部の水平弾倉が分かるP90の展示
P90はブルパップ構成と水平配置の50発弾倉で、短い全長と戦闘継続性を両立する
目次

P90とMP7の違いを先に比較

P90とMP7の違いを先に比較
比較項目FN P90H&K MP7優位
使用弾薬5.7×28mm NATO4.6×30mm NATO用途次第
作動方式クローズドボルト式ブローバックガス作動・回転ボルトMP7
全長505mm415mm(ストック収納)〜638mmMP7
重量約2.8〜2.92kg(空弾倉)約1.9kgMP7
弾倉50発20・30・40発P90
発射速度約850〜1,100発/分約950発/分ほぼ互角
公称有効射程最大200mメーカー最大200m、独連邦軍では最大150mほぼ互角
代表弾の初速SS190で約715m/sDM31で約680m/s単純比較不可
携行性固定長だが短いストック収納時は極めて小型MP7
戦闘継続性50発弾倉最大40発弾倉P90

数字だけを並べても、両者の思想差はかなり露骨だ。

P90は全長505mmで、ストックを伸縮させる必要がない。50発を装填したままでも外形が大きく崩れず、「手に取った瞬間から短い」銃である。一方のMP7は、ストックを収納すれば415mm、重量は独連邦軍公表値で約1.9kgしかない。P90より約1kg軽い。

この1kgは、射撃場では大差に見えなくても、無線機、ボディアーマー、医療装備、車両機材などを同時に持つ兵士には大きい。

P90の詳しい設計や歴史はP90の個別解説、MP7単独の解説はMP7の個別解説へ分ける。この比較では「どちらがPDWとして優れているか」に絞る。

そもそもPDWとは何か|P90とMP7は「強い短機関銃」ではない

PDWはPersonal Defence Weapon、つまり個人防御火器を意味する。

重要なのは、最初から突撃歩兵の主力小銃を置き換えるための兵器ではなかったことだ。車両乗員、衛生兵、通信要員、警護要員など、通常は小銃戦を主業務としない兵士にも持たせやすく、それでいて拳銃より高い戦闘力を確保する。この要求からP90やMP7のような銃が生まれた。

独連邦軍はMP7について、衛生兵、車両運転手、警護要員など、本来は歩兵戦闘を主目的としない兵士のために設計されたと説明している。ここだけを見ると、MP7はPDWの教科書通りだ。

P90も出発点は同じだった。しかしFN Herstalが現在示している用途には、突入、VIP警護、犬を扱う専門要員の自衛などが並ぶ。つまりP90は「後方要員が非常時に使う銃」から、対テロ部隊や警護部隊が積極的に使う近接戦闘用火器へと存在感を広げた。

この変化が、P90とMP7を比べるときの最大の罠である。

両方ともPDWだが、現在のキャラクターは同じではない。

P90と5.7×28mm弾を共有する拳銃の展示
P90の5.7×28mm弾は、軽量な弾薬を高速で飛ばす専用ウェポンシステムとして設計された

5.7×28mm vs 4.6×30mm|弾薬はどちらが強い?

5.7×28mm vs 4.6×30mm|弾薬はどちらが強い?

P90は5.7×28mm、MP7は4.6×30mmを使う。

共通しているのは、9×19mm弾より細く軽い弾頭を高速で飛ばす発想だ。大口径化で威力を得るのではなく、小さな弾を高速化し、低反動、携行弾数、比較的平坦な弾道、防弾装備への対応を同時に狙った。

2026年時点では、5.7×28mmだけでなく4.6×30mmもNATOの小火器弾薬標準に含まれている。NATOのAEP-97では、4.6×30mmはAOP-4820、5.7×28mmはAOP-4509として並んでいる。

FNが公表するSS190弾は弾頭重量約2g、P90からの初速は約715m/s。単純な運動エネルギー換算では約510Jになる。一方、H&KはMP7からDM31を撃った場合、初速約680m/s、銃口エネルギー約465Jとしている。

この数字だけならP90側がやや上に見える。

しかし、ここで「P90の方が貫通力も上」と結論づけるのは早い。防弾装備への貫通は、エネルギーだけでは決まらないからだ。弾頭の直径、材質、芯材、形状、速度の残り方、命中角度、防具そのものの構造が影響する。

H&Kは4.6×30mmについて、鋼芯弾を使用した場合に現代的なボディアーマーへの高い貫通性能を持つと説明している。細い4.6mm弾は断面積が小さく、貫通を狙う設計と相性がいい。

一方、FNは5.7×28mmについて、軍・警察用の適切な弾種では軟質防弾装備やヘルメットへの対応能力を持つと説明している。

つまり、口径だけを見て勝敗を決めることはできない。

私なら弾薬単体の評価は「互角」とする。5.7mmはやや大きい弾頭と高い公称初速を生かしやすく、4.6mmはより細い弾体を貫通向けに設計しやすい。どちらも9mm拳銃弾とは違う方法で、防弾装備時代への回答を出した弾薬だ。

貫通力はMP7が上?「防弾チョッキを抜ける距離」だけでは比較できない

P90とMP7の比較で最も誤解されやすいのが貫通力だ。

ネット上では「4.6mmの方が細いからMP7が上」「5.7mmはNATO試験で勝った」といった断定が並ぶ。しかし、実際の貫通性能は使用弾によって大きく変わる。

英国のNational Protective Security Authorityが公表する防弾装備ガイダンスでは、P90とMP7はいずれも一般的な繊維系ボディアーマーに対して脅威となる一方、セラミック系の追加プレートには阻止されると整理されている。

ここは重要だ。

P90もMP7も、アサルトライフルを小さくした兵器ではない。どちらも「拳銃弾では厳しいが、5.56mm小銃を常時持つほどではない」という隙間を狙った兵器である。

そのため、貫通力だけを追いかけるとPDWの評価軸から外れていく。

硬い防具に対する絶対的な能力を優先するなら、最初から5.56×45mm級の短銃身カービンを選ぶ方が合理的な場面も多い。P90とMP7の価値は、より軽く、より短く、より多くの弾を携行できる範囲で、9mm短機関銃より防弾装備への対応力を高めた点にある。

だから私は、貫通力だけなら明確な勝者なしと判定する。

特定の徹甲弾と特定の防具を組み合わせれば優劣は出る。しかし、それを銃そのものの普遍的な強さへ変換することはできない。

小型な外形と伸縮式ストックが分かるMP7の展示
MP7は約1.9kgの軽さとストック収納時415mmの短さで、携行時の負担を抑える

携行性はMP7が圧勝|1.9kgと415mmがPDWの意味を変える

携行性はMP7が圧勝|1.9kgと415mmがPDWの意味を変える

MP7が最も強いのは、射撃時ではなく「撃っていない時間」だ。

独連邦軍の公表値では、MP7A1は約1.9kg。ストック収納時の全長は415mmで、展開すると638mmになる。H&Kは専用ホルスターによる腰、肩、低位置での携行まで想定している。

これはP90にはできない芸当だ。

P90は全長505mmなので、短銃身カービンと比べれば十分に小さい。しかし重量は空弾倉でも約2.8〜2.92kgあり、MP7との差は小さくない。

車両の運転席、ヘリコプターの機内、医療バッグを抱えた衛生兵、無線機を背負った通信要員を想像すると、この差の意味が見えてくる。

主兵装ではない銃は、使う瞬間より使わない時間の方が圧倒的に長い。

その時間に邪魔にならず、それでも必要な瞬間には肩付け射撃ができる。PDWの評価軸をここに置くなら、MP7の設計は非常に完成度が高い。

私は「PDW最強」を決めるうえで、この点を最も重く見る。

火力と継続戦闘ではP90|50発弾倉は今も異様に強い

MP7が軽さで勝つ一方、P90には50発弾倉がある。

MP7の弾倉は20、30、40発。最大容量で比べてもP90は10発多い。数字だけなら小さな差だが、近距離で複数の脅威へ対応する状況では、再装填までの余裕がそのまま戦闘継続性につながる。

しかもP90の弾倉は銃の上部に水平配置されるため、50発を入れても通常の長い箱型弾倉のように下へ大きく突き出さない。ブルパップ構成と組み合わせることで、銃身長を確保しながら全長505mmに収めている。

ここはP90の設計者が最も大胆だった部分だと思う。

普通なら「短くする」「装弾数を増やす」「銃身長を残す」のどこかを諦める。P90は弾倉の位置そのものを変えることで、三つを同時に成立させようとした。

一方のMP7は、拳銃に近いグリップ内弾倉と伸縮式ストックを採用した。扱い方は直感的だが、40発弾倉を装着すると当然ながらグリップ下へ長く伸びる。

突入や建物内で、最初から銃を構えて戦うならP90の50発は魅力的だ。

護身火器として携行し、必要時だけ取り出すならMP7が勝つ。

ここまで来ると、両者が同じPDWという名前で呼ばれている方が不思議に思えてくる。

採用史資料と並べたMP7の展示
MP7は車両乗員や衛生兵など、主力小銃を常時携行しにくい要員向けPDWの思想に近い

実戦運用ではMP7が「軍用PDW」、P90が「特殊任務用SMG」に近づいた

実戦での使われ方を見ると、設計思想の違いがさらに分かりやすい。

独連邦軍はMP7A1を正式装備として運用し、公式ページにはアフガニスタンのカブール周辺で兵士がMP7A1を携行する写真も掲載している。さらに衛生兵、運転手、警護要員といった使用者像を明示している。

これは、PDWという兵器思想そのものだ。

一方のP90は、FNが現在示す用途を見ると、突入、VIP警護、専門要員の自衛など、より積極的に近接戦闘へ関与する任務が前面に出ている。FNの5.7mmウェポンシステムは世界40か国以上で運用されてきたとされ、P90は単なる珍銃ではなく長期間生き残った現役システムである。

私はここに、P90の成功と皮肉の両方を見る。

P90は「後方要員のための新世代護身火器」として登場した。しかし、その50発弾倉と独特のコンパクトさは、むしろ対テロや警護のような専門任務に向いていた。

対してMP7は、外見こそ特殊部隊向けの派手な銃に見えるが、設計の核心はかなり地味だ。軽い。短い。邪魔になりにくい。それでも拳銃より遠くまで戦える。

PDWの原点に忠実なのはMP7である。

P90 vs MP7、結局どちらが最強なのか

P90 vs MP7、結局どちらが最強なのか

最終判定はMP7

ただし、「銃としての絶対火力がMP7の方が上」という意味ではない。

P90は50発弾倉を持ち、5.7×28mm弾と組み合わせて高い戦闘継続性を確保する。全長505mmのまま長めの銃身を収め、左右どちらからでも扱いやすい。最初から近接戦闘へ投入するなら、私はむしろP90を選びたい。

それでもPDW最強という問いならMP7だ。

理由は、PDWが「一番強い小型銃」ではなく「主兵装を常に持てない人間に、どこまで戦闘力を持たせられるか」という兵器だからである。

約1.9kg。ストック収納時415mm。20・30・40発弾倉。最大150〜200m級の運用距離。そして防弾装備を意識した4.6×30mm弾。

MP7は、火力を少し削ってでも携行性を優先した。その妥協こそが、PDWとしては正しい。

P90は「小さな主役」になれる銃だ。

MP7は「必要になるまで脇役でいられる」銃だ。

私は後者こそ、PDWという兵器カテゴリーの完成形に近いと考える。

広い意味での位置づけはサブマシンガン最強ランキングで比較している。

よくある質問

P90とMP7はどちらの貫通力が高い?

使用する弾薬と対象となる防具によるため、一律には決められない。4.6×30mmは細い弾体と鋼芯弾を利用した貫通性能が強みで、5.7×28mmにも軟質防弾装備を意識した軍・警察用弾がある。銃口エネルギーだけで貫通力を判定するのは不適切だ。

P90とMP7はどちらが射程が長い?

メーカー公称では両者とも最大200m級。独連邦軍はMP7の運用距離を最大150mとしている。実際の命中率や効果は弾種、照準器、射手、環境で変わるため、200mを通常のアサルトライフルと同じ感覚で捉えるべきではない。

P90とMP7はサブマシンガンなのかPDWなのか?

両方の呼び方が使われる。メーカーの現行分類ではP90もMP7もsubmachine gunとして掲載されている一方、設計思想としては専用の小口径高速弾を使うPDWの代表例である。

出典・参考資料

あわせて読みたい関連記事

この記事が参考になったら、応援の意味で以下のリンクから何か購入いただけると幸いです。執筆の励みになります。リンク先以外の商品でも構いません。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\商品券4%還元!/
Yahooショッピング
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次