5.7×28mm弾とは|P90とFive-seveNが使う高速小口径弾

FN Five-seveNをイメージした博物館展示
この記事でわかること
  • 5.7×28mm弾がP90とFive-seveNを一体で設計した規格だとわかる
  • 軍用弾と市販弾を同じ性能として扱えない理由を整理できる
  • 9×19mm弾との違いと、NATO標準化の意味を確認できる

銃器と弾薬の分類から確認したい場合は、銃の種類と弾薬の基礎を先に読むと理解しやすい。

5.7×28mm弾とは、ベルギーのFNハースタルが1980年代末に開発した高速小口径弾である。FN P90とFN Five-seveNに共通して使われ、一般的な拳銃弾より軽い弾頭を高い速度で飛ばすことで、低反動、多弾数、比較的平坦な弾道、特定の防護標的への対応力をまとめて狙った。

この弾薬は「防弾ベストを貫通する拳銃弾」と説明されがちだが、それだけでは本質を外す。5.7×28mm弾の本質は、弾頭の種類と銃身長によって性能を変えながら、P90というPDWとFive-seveNという拳銃を一つの兵器体系へ結びつけた点にある。

私は、この弾薬を単独の威力競争で見るよりも、「小さな銃で何を持ち運び、どの距離まで同じ補給体系で対応するか」という設計思想から読むべきだと考える。P90の外観もFive-seveNの20発弾倉も、5.7×28mm弾を中心に組み立てられている。

目次

5.7×28mm弾の基本スペック

P90とFive-seveNをつなぐ5.7×28mm弾薬体系
P90とFive-seveNをつなぐ5.7×28mm弾薬体系
数字を読む前の注意
  • 同じ弾種でもP90とFive-seveNでは銃身長が違い、初速も変わる
  • SS190の性能を5.7×28mm弾全体へ拡張しない
  • 弾頭重量・構造・試験条件をそろえて比較する

5.7×28mmという名称は、弾頭直径がおよそ5.7mm、薬莢長がおよそ28mmであることを示す。C.I.P.の規格表では弾頭径の基準値が5.70mm、薬莢長の最大値が28.90mm、実包全長の最大値が40.50mmとされる。最大許容圧力はトランスデューサー法で3450barである。

SAAMIは2024年に「5.7 X 28 FN」を正式な規格として受け入れ、最大平均圧力を48,500psi、40グレイン弾を4.8インチ試験銃身から撃った基準初速を1,750fpsとして公表した。C.I.P.とSAAMIでは測定法や規格の組み方が異なるため、圧力値だけを単純換算して優劣を判断するべきではない。

項目内容
開発元FNハースタル(ベルギー)
開発開始1980年代末
弾頭径約5.7mm
薬莢長最大28.90mm(C.I.P.)
実包全長最大40.50mm(C.I.P.)
形状ボトルネック型・リムレス
C.I.P.最大許容圧力3450bar
SAAMI最大平均圧力48,500psi
代表的な銃FN P90、FN Five-seveN、民間型PS90など
NATO規格STANAG 4509/AOP-4509

見た目は小型ライフル弾に近い。9×19mm弾のような直線的な拳銃用薬莢ではなく、胴部から細いネックへ絞り込まれたボトルネック形状を持つ。この細いネックで直径の小さな弾頭を保持し、比較的大きな薬室圧力から高い速度を得る。

SAAMIは、作動確保のため薬莢に潤滑性のある表面処理が必要になる場合があるとも注意している。薬莢と給弾機構まで含めて成立する規格である。

なぜ5.7×28mm弾が開発されたのか

PDWと拳銃で弾薬を共通化する開発構想
PDWと拳銃で弾薬を共通化する開発構想

FNハースタルによれば、5.7×28mm弾の設計は1980年代末に始まった。当時は軍や警察でボディアーマーの普及が進み、従来の9mm拳銃弾では軽量な軟質防護装備にも十分対応できない場面が意識されていた。そこでFNは、拳銃弾の携行性を大きく損なわず、より高速で小口径の弾頭を撃ち出す新しい弾薬を開発した。

同時に構想されたのがFN P90である。P90は前線の小銃手だけでなく、車両乗員、通信要員、警備要員、特殊任務部隊などが携行しやすいPDWとして設計された。アサルトライフルより小さく、従来型サブマシンガンより防護装備へ対応しやすい火器を目指したのである。

その後、同じ弾薬を使う拳銃としてFive-seveNが加わった。P90を主装備とする要員がサイドアームへ持ち替えても、弾薬の種類を増やさずに済む。ここで重要なのは、P90とFive-seveNが偶然同じ弾を採用したのではなく、最初から「5.7mm兵器システム」として発展した点だ。

5.7×28mm弾は、P90とFive-seveNを同じ規格でつなぎ、発射する銃によって速度と役割を変える。この構造が、珍しい専用弾で終わらなかった理由である。

5.7×28mm弾はなぜ高速なのか

5.7×28mm弾は、重い弾頭を押し出すのではなく、軽い弾頭を高速で飛ばす。FNの軍・治安機関向けSS190通常弾は弾頭重量約2g、すなわち約31.2グレインである。P90からの公称初速は約715m/s、Five-seveN Mk2からは約615m/sとされる。

運動エネルギーは、質量に速度の二乗を掛けて2で割ることで求められる。SS190の公称値から概算すると、P90では約511J、Five-seveNでは約378Jになる。同じ弾でもP90のほうが約100m/s速く、概算エネルギーは約35%大きい。

FN公表弾種弾頭重量P90初速Five-seveN Mk2初速概算エネルギー(P90/拳銃)
SS190 Ball約2.0g約715m/s約615m/s約511J/378J
L191 Tracer約2.0g約715m/s約615m/s約511J/378J
Sb193 Subsonic約3.9g約300m/s約300m/s約176J/176J
SS192 Soft約1.8g約725m/s約640m/s約473J/369J
FR199 Frangible約2.3g約630m/s約515m/s約457J/305J

表から分かるのは、「5.7×28mm弾の初速は一つではない」ということだ。亜音速弾のSb193は重い弾頭を約300m/sで飛ばし、破砕性弾頭のFR199はSS190より遅い。弾頭重量、構造、目的、銃身長が変われば、速度もエネルギーも変わる。

初速が高くても、必ず大口径拳銃弾より運動エネルギーが大きいわけではない。SAAMIの40グレイン弾・1,750fpsは概算約369Jであり、ライフル弾級ではない。

5.7×28mm弾の特徴は、純粋なエネルギー量よりも、小さな断面積へ速度を集中できる点にある。細く軽い弾頭は空気抵抗と落下の影響を抑えやすく、同時に反動を小さくしやすい。一方で、軽量弾頭は障害物通過後や遠距離で速度を失いやすい。長所と短所は同じ設計から生じている。

5.7×28mm弾の貫通力はどれほどか

貫通力の結論
  • 特定の軍・治安機関向け弾種には公開試験上の対応力がある
  • 市販弾を含むすべての5.7×28mm弾に同じ性質はない
  • 防護装備の種類・等級・距離・試験条件を外して断定しない

5.7×28mm弾を調べると、「防弾ベストを貫通する」という説明が必ず出てくる。結論から言えば、特定の弾種を特定の銃から撃ち、特定の防護標的へ当てた場合には高い貫通力を示す。しかし、5.7×28mm弾なら何でも同じ性能を持つわけではない。

FNの技術資料では、SS190通常弾とL191曳光弾について、CRISAT標的を100m超で貫通すると記載されている。対してSb193亜音速弾、SS192ソフト弾、FR199破砕弾にはCRISAT貫通能力がないと明記される。同じ薬莢を使っていても、弾頭内部の材料と構造が違えば結果は正反対になる。

CRISATは、旧来の拳銃弾に対する防護を想定した基準標的としてPDW用弾薬の評価で知られる。ただし、CRISATを抜けることと、現代のあらゆるボディアーマーや硬質プレートを貫通することは同義ではない。防護装備には軟質繊維、金属、セラミック、複合材など多くの種類と等級があるため、「防弾ベスト」という一語で性能を断定できない。

FNの製品ページは軟質防護への対応を最大200mまで掲げるが、弾種別資料はSS190とL191に100m超と記す。数値は弾種と試験条件を伴って読む必要がある。

私が5.7×28mm弾の説明で最も警戒するのは、SS190の性能を市販弾や亜音速弾まで含む口径全体へ拡張してしまうことだ。SS190、SS192、SS197SR、SS198LFなどは名称が似ているが、弾頭重量も構造も販売対象も異なる。薬莢寸法が同じでも、標的に与える結果は同じではない。

また、貫通力が高いことと、人体に対する効果が一律に高いことも別問題である。弾頭が細く軽いため、姿勢変化、変形、破砕、速度低下の仕方によって結果が変わる。威力を比較するときは、銃口エネルギーだけでも、貫通枚数だけでも不十分である。

軍用弾と市販弾を同じものとして扱えない理由

弾頭構造と用途が異なる5.7×28mm弾の各種仕様
弾頭構造と用途が異なる5.7×28mm弾の各種仕様

FNハースタルが公表する軍・治安機関向け弾薬には、SS190通常弾、L191曳光弾、Sb193亜音速弾、SS192ソフト弾、FR199破砕弾、空包がある。用途はそれぞれ異なり、CRISATへの対応が示されるのはSS190とL191である。

米国市場にも複数の弾種があり、SS198LFは27グレインのアルミニウム芯ホローポイントとして法執行機関・軍向けに位置づけられる。公称初速はFive-seveNで2,216fps、PS90で2,530fpsである。

一方、SAAMIが2024年に採用した基準は40グレイン弾を4.8インチ銃身から1,750fpsで撃つ仕様であり、SS190の軍用データとは別物である。市販される5.7×28mm弾の性能を知りたい場合、口径名だけで判断せず、製品名、弾頭重量、弾頭構造、試験銃身を確認する必要がある。

ここでの要点は、「民間弾はすべて弱い」「軍用弾はすべて徹甲弾」と単純化しないことだ。市場区分や法的分類は国によって異なり、製品も更新される。記事として安定して言えるのは、5.7×28mmという薬莢規格の内部に、貫通、曳光、亜音速、破砕、スポーツ用途など異なる設計が存在するという事実である。

P90は5.7×28mm弾の性能を引き出す本命だった

P90は5.7×28mm弾を象徴する火器である。FNの現行仕様では全長505mm、銃身長約264mm、弾倉容量50発で、閉鎖状態から発射するブローバック方式を採る。小型の車体や室内で扱える全長に、50発の弾薬を載せることが設計の中心だった。

5.7×28mm弾は細いため、同じ弾倉容積で多く収めやすい。P90は弾を銃身と平行に寝かせた上面弾倉を使い、短い銃へ50発を収める。

P90の長い銃身は、Five-seveNより高い初速を得る。SS190では公称値で約715m/s対615m/s、FR199でも約630m/s対515m/sである。P90は単にFive-seveNを連射可能にした銃ではなく、同じ弾薬からより高い速度と有効距離を得る側の火器だ。

FNはP90の最大有効射程を200mとしている。これはアサルトライフルの代替として長距離戦を行う数字ではないが、従来の拳銃・短機関銃より遠い範囲まで同じ弾薬体系を延ばす意図を示す。

P90本体の給弾機構、ブルパップ構造、PS90との違い、MP7との競争は別記事の領域である。

個別の構造や採用史は、P90の構造・開発史・PS90との違いで本文の流れに沿って補足している。

個別の構造や採用史は、競合したMP7と4.6×30mm弾で本文の流れに沿って補足している。

P90の形状を安全に確かめる
  • 実弾商品ではなく国内向けエアソフト製品を案内
  • 利用時は年齢区分・法令・フィールド規則を必ず守る

Five-seveNは同じ弾薬を拳銃へ持ち込んだ

Five-seveNは5.7×28mm弾を使う大型自動拳銃である。現行のFN Five-seveN MRDは4.8インチ銃身、20発または10発弾倉を備え、米国仕様の空重量は25.2オンスとされる。従来型Five-seveNは20発弾倉を使いながら空重量21オンスであり、軽い弾薬とポリマーフレームの組み合わせが多弾数化を支えている。

Five-seveNの役割は、P90と同じ性能を拳銃サイズで再現することではない。銃身が短くなるため初速とエネルギーは低下する。それでも9mm拳銃で一般的な15〜17発より多い20発を標準寸法のグリップへ収め、比較的低い反動で撃てる点に意味がある。

P90とFive-seveNの関係を、私は戦艦の主砲と副砲よりも、同じ燃料で走る主力車と連絡車に近いものだと見る。能力は同じではないが、補給の言語が同じなのである。P90は5.7×28mm弾の速度と50発弾倉を生かし、Five-seveNは同じ弾薬を20発携行できるサイドアームとして補完する。

この組み合わせは拳銃用とPDW用の弾薬規格を共通化する。ただし、どの弾種を配るかは任務と調達による。

5.7×28mm弾と9×19mm弾の違い

5.7×28mm弾と9×19mm弾の外形と設計思想の差
5.7×28mm弾と9×19mm弾の外形と設計思想の差

5.7×28mm弾はしばしば9×19mm弾の上位互換として語られるが、実際には設計上の優先順位が違う。

比較項目5.7×28mm弾9×19mm弾
弾頭小径・軽量が中心大径・比較的重量がある
速度高速になりやすい5.7mmより低速が一般的
反動小さく抑えやすい銃と装弾によっては大きい
弾道比較的平坦拳銃距離向け
弾倉容量同程度の銃で増やしやすい標準的
防護標的への対応専用弾頭で強みを持つ通常弾では限定的
弾頭重量と直径小さい大きい
普及度限定的だが拡大中世界標準級
弾薬価格・供給市場により高価・限定的種類が多く供給も広い

5.7×28mm弾の利点は、低反動、多弾数、速度、平坦な弾道を同時に得やすいことだ。P90の50発、Five-seveNの20発という容量は、細い実包だからこそ成立しやすい。

一方、9×19mm弾は長い運用実績、豊富な銃種、弾薬の種類、価格、供給網で圧倒的に有利である。大径で重い弾頭を使うため、障害物や標的に対する挙動も5.7×28mmとは異なる。5.7mmの速度だけを見て、9mmより常に強いと断言することはできない。

私は、両者を「どちらが最強か」で決める比較にあまり意味を感じない。5.7×28mm弾は、防護装備への対応、携行弾数、射撃時の制御、拳銃とPDWの共通化を重視した専門的な選択肢である。9×19mm弾は、拳銃と短機関銃の巨大な既存基盤を背負う汎用規格だ。任務と補給条件が違えば、最適解も変わる。

NATO標準化は何を意味するのか

国際規格化を支える弾薬の品質・互換性試験
国際規格化を支える弾薬の品質・互換性試験
標準化と採用は別
  • 共通の試験・安全性・互換性を扱う枠組み
  • 全加盟国への一律配備を意味しない
  • 複数メーカー供給と共同調達を検討しやすくする

FNハースタルは2021年2月25日、5.7×28mm弾がSTANAG 4509によってNATO口径として認定されたと発表した。現在のNATO文書AEP-97でも、5.7mm×28弾薬はAOP-4509の対象として、4.6mm×30、5.56mm×45、7.62mm×51、9mm×19、12.7mm×99などと並んで記載されている。

標準化は全加盟国の一斉採用を意味しない。異なるメーカーの弾薬を、共通の試験方法、性能要求、安全性、互換性で評価する枠組みである。

STANAG 4509の価値は、FNだけの独自弾薬だった5.7×28mm弾が、多国間の調達と互換性を検討できる規格へ進んだ点にある。採用国や配備数が自動的に増えるわけではないが、複数メーカーによる供給、共同調達、兵站上の信頼性には追い風となる。

2022年にはFN Herstal、FN America、Fiocchiが米国民間市場向け5.7×28mm弾の製造・供給に関するライセンス契約を発表した。さらに2024年にはSAAMIが規格を受け入れた。軍用のNATO標準化と民間市場のSAAMI標準化は目的が違うが、いずれも5.7×28mm弾がFN専用の孤立規格から広い産業基盤へ移る動きと読める。

5.7×28mm弾の長所

反動を抑えやすい

弾頭が軽いため、同程度の重量を持つ銃で比較すれば反動を小さくしやすい。連続射撃時の制御や、次弾へ照準を戻す速さに有利となる。FNもP90とFive-seveNの主要な利点として低反動を掲げる。

弾倉容量を増やしやすい

実包が細く軽いため、P90は50発、Five-seveNは20発を収められる。弾薬を大量に携行する場合も、同数の大口径拳銃弾より重量を抑えやすい。

比較的平坦な弾道を得やすい

高速弾は近距離から中距離で落下量を抑えやすい。P90のようなPDWでは、拳銃より広い距離帯へ対応する助けとなる。ただし、軽量弾頭なので距離とともに速度を失う点は無視できない。

専用弾頭で軟質防護へ対応できる

SS190のように目的に合わせた弾頭では、CRISAT標的への貫通性能が示されている。これが5.7×28mm弾を従来型サブマシンガン用弾薬から区別した最大の特徴である。

P90とFive-seveNで弾薬を共通化できる

長銃身PDWと拳銃を一つの弾薬規格でつなげられる。5.7×28mm弾は、単独の弾道性能だけでなく兵站設計まで含めて評価する必要がある。

5.7×28mm弾の弱点

弾種による性能差が大きい

SS190の数字を見て市販弾まで同じと考えると誤る。弾頭重量、芯材、先端形状、速度が異なり、貫通力も終末効果も変わる。

9mmほど普及していない

対応銃と弾薬メーカーは増えたが、9×19mm弾の供給網には及ばない。価格や入手性、訓練弾の選択肢は地域と市場に左右される。

軽量弾頭ゆえの限界がある

小さく軽い弾頭は反動と弾道で有利だが、障害物通過後の挙動や遠距離でのエネルギー保持では不利になり得る。FN自身も200mを超えると急速にエネルギーを失う性格を利点の一つとして掲げており、長距離小銃弾として設計されたわけではない。

銃身長への依存が目立つ

同じSS190でもP90とFive-seveNで約100m/sの初速差がある。「5.7×28mm弾の性能」を語る際には、どの銃から撃った数値かを必ず確認する必要がある。

5.7×28mm弾に関するFAQ

5.7×28mm弾は防弾ベストを貫通するのか

SS190やL191など、FNが特定用途向けに設計した弾種はCRISAT標的への貫通性能を持つ。一方、Sb193、SS192、FR199には同じ性能が示されていない。防護装備の種類と等級も異なるため、「5.7mmならどんな防弾ベストも抜ける」という理解は誤りである。

P90とFive-seveNは完全に同じ弾を使えるのか

両者は同じ5.7×28mm規格を使用する。ただし、銃身長が違うため初速とエネルギーは同じにならない。任務によって使う弾種も変わり得る。

5.7×28mm弾は9mm弾より威力が高いのか

一律には言えない。5.7×28mm弾は小口径・高速・低反動・多弾数を優先し、特定弾種は防護標的への貫通力を持つ。9mm弾は重く太い弾頭と幅広い製品群を持つ。銃口エネルギーだけなら重なる範囲もあり、用途別に比較する必要がある。

5.7×28mm弾は5.56×45mm NATO弾の短縮版なのか

見た目は小型ライフル弾に似るが、別規格である。5.56×45mm弾はアサルトライフル用、5.7×28mm弾は拳銃とPDW用として設計された。薬莢寸法、圧力、弾頭、対応銃は互換しない。

NATO標準弾ならNATO全軍が使っているのか

そうではない。STANAGは性能試験と互換性の共通枠組みを整えるもので、全加盟国への一律採用を意味しない。5.7×28mm弾を採用するかは、各国・各組織の装備体系と調達判断による。

まとめ|5.7×28mm弾は銃ではなくシステムを設計した

5.7×28mm弾とは、軽い5.7mm弾頭を高速で飛ばし、低反動、多弾数、平坦な弾道、専用弾による防護標的への対応を狙ったFNハースタル製の弾薬規格である。

P90では約264mmの銃身と50発弾倉を使って速度と継続火力を引き出し、Five-seveNでは4.8インチ銃身と20発弾倉によって拳銃へ落とし込む。同じ弾を使っても性能は同じではない。むしろ、長銃身と短銃身で異なる役割を持たせながら、補給体系だけを共通化したところに設計の巧さがある。

貫通力についても、SS190の性能を5.7×28mm弾全体へ広げてはいけない。FNの資料だけでも、CRISAT対応弾と非対応弾が明確に分かれる。5.7×28mm弾は魔法の徹甲弾ではなく、弾頭設計によって性格を変える高圧・高速の小口径規格である。

2021年にSTANAG 4509としてNATO標準化が公表され、2024年にはSAAMI規格にも加わった。誕生時はP90とFive-seveNのための専用弾だったが、現在は複数メーカーと対応銃へ広がる基盤を得た。

この弾薬が残した最大の発明は、秒速何メートルという数字だけではない。一本の細い実包を軸に、PDWと拳銃、火力と携行性、前線と兵站を同じ設計図へ描き込んだことである。

参考・主要資料

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