世界最強の軍事力を持つ国はどこか。
この問いに、私達は長年取り憑かれてきた。
ニュースで「中国の軍拡」「ロシアの侵攻」「北朝鮮のミサイル」という言葉が飛び交うたび、ふと考える。日本は大丈夫なのだろうか。自衛隊は本当に国を守れるのだろうか。そして、世界の軍事バランスは今、どうなっているのだろうか――と。
2025年、世界は激動の時代を迎えている。
ウクライナ戦争は3年目に突入し、中東ではイスラエルを巡る緊張が続く。台湾海峡では中国軍の活動が活発化し、北朝鮮は核・ミサイル開発を止めない。
こんな時代だからこそ、各国の軍事力を客観的に理解することが重要だ。
この記事では、世界的に権威ある軍事力評価機関「Global Firepower」の2025年版データを基に、世界の軍事力ランキングを徹底解説する。日本の自衛隊がどこに位置するのか、米中露の力関係はどうなっているのか、そして私たちはこのデータをどう読み解くべきなのか。
ミリタリーに興味がある人も、国際情勢を知りたい人も、ぜひ最後までお付き合いいただきたい。
Global Firepowerとは?世界が注目する軍事力評価の仕組み
2006年から続く世界最大の軍事力データベース
「Global Firepower」(GFP)は、2006年から運営されている世界最大規模の軍事力評価サイトである。
毎年、145カ国の軍事力を分析し、ランキング形式で発表している。その評価項目は60以上にも及び、単なる兵力数だけでなく、財政状況、地理的条件、天然資源、兵站能力まで総合的に評価する。
正直に言えば、このランキングには賛否両論がある。一部の専門家からは「分析に限界がある」という指摘もある。それでも、多くのメディアや研究機関が参照する「定番の指標」として世界中で認知されているのも事実だ。
PowerIndex(パワーインデックス)の読み方
GFPは各国に「PowerIndex」というスコアを付与している。
これは0.0000に近いほど強力であることを示す。理論上の完璧なスコアは0.0000だが、これを達成できる国は存在しない。なぜなら、どの国にも何らかの弱点があるからだ。
例えば、アメリカは軍事技術で圧倒的だが、国土が広いがゆえの防衛上の課題がある。ロシアは核戦力が強力だが、経済制裁で財政が苦しい。このように、各国にはトレードオフが存在する。
評価に含まれないもの──核兵器の扱い
注目すべき点がある。
GFPのランキングは「通常戦力」のみを評価対象としており、核兵器は考慮されていない。
これは非常に重要なポイントだ。核保有国と非保有国では、軍事的な抑止力において根本的な差がある。しかし、核兵器の比較は困難を極めるため、GFPはあえて評価対象外としている。
つまり、このランキングは「通常の戦争が起きた場合の軍事力」を示しているのであり、核戦争を想定したものではない。この点を念頭に置いて読み進めてほしい。
2025年世界軍事力ランキングTOP20|最新データを完全公開

それでは、2025年の最新ランキングを見ていこう。
世界軍事力ランキングTOP20(2025年版)
順位 / 国名 / PowerIndex
1位:アメリカ合衆国 / 0.0744
2位:ロシア / 0.0788
3位:中国 / 0.0788
4位:インド / 0.1184
5位:韓国 / 0.1656
6位:イギリス / 0.1785
7位:フランス / 0.1878
8位:日本 / 0.1839
9位:トルコ / 0.1902
10位:イタリア / 0.2164
11位:ブラジル / 0.2415
12位:パキスタン / 0.2513
13位:インドネシア / 0.2557
14位:ドイツ / 0.2601
15位:イスラエル / 0.2661
16位:イラン / 0.3048
17位:スペイン / 0.3242
18位:オーストラリア / 0.3298
19位:エジプト / 0.3427
20位:ウクライナ / 0.3755
※出典:Global Firepower 2025
このランキングを見て、あなたはどう感じただろうか。
アメリカの1位は予想通りかもしれない。だが、ロシアと中国がほぼ同点で2位を争っていること、韓国が5位という高順位にあること、そして日本が8位であることには驚く人も多いだろう。
それぞれの国を詳しく見ていこう。
第1位:アメリカ合衆国──「世界の警察」はなお健在か

圧倒的な軍事費──年間約85兆円の防衛予算
アメリカの軍事力を一言で表すなら「桁違い」だ。
年間の軍事費は約85兆円。これは2位以下の国々の軍事費を合計してもなお上回る金額である。
この予算がどれほど巨大か、想像してほしい。日本の防衛関係予算が約8.7兆円(2025年度)であることを考えると、アメリカはその約10倍の予算を持っている。
空母打撃群11個──地球を覆う海上戦力
アメリカ海軍の象徴といえば、空母打撃群だ。
原子力空母を11隻保有し、それぞれが数十機の艦載機と護衛艦艇を従えて「空母打撃群」を形成している。1つの空母打撃群だけで、中小国の空軍に匹敵する航空戦力を持つ。
最新鋭の「ジェラルド・R・フォード級」は満載排水量10万トン超。電磁式カタパルトを搭載し、戦艦「大和」の7.2万トンを大きく上回る世界最大の軍艦だ。
F-22とF-35──二重のステルス戦力
航空戦力においても、アメリカは世界をリードしている。
世界唯一の第5世代制空戦闘機「F-22ラプター」を約180機保有。さらに、マルチロール機「F-35ライトニングII」の配備も進んでいる。
興味深いことに、アメリカ海軍だけで世界第2位の航空戦力を持つ。「空軍」ではなく「海軍」が世界2位というのは、アメリカ軍の規模の異常さを物語っている。
弱点はあるのか
もちろん、アメリカにも課題はある。
広大な国土ゆえの防衛上の困難、老朽化が進む一部の艦艇、そして何より、中国海軍の急速な拡大による相対的な優位性の低下だ。
特に、中国海軍の艦艇数がアメリカを上回り始めたことは、アメリカの軍事専門家たちの間で深刻な懸念となっている。
第2位:ロシア──ウクライナ戦争で見えた実力と限界
核戦力では世界トップ
ロシアの強みは、何といっても核戦力だ。
世界最大の核弾頭保有数を誇り、戦略原子力潜水艦、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、戦略爆撃機という「核の三本柱」を維持している。
GFPのランキングには核兵器が含まれていないが、核抑止力という観点では、ロシアは依然として世界最強クラスの地位にある。
陸軍大国としての伝統
ロシアは伝統的に陸軍大国だ。
広大なユーラシア大陸を守るため、戦車・装甲車・砲兵といった地上戦力に重点を置いてきた。戦車の保有数は公称で約12,000両以上とされ、数量面では圧倒的だ。
ウクライナ戦争が暴いた問題点
しかし、2022年から続くウクライナ戦争は、ロシア軍の深刻な問題を浮き彫りにした。
兵站の混乱、通信の脆弱性、近代装備の不足、そして何より、西側の最新ドローンや対戦車ミサイルに対する脆弱性。戦車大国を自認していたロシアが、ウクライナ軍に多くの戦車を撃破されたことは、世界の軍事関係者に衝撃を与えた。
GFPのランキングでは依然として2位だが、実戦での苦戦を見ると、その評価には疑問符がつく部分もある。
第3位:中国──急速に迫る「新たな超大国」

世界最大の海軍艦艇数
中国の軍事力拡大は、21世紀の国際情勢を語る上で避けて通れないテーマだ。
驚くべきことに、中国海軍の戦闘艦艇数は約390隻に達し、アメリカ海軍の約296隻を上回っている。もちろん、総トン数や質ではアメリカが依然として優位だが、「数の優位」は侮れない。
空母3隻体制へ──「遼寧」「山東」そして「福建」
中国海軍は、空母「遼寧」「山東」の2隻を就役させ、2025年には最新鋭の「福建」が就役予定だ。
「福建」は電磁カタパルトを搭載し、約70機の艦載機を運用できるとされる。これはアメリカの空母に近い能力であり、中国の技術力の飛躍を示している。
さらに、4隻目の空母、そして将来的には原子力空母の建造も噂されている。
第5世代戦闘機「J-20」の大量配備
航空戦力でも、中国は急速に近代化を進めている。
ステルス戦闘機「J-20」の配備が進み、その数は200機以上に達したとも言われる。「F-22キラー」を目指して開発されたこの機体は、アメリカの制空権独占に挑戦する存在だ。
私の書いた「航空自衛隊の戦闘機一覧」でも解説しているが、日本の航空自衛隊が保有するF-35Aは現時点で約40機。数量面での差は歴然としている。
東アジアでは「ローカル優位」に
総合的な軍事力ではアメリカに劣るとしても、東アジア地域に限定すれば話は変わる。
中国本土に近い海域では、中国軍の戦闘機・艦艇・ミサイルが圧倒的な数量を誇る。台湾海峡や南シナ海での有事を想定した場合、アメリカといえども容易には介入できない状況が生まれつつある。
これは「反介入/接近阻止(A2/AD)」戦略と呼ばれ、日本の安全保障を考える上で最も重要なファクターの一つだ。
第4位:インド──急成長する「第三の大国」
人口世界一のポテンシャル
インドが4位にランクインしていることに驚く人は多いかもしれない。
しかし、インドは世界最多の人口を抱え、経済成長も著しい。軍事費も年々増加しており、その潜在的な軍事力は侮れない。
近代化が進む三軍
インド空軍は約1,700機以上の航空機を保有し、ロシア製のSu-30MKI、フランス製のラファールなど、多様な機体を運用している。
海軍も空母「ヴィクラマーディティヤ」を保有し、国産空母「ヴィクラント」も就役。原子力潜水艦の開発も進めている。
二正面作戦の宿命
インドの特殊な事情として、中国とパキスタンという2つの核保有国と国境を接していることがある。
この「二正面作戦」の可能性は、インドの軍事戦略に大きな影響を与えている。両国との緊張関係が続く限り、インドは軍事力の強化を止められない。
第5位:韓国──日本を上回る「アジアの盾」
なぜ韓国は5位なのか
日本人として、正直に言うと複雑な気持ちになるデータがある。
韓国が5位、日本が8位。隣国に順位で負けている。
この差はどこから来るのか。
まず、韓国には「徴兵制」がある。現役兵士の数は約50万人で、日本の自衛官約23万人の2倍以上だ。さらに、予備役を含めれば動員可能な人員はさらに増える。
また、韓国は北朝鮮という「目の前の脅威」に対峙し続けてきた。38度線を挟んで100万人以上の北朝鮮軍と向き合っているため、軍事力の維持・強化は国家存亡に直結する問題なのだ。
K-2戦車、KF-21戦闘機──国産兵器の躍進
韓国の防衛産業も急成長している。
国産戦車「K-2黒豹」は世界トップクラスの性能を誇り、国産戦闘機「KF-21ボラメ」の開発も進んでいる。K-9自走榴弾砲は世界各国に輸出され、ポーランドやオーストラリアなどが大量に購入している。
ウクライナ戦争を機に、韓国製兵器の評価は急上昇。「防衛産業輸出国」としての地位を確立しつつある。
課題──稼働率と持続力
ただし、韓国軍にも課題はある。
装備の稼働率が低いという指摘があり、一部では60%以下という数字も報じられている。いくら装備が優秀でも、動かなければ意味がない。
また、北朝鮮との短期決戦を想定してきたため、長期戦への持続力には不安が残る。
第6位・7位:イギリスとフランス──伝統的な軍事大国の今
イギリス──「女王陛下の海軍」は健在か
イギリスは、かつて「七つの海を支配した」大英帝国の末裔だ。
現在も、戦略原子力潜水艦4隻(ヴァンガード級)、攻撃型原子力潜水艦6隻(アスチュート級)を保有し、核抑止力を維持している。
空母「クイーン・エリザベス」と「プリンス・オブ・ウェールズ」の2隻を運用し、F-35Bを艦載機として搭載。太平洋にも空母打撃群を派遣するなど、「グローバルな軍事プレゼンス」を維持しようとしている。
しかし、財政難から軍事予算は圧迫されており、人員削減や艦艇数の縮小が進んでいる。かつての「世界の覇権国」の面影は薄れつつある。
フランス──EU唯一の核保有国
フランスは、EU加盟国で唯一の核保有国だ。
原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を運用し、核武装した戦略原潜も保有。NATOの一員でありながら、独自の核戦力を持つことで「戦略的自律性」を維持している。
2025年のランキングでは、日本を抜いて7位にランクアップ。これは、フランスが軍事投資を増やしている一方、日本の相対的な順位が下がったことを示している。
第8位:日本──「専守防衛」の限界と可能性

世界第8位の軍事力
ここで、我が日本の話をしよう。
自衛隊は世界第8位の軍事力を持つ。これは決して低い順位ではない。しかし、昨年の7位から1つ順位を落としたことは事実だ。
防衛費の大幅増──8.7兆円時代へ
2025年度の防衛関係予算は約8.7兆円。
これは過去最大規模であり、GDP比で約1.4%に相当する。政府は2027年度までにGDP比2%を目指しており、日本の防衛費は今後さらに増加する見込みだ。
私が以前書いた「海上自衛隊の艦艇完全ガイド」でも詳しく解説しているが、海上自衛隊は護衛艦・潜水艦・掃海艦艇など約150隻を保有し、アジア有数の海上戦力を誇る。
自衛隊の強みと弱み
日本の強みは何か。
まず、装備の質が非常に高い。10式戦車は世界最高水準の射撃精度を持ち、そうりゅう型・たいげい型潜水艦は世界最高レベルの静粛性を誇る。F-35ステルス戦闘機の導入も進んでおり、技術面では世界をリードしている。
「日本の戦車一覧」の記事でも詳しく解説しているが、日本の戦車技術は第二次大戦の敗戦から見事に復活し、今や世界トップクラスに到達した。
一方、弱みもある。
まず、人員不足だ。自衛官の定員は約24.7万人だが、実員は約23万人で、常に欠員が生じている。少子高齢化が進む日本では、人材確保が深刻な課題となっている。
また、「専守防衛」という憲法上の制約から、長射程の攻撃兵器の保有が制限されてきた。ただし、これは現在転換点にある。「反撃能力」の保有が決定され、12式地対艦誘導弾能力向上型(スタンドオフミサイル)の配備が進められている。
「いずも」空母化の意味
象徴的な変化として、護衛艦「いずも」「かが」のF-35B搭載改修がある。
これにより、日本は事実上の「軽空母」を保有することになる。戦後長らく「攻撃型空母は持たない」としてきた日本の防衛政策が、大きく転換しつつあることの象徴だ。
詳しくは「「いずも型護衛艦」完全解説|日本最大の「空母」が切り開く新時代の海上防衛」で解説しているので、興味がある方はそちらも読んでほしい。
注目国ピックアップ──見逃せない軍事大国たち

第9位:トルコ──NATO第2位の陸軍
トルコは、NATOでアメリカに次ぐ第2位の陸軍兵力を持つ。
また、国産ドローン「バイラクタルTB2」がウクライナ戦争で活躍し、世界中から注目を集めた。低コストで効果的な兵器として、多くの国が購入を検討している。
トルコ製ドローンの成功は、現代戦における無人機の重要性を世界に示した。
第15位:イスラエル──「中東最強」の小国
国土は四国程度、人口は約970万人。
しかし、イスラエルは中東最強の軍事力を持つと言われる。GDPに占める軍事費の割合は8.8%以上で、これはウクライナに次ぐ世界第2位の高さだ。
核兵器の保有も公然の秘密とされ、周辺国への抑止力となっている。
第20位:ウクライナ──実戦で鍛えられた軍隊
ウクライナは、2022年以前は世界30位台の評価だった。
しかし、ロシアとの戦争を経験し、西側からの大量の武器供与を受けた結果、実戦で鍛えられた精強な軍隊へと変貌した。ドローン戦術、電子戦、機動防御など、現代戦のノウハウを蓄積している。
GFPのランキングは数量ベースの評価が中心だが、「実戦経験」という質的な要素はランキングに完全には反映されていない。
日本周辺のパワーバランス──私たちが知るべき現実
日中韓ロ朝──5カ国が隣接する特殊な環境
日本は、世界でも稀なほど複雑な安全保障環境に置かれている。
北には核武装したロシア、西には急速に軍拡する中国、朝鮮半島には北朝鮮と韓国。5カ国が複雑に絡み合う地域は、世界でもここくらいだろう。
中国軍 vs 自衛隊──数量差の現実
中国と日本の軍事力を比較してみよう。
航空戦力で見ると、中国空軍の第4世代以降の戦闘機は約1,200機。一方、航空自衛隊は約230機(F-15J MSIP:101機、F-2:91機、F-35A:約40機)。
約5倍の差がある。
海上戦力でも、中国海軍の戦闘艦艇は約390隻、海上自衛隊は約150隻。
もちろん、単純な数の比較がすべてではない。自衛隊は質の面で優位性を持ち、日米同盟というバックアップもある。しかし、「数の差」は厳然たる事実として存在する。
北朝鮮──侮れない「ならず者国家」
北朝鮮は、GFPランキングでは34位と、それほど高い順位ではない。
しかし、核兵器と弾道ミサイルを保有しており、「通常戦力」だけでは測れない脅威がある。特に、日本全土を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」は、我が国にとって直接的な脅威だ。
「日本が保有するミサイル全種類を完全解説!極超音速ミサイルから弾道ミサイル防衛まで」でも解説しているが、日本はPAC-3やSM-3といったミサイル防衛システムで対抗している。しかし、北朝鮮のミサイル技術の進歩に、防衛側がついていけるかは未知数だ。
このランキングをどう読むべきか──3つの注意点
注意点①:核戦力は含まれていない
繰り返しになるが、GFPのランキングには核兵器が含まれていない。
核保有国と非保有国の間には、根本的な抑止力の差がある。日本は非核三原則を掲げる非核保有国だが、周辺には核保有国が3カ国(ロシア・中国・北朝鮮)存在する。
この非対称性は、ランキングには表れない。
注意点②:「質」より「量」が重視される傾向
GFPの評価は、どうしても「数量」が重視される傾向がある。
例えば、日本の潜水艦は世界最高レベルの静粛性を持つとされるが、数量では中国(約72隻)に大きく劣る(日本は22隻)。
「10隻の優秀な潜水艦」と「50隻の平凡な潜水艦」のどちらが強いのか。答えは状況次第だ。
詳しくは「【2025年最新】世界の潜水艦ランキング!日本の「たいげい」は何位?海自が誇る静粛性の秘密と各国潜水艦を徹底比較」で解説しているが、日本の潜水艦技術は世界でもトップクラス。たいげい型潜水艦は、世界で唯一、リチウムイオン電池を実用化した通常動力潜水艦だ。
注意点③:地理的条件は考慮されるが限定的
GFPは地理的条件も評価に含めているが、その重みは限定的だ。
日本は四方を海に囲まれた島国であり、敵が上陸するのは容易ではない。この「海という天然の城壁」は、ランキングには十分反映されていない可能性がある。
まとめ──数字の向こうにある「国を守る意志」
ここまで、世界の軍事力ランキングを詳しく見てきた。
2025年ランキングの要点
1位:アメリカ──依然として圧倒的な軍事大国
2位:ロシア──核戦力は強力だが、ウクライナ戦争で課題露呈
3位:中国──急速な軍拡で「新たな超大国」に
4位:インド──人口世界一のポテンシャル
5位:韓国──徴兵制と国産兵器で躍進
8位:日本──質の高い装備と日米同盟が強み
数字だけでは測れないもの
正直に言おう。
ランキングは参考にはなるが、絶対的な指標ではない。
軍事力の本質は、「国を守る意志」と「それを実現する能力」の両方にある。いくら立派な装備があっても、使う人間の士気が低ければ意味がない。逆に、装備が劣っていても、高い士気と練度で補える部分もある。
ウクライナ戦争は、まさにそのことを証明した。数の上ではロシアが圧倒的に有利だったが、ウクライナ軍は祖国を守る強い意志で戦い続けている。
日本の自衛隊を誇りに思う
最後に、個人的な思いを述べさせてほしい。
私は、自衛隊を誇りに思う。
世界第8位という順位、防衛費GDP比1%台という制約、「専守防衛」という縛りの中で、自衛隊は最大限の努力をしてきた。10式戦車、たいげい型潜水艦、F-35──日本の技術者と自衛官が生み出した装備は、世界に誇れるものだ。
もちろん、課題はたくさんある。人員不足、弾薬の備蓄、継戦能力、サイバー防衛……。改善すべき点は山積している。
しかし、私は信じている。
日本の自衛隊は、いざという時、必ず国を守ってくれると。
その時のために、私たちも「国を守る意志」を持ち続けなければならない。ランキングの数字を知ることは、その第一歩だと思う。
世界の軍事バランスを知り、日本の立ち位置を理解する。その上で、この国の安全保障をどうすべきか、考える。
それが、この記事を読んでくれたあなたに伝えたかったことだ。
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