インド海軍の艦艇一覧【2026年版】|数年で軍艦40隻、建造中45隻──中国の次に速く軍艦を作り、日本が装備を売り始めた海軍の現役全艦を整理

インド海軍の艦艇一覧【2026年版】
要点

その海軍が、今とんでもない速さで軍艦を作っている。ここ数年で国産の軍艦と潜水艦を40隻以上受け取り、今も45隻が建造中だと海軍自身が言っている。2026年だけでも弾道ミサイル原潜1隻とフリゲート3隻が就役した。この建造ペースは中国の次で、アメリカより速い。

そして日本にとっては、初めて「自衛隊の装備を輸出する相手」になった海軍でもある。米・中・韓・英・露・仏と書いてきた各国海軍艦艇一覧の7本目は、インド洋の主役、インド海軍だ。2026年9月時点の現役艦を整理しながら、この海軍が何を目指しているのかを読んでいく。

目次

まず全体像:インド海軍はどんな形をしているか

空母2隻と護衛艦で行動するインド海軍
空母2隻と護衛艦で行動するインド海軍。
写真:Indian Navy/出典・利用条件(GODL-India)
まず全体像:インド海軍はどんな形をしているか

母港は西のムンバイ(西部艦隊)と東のヴィシャーカパトナム(東部艦隊)が二本柱。ムンバイの南のカルワールには「シーバード計画」で巨大な新基地を作っていて、空母ヴィクラントはここが本拠だ。原潜はヴィシャーカパトナム、そのさらに南のランビリに専用の秘密基地を建設中。そしてアンダマン・ニコバル諸島のポートブレアには陸海空を束ねる統合軍司令部があり、マラッカ海峡の入口を見張っている。

区分隻数主なもの
空母2ヴィクラマーディティヤ、ヴィクラント
駆逐艦10前後ヴィシャーカパトナム級4、コルカタ級3、デリー級3
フリゲート17前後ニルギリ級6(+1)、タルワー級8、シヴァリク級3ほか
コルベット20前後カモルタ級4、コーラ級、ヴィール級ほか
弾道ミサイル原潜3(+1試験中)アリハント級
通常動力潜水艦16前後カルヴァリ級6、シンドゥゴーシュ級、シシュマール級
揚陸艦10前後ジャラシュワ、シャルドゥル級ほか
新型対潜艇計画16隻(就役・建造中を含む)アルナラ級8、マヘ級8
哨戒機12P-8I

空母:ヴィクラントとヴィクラマーディティヤの2隻体制

ヴィクラントとヴィクラマーディティヤの2空母
ヴィクラントとヴィクラマーディティヤの2空母。
写真:Indian Navy/出典・利用条件(GODL-India)

ヴィクラマーディティヤ

もとはソ連の空母アドミラル・ゴルシコフだ。ロシアから買い、10年近くかけて改造して2013年に就役した。満載4万5千トン、スキージャンプ台から発艦してワイヤーで着艦するSTOBAR方式。改造中に何度も炎上し、納期は5年遅れ、値段は3倍になった。それでもインドはこの艦を手に入れたことで、2010年代の空母運用のノウハウを切らさずに済んだ。

ヴィクラント

2022年9月に就役した、インドが自分で設計して建造した最初の空母だ。満載4万5千トン、こちらもSTOBAR。コーチンの造船所で13年かかった。名前は1961年に就役したインド初の空母を継いでいて、その初代ヴィクラントは1971年の印パ戦争で東パキスタンを空襲し、パキスタン海軍の潜水艦に狙われながら生き延びた艦だ。インド海軍にとっての「赤城」みたいな名前だと思ってもらえばいい。

問題は艦載機だ。今はMiG-29Kが40機ほどいるが、稼働率がひどく悪く、事故も多い。そこで2025年4月、フランスからラファールMを26機買う契約が結ばれた。引き渡しは2028年から2030年。フランス海軍以外でラファールMを飛ばす最初の海軍になる。ラファールの話はラファール戦闘機の記事、MiG-29の話はMiG-29の記事で書いた。

3隻目はどうなるか

インド海軍は長いこと「3隻目はカタパルト付きの6万5千トン級」と言ってきたが、金がかかりすぎて止まっている。現実的な案として浮上しているのは、ヴィクラントの設計をそのまま使った2番艦だ。2隻あれば整備中でも1隻は動かせる。フランスが空母1隻で苦労しているのを見ると、インドの「2隻あるが両方とも小さい」という選択は、実は悪くない。世界の空母の並びは世界の空母一覧にまとめた。

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駆逐艦:ブラモスを積んだ国産艦の系譜

演習マラバール2020中の駆逐艦コルカタ
演習マラバール2020中の駆逐艦コルカタ。
写真出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
駆逐艦:ブラモスを積んだ国産艦の系譜
艦級艦名建造就役
ヴィシャーカパトナム級ヴィシャーカパトナム、モルムガオ、インパール、スーラトマザゴン・ドック2021〜2025
コルカタ級コルカタ、コーチ、チェンナイマザゴン・ドック2014〜2016
デリー級デリー、マイソール、ムンバイマザゴン・ドック1997〜2001
ニルギリ級ニルギリ、ウダヤギリ、ヒムギリ、タラギリ、ドゥナギリ、マヘンドラギリ(ヴィンディヤギリは年内)マザゴン・ドック/GRSE2025〜2026
タルワー級タルワー、トリシュール、タバール、テグ、タルカシュ、トリカンド、トゥシル、タマルロシア2003〜2025
シヴァリク級シヴァリク、サトプラ、サヒヤドリマザゴン・ドック2010〜2012

ヴィシャーカパトナム級(4隻)

ヴィシャーカパトナム、モルムガオ、インパール、スーラト。2021年から2025年1月にかけて4隻が揃った。満載7,400トン、超音速対艦ミサイルのブラモスを16発、イスラエルと共同開発したMRSAMを32発。レーダーはイスラエルIAI製のAESAをインドで国産化したものだ。ブラモスはロシアと共同で作った時速3千キロの対艦ミサイルで、これを16発積んだ艦が4隻いるというのは、インド洋では十分すぎる火力だ。世界の駆逐艦の中での位置は世界最強駆逐艦ランキングで書いた。

コルカタ級(3隻)とデリー級(3隻)

コルカタ級はヴィシャーカパトナム級の一つ前で、艦の中身はほぼ同じだ。デリー級は1990年代の艦で、ソ連の設計思想が色濃い。それより古いラージプート級(ソ連のカシン型)は退役が進んでいて、残りわずかだ。

次期駆逐艦「プロジェクト18」

満載1万3千トン級の大型駆逐艦を8隻作る計画が動いている。中国の055型やアメリカのアーレイ・バーク級の後継を意識した艦で、2030年代の主力になる。まだ設計段階だ。

フリゲート:2026年の主役、ニルギリ級

米海軍の乗員が手を振る先を航行するフリゲート「シヴァリク」
米海軍の乗員が手を振る先を航行するフリゲート「シヴァリク」。
写真:Official U.S. Navy Page/出典・利用条件(CC BY 2.0)

ニルギリ級(7隻、うち6隻就役)

ここが今のインド海軍の一番の見どころだ。プロジェクト17Aと呼ばれる計画で、満載6,700トン、ブラモス8発、MRSAM32発、76ミリ砲。1番艦ニルギリは2025年1月15日に就役し、その後は驚くべき速さで続いた。ヒムギリが2025年8月、タラギリが2026年4月3日、ドゥナギリが2026年6月21日、マヘンドラギリが2026年7月11日。最後のヴィンディヤギリも2026年中に就役する。

1番艦は建造に93か月かかったのに、5番艦は80か月で済み、しかも16か月で5隻を引き渡した。ムンバイのマザゴン・ドックとコルカタのGRSEという2つの国営造船所が並行して作った成果だ。国産化率は75%を超えていると海軍は言っている。世界のフリゲートの中では世界最強フリゲートランキングで扱っている。

フリゲート:2026年の主役、ニルギリ級

タルワー級(8隻)

ロシア製だ。6隻がロシアで建造され、2024年12月にトゥシルが、2025年7月にタマルが就役した。このタマルが、インド海軍が海外から買う「最後の大型軍艦」だと海軍は明言している。残り2隻はゴアの造船所でロシアの設計をもとに建造中だ。ウクライナ戦争のせいで納期が大幅に遅れ、ロシア製の軍艦を買うことのリスクをインドが痛感した計画でもある。

シヴァリク級(3隻)とブラマプトラ級

シヴァリク級はインド初のステルス設計のフリゲートで、2010年前後に3隻が就役した。ブラマプトラ級は1990年代の国産艦だが、1隻が2024年の火災で横転する事故を起こしている。

コルベットと小型艦艇:数で海峡を埋める

国産対潜コルベット「カモルタ」
国産対潜コルベット「カモルタ」。
写真:Eastern Sword – Indian Navy/出典・利用条件(GODL-India)

インド海軍の面白さは、大型艦だけでなく小さな艦を大量に作るところにある。

カモルタ級は4隻の対潜コルベットで、船体の一部に炭素繊維を使ったインド初の艦だ。コーラ級とヴィール級はソ連の設計を引き継いだミサイル艇で、1971年のカラチ港攻撃を戦ったオーサ型の末裔になる。

この1971年の話は少し書いておきたい。12月4日の夜、インド海軍はソ連製のミサイル艇3隻をカラチ港に突っ込ませ、スティックス対艦ミサイルでパキスタンの駆逐艦と掃海艇と商船を沈め、港の燃料タンクに火を付けた。小さな艇で大きな港を焼く。フランスの「ジューヌ・エコール」がやりたかったことを、実戦でやってのけた数少ない例だ。インド海軍はこの日を「海軍の日」にしていて、今もミサイル艇を大事にしている理由がここにある。

そして今、沿岸の浅い海で潜水艦を狩るための小型対潜艇を計16隻整備している。アルナラ級が8隻、マヘ級が8隻。アルナラ級の1番艦は2025年6月、アグライは2026年6月に就役した。この16隻は「パキスタンと中国の潜水艦を、インドの港の入口で待ち伏せする」ための艦だ。中国海軍の潜水艦がインド洋に出てくる回数は年々増えていて、それに対する答えがこれだ。

潜水艦:核抑止と、遅れに遅れた通常動力艦

海上公試中の潜水艦カルヴァリ
海上公試中の潜水艦カルヴァリ。
写真:Indian Navy/出典・利用条件(GODL-India)

弾道ミサイル原潜:アリハント級

インドの核抑止の海側だ。1番艦アリハントが2016年、2番艦アリガートが2024年8月、3番艦アリダマンが2026年4月3日に就役した。アリダマンは最初の2隻より船体が長く、発射管が4本から8本に増えている。射程3,500キロのK-4ミサイルを積めば、ベンガル湾から北京を狙える。4番艦は試験中で、その次の世代S5はさらに大きくなる。

原潜を自前で作れる国は、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、そしてインドの6か国だけだ。日本は入っていない。原子力潜水艦の記事で書いたが、インドがこの仲間に入っていることを日本ではあまり知られていない。

攻撃原潜:ロシアからのリースと、国産計画

インドは冷戦時代からロシアの攻撃原潜を借りてきた。前回借りたアクラ型は2021年に返し、次のリース艦は2028年ごろに来る予定だ。同時に、国産の攻撃原潜を2隻作る計画が2024年10月に承認された。1番艦は2036年ごろになる。

通常動力潜水艦:カルヴァリ級とP75I

カルヴァリ級はフランスのスコルペヌ級をムンバイで建造したもので、6隻目のヴァグシールが2025年1月に就役して計画が完了した。フランス海軍が自国では通常動力潜水艦を持たず輸出専用に作っているスコルペヌ級を、インドが一番多く買った形だ。

問題はその次だ。P75Iという計画で、ドイツのTKMSと組んで燃料電池AIPを積んだ潜水艦を6隻作る。1999年に立てた「30年で24隻」の計画の一部で、本来なら10年以上前に始まっているはずだった。2026年8月時点でようやく閣議の最終承認を待っている段階で、契約から7年後に1隻目、つまり2030年代前半だ。しかも2026年7月にカナダがTKMSの潜水艦を最大12隻買うと決めたので、ドイツの造船所の順番待ちが心配されている。

その間、ソ連製のキロ級(インド名シンドゥゴーシュ級)とドイツ製の209型(シシュマール級)が延命に延命を重ねて使われている。キロ級は1980年代の艦だ。海自のたいげい型と比べると、インドの通常動力潜水艦は世代が二つ古い。潜水艦の国別保有数は潜水艦保有数ランキングで比べている。

揚陸艦・補給艦・哨戒機

レユニオンに到着したインド海軍のP-8I(2022年)
レユニオンに到着したインド海軍のP-8I(2022年)。
写真:Indian Navy/出典・利用条件(GODL-India)
揚陸艦・補給艦・哨戒機

補給艦はディーパク級2隻が主力で、新しい艦隊支援艦5隻をヴィシャーカパトナムの造船所で建造中だ。2025年には初の国産潜水艦救難母艦ニスタルも就役した。

哨戒機はP-8Iが12機。P-8Aのインド仕様で、磁気探知装置を残しているのが特徴だ。ここに無人機MQ-9Bを15機加える契約が2024年に結ばれた。艦載ヘリはアメリカ製のMH-60Rを24機発注済みで、21機が届いている。

海軍航空隊:40機のMiG-29Kと、その次

インド海軍の航空隊は、艦載機と哨戒機で顔がまったく違う。

艦載戦闘機はMiG-29Kが40機ほど。2010年代に45機を買ったが、ロシア製の部品供給が滞り、常に飛べるのは半分以下と言われてきた。墜落事故も繰り返している。だからこそラファールMの26機が「つなぎ」として買われた。本命は国産の双発艦載戦闘機TEDBFで、2030年代半ばを目指しているが、インドの国産戦闘機テジャスが空軍に届くまで30年かかったことを思うと、私は素直に信じていない。艦載型テジャスの試作機がヴィクラントで発着艦試験をしたのは事実で、技術の蓄積はある。問題はいつもの、時間だ。

早期警戒はロシア製のKa-31ヘリで、固定翼の早期警戒機を空母から飛ばせないのがSTOBAR空母の限界だ。対潜ヘリはアメリカ製のMH-60Rが揃いつつあり、これは海自のSH-60Kと同じ系統の機体になる。旧式のシーキングは退役が進んでいる。

陸上の哨戒機はP-8Iが12機で、これはアメリカ以外で最大のP-8運用国だ。ここに無人機MQ-9Bが加わる。海自がP-1で苦労しているのを横目に、インドは最初からアメリカ製を選んで、部品と整備をアメリカに預けた。どちらが賢いかは10年後にわかる。

基地:二つの海と、一つの海峡

インド海軍の基地は、地図で見ると性格がはっきりしている。

基地場所役割
ムンバイ西海岸西部艦隊司令部、マザゴン・ドック造船所
カルワール(INSカダンバ)ムンバイの南「シーバード計画」の巨大新基地、空母ヴィクラントの母港
コーチ南西海岸南部司令部、練習艦隊、コーチン造船所
ゴア西海岸海軍航空隊の中心、MiG-29Kの陸上基地
アラッコナム南東P-8I哨戒機の基地
ヴィシャーカパトナム東海岸東部艦隊司令部、原潜の建造・母港
ランビリ(INSヴァルシャ)ヴィシャーカパトナムの南建設中の原潜専用基地。地下トンネル型と報じられる
ポートブレアアンダマン諸島陸海空統合のアンダマン・ニコバル軍司令部、マラッカ海峡監視

西のムンバイはパキスタン正面、東のヴィシャーカパトナムは中国正面、そしてポートブレアは海峡の見張り番。海自でいえば横須賀と呉と那覇に相当する三角形だ。

特殊部隊マルコス

海軍の特殊部隊はMARCOSと呼ばれる。1987年にアメリカのSEALsとイギリスのSBSを手本に作られ、2008年のムンバイ同時テロでホテルに突入したのが彼らだ。ソマリア沖の海賊対処で商船に降下する映像を見た人もいるだろう。世界の特殊部隊の中では世界の特殊部隊一覧で触れている。

帝国海軍ファンとして書いておきたい、日本とインド洋の話

ここからは私の趣味の話になる。

1942年4月、南雲機動部隊はインド洋に入り、セイロン島のコロンボとトリンコマリーを空襲した。英空母ハーミーズと重巡2隻を沈め、イギリス東洋艦隊をアフリカまで追い払った。日本海軍が本気でインド洋を制海した、最初で最後の瞬間だ。詳しくはセイロン沖海戦の記事で書いた。

同じ年の3月、日本軍はアンダマン諸島を占領し、ポートブレアを潜水艦と飛行艇の基地にした。ペナンを拠点にした伊号潜水艦はインド洋で商船を沈め続け、ドイツのUボートまでペナンに来た。そして1943年、東條首相はこのアンダマン諸島をスバス・チャンドラ・ボースの自由インド仮政府に「引き渡した」。ボースは島に「殉教者の島」「自治の島」と名前を付けた。実態は日本海軍の占領が続いていたが、インド人が初めて「自分たちの領土」を持った場所はここだった。

そのポートブレアに今、インド海軍の統合軍司令部がある。マラッカ海峡の入口を押さえるという発想は、80年前に日本海軍が考えたことと同じだ。今はそれをインドが、中国に対してやっている。そして日本の海自は、その同じ海でインド海軍と毎年訓練している。歴史は皮肉な形で回る。日本の潜水艦がインド洋で何をしたかは帝国海軍潜水艦一覧を読んでほしい。

日本との関係:初めて「装備を売る」相手になった

海自とインド海軍は、アメリカを交えたマラバール演習で毎年一緒に動いている。2015年から日本は常連で、いずも型を派遣する年もある。

そして2024年11月、日本はインドに「ユニコーン」統合マストを輸出することで合意した。もがみ型護衛艦の艦橋に立っている、あの一本のとがったマストだ。複数のアンテナを一本にまとめてステルス性を上げる装備で、日本が防衛装備移転三原則のもとで共同開発品を輸出する最初の例になった。海自のもがみ型がオーストラリアに売れた話は有名だが、その前にインドに売れたのはマストだった。

さらに海自の救難飛行艇US-2の輸出は10年以上前から話が出ては消えている。インドが買えば日本の航空機輸出の突破口になるのだが、値段で折り合わない。海自の艦艇全体は海自の艦艇一覧を読んでほしい。

中国海軍、海自と比べると何が見えるか

洋上で補給艦と並ぶ空母ヴィクラント
洋上で補給艦と並ぶ空母ヴィクラント。
写真:Government of India/出典・利用条件(GODL-India)

インド洋でインド海軍が本当に気にしているのは、パキスタンではなく中国だ。中国海軍は370隻を超えて、ジブチに基地を持ち、パキスタンに潜水艦8隻とフリゲートを売り、スリランカのハンバントタ港に軍艦を寄せる。インド海軍が小型対潜艇を計16隻整備し、P-8Iを12機並べ、アンダマンに司令部を置いているのは、全部この動きへの答えだ。

海自と比べると、艦の数はインドが上、艦の質は海自が上、というのが私の見立てだ。インドの駆逐艦とフリゲートは火力では海自の護衛艦に負けていないが、ソナーと対潜ヘリの層の厚さでは海自が勝つ。潜水艦は海自の圧勝で、原潜と空母はインドの独壇場。同じくらいの規模の海軍が、片方は原潜と空母、片方は対潜と機雷戦に振り切っている。海自と中国海軍の比較記事も読んでもらえると、インド洋と東シナ海の違いがよくわかる。

イギリスの艦艇一覧と並べて読むのも面白い。インド海軍は英海軍の子どもとして生まれ、初代ヴィクラントもイギリスの空母だった。今は艦の数で親を完全に追い抜いた。世界の海軍力の順位は世界海軍力ランキングを見てほしい。

投資家目線:インド海軍で儲かるのは誰か

私は防衛株を持っているので、ここも自分の目線で書く。

インドの軍艦を作っているのはほぼ国営企業だ。ムンバイのマザゴン・ドック、コルカタのGRSE、コーチン造船所、ヴィシャーカパトナムのヒンドゥスタン造船所。レーダーと電子機器はバーラト・エレクトロニクス、ミサイルはバーラト・ダイナミクス、航空機はHAL。これらはインドの株式市場に上場していて、2023年から2024年にかけて株価が数倍になった銘柄が並ぶ。国営造船所が16か月でフリゲート5隻を引き渡す、という数字がそのまま株価になった。

ただ、日本からインド株を直接買うのは簡単ではない。インド株の投資信託やETFを経由するのが現実的で、防衛だけを切り出すのは難しい。海外株の中では、ラファールMを売るダッソー・アビアシオン、P-8IとMH-60Rを売る米国勢、潜水艦を売るTKMSあたりがインド海軍の受注で潤う。日本企業では、ユニコーンマストの輸出が初めて「インド海軍向け」の売上を作った。

とはいえ、私のような普通の個人投資家がまず触るべきは日本の防衛株だと思っている。もがみ型の豪州輸出とマストのインド輸出で、日本の造船と電機は「輸出できる防衛産業」に変わりつつある。その全体像は防衛関連銘柄の投資ガイドにまとめた。

投資判断は自己責任で。本記事は特定銘柄の売買を勧めるものではなく、私自身の見立ては将来変わる。数字は公表資料と報道をもとにしているが、時点によって変わるので一次資料を確認してほしい。

2026年、インド海軍で起きたこと

一覧記事はすぐ古くなるので、時点を残しておく。

時期出来事
4月3日弾道ミサイル原潜アリダマン、フリゲート タラギリ就役(ヴィシャーカパトナム)
6月21日フリゲート ドゥナギリ、対潜艇アグライ、測量艦サンショーダク同時就役(コルカタ、モディ首相臨席)
7月カナダがTKMS製潜水艦の採用を決定、P75Iの納期に懸念
7月11日フリゲート マヘンドラギリ就役
8月P75I(潜水艦6隻、約7万クローレ)が閣議の最終承認待ちと報道
年内予定ニルギリ級7番艦ヴィンディヤギリ就役、アリハント級4番艦の試験継続

空母と艦載機を一冊で押さえたい人は、この図鑑が手っ取り早い。ヴィクラントとMiG-29Kも載っている。

よくある質問

インド海軍の空母は何隻か

2隻だ。ロシアから買って改造したヴィクラマーディティヤと、国産のヴィクラント。どちらもスキージャンプ式で、艦載機はMiG-29K。2028年からラファールMが加わる。3隻目は計画段階で止まっている。

インド海軍の潜水艦は何隻か

弾道ミサイル原潜がアリハント級3隻(4隻目が試験中)、通常動力がカルヴァリ級6隻とキロ級・209型の旧式艦を合わせて16隻前後。攻撃原潜はロシアからのリースを待っている状態で、国産の2隻は2030年代半ばになる。

インド海軍と中国海軍はどちらが強いか

数では中国が3倍近い。ただしインド洋に限れば、地の利と基地の数でインドが有利だ。インド海軍はインド洋の外で中国と戦うつもりはなく、インド洋の中で中国を通さないことを目標にしている。

インド海軍と海上自衛隊は協力しているか

している。マラバール演習で毎年一緒に訓練し、2024年には日本がユニコーン統合マストをインドに輸出することで合意した。自衛隊の装備が共同開発品として海外に売れた最初の例だ。

インド海軍の軍艦はどこで作られているか

ほぼ全部インド国内だ。ムンバイのマザゴン・ドック、コルカタのGRSE、コーチン造船所などの国営造船所が中心で、2025年に就役したロシア製フリゲート タマルが「最後の輸入軍艦」になる。

あわせて読みたい

ここまで読んでくれた人へ。インドの艦名は山の名前ばかりで、ギリが付くのが多すぎて何度も混乱した。深夜の作業のお供はいつもこれだ。

出典・参考

  • Naval News「India Inducts Third SSBN, Fourth Nilgiri-class Frigate」(2026年4月3日)、同「Indian Navy Commissions Nilgiri class Frigate, ASW Vessel and Survey Vessel」(2026年6月24日)
  • Asian Military Review「Indian Navy simultaneously commissions three new naval vessels」(2026年6月30日)
  • Army Recognition「India prepares final approval for long-delayed Project 75(I)」(2026年8月)、TKMS プレスリリース(2025年9月11日)
  • The Tribune/The Aviationist「India, France sign IGA on 26 Rafale M」(2025年4月28〜29日)
  • インド国防省 プレスリリース、インド海軍公式サイト、DefenceXP「India’s P75I and TKMS」(2026年8月)

記述確認の参考資料

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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