あさひ型護衛艦とは|対潜能力・推進方式・あきづき型との違い

あさひ型護衛艦に関わる主要な装備と運用環境
あさひ型護衛艦に関わる主要な装備と運用環境
あさひ型護衛艦は性能だけでなく役割・配備状況・運用上の制約を合わせて評価する

あさひ型護衛艦は、海上自衛隊が2018年から運用する5,100トン級の汎用護衛艦である。建造されたのは1番艦「あさひ」と2番艦「しらぬい」の2隻。外形と船体規模は直前のあきづき型に近いが、設計の重心は僚艦防空から対潜捜索へ移された。

この艦を理解する鍵は、搭載武器の数にはない。艦首ソーナー、能力向上型TASS、潜望鏡探知レーダー、哨戒ヘリ、マルチスタティック機能を束ね、海中の接触を途切れさせない仕組みにある。私は、あさひ型の本質を「対潜兵器を積んだ護衛艦」よりも、「艦隊の水中センサー網を太くする護衛艦」と捉えている。

あさひ型護衛艦の要点

さらに海上自衛隊の艦艇として初めて、ガスタービン機械推進と電気推進を組み合わせるCOGLAG方式を採用した。燃料消費、航続性、維持費を改善しながら、対潜艦に求められる長時間の捜索を支える構成である。

2026年8月時点では、「あさひ」は佐世保を母港とする第2水上戦群第5水上戦隊、「しらぬい」は大湊に配備された第1水上戦群第4水上戦隊に所属する。2隻は少数派だが、南西方面と北方方面に分かれ、現在も第一線で運用されている。[出典: SRC-07SRC-08、SRC-09]

あさひ型護衛艦とは何かに関わる装備と運用環境
あさひ型は、海上自衛隊の艦種記号でDDに分類される汎用護衛艦である
目次

あさひ型護衛艦とは何か

あさひ型護衛艦とは何か

あさひ型は、海上自衛隊の艦種記号でDDに分類される汎用護衛艦である。対空、対水上、対潜の各戦闘能力を備え、哨戒ヘリコプターも運用する。その中で、公式資料が明確に掲げる重点が「対潜捜索能力の強化」だ。

1番艦「あさひ」は2018年3月7日、2番艦「しらぬい」は2019年2月27日に就役した。ともに三菱重工業長崎造船所で建造され、「あさひ」は天象の朝日、「しらぬい」は八代海で知られる火光現象の不知火に由来する。[出典: SRC-02SRC-03

艦名艦番号就役2026年の所属・母港
あさひDD-1192018年3月7日第2水上戦群第5水上戦隊・佐世保
しらぬいDD-1202019年2月27日第1水上戦群第4水上戦隊・大湊

あさひ型は2隻で建造を終えた。公開資料には「なぜ2隻だけだったのか」を単一の理由で説明した記述は見当たらない。時系列では、海上自衛隊の新造艦調達が、従来型DDの延長線にあるあさひ型から、多用途性と省人化を前面に出したFFMへ移る時期と重なる。[出典: SRC-12]

したがって私は、あさひ型を長期量産型というより、あきづき型で整えた大型汎用DDの船体を使い、対潜戦とハイブリッド推進の技術を実艦へ定着させた節目の艦型と見る。

詳しくはもがみ型護衛艦を参照したい。

あさひ型護衛艦の主要諸元と装備

あさひ型護衛艦の主要諸元と装備

海上自衛隊が公表する主要要目は次の通りである。全長は公式の艦型ページで150.5メートル、個艦の引渡式資料では151メートルと表記される。測り方や丸め方による表記差であり、仕様差を意味しない。[出典: SRC-01SRC-02

項目内容
艦種汎用護衛艦(DD)
基準排水量5,100トン
全長150.5メートル(個艦資料では151メートル)
18.3メートル
深さ10.9メートル
主機ガスタービン2基、推進電動機2基
推進COGLAG、2軸
出力62,500馬力
最大速力30ノット
主砲62口径5インチ砲1基
近接防御高性能20ミリ機関砲2基
ミサイルMk41 VLS、艦対艦ミサイル発射装置
対潜兵装3連装短魚雷発射管、VLSから運用する対潜兵器、魚雷防御装置
主なセンサー多機能レーダー、潜望鏡探知レーダー、艦首ソーナー、えい航式パッシブソーナー
搭載航空機SH-60K/SH-60J哨戒ヘリコプター

公式パンフレットは、多機能レーダーをOPY-1、潜望鏡探知レーダーをOPS-48、VLSをMk41 Mod29、5インチ砲をMk45 Mod4としている。魚雷防御装置には投棄式の音響妨害装置FAJと、右舷側に曳航・展開するデコイMODが示されている。こうした装備構成を見ると、あさひ型は潜水艦を探すだけで終わらず、探知、追尾、攻撃、敵魚雷からの回避までを一つの連鎖として整えた艦だと分かる。[出典: SRC-10

公開資料で注意したいのは、VLSの搭載弾数や各ソーナーの探知距離、静粛性、電気推進時の速力など、戦術上重要な数値が明らかにされていないことである。民間資料で見かける推定値を、公式性能のように断定してはならない。

あさひ型の対潜能力は何が強いのかに関わる装備と運用環境
潜水艦を、単に海中へ隠れている標的と考えると見誤る

あさひ型の対潜能力は何が強いのか

あさひ型の対潜能力は何が強いのか

潜水艦を、単に海中へ隠れている標的と考えると見誤る。水温、塩分、海底地形、海流、船舶雑音が音の伝わり方を変え、同じ海域でも時間と場所によって探知条件が動く。高性能なソーナーを一基積むだけでは解決せず、複数のセンサーで接触を作り、位置を絞り、見失った後に再び拾う粘りが要る。

あさひ型は、そこへ艦首ソーナー、能力向上型TASS、哨戒ヘリ、マルチスタティック処理、潜望鏡探知レーダーを投入する。あさひ型は、海の暗がりへ投げ込む槍というより、暗がりそのものの形を描き出す測量器に近い。

艦首ソーナーと能力向上型TASSを併用する

艦首ソーナーは、艦体前部から音波を送受信し、水中目標を探す中核センサーである。自ら音を出して反射を捉えるアクティブ探知と、相手が発する音を聞くパッシブ探知を任務に応じて使い分ける。

えい航式パッシブソーナー、いわゆるTASSは、長い受波器を艦尾から海中へ曳航する。受波器を艦の機関やプロペラから遠ざけるため、自艦雑音の影響を抑えながら低周波の音を拾いやすい。2番艦「しらぬい」の引渡式資料は、受波帯域を広げた能力向上型TASSを装備すると説明している。帯域が広がれば、異なる回転数や航走状態で変化する音を比較し、接触の特徴を抽出する余地が増える。[出典: SRC-01SRC-02

ここで「広帯域だから何キロ先まで見える」とは断定できない。ソーナーの有効距離は海況、音響層、目標の静粛性、艦の速力、運用方法で大きく変わるからだ。公開情報から読み取れるのは、固定的な最大探知距離より、探知に使える周波数と配置の選択肢を増やした事実である。

バイスタティックとマルチスタティックで探知角度を増やす

従来のモノスタティック方式は、一つのソーナーが音を発し、同じ位置で反射音を受ける。バイスタティック方式では送信側と受信側を分け、マルチスタティック方式では複数の送受信点を組み合わせる。

潜水艦の形状や向きによっては、ある方向へ強く返る反射が別方向では弱くなる。送信点と受信点を分散すれば、一方向からは捉えにくい反射を別の位置で拾える。敵潜水艦から見れば、どのセンサーに対して姿勢や針路を最適化すべきかが難しくなる。

防衛装備庁の研究資料は、水上艦ソーナーを用いたマルチスタティック方式について、モノスタティック方式より残響レベルが小さく、変動も少ないため、探知機会が向上する効果を確認したとしている。研究では残響を10デシベル低減した成果も報告された。もっとも、これは研究試験の評価であり、あさひ型の実戦探知性能へそのまま当てはめられない。公式の引渡式資料が示す事実は、あさひ型がバイスタティック機能とマルチスタティック機能を備えるところまでである。[出典: SRC-02、SRC-06]

私は、この機能をあさひ型単艦の「耳が良くなった」と説明するだけでは足りないと考える。重要なのは、僚艦や航空機を含む複数の位置関係を利用し、一つの接触情報を艦隊全体で育てる発想へ踏み込んだことだ。公開資料は、どの艦型や航空機とどの範囲までリアルタイム連接するかを明かしていない。それでも、対潜戦をセンサー単体の勝負からネットワークの勝負へ移す設計思想は読み取れる。

潜望鏡探知レーダーで海面上の一瞬も拾う

潜水艦は潜望鏡深度へ浮上すると、潜望鏡や通信マストを海面上へ出す。その露頂時間は短く、細い物体は通常の水上目標より見つけにくい。あさひ型は、短時間だけ露頂する潜望鏡を探知するOPS-48レーダーを海上自衛隊艦艇として初めて装備した。[出典: SRC-02SRC-10

このレーダーはソーナーの代用品にはならない。海中で追っていた接触が潜望鏡を上げた瞬間に別種の手掛かりを得る装置であり、水中音響と海面上の電波探知をつなぐ役割を持つ。高波や海面反射が厳しい状況では探知条件も悪化するため、これ一つで潜水艦を封じるものでもない。それでも、相手が外界を確認し、通信しようとする短い機会へ圧力をかける価値は大きい。

哨戒ヘリコプターが艦の探知範囲を外へ広げる

あさひ型の公式パンフレットは、SH-60KまたはSH-60J哨戒ヘリコプターの搭載を示す。ヘリは艦から離れた海面へ進出し、吊下式ソーナーやソノブイを使って別の位置から水中を探る。艦のセンサーが得た接触へ先回りし、失探した地点の外側で再捜索する運用も取れる。

艦載ヘリの価値は速さにある。水上艦は広い海域を一気に飛び越えられないが、ヘリなら接触予想海面へ短時間でセンサーを運べる。艦首ソーナー、TASS、ヘリのセンサーが異なる場所から同じ海域を見ることで、潜水艦に逃げ道を選ばせにくくする。[出典: SRC-10、SRC-11]

COGLAG推進とは何か

COGLAG推進とは何か

COGLAGは、Combined Gas turbine-eLectric And Gas turbineの略称である。あさひ型では、ガスタービン2基による機械推進と、推進電動機2基による電気推進を2軸へ組み合わせた。海上自衛隊の艦艇で初採用された方式である。[出典: SRC-02SRC-03SRC-10

低速から巡航域では、発電した電力で推進電動機を回す。より大きな出力が必要な場面では、ガスタービンの機械出力を軸へ加える。ディーゼル発電機とガスタービンを組み合わせるCODLAGに似た発想だが、COGLAGは高速側にもガスタービンを使い、電動機とガスタービンを組み合わせて推進力を作る。

公式資料が強調する効果は三つある。主燃料の消費抑制、無補給で行動できる航続距離の大幅な延伸、ライフサイクルコストの低減だ。最大速力は30ノットを維持しており、燃費を優先しながら、艦隊行動の速力も維持した。[出典: SRC-02SRC-03

対潜艦にとって航続性が重要な理由

対潜哨戒は、目標を発見した瞬間だけで終わらない。海域へ進出し、長時間にわたって速力と針路を調整し、海洋観測を行い、ソーナーを最適な深度と速度で使い続ける。給油や機関整備の都合で捜索線を離れれば、その間に接触が消える恐れがある。

COGLAGによって燃料消費を抑えられれば、同じ搭載燃料でも現場へ残る時間を延ばしやすい。効果はカタログ上の航続距離にとどまらない。艦隊全体の給油計画、補給艦の負担、遠方海域での交代周期にも効く。私は、あさひ型のCOGLAGを対潜センサーから切り離した省エネ装備として扱うべきでないと思う。捜索を途切れさせない時間を買う装備であり、対潜能力の土台そのものだ。

電気推進は静粛性にも寄与するのか

一般論として、電動機による推進は、ガスタービンの回転を減速機で直接軸へ伝える場面を減らし、機械振動と騒音の管理に有利な面を持つ。自艦雑音が小さければ、受動ソーナーで弱い音を拾う条件も改善する。

ただし、海上自衛隊の引渡式資料が明記する主効果は燃費、航続距離、ライフサイクルコストであり、静粛性の向上量は公表していない。プロペラ雑音、発電機、補機、船体振動、海況も探知環境を左右するため、「電気推進だから潜水艦並みに静かだ」という説明は成り立たない。

私の評価では、COGLAGの対潜上の価値は、静粛性だけに一本化するより、低負荷時の効率、長時間の哨戒、機関運用の選択肢、自艦雑音を管理する余地をまとめて考えるべきだ。

あさひ型の武装と防御力に関わる装備と運用環境
あさひ型は対潜重視だが、対潜専用艦という性格に収まらない

あさひ型の武装と防御力

あさひ型の武装と防御力

あさひ型は対潜重視だが、対潜専用艦という性格に収まらない。5インチ砲、艦対艦ミサイル、VLS、短魚雷、近接防御火器を持ち、汎用護衛艦として対空・対水上戦にも対応する。

艦首のMk45 Mod4 5インチ砲は、水上目標への射撃、対空射撃、状況に応じた対地射撃へ使われる。両舷側の艦対艦ミサイル発射装置は、水平線の外側にいる水上艦へ打撃を与える。艦橋前方のMk41 VLSは、対空ミサイルと対潜兵器を収容する共用発射装置である。搭載弾の内訳は任務で変わり、公開資料は実際の装填内容を示していない。[出典: SRC-01SRC-10

近距離のミサイルや航空機には、高性能20ミリ機関砲2基が最終防御を担う。敵潜水艦から魚雷を撃たれた場合には、音響妨害装置やデコイで魚雷の追尾を乱す。対潜戦は相手を探す側も音を出し、位置を悟られる危険を伴う。攻撃能力だけでなく、魚雷を欺瞞する装備まで一体で持つことが重要になる。

あさひ型をイージス艦へ分類するのは誤りだ。OPY-1多機能レーダーと艦載戦闘システムを持つが、SPY系列レーダーとイージス戦闘システムを搭載するこんごう型、あたご型、まや型とは任務とシステム構成が異なる。弾道ミサイル防衛の中核艦として数える艦型でもない。

詳しくは海上自衛隊のイージス艦を参照したい。

あさひ型とあきづき型の違い

あさひ型とあきづき型の違い

あさひ型とあきづき型は、全長約151メートル、幅18.3メートル、速力30ノットで、船体規模がほぼ同じである。基準排水量も、あきづき型5,050トンに対してあさひ型5,100トンと50トンしか違わない。外形が似ているため同じ役割の小改良型に見えるが、設計上の優先順位は大きく変わった。[出典: SRC-01SRC-04

比較項目あさひ型あきづき型
建造数2隻4隻
基準排水量5,100トン5,050トン
全長150.5メートル151メートル
18.3メートル18.3メートル
推進方式COGLAGガスタービン4基による機械推進
出力62,500馬力64,000馬力
速力30ノット30ノット
能力の重点対潜捜索僚艦防空
特徴的装備マルチ/バイスタティック、能力向上型TASS、潜望鏡探知レーダーFCS-3系防空システム、広域捜索・追尾と同時対処能力
艦隊内の役割海中接触の捜索・追尾を支えるBMD任務中のイージス艦などを航空脅威から守る

あきづき型は僚艦防空を重視した

あきづき型の重要な任務は、弾道ミサイルの警戒・対処に集中するイージス艦を航空機や対艦ミサイルの脅威から守ることである。海上自衛隊は「すずつき」の引渡式で、広域捜索・追尾、目標処理、同時処理能力を高めたと説明している。4隻が建造され、護衛隊群の防空の穴を埋める役割を担った。[出典: SRC-05]

あきづき型も艦首ソーナー、曳航ソーナー、短魚雷、哨戒ヘリを備え、十分な対潜装備を持つ。主眼がどこに置かれたかの違いである。あきづき型は空から来る多数の脅威を処理し、あさひ型は海中の静かな目標を複数センサーで追い続ける方向へ比重を移した。

推進方式は4基のガスタービンからCOGLAGへ変わった

あきづき型はガスタービン4基2軸、64,000馬力である。あさひ型はガスタービン2基と推進電動機2基を組み合わせ、62,500馬力とした。最大速力はいずれも30ノットであり、あさひ型は高速性能をほぼ保ちながら、巡航時の燃料効率と航続性を改善した。[出典: SRC-01SRC-03SRC-04

外から見ると主機の差は武装ほど目立たない。だが、任務海域へ向かい、長く留まり、捜索を継続し、必要時に艦隊速力へ追随する一連の運用を考えると、推進方式の変更は艦の性格を決める大改修である。

レーダー配置と上部構造も変わった

あきづき型は防空センサーの配置を前後の上部構造へ分散させた外観が特徴である。あさひ型はOPY-1多機能レーダーを艦橋構造物へまとめ、後部構造物の形状も変わった。艦橋上にはOPS-48潜望鏡探知レーダーが加わり、対空監視だけでなく海面すれすれの小目標へ注意を向けた構成となっている。[出典: SRC-10

見た目の違いをレーダーの枚数だけで覚えると、艦の思想を取り逃がす。あきづき型の上部構造は僚艦防空へ割いた処理能力を象徴し、あさひ型のセンサー構成は空中と海面、海中をまたいで潜水艦の痕跡をつなぐ思想を示す。

優劣より脅威の方向を見る

私は、あさひ型とあきづき型を単純な新旧比較で評価するのは適切でないと思う。後から就役したあさひ型が、あきづき型の全能力を上回る関係にもならないからだ。

航空機と対艦ミサイルが集中する局面では、僚艦防空を重視したあきづき型の価値が高い。潜水艦の接近を警戒し、広い海域で接触を維持する局面では、あさひ型の対潜センサーとCOGLAGが生きる。艦隊は一隻の万能艦だけで成立せず、役割の異なる艦を組み合わせて弱点を消す。両型は競争相手というより、同じ護衛部隊の空と海中を分担する関係である。

2隻は現在どのように運用されているのかに関わる装備と運用環境
2026年3月23日、海上自衛隊は水上艦艇部隊を水上艦隊の下へ集約し、従来の第1~第4護衛隊群などを第1~第3水上戦群へ再編した

2隻は現在どのように運用されているのか

2隻は現在どのように運用されているのか

2026年3月23日、海上自衛隊は水上艦艇部隊を水上艦隊の下へ集約し、従来の第1~第4護衛隊群などを第1~第3水上戦群へ再編した。この改編後、「あさひ」は佐世保の第5水上戦隊、「しらぬい」は大湊の第4水上戦隊に属する。[出典: SRC-07SRC-08

第2水上戦群は2026年7月、「あさひ」が「あけぼの」とともに日本周辺海域で即応態勢の任務に従事していると公表した。「しらぬい」は同年5月から6月にかけ、米空母「ジョージ・ワシントン」などと西太平洋で共同訓練を行い、対空戦、対水上戦、対潜戦、LINKEX、洋上補給を実施した。2隻とも、対潜能力だけを試す専用試験艦にとどまらず、護衛艦として多様な任務へ投入されている。[出典: SRC-07、SRC-09]

配置にも意味がある。「あさひ」の佐世保は東シナ海や南西方面へ出やすく、「しらぬい」の大湊は津軽海峡、日本海北部、北西太平洋へ展開しやすい。配備理由の詳細は公表されていないため断定は避けるべきだが、少数の同型艦を南北へ分けることで、異なる海域の訓練と即応任務へ対潜能力を持ち込める体制になっている。

よくある質問

あさひ型はイージス艦なのか

イージス艦ではない。多機能レーダー、VLS、対空ミサイル運用能力を備えるが、イージス戦闘システムを搭載するDDGでなく、艦種記号DDの汎用護衛艦である。弾道ミサイル防衛を主任務とするこんごう型、あたご型、まや型とは区別される。

あさひ型は何隻あるのか

DD-119「あさひ」とDD-120「しらぬい」の2隻である。「あさひ」は2018年、「しらぬい」は2019年に就役した。海上自衛隊の公式艦型ページにも、この2隻だけが掲載されている。[出典: SRC-01]

あさひ型はなぜ2隻しか建造されなかったのか

公式資料は単一の理由を示していない。調達の流れが従来型DDからFFMへ移った時期と重なるため、艦隊整備方針の転換が背景にあると読むのが自然だが、これは時系列からの推論を含む。確実に言えるのは、あさひ型が2隻で終了し、その後の新造水上艦の中心がFFMになった事実である。[出典: SRC-01、SRC-12]

あきづき型より対潜能力が高いのか

対潜捜索へ重点を置いた装備構成では、あさひ型が一段進んでいる。マルチスタティック/バイスタティック機能、広帯域化した能力向上型TASS、潜望鏡探知レーダーが公式に挙げられる。もっとも、探知距離や実戦環境での優劣は非公開であり、数値を使った断定比較はできない。

COGLAGなら常に静かに航行できるのか

常時の静粛を保証しない。電動機を使う運転は機械騒音の管理に有利な面があるが、発電機、補機、プロペラ、船体振動、速力、海況が自艦雑音へ影響する。公式に確認できる主効果は、燃料消費の抑制、航続距離の延伸、ライフサイクルコストの低減である。[出典: SRC-02、SRC-03]

まとめ

あさひ型護衛艦は、5,100トン級の船体に対空、対水上、対潜の装備を載せた汎用DDであり、その設計の重心は対潜捜索へ置かれている。艦首ソーナーと能力向上型TASS、マルチスタティック/バイスタティック機能、潜望鏡探知レーダー、哨戒ヘリを組み合わせ、潜水艦の痕跡を複数の角度から追う。

推進方式には海自艦艇初のCOGLAGを採用した。燃料効率、無補給航続距離、ライフサイクルコストを改善し、30ノットの最大速力を維持する。対潜戦で重要な「長く海域へ残り、捜索を切らさない」能力を、機関側から支える設計である。

あきづき型との違いは、船体の大きさより任務の優先順位にある。あきづき型はイージス艦などを空から守る僚艦防空、あさひ型は艦隊の海中監視を厚くする対潜捜索を重視した。両型を優劣で並べるより、空と海中を分担する補完関係として見る方が、海上自衛隊の護衛部隊を正しく理解できる。

あさひ型の価値は、派手な長射程兵器では測りにくい。静かな潜水艦を相手に、センサー、艦載機、推進方式、僚艦との連接を一つの捜索網へ仕立てたことにある。海中の見えない脅威へ対抗するには、強い一撃より、見失わない仕組みの方が先に要る。冒頭で述べた通り、あさひ型は艦そのものを水中センサー網の一部へ変えた護衛艦なのである。

参考資料

  • <span class="swl-marker mark_green">SRC-01</span>: 海上自衛隊「護衛艦『あさひ』型」
  • <span class="swl-marker mark_blue">SRC-02</span>: 海上自衛隊「護衛艦『しらぬい』引渡式・自衛艦旗授与式」(2019年2月27日)
  • <span class="swl-marker mark_yellow">SRC-03</span>: 海上自衛隊「護衛艦『あさひ』引渡式・自衛艦旗授与式」(2018年3月7日)
  • <span class="swl-marker mark_green">SRC-04</span>: 海上自衛隊「護衛艦『あきづき』型」
  • SRC-05: 海上自衛隊「護衛艦『すずつき』引渡式・自衛艦旗授与式」(2014年3月12日)
  • SRC-06: 防衛装備庁「マルチスタティックソーナー(信号処理部)の研究に関する外部評価委員会の概要」
  • <span class="swl-marker mark_blue">SRC-07</span>: 海上自衛隊 第2水上戦群オフィシャルサイト
  • <span class="swl-marker mark_orange">SRC-08</span>: 海上自衛隊 第1水上戦群オフィシャルサイト
  • SRC-09: 海上幕僚監部「日米共同訓練について」(2026年6月17日)
  • <span class="swl-marker mark_orange">SRC-10</span>: 海上自衛隊 第2水上戦群「護衛艦あさひ パンフレット」
  • SRC-11: 海上自衛隊「哨戒機SH-60K」
  • SRC-12: 海上自衛隊「護衛艦『もがみ』型」

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