PrSMとは|HIMARSから撃つ次世代長距離ミサイルの性能を解説

HIMARS級発射機から発射されるPrSM級長距離ミサイル
HIMARS級発射機から発射されるPrSM級長距離ミサイル
既存の高機動発射機から長距離精密打撃を行うPrSM

PrSM(Precision Strike Missile)は、米陸軍がATACMSの後継として配備を進める次世代の長距離精密打撃ミサイルである。M142 HIMARSやM270A2 MLRSから発射し、400kmを超える遠距離にある防空システム、ミサイル発射機、指揮所、兵站拠点などを地上から攻撃する。

PrSMの本質は、単に「ATACMSより遠くへ飛ぶミサイル」ではない。既存のロケット砲部隊を、戦線後方の重要目標を攻撃できる機動式の長距離打撃部隊へ変えることにある。私はPrSMを、地上部隊に「滑走路を持たない爆撃機」を配る仕組みだと見ている。

この記事の要点

本記事では、射程、誘導、搭載数、ATACMSとの違い、対艦型Increment 21,000km超を目指すIncrement 4まで、2026年7月時点の公開情報を基に整理する。

目次

PrSMの基本性能

項目公開情報上の内容
正式名称Precision Strike Missile
略称PrSM(一般に「プリズム」と読まれる)
種別長距離・地対地精密打撃ミサイル
開発・製造ロッキード・マーティン
主な発射機M142 HIMARS、M270A2 MLRS
射程Increment 1は400km超。メーカー公表値は60〜499km超
搭載数1個の発射ポッドに2発
主な目標防空システム、ミサイル発射機、指揮統制拠点、兵站拠点など
誘導慣性航法・衛星測位を基礎とする精密誘導。Increment 2はマルチモード・シーカーを追加
弾頭高性能炸薬を用いる通常弾頭。詳細諸元は限定公開
配備状況米陸軍が2023年に初回納入を受け、2025年にMilestone C承認。豪州も運用に参加
発展型Increment 2=移動・海上目標、Increment 3=モジュラー・ペイロード、Increment 4=1,000km超

米陸軍はIncrement 1の最低限の有効射程を400km級に設定し、ロッキード・マーティンは60〜499km超というレンジを公表している。実際の最大射程、飛行速度、命中精度、弾頭構成には非公開部分が多く、ネット上で見られる細かな数値をすべて確定値として扱うべきではない。〔出典1・2〕

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PrSMとは何か

PrSMは、米陸軍の長距離精密火力近代化で中核を担う地対地ミサイルである。従来のATACMSと同じMLRSファミリーの発射機を使いつつ、より長い射程、より多い搭載数、将来改修を前提とした設計を実現した。

米陸軍が想定する攻撃対象は、敵の戦車部隊を一両ずつ狙うような前線目標ではない。価値が高く、破壊すれば戦域全体に影響する目標である。具体的には、長距離地対空ミサイルのレーダー、弾道・巡航ミサイル発射機、司令部、通信ノード、航空基地の重要施設、弾薬集積所、橋梁や港湾の軍事利用施設などが候補となる。

PrSMは航空戦力を不要にする兵器ではないが、悪天候や強力な防空網のため航空攻撃が難しい局面でも、地上から即応的に長距離打撃を加えられる。DOT&Eも、航空機や統合軍資産が天候・危険のため攻撃できない遠距離目標への対処を任務に挙げる。PrSMは砲兵だけで完結せず、各種センサーと指揮統制をつなぐ統合作戦用火力なのである。〔出典2〕

なぜATACMSの後継が必要だったのか

ATACMSは湾岸戦争以来、米陸軍の長距離地対地攻撃を支えてきた実績あるミサイルである。しかし設計の起点は冷戦期であり、2020年代の大国間競争に必要な射程、搭載数、改修余地の面で限界があった。

最大の差は射程である。ATACMSの長射程型は約300km級だが、PrSM Increment 1は400kmを超え、メーカーは499km超を公表する。発射機を海岸や島嶼部に展開した場合、届く海域、港湾、飛行場、ミサイル陣地が一段増える。

第二の差は搭載数である。ATACMSは1個の発射ポッドに1発しか入らない。PrSMは細身に設計され、同じポッドに2発を収納できる。HIMARSは1ポッドなのでATACMSなら1発、PrSMなら2発。M270A2は2ポッドを搭載するため、ATACMSなら2発、PrSMなら4発を運べる。

搭載数の倍増により、複数目標への連続攻撃や迎撃側への飽和圧力を作りやすい。さらにPrSMはオープン設計とモジュール化を重視し、シーカー、弾頭、推進系をIncrementごとに更新する。

比較項目ATACMSPrSM Increment 1
世代冷戦期に開発2010年代以降に開発
最大射程の目安約300km級400km超、メーカー公表499km超
1ポッドの搭載数1発2発
HIMARSの搭載数1発2発
M270A2の搭載数2発4発
主な初期任務固定地上目標への長距離攻撃固定地上目標への長距離攻撃
将来発展型式ごとの改良対艦、ペイロード変更、1,000km超へ段階発展

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HIMARS級発射機へ2発入りミサイルポッドを装填する部隊
1基の発射機へ2発を収容するPrSMのコンパクトな装填方式

HIMARSからPrSMを撃つ仕組み

HIMARSはトラック式の高機動ロケット砲であり、発射機そのものがPrSM専用ではない。弾薬ポッドを交換することで、GMLRS、ER GMLRS、ATACMS、PrSMを任務に応じて使い分ける。

近距離から中距離の面・点目標にはGMLRS、より遠い目標にはER GMLRS、戦域後方の高価値目標にはPrSMという階層が形成される。HIMARS一両がすべての弾種を同時に積むわけではないが、同じ発射機、補給体系、射撃指揮系統を利用できる点が大きい。

発射後は炎、煙、音、赤外線によって位置を探知され得るため、HIMARS部隊は短時間で移動する「シュート・アンド・スクート」を前提とする。射程が伸びても発射機は無敵ではなく、分散、偽装、補給網の防護、妨害下の通信が必要である。

私は、PrSMの性能を評価するときにミサイル単体の射程だけを見るのは危険だと考える。発見するセンサー、攻撃許可を出す指揮系統、発射機まで座標を渡す通信、射撃後に逃がす機動計画まで含めて初めて「PrSMという兵器システム」になるからだ。

PrSM Increment 1の誘導と攻撃対象

Increment 1はPrSMの基礎型であり、主として位置が判明した地上目標を攻撃する。慣性航法と衛星測位を組み合わせ、発射後は固体燃料ロケットで加速し、高速で目標地域へ飛翔する。

慣性航法は外部電波がなくても自律的に位置を計算できるが、時間とともに誤差が蓄積する。衛星測位による補正を組み合わせれば精度を高められる一方、敵がGPS妨害を行う環境では性能に影響が出る可能性がある。DOT&Eが運用試験でGPSジャミングを含む代表的な電子戦環境を求めているのは、この弱点が机上の問題ではないためである。〔出典2〕

ただし、GPSを妨害すれば即座にPrSMが無力化されるという意味ではない。慣性航法は残り、軍用GPSの耐妨害化、発射前の精密な位置合わせ、飛行ソフトウェアの改善など複数の対策がある。公開情報だけでは妨害下の実際の命中精度を断定できないため、「GPSが切れたら外れる」「妨害は効かない」の両方を言い切るべきではない。

弾頭の細かな重量や信管構成は限定公開である。公開上は通常弾頭による精密打撃用で、レーダー、地対空ミサイル陣地、長距離ミサイル発射機、指揮通信施設、弾薬庫などを狙う。戦闘初期に防空網の一部を破壊できれば、後続する航空機や巡航ミサイルの行動自由を広げられる。

高高度を飛行するPrSM級長距離精密打撃ミサイル
Increment更新によって拡張されるPrSMの到達距離

射程は499kmなのか、500kmを超えるのか

PrSMを調べると、「射程499km」「500km超」「400km超」という複数の表現が出てくる。これは必ずしも矛盾ではない。

米陸軍の要求上、Increment 1のしきい値は400km級である。ロッキード・マーティンは製品情報で60〜499km超、別の資料では400km超と表現している。豪州政府は2025年の国内初射撃時に「最大射程500km超」と説明した。運用上の正確な最大射程は公開されておらず、弾道、弾頭、飛行プロファイルによっても変化する可能性がある。〔出典1・3〕

初期開発時に広く使われた499kmという数字は、当時の中距離核戦力全廃条約、いわゆるINF条約が地上発射型の500〜5,500km級ミサイルを規制していた境界と重なる。米国が2019年にINF条約から離脱した後、米陸軍はさらに長射程のIncrement 4へ進んだ。

したがって、2026年時点では「Increment 1は400km超、公開上は約500km級」「将来のIncrement 4は1,000km超を狙う」と整理するのが最も誤解が少ない。

Increment 2は移動する艦艇を狙う対艦型

Increment 1の基本任務は位置が判明した地上目標への攻撃である。これに対しIncrement 2は、マルチモード・シーカーを追加し、移動する時間依存目標や海上目標を攻撃する能力を目指す。

2026年3月、ロッキード・マーティンはIncrement 2の初飛行試験を実施した。HIMARSから発射された試験弾は約350kmを飛行し、新しいシーカーの保護カバー展開や各種データ取得を行った。メーカーは、このシーカーが移動・海上目標への終末誘導を担うと説明している。〔出典4〕

艦艇は移動するため、発射前の座標だけでは着弾時に目標がいない可能性がある。衛星、哨戒機、無人機、レーダーなどから最新情報を得て、終末段階でシーカーが捕捉する必要がある。Increment 2の価値は、海上目標を探すセンサー網と陸軍火力を接続する点にある。

インド太平洋では、島嶼や沿岸部に展開したHIMARSが海峡や接近経路を射程に収める可能性がある。地上部隊が艦艇へ長距離打撃を加えられれば、海軍と空軍だけに依存しない対艦火力となる。ただし海上での目標識別、民間船との区別、通信妨害への耐性、攻撃許可の迅速化が伴わなければ、射程だけ長くても実用性は上がらない。

Increment 3は弾頭・ペイロードを柔軟化する

Increment 3は、モジュラー・ペイロードによって目標に応じた効果を持たせる構想である。公開資料では、より強固な目標や分散した目標への効果向上が将来課題として示されてきた。

ただし2026年時点で、Increment 3の具体的な弾頭構成や配備時期は確定情報が少ない。米陸軍はIncrement 4をIncrement 3より優先して進めた時期があり、GAOもIncrement 3をペイロード強化、Increment 4を射程強化として整理している。〔出典5〕

考えられる方向性としては、強化された単一弾頭、硬化目標向けの貫徹効果、広い範囲へ複数の効果を与えるペイロード、電子戦・センサー・小型無人機を含む非伝統的ペイロードなどが議論される。しかし、採用が公式に確定していない内容を「搭載される」と断定してはならない。

Increment 4は射程1,000km超を狙う

Increment 4は、PrSMシリーズの射程を1,000km超へ伸ばす計画である。米陸軍は2026年3月に業界説明会を開き、HIMARSから1,000kmを超える距離の目標を攻撃する能力を求めると説明した。〔出典6〕

ロッキード・マーティンはL3ハリスと組み、固体ロケット・ブースターとラムジェットを組み合わせる案を提示している。2026年6月には、ブースターからラムジェットへ移行する地上試験を実施し、同社案が基礎型PrSMの約2倍、1,000km超を目指すと発表した。〔出典7〕

ここで注意したいのは、1,000km超のPrSMがすでに部隊配備されているわけではないことだ。Increment 4は開発・競争段階であり、ロッキード・マーティンのラムジェット案も米陸軍が最終採用した完成品ではない。

HIMARSのサイズに収まる1,000km級ミサイルが実現すれば、従来は航空機や大型巡航ミサイル部隊が担った戦域深部を地上発射機が狙える。

私はIncrement 4こそ、PrSMが「ATACMS後継」から「地上軍の戦域打撃システム」へ変わる境目だと考える。射程が倍になると、単に遠い目標を撃てるだけでなく、発射機を敵の捜索圏から遠ざけ、より多くの展開地点から同一目標を狙えるからである。

PrSMの強み

PrSMがロケット砲部隊へ与える強み

既存発射機と補給基盤を利用できる

専用発射機を一から大量配備せず、HIMARSとM270A2の部隊編成、教育、輸送、整備基盤を活用できる。1ポッド2発の設計により、複数目標への連続攻撃もしやすい。

航空機を危険空域へ入れずに深部を攻撃できる

強力な防空網が残る初期段階でも、地上からレーダー、指揮所、ミサイル陣地を攻撃できる。航空機の代替ではなく、航空作戦の入口を開く火力として価値がある。

分散・移動しながら能力を更新できる

HIMARSは道路機動と発射後の離脱に向く。さらに固定地上目標、海上目標、ペイロード変更、1,000km超という発展を同一系列で進められる。

PrSMの弱点と限界

長距離打撃を成立させる条件

長射程でも目標を見つけられなければ撃てない

500km先、将来は1,000km先の目標を攻撃するには、正確な位置、種類、移動方向、攻撃価値を把握する必要がある。特に移動目標では、センサーから射手までの情報伝達が遅れればミサイルの性能を生かせない。

電子戦と通信妨害の影響を受ける

衛星測位、データリンク、指揮統制通信は敵の妨害対象となる。PrSM単体の耐妨害性だけでなく、目標情報を送るネットワーク全体の強靱性が問われる。

迎撃不能ではない

高速目標でも、発射探知、軌道予測、終末迎撃は試みられる。他のミサイル、電子戦、複数方向からの攻撃との組み合わせが必要になる。

高価な弾薬を大量目標へ使い続けるのは難しい

PrSMは高価値目標を破壊するための兵器であり、安価な車両や小規模陣地へ無制限に撃つ弾薬ではない。2026年の対イラン作戦で初の実戦使用が確認された一方、航空自衛隊幹部学校航空研究センターの分析は、PrSMを含む高性能兵器の価格と在庫制約を指摘している。〔出典8〕

長期戦では「命中するか」だけでなく、必要数を作り続けられるかが問われ、発射機よりミサイル在庫が先に制約となり得る。

発射機と補給網は攻撃対象になる

HIMARSは機動式でも、燃料、予備弾、通信装置、整備拠点が必要である。敵は発射機だけでなく、補給車両、弾薬集積所、道路、橋、港湾を攻撃して射撃回数を減らそうとする。PrSMの戦力は、ミサイル本体よりも補給網の生存性に左右される場合がある。

2026年時点の配備・試験状況

米陸軍は2023年11月に最初の4発を早期運用能力用として受領し、同年12月に初回納入を公表した。2024年には海上目標を用いた射撃や生産認定試験を進め、2025年7月にIncrement 1がMilestone C承認を得た。これは量産・配備へ進む重要な節目である。〔出典2・9〕

2025年7月には豪州陸軍が豪州国内で初めてPrSMを発射した。タリスマン・セイバー演習でHIMARSから発射され、豪州政府は500kmを超える長射程打撃能力として位置付けた。豪州は単なる購入国ではなく、将来Incrementの共同開発に関与する重要なパートナーである。〔出典3〕

2026年3月には、米中央軍が対イラン作戦でPrSMを初めて実戦使用したと公表した。公開映像と複数の報道、防衛省・航空自衛隊系研究資料で確認されている。ただし、発射地点、使用数、目標、命中効果の詳細は限定されており、戦果を過大評価すべきではない。〔出典8〕

同じ2026年3月にはIncrement 2の初飛行とIncrement 4の業界説明会が行われ、6月にはロッキード・マーティンのIncrement 4案が地上推進試験を進めた。基礎型を量産しながら次世代型を並行開発する、PrSMのIncrement戦略が具体化した一年といえる。

インド太平洋でPrSMが持つ意味

インド太平洋では、長距離ミサイル、防空網、海上戦力、島嶼基地が広い海域に分散している。地上部隊が500km級の精密打撃を持てば、沿岸防衛、基地防護、対艦戦、敵防空制圧に参加できる。

たとえば、島嶼部に展開したHIMARS部隊は、敵艦艇や上陸部隊だけでなく、その背後にある港湾、航空基地、ミサイル発射地点、補給拠点を射程に入れられる。Increment 2が成熟すれば、海上自衛隊や米海軍、航空戦力が得た目標情報を地上火力へ渡し、複数領域から同じ艦隊を圧迫する構図が生まれる。

相手は分散、偽装、電子戦、防空で対抗する。PrSMが作るのは確実な撃沈ではなく、敵に接近経路、停泊地、補給計画を変えさせるリスクである。発射前から相手の行動を制約する点にも抑止効果がある。

日本がPrSMを導入する可能性はあるか

2026年7月時点で、日本政府がPrSMの導入を正式決定したという公開情報は確認できない。日本はトマホーク、国産の12式地対艦誘導弾能力向上型、25式地対艦誘導弾、25式高速滑空弾など、独自のスタンド・オフ防衛能力を進めている。

したがって、現時点でPrSMを「自衛隊が導入するミサイル」と説明するのは誤りである。一方、日本にとって無関係でもない。在日米軍や米陸軍のマルチドメイン任務部隊がPrSMを運用すれば、日本周辺の統合火力計画、基地防護、目標情報共有、日米の指揮調整に影響する。

日本が学ぶべき点は、同じ発射機から複数射程の弾薬を使うこと、センサーと射手を短時間で接続すること、将来改修を前提にミサイルを設計すること、同盟国と生産・整備基盤を共有することである。PrSMそのものを買うかどうかより、PrSMが示した運用思想を国産スタンド・オフ火力へどう取り込むかが重要だと私は考える。

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PrSMと巡航ミサイルの違い

PrSMは高速で上昇し、弾道的な飛行を利用して目標へ到達する地対地ミサイルである。トマホークのような巡航ミサイルは、ジェットエンジンで比較的低空を長時間飛び、地形追随や経路変更を行う。

PrSMは飛翔時間が短く、移動発射機から迅速に撃てる。一方、巡航ミサイルは長い射程と複雑な飛行経路を取りやすく、低空から接近できる。迎撃側から見れば、PrSMは高速・高角度の脅威、巡航ミサイルは低空・長距離の脅威であり、対処方法が異なる。

どちらが上位という関係ではない。PrSM、トマホーク、航空機発射巡航ミサイル、無人機を組み合わせ、異なる方向、高度、速度、時間で攻撃するほど、防御側の負担が増える。PrSMの意味は単独の最強兵器になることではなく、統合打撃の一手を増やすことにある。

よくある質問

PrSMはHIMARS専用ミサイルなのか

専用ではない。M142 HIMARSに加え、近代化されたM270A2 MLRSからも発射できる。HIMARSは1ポッド、M270A2は2ポッドを搭載する。

HIMARSはPrSMを何発積めるのか

1ポッドに2発入るため、HIMARSは2発を搭載できる。M270A2は2ポッドなので最大4発である。ATACMSは1ポッド1発のため、PrSMは同じ発射機で搭載数を倍増できる。

PrSMの射程は何kmか

Increment 1は米陸軍要求上400km超で、メーカーは60〜499km超を公表している。豪州政府は500km超と説明した。正確な最大射程は非公開部分があり、将来のIncrement 4は1,000km超を目標とする。

PrSMは艦艇を攻撃できるのか

Increment 2が移動・海上目標への攻撃能力を目指している。2026年3月にマルチモード・シーカーを備えたIncrement 2の初飛行試験が行われたが、配備済みの完成能力として扱うのは早い。

PrSMは極超音速ミサイルなのか

高速で飛ぶが、LRHWのような極超音速滑空兵器とは別計画である。米陸軍とメーカーもPrSMを長距離精密打撃ミサイルとして説明している。

PrSMは核ミサイルなのか

公開されているPrSMは通常弾頭の精密打撃ミサイルであり、核弾頭搭載を前提とした兵器として発表されていない。

ATACMSはすぐに全廃されるのか

段階的に置き換えるため、在庫、訓練、生産速度の関係から一定期間は併存すると考えられる。

日本はPrSMを保有しているのか

2026年7月時点で、自衛隊によるPrSM導入決定は公表されていない。日本はトマホークや国産スタンド・オフミサイルの配備を進めている。

PrSMは迎撃できないのか

迎撃困難な高速目標だが、迎撃不能ではない。探知・追尾能力、迎撃ミサイル、飛来方向、同時攻撃数、電子戦環境によって結果は変わる。

まとめ

PrSMは、ATACMSの後継として米陸軍が配備を進める次世代長距離精密打撃ミサイルである。Increment 1は400kmを超える射程を持ち、HIMARSなら2発、M270A2なら4発を搭載できる。既存発射機を使いながら射程と搭載数を増やした点が、第一の強みだ。

さらにIncrement 2では移動する海上目標、Increment 3ではモジュラー・ペイロード、Increment 4では1,000km超の射程を目指す。2023年の初回納入、2025年のMilestone C承認と豪州での初射撃、2026年の初実戦使用と将来型試験によって、PrSMは試作兵器から実戦・量産段階へ移りつつある。

ただし、射程だけで戦場を支配できるわけではない。長距離の目標を探すセンサー、妨害に耐える通信、迅速な攻撃許可、発射機を守る分散運用、十分なミサイル在庫が必要である。

PrSMが変えるのはミサイル一発の性能だけではない。HIMARSを中心とするロケット砲部隊を、陸上から戦域全体へ影響を与える打撃ネットワークへ変える。冒頭で述べた「滑走路を持たない爆撃機」という比喩は、まさにこの変化を指している。

この論点を広く比較するなら、「HIMARSとは|射程・機動力・MLRSとの違いを完全解説」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「世界最強ミサイルランキングTOP15|ICBMから極超音速まで「絶対に止められない矛」を徹底比較【2026年最新】」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「日本が保有するミサイル全種類を完全解説!極超音速ミサイルから弾道ミサイル防衛まで」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「日本のスタンド・オフミサイル比較|12式・トマホーク・JSM・JASSM」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「トマホーク巡航ミサイルとは|射程・誘導方式・日本導入を完全解説」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「12式地対艦誘導弾とは?25式SSMへの進化と射程1000km・反撃能力を完全解説【2026年版】」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「SM-6とは|防空・ミサイル防衛・対艦能力を持つ多用途ミサイルを解説」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「PAC-3 MSEとは|迎撃の仕組み・射程・日本のミサイル防衛での役割」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「ロッキード・マーチン(LMT)株とは?F-35・高配当・業績・買い方・今後を完全解説」もあわせて確認したい。

この論点を広く比較するなら、「中国の極超音速兵器は本当に止められないのか?DF-17から部分軌道爆撃まで、その脅威と日本の対策を徹底解説【2025年最新版】」もあわせて確認したい。

参考資料

  • <a href="https://www.lockheedmartin.com/en-us/products/precision-strike-missile/prsm-media-kit.html">Lockheed Martin「PrSM Media Kit」</a>
  • <a href="https://comptroller.defense.gov/Portals/45/Documents/defbudget/FY2026/FY2026_Weapons.pdf">米国防総省「FY2026 Weapons Systems」</a>
  • <a href="https://www.army.mil/article/291029/precision_strike_missile_success_at_talisman_sabre_accelerating_army_long_range_precision_fires_modernization">米陸軍「PrSM Success at Talisman Sabre」</a>
  • <a href="https://www.minister.defence.gov.au/media-releases/2025-07-25/first-test-australia-advanced-strike-missile-being-co-developed-united-states">minister.defence.gov.au</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/releases/2025-08-04/exercise-talisman-sabre-2025-concludes">豪国防省「Exercise Talisman Sabre 2025 concludes」</a>
  • <a href="https://news.lockheedmartin.com/2026-03-12-PrSM-Increment-2-Takes-Flight-and-Advances-Army-s-Moving-Target-and-maritime-capability">news.lockheedmartin.com</a>
  • <a href="https://www.army.mil/article/291321/portfolio_acquisition_executive_for_fires_hosts_precision_strike_missile_increment_4_industry_day">米陸軍「PrSM Increment 4 Industry Day」</a>
  • <a href="https://www.asafm.army.mil/Portals/72/Documents/BudgetMaterial/2027/Discretionary%20Budget/rdte/RDTE%20-%20Vol%203%20-%20Budget%20Activity%205D.pdf">asafm.army.mil</a>
  • <a href="https://www.lockheedmartin.com/en-us/news/features/2026/lockheed-martin-and-the-us-department-of-war-further-expand-prsm-production.html">Lockheed Martin「PrSM production expansion」</a>
  • <a href="https://media.defense.gov/2026/Apr/01/2003905658/-1/-1/1/OPERATION-EPIC-FURY-FACT-SHEET-APRIL-1-UPDATE.PDF">米中央軍「Operation Epic Fury Fact Sheet」</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/news/2025-07-25/himars-extends-range-christmas-island">defence.gov.au</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/sites/default/files/2025-09/The-Australian-Guided-Weapons-and-Explosive-Ordnance-Plan.pdf">defence.gov.au</a>

参考資料・主な出典

Lockheed Martin「PrSM Media Kit」|資料を確認

米国防総省「FY2026 Weapons Systems」|資料を確認

米陸軍「PrSM Success at Talisman Sabre」|資料を確認

minister.defence.gov.au|資料を確認

豪国防省「Exercise Talisman Sabre 2025 concludes」|資料を確認

news.lockheedmartin.com|資料を確認

米陸軍「PrSM Increment 4 Industry Day」|資料を確認

asafm.army.mil|資料を確認

Lockheed Martin「PrSM production expansion」|資料を確認

米中央軍「Operation Epic Fury Fact Sheet」|資料を確認

defence.gov.au|資料を確認

defence.gov.au|資料を確認

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