水陸機動団は、長崎県佐世保市の相浦駐屯地に団本部を置く、陸上自衛隊の水陸両用作戦部隊だ。上級部隊は陸上総隊。2018年3月に新編され、2024年3月の第3水陸機動連隊発足で3個連隊・約3,300人の完全編成になった。水陸両用車AAV7で海から上がり、V-22オスプレイとCH-47で空から降り、ゴムボートで夜の海岸に潜り込む。任務は一言で「占領された離島を取り返すこと」だ。
報道では必ず「日本版海兵隊」と書かれる。私はこの呼び名を半分は正しく、半分は誤解を生むと思っている。米海兵隊は独立した軍種で、自前の航空機も艦艇との一体運用も持っている。水陸機動団は陸自の中の一個団で、船は海自、ヘリは陸自航空科、オスプレイは佐賀の輸送航空隊に頼る。「海兵隊の戦い方をする陸軍部隊」というのが実態に近い。この違いを押さえておくと、この部隊の強さも弱さも見えてくる。
この記事では、任務、3個連隊の編成、AAV7からオスプレイまでの装備、そして旧軍から続く「日本の上陸作戦」の系譜までを一本にまとめる。自衛隊の部隊全体での位置づけは自衛隊最強部隊ランキングで扱っているので、比較目線が欲しい人はそちらも。
水陸機動団とは:3行で
- 陸上自衛隊で唯一の本格的な水陸両用作戦部隊。略称は水機団(すいきだん)
- 陸上総隊直轄。団本部は佐世保・相浦、3個連隊は相浦と大村・竹松に分散
- 部隊章は金鵄と天叢雲剣。2013年の防衛大綱で新編が決まり、尖閣・南西諸島の情勢が生んだ部隊
任務:離島を「取り返す」ための部隊

写真:統合幕僚監部/出典・利用条件(CC BY 4.0)
島嶼奪回が本来任務
防衛省の説明を私なりに言い換えると、水陸機動団の任務は「侵攻された島に、海と空から上陸して奪回する」ことだ。想定される流れは、海自の輸送艦で島の数キロ沖まで運んでもらい、AAV7で海面を進んで海岸に乗り上げ、同時にオスプレイやCH-47で内陸に部隊を降ろす。事前に偵察隊が泳いで海岸を調べ、施設中隊が水際の地雷を処理する。
つまり水陸機動団は単独で戦う部隊ではなく、海自・空自・陸自航空科との統合運用が前提の部隊だ。2025年に発足した統合作戦司令部の下で、この「つなぎ」がどこまで滑らかになるかが今後の焦点になる。
なぜ作られたか:中国の上陸訓練が尖閣を目標に加えた
背景は隠されていない。21世紀に入って中国海軍が外へ膨らみ、尖閣周辺での領海侵入が常態化した。こうした情勢を背景に「取られた島を取り返す部隊」が必要になり、2013年の防衛大綱に水陸機動団の新編が明記された。その翌2014年には米海軍協会が「中国軍が尖閣奪取を想定した上陸訓練を実施した」と伝えている。台湾侵攻を想定していた中国の上陸訓練に、日本の島が目標として加わった。
中国との戦力比較は日本 vs 中国 軍事力リアル比較、台湾有事で南西諸島がどうなるかは台湾有事で日本はどうなる?に書いた。水陸機動団は、あの記事で描いたシナリオの中で「最後に島へ上がる部隊」だ。
日常の任務:海保・県警との共同、災害派遣
平時の仕事もある。2021年には五島列島の津多羅島で、尖閣占拠を想定して沖縄県警の国境離島警備隊、第十一管区海上保安本部と共同訓練をやった。警察・海保・自衛隊が同じ島で動く訓練は、グレーゾーン事態への備えとしてかなり実戦的だ。災害派遣では、海から入れる部隊という特性が生きる。海岸沿いの集落が孤立したときに、道路が寸断されていても上陸できるのはこの団だけだ。
編成:3個水陸機動連隊+戦闘上陸大隊+特科大隊
団の骨格
2024年3月21日、竹松駐屯地で第3水陸機動連隊が編成完結し、団は当初計画どおりの3個連隊体制になった。3個あると、1個が訓練、1個が即応待機、1個が整備・休養というローテーションが組める。第1空挺団が3個大隊で回しているのと同じ発想だ。
| 部隊 | 所在 | 中身(公開情報ベース) |
|---|---|---|
| 団本部 | 相浦 | 団長は陸将補。相浦駐屯地司令を兼務 |
| 第1水陸機動連隊 | 相浦 | 旧西部方面普通科連隊を改編。3個普通科中隊+対戦車中隊など |
| 第2水陸機動連隊 | 相浦 | 2018年新編 |
| 第3水陸機動連隊 | 竹松(大村) | 2024年新編。連隊長が竹松駐屯地司令 |
| 戦闘上陸大隊 | 崎辺分屯地(佐世保)・玖珠 | AAV7を集中運用する部隊。第2戦闘上陸中隊は玖珠、第3中隊は2024年新編 |
| 特科大隊 | 湯布院 | 120mm迫撃砲RTの3個射撃中隊+火力誘導中隊 |
| 偵察中隊 | 相浦 | 諸職種混成。水泳斥候を含む |
| 施設中隊 | 相浦 | 水際地雷処理など |
| 通信中隊 | 相浦 | 団の通信 |
| 後方支援大隊 | 相浦 | 整備2個中隊・補給・衛生 |
| 水陸機動教育隊 | 相浦 | 水陸両用基本訓練課程などの教育 |
母体は西部方面普通科連隊
第1水陸機動連隊の前身は、2002年に相浦で発足した西部方面普通科連隊、通称「西普連」だ。西普連は当時から離島防衛専門の連隊で、米海兵隊と「アイアンフィスト」演習を重ね、ボート操法や着装泳を海兵隊員に教わってきた。つまり水陸機動団は2018年にゼロから生まれたのではなく、16年分の下積みを持った連隊が団に化けたものだ。ここは「日本版海兵隊はにわか作りだ」という批判に対する私の反論でもある。
戦闘上陸大隊という「AAV7の専門家」
米海兵隊では水陸両用車を運用する部隊は歩兵とは別の職種だ。水陸機動団も同じで、AAV7は戦闘上陸大隊が集中運用し、連隊の隊員はそれに「乗る」。AAV7の操縦者は難燃性の高い専用戦闘服を着て、緊急呼吸装置を右腰に、戦闘靴は面ファスナー留めで排水穴が大きい仕様と防衛省の広報誌で紹介されている。水没した車両から靴を履いたまま泳いで脱出する、という前提の装備だ。
特科は空挺団と同じ120mm迫撃砲
湯布院の特科大隊は120mm迫撃砲RTを運用する。榴弾砲ではなく重迫撃砲なのは、輸送艦やヘリで運べる重さに収めるためで、これは第1空挺団の空挺特科大隊とまったく同じ理屈だ。面白いのは火力誘導中隊で、陸自の砲だけでなく海自の艦砲射撃や航空爆撃まで誘導する。上陸部隊が最初に頼る火力は自分たちの砲ではなく、沖合の護衛艦だからだ。
シーン再構成:奪回作戦の一夜はこう動く(想定)

出典:陸上自衛隊ホームページ
公開情報と訓練の報道から、水陸機動団の1個連隊がある島を取り返す夜を組み立ててみる。あくまで私の再構成で、実際の作戦計画とは別物だ。
日没前、おおすみ型輸送艦は島の水平線の向こうに止まる。艦内ではAAV7に燃料と弾薬が積み込まれ、隊員は救命胴衣の上から膨張式のチェストリグを締める。
まず動くのは偵察中隊だ。ヘリが海面5メートルを這うように飛び、水泳斥候がフィンを抱えて飛び込む。彼らは海岸まで泳ぎ、砂の硬さ、障害物、敵の配置を調べて、無線で艦に送る。次に施設中隊のCRRCが暗い海を進み、水際の地雷や障害を処理する。ここまでで数時間。
深夜、湯布院から運ばれてきた特科大隊の火力誘導班が、沖の護衛艦に艦砲射撃を要求する。同時に佐賀を飛び立ったオスプレイが島の裏側の平地に連隊の一部を降ろし、敵の後方を押さえる。
夜明け前、輸送艦の艦尾扉が開き、AAV7が一両ずつ海に落ちる。時速13キロ。海岸まで数キロを、砲弾が落ちる音を聞きながら進む。乗り上げた瞬間に後部ハッチが開き、20人が飛び出す。ここで初めて、この部隊は「歩兵」になる。
この一連の流れで、水陸機動団が自前で持っているのは偵察隊、施設、AAV7、火力誘導、そして歩兵だけだ。艦、艦砲、オスプレイ、ヘリは全部よそから借りる。だから私はこの部隊を「統合運用の練度そのものが戦力」だと言っている。
装備:AAV7、CRRC、オスプレイ、そして「海から上がる歩兵」の道具

写真:U.S. Navy photo by Petty Officer 2nd Class Raquell Williams/出典・利用条件(Public domain)
AAV7水陸両用車:58両を集中配備
象徴的な装備がAAV7A1 RAM/RSだ。米BAEシステムズ製で、全長約8メートル、重量約23トン、水上速度は時速13キロ前後。乗員3名に加えて完全武装の隊員20名前後を乗せ、12.7mm重機関銃か40mm自動てき弾銃を積む。日本は2013年度に参考品4両を買って検証し、2014年12月に車種を正式決定。最終的に人員輸送型46両、指揮通信型6両、回収型6両の計58両を調達し、すべて水陸機動団に配備した。
正直に言えば、AAV7は1970年代設計の古い車両だ。米海兵隊自身が後継のACVに更新している。日本は「いま買えるものを買って部隊を立ち上げる」ことを優先した。私はこの判断を支持している。装備が揃うのを待っていたら部隊は10年遅れた。国産の高速水陸両用車は三菱重工が技術研究を続けてきており、後継の話は数年以内に現実味を帯びる。
CRRCと水泳斥候:一番地味で一番きつい
戦闘強襲偵察用舟艇、いわゆるCRRCはゴム製のボートだ。夜間、エンジン音を殺して海岸に接近し、偵察隊が泳いで上陸適地を調べる。水泳斥候、英語でスカウトスイマーと呼ばれる隊員は、フィンと背嚢を持って海面約5メートルを飛ぶヘリから飛び込む「ヘリキャスティング」もやる。装備は隠密行動用の戦闘装着セットに個人用暗視装置。私は水陸機動団で一番の精鋭はAAV7の乗員でもオスプレイの乗客でもなく、この泳ぐ偵察隊だと思っている。
空からの脚:V-22オスプレイとCH-47
2025年7月、佐賀空港に隣接する佐賀駐屯地が開設され、木更津に暫定配備されていた陸自のV-22オスプレイ17機が8月までに移駐を完了した。運用部隊は第1ヘリコプター団輸送航空隊。相浦から佐賀までは至近距離で、水陸機動団の「空の脚」がようやく本拠の隣に来た形だ。機体そのものの仕組みや事故の論点はV-22オスプレイとはで整理してある。
個人装備:20式小銃、チェストリグ、救命胴衣
小銃は20式小銃への更新が進み、AAV7の車内では銃床折りたたみ式の89式を携行する、と広報誌にある。戦闘装着セットは「水陸一般用」という専用仕様で、チェストリグ型のベストに膨張式の救命胴衣を組み合わせる。背嚢には1週間程度、補給なしで生活できる糧食一式。歩兵として上陸したあと、補給が来るまで自力で持ちこたえる前提だ。
対戦車火器は84mm無反動砲(カールグスタフ)と中距離多目的誘導弾。迫撃砲は連隊に81mm、個人で運べる60mmもある。装甲車両は軽装甲機動車と高機動車で、戦車はない。上がった後の火力は、迫撃砲と艦砲と航空支援で埋める設計だ。
AAV7の車内で89式を抱える隊員の姿は、写真で見るとかなり窮屈そうで、あれを再現するなら折りたたみ銃床が欲しくなる。東京マルイのガスブローバックは固定銃床型だが、雰囲気は十分に出る。
船は海自のもの:おおすみ型といずも型
水陸機動団は、AAV7を沖まで運ぶ大型輸送艦を自前では持たない。AAV7を沖まで運ぶのは海自のおおすみ型輸送艦3隻で、2026年2〜3月のアイアン・フィスト26でも「おおすみ」に装備品と補給品を戦闘搭載して作戦海域へ前進する様子を団が公開している。指揮艦の役割はいずも型に期待され、将来の強襲揚陸艦導入も検討課題に上がっている。船側の話は強襲揚陸艦とはに書いた。南西諸島への日常的な輸送を担う海上輸送群も、この団の相棒になる部隊だ。
いずも型を机に置いておくと、水陸機動団の記事を読むときに「ここに司令部が乗る」という想像が具体的になる。
系譜:日本は水陸両用戦の「元祖」だった
ここからは旧軍ファンとして書きたいところ。
神州丸と大発:世界に先駆けた上陸専用艦
日本陸軍は、世界で最も早く水陸両用戦を体系化した組織の一つだ。1930年代に開発された大発動艇(大発)は、艦首の道板を倒して兵員と車両を直接海岸に降ろせる上陸用舟艇で、米軍のヒギンズボートより早い。1934年就役の陸軍特殊船「神州丸」は、大発を艦内に収めて艦尾から発進させ、航空機まで搭載できる船で、現代の揚陸艦の原型と言っていい。上海事変、そして1941年12月8日のマレー半島コタバル上陸は、真珠湾攻撃より1時間以上早く始まった、日本陸軍の水陸両用戦の集大成だった。
海軍側には特別陸戦隊があり、こちらも上陸戦の専門部隊として太平洋の島々に展開した。つまり「日本に海兵隊はなかった」というのは正しくない。陸軍は船舶部隊と上陸専用艦を持ち、海軍は陸戦隊を持っていた。持っていなかったのは、両者を統合する司令部だ。
戦後の断絶と、西普連からの再出発
戦後、この技術と教義は完全に断絶した。専守防衛のもとで「上陸して奪回する」部隊を持つこと自体が長く政治的に難しく、水際で敵の上陸を防ぐ側の発想しかなかった。それが変わったのが2000年代。西普連の発足、米海兵隊との訓練、AAV7の購入、そして2018年の団新編。80年近い空白を、16年かけて埋めた計算になる。
沖縄戦で島を守る側だった日本軍がどう戦い、どう住民を巻き込んだかは沖縄戦とはに書いた。水陸機動団は、あの戦いの裏返しの部隊だ。守る側から、取り返す側へ。
上陸作戦を理解するなら、規模は違えどノルマンディー上陸作戦の記事を先に読むと、偵察・火力誘導・水際処理という水陸機動団の各部隊がなぜ存在するのかが腑に落ちる。
アイアン・フィスト26:過去最大4,900人、実際の島で上陸訓練
米海兵隊との共同訓練「アイアン・フィスト」は、もともとカリフォルニアのキャンプ・ペンドルトンで西普連が海兵隊に教わる形で始まった。2023年から日本国内開催になり、相手は沖縄の第31海兵機動展開部隊(31MEU)になった。
2026年2月11日から3月9日のアイアン・フィスト26は、日米合わせて約4,900人の過去最大規模。陸自側の担任官は陸上総隊司令官。種子島、奄美大島、福江島、出砂島、伊江島といった実際の島を使い、演習場の外の砂浜や公園、自治体のグラウンドまで訓練場にする「生地訓練」が増えた。教わる側だった部隊が、いまは海兵隊と対等に島を分担して動いている。
一方で、実際の島を使う訓練は地元の負担も生む。奄美群島や沖縄では反対の声も根強い。私はこの部隊を支持しているが、訓練場の外で動く以上、地元との関係が部隊の運用能力を左右するという現実は書いておく。
水陸機動団に入るには:直接入隊はできない

出典:陸上自衛隊ホームページ
第1空挺団と同じで、水陸機動団に直接入る制度はない。まず陸上自衛官になり、部隊配属後に志願して、相浦の水陸機動教育隊で水陸両用基本訓練課程を修了する。着装泳(戦闘服と装備を着けたまま泳ぐ)、ボート操法、AAV7からの脱出訓練など、水に関する訓練が多い。泳げないと話にならないし、泳げても「装備を着けて夜の海で」となるとまったく別の技能だ。
相浦駐屯地には、不時着水したヘリコプターから脱出する訓練施設と、水路潜入用の訓練施設が整備されている。前者はいわゆるヘリダンカーで、座席ごと水中に沈められ、ひっくり返った状態で脱出する。AAV7の乗員も同じ発想の訓練を受ける。「海の上で装甲車が沈む」という事態を、訓練で先に経験しておく部隊だ。
教育隊の課程を終えても終わりではなく、連隊配属後にアイアン・フィストのような大規模訓練で米海兵隊と組み、年単位で練度を積む。第1空挺団が空挺徽章で「入口」を可視化しているのに対し、水陸機動団は課程修了後も段階的な資格が続く。泳ぎと舟艇とAAV7の三つを一人で全部こなす隊員はそう多くない。
入口の制度は自衛官になるには、体力面は自衛隊の体力検定にまとめてある。水陸機動団を狙うなら、走る・持ち上げるに加えて泳ぐ体を作っておくこと。
配属先は佐世保・大村・湯布院・玖珠と、すべて九州だ。九州の駐屯地の全体像は九州の自衛隊基地・駐屯地一覧で地図つきに整理してある。相浦駐屯地の記念行事ではAAV7の走行展示が見られる年もあるので、遠征するなら佐世保泊まりが便利だ。
投資家の目で見る水陸機動団
このブログの読者向けに少しだけ。水陸機動団は「装備の量」より「輸送手段」に金がかかる部隊だ。AAV7は米BAEシステムズ製で追加調達は終わっている。国内で関係が深いのは、輸送艦と国産水陸両用車の研究を担う三菱重工(7011)、そして海上輸送群のLSV・LCUを建造した内海造船(7018)あたり。オスプレイは米ベル・ボーイングで国内サプライヤーは限られる。
「水陸機動団テーマ」で銘柄を組むのは筋が悪いが、南西諸島防衛全体で見れば輸送艦・揚陸艦・輸送機の予算は右肩上がりで、造船と重工の受注に効く。防衛関連の造船重工株は造船重工株ランキングで整理した。
投資は自己責任で。本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではなく、私は投資助言業者でもない。
私の評価:海兵隊ではないが、海兵隊の仕事はできる
冒頭の問いに戻る。水陸機動団は海兵隊か。
軍種としては違う。船を持たず、固定翼機を持たず、独立した司令部も持たない。米海兵隊が持つ「自己完結性」はない。
しかし、やる仕事は海兵隊のそれだ。偵察隊が泳ぎ、施設が水際を開き、AAV7が海岸に上がり、オスプレイが内陸を押さえ、火力誘導が艦砲を呼ぶ。この一連の動きを日本で唯一できる部隊であり、3個連隊のローテーションで常時1個連隊を即応させられる。韓国海兵隊との比較は海上自衛隊 vs 韓国海軍の上陸能力の章で触れたが、規模では負けていても、統合運用の練度と装備の新しさでは見劣りしない。
弱点もはっきりしている。輸送艦が3隻しかないこと、AAV7が旧式であること、そして本土から南西諸島までの距離。この三つは部隊の努力ではどうにもならず、予算と政治で解決するしかない。沖縄側で受ける第15旅団の師団化と組み合わせて初めて、南西諸島防衛の絵は完成する。
よくある質問
水陸機動団はどこにある?
団本部は長崎県佐世保市の相浦駐屯地。第3水陸機動連隊は大村市の竹松駐屯地、特科大隊は大分県の湯布院駐屯地、戦闘上陸大隊の主力は佐世保の崎辺分屯地にある。
人数は?
2024年時点で約3,300人。2018年の発足時は1個連隊を欠いた約2,100人で、2024年3月の第3連隊新編で当初計画の3,000人規模を満たした。
「日本版海兵隊」と海兵隊の違いは?
米海兵隊は独立した軍種で艦艇・航空機との一体運用を持つ。水陸機動団は陸上自衛隊の一個団で、船は海自、ヘリは陸自航空科、オスプレイは佐賀の輸送航空隊に依存する。任務内容は海兵隊に近いが、組織としては陸軍の部隊だ。
AAV7は何両ある?
人員輸送型46両、指揮通信型6両、回収型6両の計58両。すべて水陸機動団に集中配備されている。
オスプレイはどこから飛ぶ?
2025年7月に開設した佐賀駐屯地。木更津に暫定配備されていた17機が8月までに移駐を完了した。
女性隊員はいる?
いる。配置制限は撤廃されており、水陸機動教育隊の課程を修了すれば配属される。
一般人が見学できる行事は?
相浦駐屯地や竹松駐屯地の創立記念行事で訓練展示が公開される。アイアン・フィストは訓練そのものの一般公開はないが、島の海岸での着上陸訓練が報道公開されることがある。
もっと深く知りたい人へ
水陸両用戦は、艦・上陸部隊・航空の三つを同時に見ないと理解できない。海自側の艦艇は『世界の艦船』の海上自衛隊特集号が一番早い。
旧軍の上陸作戦から現代までを通しで押さえたい人は、Audibleで戦史本を耳から入れる手もある。私は通勤時間をこれに充てている。
あわせて読みたい
出典
- 陸上自衛隊 水陸機動団 公式サイト(部隊章・装備・隷下部隊)
- 防衛省『平成27年版防衛白書』図表II-2-3-1(水陸機動団の編制計画)、『平成29年版防衛白書』解説「水陸機動団の新編」
- 防衛省「陸上自衛隊の水陸両用車の車種決定について」(2014年12月2日)
- 防衛省「輸送航空隊の新編について」(2020年3月18日)
- 佐賀市「佐賀駐屯地に配備されたV-22オスプレイの訓練(飛行)について」(2025年)
- 朝日新聞「『日本版海兵隊』水陸機動団に三つ目の連隊」(2024年3月21日)
- MAMOR-WEB「自衛隊の実戦部隊『水陸機動団』有事にそなえた特殊装備の数々を公開」(2023年)
- アームズマガジンウェブ「過去最大規模、4,900名が参加した日米共同訓練『アイアンフィスト』」(2026年)
- 水陸機動団 公式X(アイアン・フィスト26の戦闘搭載、2026年3月)
- ロイター「『日本版海兵隊』が始動、自衛隊初の上陸作戦部隊」(2018年)
- Wikipedia「水陸機動団」「第3水陸機動連隊」(年表・編成の整理に参照。一次資料で裏取りできない箇所は本文で目安と明記)
いつも読んでくれてありがとう。長文の燃料はだいたいこれだ。







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