在日米軍の基地は、青森の三沢から沖縄の嘉手納まで日本列島に点在している。ニュースでよく聞く「沖縄に7割が集中」という数字は、どこまでが本当で、何を数えた数字なのか。
この記事では、主な在日米軍基地を軍種別に一覧にし、それぞれにどんな部隊や機体がいるのかを2026年10月時点の情報で整理する。後半では、なぜ沖縄にこれほど基地が集まったのかを歴史からたどる。
最初に断っておくと、私は日米同盟は必要だと考えている側の人間で、F-35やF-15EXの配備の話は正直ワクワクしながら追っている。そのうえで、沖縄の負担の大きさから目をそらすつもりもない。両方を一緒に見られる一覧にしたつもりだ。
まず数字の整理|「7割」は何の7割か
在日米軍が使う基地(日米地位協定上の「施設・区域」)には2種類ある。
1つは「専用施設」。米軍が管理する基地で、自衛隊が共同使用する施設もある。もう1つは「一時使用施設」。自衛隊などが管理する基地や演習場を、米軍が期間を区切って使うものだ。
「沖縄に7割」は、このうち専用施設の面積の話になる。防衛省によると、国土面積の約0.6%しかない沖縄県に、全国の米軍専用施設の約70.3%が集中している。県内には31の専用施設があり、そのうち16施設は、県民の約8割が暮らす沖縄本島の中南部にある。
都道府県別に見ると、沖縄の次は青森(約9.0%)、神奈川(約5.6%)、東京(約5.0%)、山口(約3.3%)と続く。
ここで少し意外な数字を出しておく。一時使用施設まで含めた全体の面積で計算し直すと、沖縄の割合は約19%まで下がる。北海道や本州の自衛隊演習場など、米軍が共同で使う広い土地が本土に多いからだ。
ネットではこの数字を根拠に「7割はウソ」と言う人もいる。ただ、沖縄県が専用施設にこだわるのには理由がある。専用施設は米軍だけが管理し、運用に日本の法令が基本的に適用されず、立ち入りも米軍の判断しだいだからだ。「米軍の論理だけで動く土地」がどこにあるかで言えば、7割という数字はやはり実態を表している。どちらの数字を使うかで、見える景色がまるで変わるということだ。
在日米軍の基本データ
在日米軍の司令部は東京の横田基地にある。在日米軍司令官と第5空軍司令官の兼任は、2026年3月に解消された。
その在日米軍司令部は今、大きく変わりつつある。自衛隊が陸海空を一元的に指揮する統合作戦司令部をつくったのに合わせ、在日米軍司令部も、部隊の運用権限の一部を持つ「統合軍司令部」に格上げする作業が2025年から始まった。2025年春には東京・六本木の赤坂プレス・センターに自衛隊との連絡窓口となる部署が置かれ、同年8月には移行を支える要員の第一陣が横田に着いている。
兵力はおよそ5万人規模とされる。ただし、沖縄に何人の米兵がいるかは、2011年の数字(軍人約2万6千人)を最後に公表されていない。いちばん負担の大きい沖縄の兵力がわからない、というのは不思議な話だと思う。
在日米軍基地一覧【軍種別】
主な基地を軍種別にまとめた。小さな通信所や倉庫、住宅地区などは省いている。
空軍

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| 基地 | 所在地 | 主な部隊・機体 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 嘉手納基地 | 沖縄県嘉手納町など | 第18航空団。戦闘機はローテーション配備(F-22、F-35Aなど)。KC-135空中給油機など | 約3,700mの滑走路を2本持つ、太平洋最大級の米空軍基地 |
| 三沢基地 | 青森県三沢市 | 第35戦闘航空団。2026年3月からF-35Aの常駐配備が始まった | 空自と共用。敵の防空網を叩く「ワイルド・ウィーゼル」が伝統の任務 |
| 横田基地 | 東京都福生市など | 在日米軍司令部、第5空軍司令部、第374空輸航空団(C-130J)、CV-22オスプレイ | 首都圏西部の「横田空域」を管制する |
嘉手納は、長年の主力だったF-15C/Dが2025年3月までにすべて基地を去り、それ以降は本国などから6か月ほどの交代で戦闘機が来ている。後継のF-15EX36機は2026年春に来る予定だったが、ボーイング工場のストライキの影響で遅れ、最初の機体の常駐は2027会計年度(2026年10月〜)にずれこんでいる。
三沢は逆に、F-16が韓国に移り、代わりにF-35Aが入ってきた。最終的には48機になる計画で、米空軍がF-35Aを常駐させる海外基地はイギリスに続いて2か所目になる。航空自衛隊のF-35Aも三沢にいるので、日米のF-35が同じ滑走路を使う珍しい基地になりつつある。
海兵隊
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| 基地 | 所在地 | 主な部隊・機体 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 普天間飛行場 | 沖縄県宜野湾市 | MV-22オスプレイなどのヘリ・ティルトローター部隊 | 市街地の真ん中にある。辺野古移設の対象 |
| キャンプ・コートニー | 沖縄県うるま市 | 第3海兵遠征軍(III MEF)司令部 | 在沖海兵隊の頭脳 |
| キャンプ・シュワブ | 沖縄県名護市など | 第4海兵連隊 | 隣接する辺野古沖で新基地の埋め立てが進む |
| キャンプ・ハンセン | 沖縄県金武町など | 第12海兵沿岸連隊 | 離島に分散して戦う新編部隊の拠点 |
| キャンプ瑞慶覧(フォスター) | 沖縄県北中城村など | 在沖海兵隊の基地管理部門 | 一部が返還され公園などに |
| キャンプ・キンザー(牧港補給地区) | 沖縄県浦添市 | 補給・兵站部隊 | 段階的な全面返還が決まっている |
| 北部訓練場 | 沖縄県国頭村・東村 | ジャングル戦闘訓練センター | 2016年に約半分が返還された |
| 岩国基地 | 山口県岩国市 | 第12海兵航空群(F-35B)、海軍の第5空母航空団 | 海兵隊と海軍の空母艦載機が同居する |
| キャンプ富士 | 静岡県御殿場市 | 訓練支援 | 東富士演習場で実弾射撃訓練 |
普天間のオスプレイについては「V-22オスプレイとは」で詳しく書いた。岩国は2018年に厚木から海軍の空母艦載機部隊が移ってきて、極東有数の航空基地になった。電子戦機のEA-18Gもここにいる(「EA-18Gグラウラーとは」参照)。
海軍

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| 基地 | 所在地 | 主な部隊・艦艇 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 横須賀基地 | 神奈川県横須賀市 | 第7艦隊司令部、空母ジョージ・ワシントン、指揮艦ブルー・リッジ、イージス艦部隊 | 米本土以外で唯一、空母が母港を置く |
| 佐世保基地 | 長崎県佐世保市 | 強襲揚陸艦トリポリなど揚陸艦部隊 | 沖縄の第31海兵遠征部隊を運ぶ船の母港 |
| 厚木基地 | 神奈川県綾瀬市など | ヘリコプター部隊など | 海自と共用。艦載機は岩国へ移った |
| ホワイト・ビーチ | 沖縄県うるま市 | 揚陸艦や潜水艦の寄港地 | 隣に海自の沖縄基地隊がある |
横須賀の空母ジョージ・ワシントンは、2015年に一度日本を離れ、2024年11月に横須賀へ戻ってきた。佐世保では2025年6月、強襲揚陸艦がアメリカから同型のトリポリに交代している。
陸軍
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| 基地 | 所在地 | 主な部隊 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| キャンプ座間 | 神奈川県座間市など | 在日米陸軍司令部、第1軍団(前方) | 陸自の陸上総隊の日米共同部も置かれる |
| 相模総合補給廠 | 神奈川県相模原市 | 補給・整備 | 駅前の一部は返還済み |
| トリイ通信施設 | 沖縄県読谷村 | 第1特殊部隊群第1大隊(グリーンベレー) | アジア担当の特殊部隊がいる |
| 車力通信所・経ヶ岬通信所 | 青森県つがる市/京都府京丹後市 | ミサイル防衛用レーダー(TPY-2) | 北朝鮮の弾道ミサイル監視の目 |
トリイの部隊については「グリーンベレーとは」で詳しく紹介している。陸軍は兵力こそ少ないが、補給と特殊作戦、ミサイル防衛という地味で重要な役割を担っている。
ちなみに、自衛隊の基地については「海上自衛隊の基地一覧」と「航空自衛隊の基地一覧」にまとめてある。三沢や岩国、厚木のように日米で共用している基地も多い。
帝国ファン向け|在日米軍基地の「前の名前」
旧日本軍の歴史が好きな人間として、どうしても書いておきたいことがある。本土の在日米軍基地の多くは、もともと旧日本陸海軍の施設だった。米軍は1945年の進駐で、それをそのまま引き継いだのだ。
表は横にスクロールして読めます。
| 現在の米軍基地 | 旧軍時代の姿 |
|---|---|
| 横須賀基地 | 横須賀鎮守府・横須賀海軍工廠。戦艦や空母を生んだ帝国海軍の中枢 |
| 佐世保基地 | 佐世保鎮守府 |
| 厚木基地 | 海軍の厚木飛行場。1945年8月、マッカーサーがコーンパイプをくわえて降り立った場所 |
| 横田基地 | 陸軍の多摩飛行場。新型機のテストに使われた |
| キャンプ座間 | 陸軍士官学校(相武台) |
| 岩国基地 | 海軍の岩国航空隊 |
| 三沢基地 | 海軍の三沢飛行場 |
| 赤坂プレス・センター | 陸軍歩兵第三連隊の駐屯地 |
| 嘉手納基地 | 陸軍が1944年に造った中飛行場。沖縄戦で米軍が占領し拡張した |
沖縄の嘉手納が旧軍の飛行場だったように、沖縄戦の激戦の中で米軍が奪い、そのまま基地にした土地もある。一方、普天間飛行場は、沖縄戦のさなかに米軍がゼロから造った飛行場だ。
帝国海軍の鎮守府に今は米海軍の空母がいて、陸軍士官学校に今は米陸軍の司令部がある。好きで歴史を追っていると、この連続性にはなんとも言えない気持ちになる。
なぜ沖縄に7割が集中したのか
意外かもしれないが、沖縄の割合は最初から7割だったわけではない。1972年に沖縄が本土に復帰した時点では、米軍専用施設のうち沖縄の割合は約58.7%だった。そこから本土の基地の整理縮小が沖縄より速く進んだ結果、今の70.3%になっている。
理由1|27年間の米軍統治
沖縄戦のあと、沖縄は1972年まで米国の統治下に置かれた。米軍は戦後、住民を収容所に集めている間に土地を囲い込み、1950年代には「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる強制的な土地の接収で基地を広げた。日本の主権が及ばない場所だったからこそ、本土ではできないやり方がとれたわけだ。
理由2|本土の反基地運動と、海兵隊の移駐
1950年代、本土では基地反対運動が激しくなった。その中で、岐阜県や山梨県にいた海兵隊の第3海兵師団が、米国統治下の沖縄に移ってきた。普天間を拠点とする海兵隊の航空部隊も、1976年に岩国から沖縄へ移ったとされる。
本土で反発が強まるたびに、反対の声が政治に届きにくい沖縄へ基地が流れていった。この構図は、沖縄の基地問題を考えるうえで外せない。
理由3|地理
沖縄は朝鮮半島、台湾、南シナ海のいずれにも近い。米軍は沖縄を「太平洋の要石」と呼んできた。嘉手納から台湾までは約640キロで、嘉手納から戦闘機を飛ばせば短時間で台湾周辺に届く。
ただ、この地理的な理由には異論もある。海兵隊の主力の多くは船や輸送機で運ばれる部隊で、沖縄でなければならない理由は薄いという指摘だ。逆に、近すぎることが弱点にもなる。中国のミサイルの射程に入っているため、米軍自身も基地の分散や強化を急いでいる。
理由4|「返還」がほぼ県内移設とセットだった
本土の基地が整理縮小されたのに比べ、沖縄の基地返還は進みが遅い。返還計画の多くが「県内の別の場所に機能を移すこと」を条件にしているからだ。その代表が普天間飛行場の辺野古移設になる。
2026年の焦点|普天間とグアム移転
最後に、これから在日米軍の配置がどう動くかを2つ押さえておく。
普天間は本当に返ってくるのか
1996年の返還合意から30年がたったが、普天間はまだ返っていない。移設先の辺野古では埋め立てが続いているが、防衛省の試算で事業費は約9,300億円にふくらんでいる。
さらに2026年2月、米国防総省の公式文書が問題になった。辺野古の滑走路は約1,800メートルで、普天間の約2,740メートルより短い。そのため、日本政府が別の長い滑走路を選ばない限り普天間は返還されない、という見解が示されていたのだ。小泉防衛相は、日米の認識に食い違いはないと説明している。2013年の日米の返還計画には、緊急時に民間の長い滑走路を使えるようにすることが返還条件の一つとして書かれており、その「民間の空港」がどこを指すのかが今後の焦点になる。
グアム移転は進んでいない

日米は、在沖海兵隊のうち約9,000人を沖縄の外に移し、そのうち4,000人以上をグアムに移すことで合意している。移転後も沖縄には約1万人の海兵隊が残る計画だ。
2024年12月、先遣隊として後方支援の要員約100人の移転が始まった。ただ、2025年末の時点で追加の移転は確認されていないと報じられている。日本側はグアムの基地整備に多額の資金を出してきたが、移転の時期は米側の判断しだいという状態が続いている。
米軍基地を見に行くなら|一般開放イベント

基地の多くは、年に一度ほど一般開放のイベントを開いている。三沢の航空祭、横田の日米友好祭、岩国のフレンドシップデー、嘉手納のアメリカフェストなどが有名で、普段は見られない戦闘機や輸送機を間近で見られる。屋台でアメリカンなフードを食べられるのも楽しみのひとつだ。
日程は年ごとに変わり、警備上の理由で中止や縮小になることもあるので、各基地の公式発表を必ず確認してほしい。三沢や岩国は遠征組も多く、近くの宿は早く埋まる。
三沢でF-35Aを見て帰ってくると、どうしても作りたくなるのがプラモデルだ。空自と米空軍のどちらの塗装にするか迷うのも楽しい。
岩国派なら、海軍の空母航空団のスーパーホーネットもいい。
よくある疑問
在日米軍基地はいくつある?
専用施設は全国で76施設(2026年1月1日時点)、自衛隊などとの一時使用施設を含めると130施設になる。沖縄県内の専用施設は31施設だ。
「沖縄に7割」はウソなの?
ウソではない。米軍だけが管理する専用施設の面積で数えると約70.3%になる。一時使用施設を含めた全体で数えると約19%になるが、沖縄県は、日本の法令が基本的に適用されない専用施設の偏りこそが問題だとしている。
在日米軍の基地と日米地位協定の関係は?
在日米軍の基地の使い方や、日本の法令がどこまで適用されるかは、日米地位協定で決まっている。詳しくは「日米地位協定は何が「不平等」と言われるのか」で解説している。
まとめ
在日米軍の基地は、横田の司令部、横須賀の空母、三沢と嘉手納の戦闘機、岩国の艦載機、そして沖縄の海兵隊というように、それぞれ役割を分けて日本列島に配置されている。2026年は、三沢へのF-35A配備、統合軍司令部への格上げ、嘉手納のF-15EXの遅れと、その配置が大きく動いている年でもある。
一方で、米軍専用施設の7割が沖縄にあるという偏りは、復帰から50年以上たってもほとんど変わっていない。その背景には、米軍統治の歴史、本土からの移駐、そして県内移設を前提にした返還計画がある。
同盟を支える基地の重要性と、その負担がどこに偏っているか。両方を知ったうえで議論したい。
参考資料
- 防衛省「沖縄の基地負担軽減について」「グアム移転の開始について」
- 沖縄県「沖縄の米軍基地」「沖縄から伝えたい。米軍基地の話。Q&A Book」
- 東京都「東京の米軍基地 2026」
- Air & Space Forces Magazine、Stars and Stripes、USNI News の各報道
- 琉球新報、時事通信の各報道
一次資料・公式発表
- 防衛省:在日米軍施設・区域の一覧と面積
- 防衛省:令和8年版防衛白書(日米共同使用)
- 在日米軍:在日米軍と第5空軍の指揮官分離
- 第35戦闘航空団:三沢へのF-35A到着
- 嘉手納基地:嘉手納向けF-15EXの移行状況
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