航空自衛隊の基地一覧|全国の主要基地と配備機種を地図で解説【2026】

航空自衛隊の基地は、分屯基地を含めて全国に73か所、本基地だけでも25か所が展開している。北は千歳から南は那覇まで、4つの方面隊(北空・中空・西空・南西)が日本の空を分担して守る構造だ。

本記事では主要基地の所在地、所属航空団、配備機種、役割をエリア別の一覧で整理する。

「自衛隊の基地って全国にいくつあるのか」「F-35はどこに配備されているのか」「自分の地元の基地は何をしているのか」――そんな疑問にこの記事一本で答える。基地ごとに見れば、日本の防空体制が地理にどう刻まれているかが立体的に見えてくる。2026年時点の配備状況をもとに、北から南まで主要基地をくまなく紹介していこう。


目次

航空自衛隊の基地構造|まず押さえる「4つの方面隊」

基地一覧に入る前に、全体の指揮系統を押さえておくと理解が早い。航空自衛隊は日本列島を4つのエリアに分け、それぞれを「航空方面隊」が担当する。司令部の所在地と担当エリアは以下のとおりだ。

方面隊司令部担当エリア
北部航空方面隊三沢基地(青森)北海道・東北・新潟以北
中部航空方面隊入間基地(埼玉)関東・中部・近畿・中国地方東部
西部航空方面隊春日基地(福岡)中国地方西部・四国・九州
南西航空方面隊那覇基地(沖縄)沖縄・南西諸島

この記事のポイント

  • 航空自衛隊の基地は分屯基地を含め全国73か所、本基地は25か所
  • 戦闘機を運用する「戦闘航空団」は全国6個(千歳・三沢・小松・百里・新田原・築城・那覇)
  • 南西方面はスクランブル回数が突出。基地の役割は地理と脅威の方向で決まる

各方面隊の下に「航空団」が置かれ、その下に「飛行隊」が編成される。戦闘機を運用する航空団は「戦闘航空団」と呼ばれ、千歳・三沢・百里・小松・新田原・築城・那覇に置かれている。1個航空団は2つの飛行隊で構成されるのが基本だ。

日本に配備されているF-35やF-15Jといった機体については日本の戦闘機一覧で詳しく解説しているので、本記事では「どこに置かれ、何をしているか」に絞って見ていく。


北空エリア|北の守りを担う基地

三沢基地に配備されたF-35A

北部航空方面隊の担当は、北海道から新潟以北まで。北方への睨みと、増加するロシア機への対応が主任務になる。

千歳基地(北海道)|北の最前線、第2航空団のホーム

新千歳空港に隣接する千歳基地は、北海道全域の防空を担う重要拠点だ。第2航空団が司令部を置き、第201飛行隊と第203飛行隊がF-15J/DJを運用している。さらに政府専用機を運用する特別航空輸送隊もここに常駐しており、皇族や首相の海外渡航で活躍する政府専用機を見られる基地としても知られる。

そして注目すべきは、防衛省がF-15を置き換える5個目のF-35A飛行隊を千歳に配備すると決定したこと。第6世代の入口に立つ第5世代ステルス機が、北の空にも本格展開する流れにある。

三沢基地(青森県)|日米共同使用、F-35Aの聖地

三沢基地は、航空自衛隊唯一の日米共同使用の航空基地だ。北部航空方面隊司令部が置かれ、自衛隊だけでなく米空軍も常駐するユニークな運用形態を取っている。

航空自衛隊側では第3航空団が司令部を構え、第301飛行隊と第302飛行隊がF-35Aを、第3飛行隊がF-2を運用。日本にF-35Aが導入されたとき、最初に配備されたのがこの三沢だ。米軍側はF-16戦闘機などを置き、北東アジアの最前線として日米が並んで日々訓練を重ねている。

日本のF-35Aの詳細はF-35A/B完全解説で深掘りしている。

松島基地(宮城県)|ブルーインパルスの故郷

松島基地は、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の本拠地として広く知られる。第4航空団が置かれ、戦闘機パイロットの教育(T-4練習機)を担う。2011年の東日本大震災では基地が津波で壊滅的被害を受けたが、復旧して訓練と展示飛行を続けている。航空祭ではブルーインパルスの編隊飛行を間近で見られ、毎年多くのファンが詰めかける。


中空エリア|首都圏と日本の中枢を守る基地

中部航空方面隊は、関東・中部・近畿・中国地方東部までの広大な範囲をカバーする。首都圏を抱えるだけに、要となる司令機能や輸送機能が集積している。

入間基地(埼玉県)|首都防衛と航空輸送のハブ

入間基地は中部航空方面隊司令部が置かれる、空自最大級の規模を誇る基地だ。戦闘機こそ常駐しないものの、C-2やC-1といった輸送機を運用する第2輸送航空隊が拠点を構え、自衛隊の物資輸送や災害派遣の中核を担っている。首都圏に位置するため、年に一度の入間航空祭は20万人を超える観客が訪れる空自最大級のイベントだ。

百里基地(茨城県)|関東の空を守る第7航空団

百里基地は関東地方唯一の戦闘機基地で、第7航空団が司令部を置く。長らくF-4ファントムの最後の運用基地としても知られたが、現在はF-2が中心だ。首都圏に最も近い戦闘機基地として、関東に接近する不審機への緊急発進を一手に引き受けている。民間との共用空港「茨城空港」でもあり、観光客の目の前を戦闘機が離陸していく独特の光景を見られる。

小松基地(石川県)|日本海側の要衝

小松基地は、第6航空団が司令部を構える日本海側で唯一の戦闘機基地だ。第303飛行隊と第306飛行隊がF-15Jを運用してきたが、現在は第303飛行隊がF-35Aへの機種転換を進めている。日本海側で最大規模の航空イベント「小松基地航空祭」も人気で、ブルーインパルスが訪れることもある。

浜松基地(静岡県)|パイロット教育の総本山

浜松基地は、第1航空団を擁する「教育の聖地」だ。航空自衛隊のパイロットを目指す若者が、ここでT-4練習機を駆って戦闘機パイロットへの道を歩み始める。早期警戒機E-767を運用する警戒航空団第602飛行隊も置かれており、日本の空のレーダー網を支えている。

パイロットを志す人がどんな道を歩むかは航空自衛隊パイロットになる3ルート完全ガイドで詳しく解説している。

岐阜基地(岐阜県)|飛行開発実験団の最先端

岐阜基地は、新型機の試験を担う「飛行開発実験団」が置かれる、空自の中でも独特な性格を持つ基地だ。日本に導入される新型機はまず岐阜で各種試験を受け、運用部隊へと送り出される。

F-2の試作機もここで初飛行したほか、近隣には三菱重工の工場があり、まさに日本の航空産業と空自が交差する場所と言える。


西空エリア|九州と西日本の防空拠点

西部航空方面隊は、中国地方西部から九州までを担当する。大陸に近い地理的特性から、対外的な緊張感が高まりやすいエリアでもある。

築城基地(福岡県)|九州を睨むF-2の本拠

築城基地は、第8航空団が司令部を置く九州北部の戦闘機基地だ。第6飛行隊と第8飛行隊が、いずれもF-2を運用している。かつてF-15運用部隊が置かれていたが、那覇への第304飛行隊移駐などを経て、現在は2個F-2飛行隊体制。朝鮮半島と中国大陸の両方を視野に入れる、九州防空の中核を担う。

新田原基地(宮崎県)|F-35Bが舞い降りる空母航空戦力の入口

新田原基地は宮崎県にあり、第5航空団が拠点を置く。長らくF-15を運用してきたが、2025年からF-35Bの配備が始まった。F-35BはSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)能力を持つ機体で、海上自衛隊のいずも型護衛艦を改修した艦上での運用も視野に入る。新田原はその第一歩を踏み出す象徴的な基地となった。

春日基地(福岡県)|西空の司令塔

春日基地は西部航空方面隊司令部を置く、西日本の防空指揮中枢だ。戦闘機は常駐していないが、レーダー情報を集約して要撃機を誘導する西部航空警戒管制団が置かれている。九州の空に異常があれば、まずこの春日が動く構造になっている。


南西空エリア|日本で最も忙しい空、那覇

南西航空方面隊は沖縄と南西諸島を担当する。スクランブル回数の約6割を一手に引き受ける、日本でいま最も緊張感の高いエリアだ。

那覇基地(沖縄県)|スクランブル件数全国一位

那覇基地は、第9航空団が司令部を置く南西航空方面隊の中核だ。第204飛行隊と第304飛行隊が、いずれもF-15Jを運用している。

その任務の過酷さは数字に表れる。2024年度、航空自衛隊全体のスクランブル回数704回のうち、那覇に司令部を置く南西航空方面隊は411回――全国の約6割を占めた。中国機への対応がその大半で、対象国別では中国機464回、ロシア機237回が記録されている。日々、領空に接近する不審機に対して那覇のF-15Jパイロットがコックピットへ駆け込む――それが2026年の日本の防空の最前線だ。F-15Jがどんな機体で、どう近代化されているかはF-15J近代化改修の詳細解説で扱っている。

宮古島分屯基地(沖縄県)|南西の最前線

那覇から先島諸島側に進出した宮古島分屯基地には、レーダー警戒部隊や地対空ミサイル部隊が展開する。南西防空のさらに前線に位置し、近年の南西シフトの象徴的な拠点として注目される。


関東に集まる「特別な基地」|横田と市ヶ谷

純粋な戦闘機基地ではないが、空自を理解するうえで欠かせない関東の基地も紹介しておく。

横田基地(東京都)|在日米軍と空自の航空総隊が同居

横田基地は、在日米軍司令部が置かれる象徴的な基地だが、ここには航空自衛隊の最高指揮機関「航空総隊司令部」も共同で置かれている。日米共同の指揮中枢として、日本の空の作戦を統括する場所だ。米空軍の輸送機C-130やC-17も常駐し、日本に駐留する米軍の航空輸送のハブにもなっている。

市ヶ谷|防衛省の中枢、航空幕僚監部

東京の市ヶ谷には防衛省本省があり、航空自衛隊の組織運営を取り仕切る「航空幕僚監部」が置かれている。基地というより本部だが、すべての方面隊や航空団は最終的にここを頂点とする指揮系統に連なる。


主要戦闘航空団 早見表

ここまで紹介した「戦闘機を運用する航空団」を、表で改めて整理しておく。

航空団基地方面隊主な配備機
第2航空団千歳北空F-15J(F-35A配備予定)
第3航空団三沢北空F-35A、F-2
第5航空団新田原西空F-35B(配備開始)
第6航空団小松中空F-15J、F-35A(移行中)
第7航空団百里中空F-2
第8航空団築城西空F-2
第9航空団那覇南西F-15J

第5世代機F-35の配備が、北(千歳・三沢)と南(新田原)に集中している点に注目してほしい。最も脅威が現実的な方向、つまりロシア方面と南西方面に最新鋭機を厚く配置する――地図と機種を重ねれば、日本の防空構想がそのまま読み取れる。なお、F-2を退役後に置き換える次世代機についてはGCAP(次期戦闘機)完全ガイドで詳しく解説している。


「自分もこの基地で働きたい」――空自の道を選ぶには

基地を一覧で眺めていると、「ここで働く人たちは、どうやってその道に進んだのか」が気になってくる人もいるはずだ。航空自衛隊への入り口は一つではない。高校卒業後すぐにパイロットを目指す「航空学生」、大卒で幹部候補生となる「一般幹部候補生」、整備や基地業務を支える「自衛官候補生」――目的別に複数のルートが用意されている。

パイロットを目指したいなら、倍率・年収・試験内容まで含めて整理した航空自衛隊パイロットになる3ルート完全ガイドを読んでみてほしい。自衛官全体の給与水準が知りたい人は自衛隊の年収・給料ガイドもあわせてどうぞ。


基地周辺の魅力を「本」と「映像」で堪能する

各地の航空祭はもちろん見応え十分だが、自宅でじっくり空自を学ぶなら本と映像が欠かせない。日本の防空体制を地政学・歴史の両面から押さえておくと、ニュースの見方が一段深くなる。

通勤や移動の合間に耳から学びたい人には、軍事・防衛関連の良書を音声で聴けるオーディオブックも便利だ。手が空かないときでも、知識を蓄積できる。

そして、基地で活躍する機体を手元に置きたくなったら、プラモデルが最も身近な入り口になる。三沢のF-35A、那覇のF-15J、築城のF-2――並べれば、それぞれの基地の役割がそのまま机の上に再現される。


航空自衛隊の基地に関するよくある質問

Q. 航空自衛隊の基地はいくつありますか? 分屯基地を含めて全国に約73か所、本基地だけだと25か所あります。戦闘機を運用する「戦闘航空団」が置かれている基地は全国に7か所です。

Q. F-35はどの基地に配備されていますか? F-35Aは青森県の三沢基地(第3航空団)と石川県の小松基地(第6航空団、配備進行中)に、F-35Bは宮崎県の新田原基地(第5航空団)に配備されています。さらに北海道の千歳基地にもF-35Aの配備が決定しています。

Q. 一番スクランブル回数が多い基地はどこですか? 沖縄県の那覇基地(第9航空団)です。南西航空方面隊の2024年度のスクランブル回数は411回で、全国の約6割を占めています。

Q. ブルーインパルスはどこの基地にいますか? 宮城県の松島基地(第4航空団)に所属しています。航空祭などのイベントで全国各地に展示飛行に出向きます。

Q. 基地見学や航空祭に行けますか? 多くの基地が年に1回「航空祭」を一般開放しています。入間航空祭や小松基地航空祭、那覇基地エアフェスタなどが特に有名で、戦闘機の機動展示やブルーインパルスの飛行を間近で見られます。

Q. 自分の地元の基地で働くことはできますか? 航空自衛隊員の配属先は本人の希望が必ずしも通るとは限りませんが、出身地近くの基地で勤務する人も多くいます。採用ルートや勤務地の希望については、最寄りの自衛隊地方協力本部に相談すると詳しい情報が得られます。


まとめ|基地の地図は日本の防空構想そのもの

航空自衛隊の基地は、北の千歳から南の那覇まで、日本列島の地理に合わせて緻密に配置されている。北はロシア方面の睨み、南は中国の活動が活発化する南西諸島の最前線。中部の入間や横田が指揮と輸送の中枢を支え、浜松や岐阜が次世代を育てる――そのどれが欠けても、日本の空は守れない。

F-35Aが三沢から千歳へ、F-35Bが新田原から海上自衛隊のいずも型へ。基地の機種転換は、日本の防衛戦略そのものの転換を映し出している。次は、各基地で日々スクランブルに上がる機体そのものに目を向けてみてほしい。日本の戦闘機一覧で現役機4機種を、世界最強戦闘機ランキングTOP10で世界の頂点との比較を、それぞれ確認できる。基地から機体へ、機体から世界へ――空の戦力を旅していこう。


参考:防衛省 航空自衛隊 基地エリア一覧、統合幕僚監部「令和6年度緊急発進実施状況」ほか防衛省公表資料

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