F-22とF-35はどっちが強いのか。結論から言えば、空対空戦闘だけを切り出すならF-22に分がある。だが、敵の地対空ミサイルを潰し、地上目標を攻撃し、味方へ情報を渡しながら航空作戦全体を前へ進める戦いでは、F-35の方が担当できる仕事は広い。私は「制空戦闘機としての強さ」ならF-22、「現代の実戦で一機種を使い倒す強さ」ならF-35と評価する。
その差がよく見えたのが、2025年6月22日のOperation Midnight Hammerだった。米空軍のF-35A部隊はイラン領空へ先行して進入し、地対空ミサイル陣地を攻撃しながらB-2爆撃機を護衛した。F-22もステルス戦力の一部として作戦パッケージに加わっている。さらに2026年のOperation Epic Furyでも、CENTCOMが公表した投入戦力にはF-22とF-35の両方が並んだ。実戦が問うのは「一対一の勝者」より、「どの機体に何をさせるか」だ。両者はそこで使い分けられている。
- 空対空戦闘に限れば、速度・スーパークルーズ・機動性でF-22が有利
- 対地攻撃、SEAD、センサー融合、味方への情報共有はF-35が幅広い
- 両機の直接対決データや正確なRCS・探知距離は非公表
- 実戦では一対一の勝者より、打撃パッケージ内での任務分担が重要
なお、F-22とF-35が実戦で直接戦ったことはない。レーダー探知距離、電子戦能力、正面以外を含むレーダー反射断面積など、勝敗を左右する数値の多くも非公表だ。したがって「F-22なら必ず勝つ」といった断定を避け、公開性能、設計目的、実際の作戦実績から比較するのが妥当だ。
| 比較軸 | F-22 Raptor | F-35A Lightning II | 判定 |
|---|---|---|---|
| 設計の中心 | 制空・航空優勢 | マルチロール | 任務次第 |
| 最高速度 | Mach 2級 | Mach 1.6 | F-22 |
| スーパークルーズ | Mach 1.5超で可能 | 設計上の主眼から外れる | F-22 |
| 機動性 | 推力偏向、高推力重量比 | 9G級の高機動 | F-22 |
| センサー融合 | 高度な統合アビオニクス | DAS、EOTS、レーダー、データリンクを統合 | F-35 |
| 味方との情報共有 | 高度な能力を持ち近代化継続中 | 空・地上・海上とのデータ共有を前提に設計 | F-35 |
| 空対空兵装 | 公表標準でAIM-120×6、AIM-9×2を機内搭載 | 任務に応じ機内・機外兵装を選択 | F-22が空戦特化 |
| 対地・SEAD | 精密対地攻撃能力あり | 中核任務の一つ。実戦で防空制圧を実施 | F-35 |
| 実戦での役割幅 | 制空、抑止、精密攻撃、護衛など | 制空、攻撃、SEAD、情報収集・共有など | F-35 |
| 総合判定 | 空対空のスペシャリスト | 統合作戦のマルチプレイヤー | 「何を強さと呼ぶか」で変わる |
世界の主要機を広く比べたい場合は、[世界最強戦闘機ランキング](/fighter-jet-ranking/)も参考になる。

F-22は「空対空で勝つ」ために性能の余裕を使った
- F-22がF-35より先に登場したからといって、登場順と空戦能力の新旧は一致しない
- 米空軍はF-22を、遠距離へ迅速に展開して航空優勢を確保するための機体として位置づけている
- ステルス、スーパークルーズ、機動性、統合アビオニクスを一つにまとめ、「敵に発見される前に追跡・識別・射撃する」ことが設計の中心だ
- 公表値でも性格はかなり明確である
F-22がF-35より先に登場したからといって、登場順と空戦能力の新旧は一致しない。米空軍はF-22を、遠距離へ迅速に展開して航空優勢を確保するための機体として位置づけている。ステルス、スーパークルーズ、機動性、統合アビオニクスを一つにまとめ、「敵に発見される前に追跡・識別・射撃する」ことが設計の中心だ。
公表値でも性格はかなり明確である。最高速度はMach 2級。アフターバーナーを使わずMach 1.5を超えて巡航でき、推力偏向と高い推力重量比を持つ。空対空時の標準的な機内兵装として、AIM-120 AMRAAMを6発、AIM-9 Sidewinderを2発、さらに20mm機関砲を備える。
この「速いまま戦場へ入り、速いまま撃てる」性質は、単なる最高速度自慢で終わらない。一般に空対空ミサイルは、発射時の母機が高く速いほど運動エネルギーを得やすい。F-22がスーパークルーズを重視した理由の一つは、敵へ近づく時間、ミサイルを放つ条件、撃った後に距離を取り直す余裕を作るためだと考えられる。
近距離戦でも、推力偏向によって機首方向を大きく変えられるF-22は強力だ。もっとも、現代のドッグファイトは旋回半径だけで決まらない。短距離赤外線ミサイル、ヘルメット照準、僚機位置、残燃料まで含めて勝敗が変わるため、派手な機動だけでは結論が出ない。
F-22は「敵戦闘機を倒すための余白」に速度、推力、機動性、空対空兵装を振った機体だ。この配分こそ、後発のF-35と最も違う。
F-22の機体構成は[F-22ラプター完全ガイド](/f-22-raptor-guide/)、主力の中距離弾は[AIM-120 AMRAAM解説](/aim120-amraam-air-to-air-missile-guide/)でさらに深掘りしている。
F-35の強さは「見える量」より、見た情報を使える形にすること
- F-35Aの最高速度はMach 1.6で、F-22ほど速くない
- この数字だけを並べると、F-35はF-22を少し鈍くした廉価版のように見える
- 米空軍のF-35A資料は、F-35をステルス、センサー融合、状況認識能力を組み合わせた9G級マルチロール戦闘機と説明している
- DASは機体周囲のミサイルや航空機を警戒し、EOTSは空中・地上目標の探知と精密照準を担う
F-35Aの最高速度はMach 1.6で、F-22ほど速くない。推力偏向も持たない。この数字だけを並べると、F-35はF-22を少し鈍くした廉価版のように見える。
実際は設計思想が違う。米空軍のF-35A資料は、F-35をステルス、センサー融合、状況認識能力を組み合わせた9G級マルチロール戦闘機と説明している。DASは機体周囲のミサイルや航空機を警戒し、EOTSは空中・地上目標の探知と精密照準を担う。そこで得た情報を機内で融合し、戦術データリンクを通じて僚機だけでなく、空中・地上・海上のプラットフォームとも共有する。
重要なのはレーダー画面の点の多さより、その意味だ。パイロットが「どの反応が敵で、どれが味方で、何を先に処理すべきか」を短時間で判断できる形にまとめる。
F-22も統合アビオニクスとセンサー融合を備える。F-35の特徴は、多数国が同一系列の機体を運用し、他の航空・地上・海上戦力とつながることを最初から強く意識した点にある。2026年8月時点でメーカー公表の累計納入数は1,345機を超え、採用国は米国を含め20か国規模に広がった。
一機の性能だけでなく、同じ戦術データを扱える機体が各地に増えること自体が戦力になる。F-35の強さは「一機が何Gで曲がれるか」より、戦場に何を見つけ、その情報を誰の武器につなげられるかに現れやすい。
日本の導入と運用は[航空自衛隊F-35A/Bガイド](/jasdf-f35a-b-guide/)、世界での広がりは[F-35運用国ランキング](/f35-operator-count-ranking-2026/)に整理している。
BVRでもドッグファイトでもF-22が有利か|「一対一」の条件そのものが難しい
「同じ腕のパイロットがF-22とF-35に乗り、一対一で空戦したらどうなるか」という問いなら、私はF-22を本命にする。
条件設定に無理がある。BVR、つまり目視外射程戦では、F-22の速度とスーパークルーズが大きな武器になる。低被探知性を保ったまま高速で位置を変え、AIM-120を機内に6発搭載できる。近距離まで詰まっても、推力偏向と高い運動性能が残る。空対空の条件を積み上げるほど、F-22の設計目的と噛み合っていく。
しかし、この比較には大きな落とし穴がある。現代の大規模空戦で、二機だけが真っ白な空域へ入り「開始」の合図とともに戦う状況はほぼ想定されない。
実戦では早期警戒管制機、電子戦機、地上レーダー、僚機、給油機、艦艇などが同時に動く。敵を見つける機体と、実際にミサイルを撃つ機体が別になることもある。さらに戦闘機は、空対空ミサイルの射程内へ入る前から、電波を出すか、迂回するか、別のセンサー情報を信じるかを判断している。
だから「F-22のレーダーが何km、F-35が何kmだから先に撃てる」という比較は危険だ。具体的な探知距離は条件次第で変わり、肝心のステルス性能や電子戦能力も機密部分が多い。
公開資料から言えるのは「F-22の設計が一対一の空対空条件により適合している」までだ。勝率を証明する資料は存在しない。
他国の第五世代機まで含めた位置づけは[ステルス戦闘機ランキング](/stealth-fighters-ranking/)を、個別の対抗機は[中国J-20解説](/china-j20-guide/)と[ロシアSu-57解説](/su57-felon-complete-guide/)を参照してほしい。

SEADと対地攻撃ではF-35が一段上|2025年のイラン作戦が示したもの
- F-35の価値が最も分かりやすく表れた実戦例が、2025年6月22日のOperation Midnight Hammerである
- 米空軍第388戦闘航空団によると、F-35A編隊はイランの係争空域へ最初に進入し、数百マイルにわたってB-2を護衛した
- 任務の中核はSEAD、敵防空網制圧であり、F-35はステルス、レーダー、各種センサー、照準システムを使って地対空ミサイルの脅威を探知・攻撃した
- 複数のSAMサイトへ兵器を使用し、B-2が地下施設への攻撃を終えた後も退路を守り、最後にイラン領空を離れたとされる
F-35の価値が最も分かりやすく表れた実戦例が、2025年6月22日のOperation Midnight Hammerである。
米空軍第388戦闘航空団によると、F-35A編隊はイランの係争空域へ最初に進入し、数百マイルにわたってB-2を護衛した。任務の中核はSEAD、敵防空網制圧であり、F-35はステルス、レーダー、各種センサー、照準システムを使って地対空ミサイルの脅威を探知・攻撃した。複数のSAMサイトへ兵器を使用し、B-2が地下施設への攻撃を終えた後も退路を守り、最後にイラン領空を離れたとされる。ここがF-35の本領だ。
F-35の仕事は、爆弾を積んで参加するだけで終わらなかった。爆撃機が目標まで届くための道を作り、その道が閉じないよう監視し、必要なら地上の防空システムを攻撃する。空対空、電子戦的な状況認識、対地攻撃を切り離さずに扱うことが求められた。
同作戦にはF-22も加わっていた。つまり米軍自身がF-22とF-35を同じステルス打撃パッケージへ入れ、別の仕事を任せたことになる。
F-22にも精密対地攻撃能力はあり、2014年にシリアで実戦投入された際の初戦果も地上目標への攻撃だった。それでも、公開されている任務設計と近年の実戦例を見れば、SEADを含む対地戦の幅ではF-35が優位だ。
戦闘機の「強さ」を敵戦闘機との撃ち合いだけで測ると、この差はほとんど見えない。高脅威環境へ入り、敵の防空網そのものを壊して後続機を通すところまで含めた時、F-35の設計思想が急に具体的になる。

実戦経験はどちらが上か|撃墜数だけでは答えが出ない
F-22は2005年に初期作戦能力を獲得したが、初の実戦任務は2014年9月23日の対ISIL攻撃だった。米空軍はその後のOperation Inherent Resolveで、F-22部隊が2017年までのある派遣で534ソーティ、4,600時間超を飛び、263発の兵器を投下したと公表している。空対空専用と思われがちなF-22が、実際には精密攻撃や地上部隊支援にも使われてきたことが分かる。
一方、F-35Aの米空軍としての初実戦は2019年、イラクでのISIS関連目標への攻撃だった。2025年にはOperation Rough Riderで防空施設、指揮統制施設、ミサイル関連目標などを攻撃し、米空軍はF-35Aとして初の空対空戦果を一方向攻撃型ドローンに対して記録したとしている。続くMidnight Hammerでは、先に触れた防空制圧と爆撃機護衛を担当した。
F-22にも2023年、米本土上空を飛行した高高度監視気球をAIM-9Xで撃墜した空対空戦果がある。ただし相手は高高度監視気球だった。F-35Aの最初の空対空戦果も、相手は一方向攻撃型ドローンだった。数字は派手ではない。
2026年3月にCENTCOMが公表したOperation Epic Furyの投入戦力一覧には、F-22とF-35の双方が記載された。B-1、B-2、B-52、F-15、F-16、F/A-18、EA-18G、早期警戒機、給油機なども同時に投入されている。これは現代航空戦の実態をよく示す。
「何機撃墜したか」でF-22とF-35を順位づけるのは難しい。両機とも、公開記録上は敵の有人戦闘機との本格的な第五世代機同士の空戦を経験していないからだ。むしろ実戦実績から読み取れるのは、F-22が制空を中心に任務を広げ、F-35が最初から複数任務を束ねる機体として使われているという違いである。
F-35は数が多いから勝ち、でもない|稼働率と近代化には重い課題がある
F-35にはF-22が持たない大きな強みがある。生産が続いており、採用国が多く、世界各地の基地へ同じ系列の機体を展開できることだ。メーカーは2026年8月時点で1,345機超の納入を掲げている。F-22は米国のみが運用する少数の専用機で、生産ラインもすでに閉じている。
それでも「戦争は数だからF-35の圧勝」とは片づけられない。整備という別問題がある。
米政府監査院GAOが2026年6月に公表した報告では、米国防総省のF-35フリート全体のMission Capable Rateは2021年度の約67%から2025年度に約44%へ低下し、すべての任務を実行できるFull Mission Capable Rateも約38%から約25%へ落ちた。予備部品不足や整備体制など、機体数とは別の問題が戦力化を制約している。
近代化には遅延もある。GAOは2025年、Block 4が当初見積もりより60億ドル以上増え、完成が少なくとも5年遅れていると報告した。ソフトウェアとハードウェアを更新し続けるF-35の強みは、裏返せば更新が遅れた時の影響も大きい。
F-22にも老朽化と少数機ゆえの制約があるが、現在も近代化は続く。2025年には米空軍向けとして、新しい分散型赤外線防御センサーIRDSをF-22へ統合する2億7,000万ドルの契約が発表された。生産終了後も、センサーや生存性を伸ばす近代化は続いている。
したがって、F-35の大量配備をそのまま「いつでも全機が戦える数」と読むのも、F-22を「古いからF-35以下」と片づけるのも雑だ。実戦の戦力は、機体性能と保有数だけでなく、整備、兵站、ソフトウェア、兵器、基地、給油機まで揃って初めて成立する。
次の世代については[第6世代戦闘機一覧](/sixth-generation-fighter-list-2026/)と[日英伊GCAP次期戦闘機ガイド](/gcap-next-fighter-guide/)で、現行機からの発展を確認できる。
結論|空戦の王者はF-22、現代の統合作戦で選ぶならF-35
- U.S. Air Force「F-22 Raptor」Fact Sheet
- U.S. Air Force「F-35A Lightning II」Fact Sheet
- U.S. Central Command「Operation Epic Fury Fact Sheet」
- U.S. Government Accountability Office「F-35 Sustainment」
公開情報から強く言える差は明快だ。
F-22はF-35より速く、Mach 1.5超のスーパークルーズが可能で、推力偏向を備え、空対空兵装を多く機内搭載できる。米空軍自身も航空優勢を中心任務としている。敵戦闘機を見つけ、先に有利な位置へ入り、空対空ミサイルを撃つ仕事では、F-22の設計がより純粋だ。
F-35は速度や格闘性能の頂点を狙わず、能力を別方向へ広げた。センサー融合、情報共有、精密攻撃、SEAD、味方とのネットワークだ。2025年のMidnight HammerでF-35Aが防空網を突破してB-2を先導した事実は、「万能機」という言葉をカタログ上の宣伝から実戦の役割へ変えた。
私の最終判定はこうなる。
空対空だけで決着をつけるならF-22。未知の高脅威戦域へ一機種を持ち込み、敵戦闘機、SAM、地上目標、味方への情報共有まで何が起きても対応させるならF-35を選ぶ。
F-22は「一番難しい空戦に勝つための専用機」であり、F-35は「空戦を含む戦争全体へ接続された戦闘機」だ。両者の違いは世代の新旧より、機体の性能余力をどこへ配分したかにある。
ただし、F-22とF-35の直接対決データ、実戦環境での正確なRCS、レーダー探知距離、電子戦ライブラリの性能は公開されていない。よって「同条件ならF-22が何%で勝つ」といった数字は史料からは出せない。そこを越えた断言は比較の域を外れ、想像になる。
主な参照資料
- U.S. Air Force「F-22 Raptor」Fact Sheet
- U.S. Air Force「F-35A Lightning II」Fact Sheet
- 米空軍公式
- centcom.mil
- gao.gov
- gao.gov
よくある質問
F-22とF-35が実戦で直接対決したことはある?
ありません。公開性能と設計目的から傾向は比較できますが、勝率を示す実戦データは存在しません。
速度と機動性はどちらが上?
公開情報ではF-22が優位です。Mach 2級の速度、Mach 1.5超のスーパークルーズ、推力偏向を備えます。
現代の統合作戦でF-35が評価される理由は?
センサー融合、情報共有、精密対地攻撃、SEADを一機種で広く担当できるからです。
参考資料・主な出典
U.S. Air Force「F-22 Raptor」Fact Sheet|資料を確認
U.S. Air Force「F-35A Lightning II」Fact Sheet|資料を確認
米空軍公式|資料を確認
centcom.mil|資料を確認
gao.gov|資料を確認
gao.gov|資料を確認
関連記事
この記事が参考になったら、応援の意味で以下のリンクから何か購入いただけると幸いです。執筆の励みになります。リンク先以外の商品でも構いません。







コメント