日本の防衛企業・売上高ランキング【2026】|主要7社の規模と売上比率を比較

航空機エンジンを整備する製造現場のイメージ
2026年3月期の売上上位

通期実績を開示している主要7社を取り上げる。比較対象は各社の「防衛・宇宙」「航空宇宙・防衛」などの事業売上で、宇宙や民間向けを含む。

目次

防衛関連売上ランキング|2026年3月期の実績

表は横にスクロールできます。

順位企業開示されている事業区分売上高前期比
1三菱重工業(7011)防衛・宇宙11,445億円+38.3%
2NEC(6701)航空宇宙・防衛4,736億円+27.4%
3川崎重工業(7012)防衛関連事業(参考情報)4,297億円+7.2%
4三菱電機(6503)防衛・宇宙システム4,214億円+19.1%
5IHI(7013)防衛事業2,122億円+41.3%
6東京計器(7721)防衛・通信機器260.2億円+6.6%
7日本アビオニクス(6946)情報システム238.6億円+48.8%
掲載7社の売上規模
三菱重工業11,445億円
NEC4,736億円
川崎重工業4,297億円
三菱電機4,214億円
IHI2,122億円
東京計器260.2億円
日本アビオニクス238.6億円
2026年3月期/会社ごとに宇宙・民間向けを含む範囲が異なる。各社開示資料より軍研ノート編集部作成。

集計期間は2025年4月〜2026年3月。金額は各社の公表値を億円に統一し、前期比は同じ資料の前期実績から計算した。小数のある金額は表では小数第1位に丸めている。出典は各社の項に掲載した。

比較する事業の範囲

第1位 三菱重工業|1兆1,445億円

艦艇・戦闘機・戦車・誘導弾を扱う三菱重工の防衛分野
重工3社でも、三菱重工は総合装備、川崎重工は航空機・潜水艦、IHIは航空エンジン・推進系と得意分野が異なる。

日本の防衛産業の規模を語るなら、まず三菱重工だ。防衛・宇宙の売上収益は1兆1,445億円。今回比較した7社の中では、2位のNECを6,709億円上回る。

2022年度4,749億円、2023年度6,064億円、2024年度8,276億円、2025年度1兆1,445億円。3年で約2.4倍になった。受注高も2025年度は1兆6,826億円で、会社は防衛・宇宙の受注残が4兆円を超えていると説明している。

F-2、12式地対艦誘導弾と能力向上型、もがみ型護衛艦、たいげい型潜水艦、10式戦車、次期戦闘機GCAPなど、担当する装備は陸海空に広い。防衛航空機、誘導弾、艦艇が同時に動くことが事業規模を支えている。

利益を見るときは売上と集計範囲が違う点に気を付けたい。2025年度の事業利益率10.9%は、民間航空機も含む「航空・防衛・宇宙」セグメントの数値だ。防衛・宇宙だけの利益率として使うことはできない。

装備の全体像は三菱重工の防衛事業、輸出案件は豪州向けフリゲートで整理している。

三菱重工・2025年度決算説明資料

第2位 NEC|4,736億円

NECの航空宇宙・防衛事業は、2025年度に4,736億円を売り上げた。前年は3,716億円で、増収率は27.4%。通信や宇宙システムも含む、同社の成長事業の一つになっている。

野外通信、衛星通信、指揮統制、ソナー、宇宙システム。完成した機体や艦艇の姿は目立たなくても、部隊同士が情報をやり取りし、装備を運用するためのシステムを担っている。

三菱電機がレーダーや誘導機器で知られるのに対し、NECは通信・情報処理・水中音響などに強い。両社を「電機の防衛関連株」と一括りにせず、担当する装備から見ると違いが分かる。

同年度の航空宇宙・防衛の調整後営業利益は744億円、売上比15.7%。会社が調整した利益指標であり、他社の通常の営業利益とそのまま横並びにはしない。事業の中身はNECの防衛事業で詳しく扱った。

NEC・2025年度決算説明資料(適時開示)

第3位 川崎重工業|4,297億円

川崎重工は「防衛関連事業の受注高・売上収益」を、セグメントとは別の参考情報として開示している。2025年度の売上収益は4,297億円、全社の18.6%だ。

表は横にスクロールできます。

内訳売上収益
航空機ほか3,012億円
航空エンジン297億円
潜水艦・艦艇用主機ほか988億円
合計4,297億円

P-1哨戒機、C-2輸送機、CH-47、潜水艦、艦艇用の機関。航空機と潜水艦の双方を持ち、完成品だけでなく維持整備も長く続く事業だ。

受注高は2024年度7,747億円から2025年度5,340億円へ減ったが、売上収益は4,008億円から4,297億円へ増えた。この違いは、受注と売上を分ける必要があることをよく示している。

会社が示す航空宇宙システムの受注残には民間航空機も含まれ、潜水艦は別のセグメントに入る。航空宇宙システム全体の受注残を、そのまま防衛関連事業の受注残とは呼べない。

川崎重工の防衛事業と三菱重工との比較では、装備と企業全体の違いを整理している。

川崎重工・2025年度決算説明資料

第4位 三菱電機|4,214億円

レーダー・ミサイル・宇宙・通信を結ぶ防衛電子分野
三菱電機、NEC、富士通などは、センサー、通信、指揮統制、クラウドを通じて装備同士を一つの運用体系へ結ぶ。

三菱電機の防衛・宇宙システム事業は、2025年度に4,214億円。前年の3,538億円から19.1%増えた。重工3社以外にも、この規模の防衛・宇宙事業がある。

警戒管制レーダー、戦闘機や護衛艦のレーダー、中距離地対空誘導弾、空対空誘導弾、衛星。統合防空ミサイル防衛と宇宙利用の双方に関わる会社だ。フィリピン向け警戒管制レーダーの装備移転も進めている。

2025年度の営業利益は405億円、利益率9.6%。一方、全社売上5兆8,947億円に占める売上比率は7.1%にとどまる。防衛・宇宙の伸びは大きくても、FAや空調など他事業の動きが連結業績を左右する点は変わらない。

三菱電機の防衛事業とNEC・富士通・日立との比較で各社の得意分野を整理した。

三菱電機・2025年度決算説明資料

第5位 IHI|2,122億円

航空機エンジンを整備する製造現場のイメージ
防衛産業は、機体やエンジンの製造から整備・部品供給まで長く続く仕事で成り立つ。

IHIは2026年6月のInvestor Day資料で、防衛事業の2025年度売上収益を2,122億円と示した。2024年度の1,502億円から41.3%増えている。

IHIの航空・宇宙・防衛セグメント全体には民間航空エンジンが含まれる。このランキングでは、そのセグメント合計を使わず、会社が別途示した防衛事業の売上を採用した。

戦闘機のエンジン製造・整備、P-1のF7エンジン、次期戦闘機GCAPのエンジン開発、グループの固体ロケットモーター。三菱重工や川崎重工が機体を担うのに対し、IHIは推進系から装備を支える。

資料では国内事業と海外事業を分け、F-35のエンジン整備や部品移転も成長分野として説明している。開発・新造だけでなく、長期間使うエンジンを整備し続ける仕事まで見たい。IHIの防衛事業で詳しく扱っている。

IHI・Investor Day 2026(防衛事業、資料11ページ)

第6位 東京計器|260.15億円

東京計器の防衛・通信機器事業は、2026年3月期に260.15億円。前年の243.94億円から6.6%増加した。全社売上611.86億円に占める割合は42.5%になる。

レーダー警戒装置や慣性航法装置など、機体や艦艇の中に組み込まれる電子機器が中心だ。完成装備の大手ほど売上は大きくなくても、装備を動かすために必要な機能を担う。

防衛・通信機器には民間向け通信機器なども含まれる。42.5%は、この事業区分全体の売上比率にあたる。

同事業の営業利益は23.44億円で、利益率は約9.0%。東京計器の防衛事業も合わせて読んでほしい。

東京計器・2026年3月期決算説明資料(適時開示)

第7位 日本アビオニクス|238.58億円

日本アビオニクスの情報システム事業は、2026年3月期に238.58億円を売り上げた。前年の160.31億円から48.8%増え、全社売上291.94億円の81.7%を占める。

護衛艦や潜水艦、指揮所の情報表示・処理装置などを手がける。情報システム事業の区分には、防衛システムに加えて宇宙用電子部品や産業用電子機器も入っている。

同事業の営業利益は50.96億円、利益率は約21.4%。

全社に占める事業の比重が大きいという特徴は、次の売上比率の表でよく分かる。日本アビオニクスの防衛事業では装備と会社の変遷を整理した。

日本アビオニクス・2026年3月期決算説明資料

売上比率で並べると、順位は変わる

掲載事業の全社売上比率
日本アビオニクス81.7%
東京計器42.5%
三菱重工業23%
川崎重工業18.6%
NEC13.2%
IHI12.9%
三菱電機7.1%
2026年3月期/会社ごとに宇宙・民間向けを含む範囲が異なる。各社開示資料より軍研ノート編集部作成。

売上の絶対額と、その会社にとっての事業の重さは別のものだ。同じ7社を「掲載事業の売上÷連結売上」で並べ直すと、こうなる。

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順位企業掲載事業の全社売上比率比率に含む範囲
1日本アビオニクス81.7%情報システム
2東京計器42.5%防衛・通信機器
3三菱重工業23.0%防衛・宇宙
4川崎重工業18.6%防衛関連事業(参考情報)
5NEC13.2%航空宇宙・防衛
6IHI12.9%防衛事業
7三菱電機7.1%防衛・宇宙システム

日本アビオニクスと東京計器では、掲載事業が全社売上の大きな部分を占める。三菱重工と川崎重工は、事業の絶対額と全社への比重の両方が大きい。一方、三菱電機は防衛・宇宙で4,000億円を超えていても、全社では7.1%だ。

この比率は、企業全体への影響を考える入口になる。ただし、事業売上の割合が高い順に株価が動くわけではない。利益率、他事業の状況、すでに株価に織り込まれている期待も合わせて考える必要がある。

成長率を比べる|実績と計画を分けて読む

前期比では、日本アビオニクスの情報システムが48.8%増、IHIの防衛事業が41.3%増、三菱重工の防衛・宇宙が38.3%増だった。NECは27.4%増、三菱電機は19.1%増で続く。

成長率の違いは、重工か電機かという分類だけでは説明できない。装備の納入時期や工事進捗、大型案件の有無が違うため、同じ期間で比較する必要がある。

次の表は2026年4〜6月の決算・事業説明資料で示された2027年3月期の計画。上のランキングに使った実績とは分けて掲載している。期中に見通しが変わることがあるので、投資判断に使う場合は各社の直近の開示も確認したい。

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企業2026年3月期実績2027年3月期計画(4〜6月公表)
三菱重工業11,445億円12,500億円
NEC4,736億円5,200億円
川崎重工業4,297億円5,080億円
三菱電機4,214億円5,600億円
IHI2,122億円3,000億円
東京計器260.2億円311億円

三菱重工は1兆2,500億円、三菱電機は5,600億円、IHIは3,000億円を計画する。増収が続くかどうかは、装備の納入と増産体制の進み方にかかっている。

東芝・SUBARU・富士通などは、なぜ別枠なのか

ランキングに載せなかった企業にも重要な供給者は多い。防衛と民間の売上を十分に分けられない事業については、設備投資額や会社の規模から防衛売上を推測して順位に入れていない。

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企業防衛での主な役割数字を読むときの注意
東芝地対空誘導弾、レーダー、対ドローン工場への投資額から防衛売上を逆算できない
SUBARUUH-2、練習機、航空機部品、無人実験機航空宇宙事業には民間機向けも含む
富士通指揮統制、情報基盤、運用支援受注の増減率は、防衛単独の売上高ではない
日本製鋼所火砲、砲身、装輪装甲車産業機械などの事業合計を防衛売上とは呼べない
日立製作所水中無人機、ソナー、情報システム防衛省との契約額を連結売上の内訳に置き換えない
ダイキン工業砲弾、弾頭、信管防衛向け製品の存在だけで売上比率は決まらない

SUBARUの航空宇宙事業は2026年3月期に1,417億円を売り上げたが、民間機向けも含む。東芝は防衛を成長戦略の中心に位置付けている。ランキングに収めきれない各社の役割も、事業内容と合わせて押さえておきたい。

SUBARU・事業別セグメント情報 / 東芝統合報告書2025・成長戦略

各社の得意分野は日本の防衛産業・軍需企業一覧で比較できる。

売上・契約額・受注残は、三つを並べて見る

防衛装備は、契約した年と納入・売上計上の年がずれる。艦艇や航空機の開発・製造には長い時間がかかるためだ。

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数字何を表すか読み取れること
契約額・受注高新たに引き受けた仕事将来の仕事がどれだけ増えたか
売上高・売上収益納入や進捗に応じて計上した金額その年度に事業がどれだけ進んだか
受注残まだ売上になっていない受注先の生産・開発を支える仕事の厚み

三菱重工の2025年度中央調達契約額9,724億円と、防衛・宇宙売上1兆1,445億円は、年度が重なっていても同じ数字ではない。中央調達と企業の事業売上では集計対象も違う。

大型契約を取っても、設備投資や材料調達の支出が先行することがある。売上が伸びた後に、利益と営業キャッシュフローがどう動いたかまで確かめたい。受注残ランキングと契約額で見る受益企業ランキングを合わせると、仕事の入口から売上までを追いやすい。

防衛装備庁・2025年度中央調達実績

投資で使うなら、規模・比率・採算を分ける

防衛関連企業を受注・売上・利益率・投資負担で比較する
中央調達額が増えても、売上計上時期、原価、設備投資、採算、他事業の変動により企業利益への寄与は異なる。

売上規模で目立つのは三菱重工、全社への比重が大きいのは日本アビオニクスや東京計器。しかし、この違いは買い推奨の順位ではない。

三菱重工でもエネルギーなど他事業の影響があり、NECや三菱電機も防衛・宇宙だけで連結業績が決まらない。中小型企業は事業の比重が大きい一方、案件の納入時期や増産投資の影響を受けやすい。

まず、防衛関連事業がどれだけ売り上げたか。次に、それが全社の何割か。そして利益率と資金回収が伴っているか。株価の評価を考えるのは、その数字を確かめた後でいい。

防衛関連銘柄の投資ガイドと中小型の防衛関連株では企業ごとの見方を整理している。

まとめ

掲載7社の売上規模は、三菱重工、NEC、川崎重工、三菱電機、IHI、東京計器、日本アビオニクスの順。全社売上に占める比率で並べると、日本アビオニクスと東京計器が上に来る。

大きな防衛事業を持つ会社と、防衛を含む一つの事業が会社全体を左右する会社は、必ずしも同じではない。金額、事業名、年度をセットにして読むと、「防衛関連」という言葉だけでは見えなかった違いが分かる。

出典・参考資料

比較対象は、主要企業のうち2026年3月期の通期実績を資料から確認できた7社。各社の開示区分をそのまま用い、非開示部分の推計や四半期売上の年換算は行っていない。前期比と全社売上比率は公表値から計算し、小数第1位に丸めた。集計確認日:2026年10月6日。

会社ごとに宇宙・民間向けを含む範囲が異なるため、厳密な軍事向け売上の全国順位やSIPRIランキングとは一致しない。

防衛産業をさらに知る

装備の調達と企業のつながりをもう少し広く読むなら、こちらの一冊も参考になる。

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この記事を書いた人

軍研ノート編集部のアバター 軍研ノート編集部 自衛隊・兵器 / 戦史 / サバゲー

自衛隊で6年間勤務した編集長を中心に、自衛隊時代の仲間やサバゲーを通じた知人と記事を制作。経験と公開資料をもとに、装備の仕組みや歴史、その背景にある人々の工夫を掘り下げています。「かっこいい」から、その先の理解へ。編集長のプロフィール → 運営・編集方針

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