いま、自衛隊の銃が一気に入れ替わっている。
小銃は89式から20式へ。拳銃は40年近く使ったP220からドイツ製のSFP9へ。分隊の機関銃は国産ライセンス品のMINIMIから、ベルギーから直接買うMINIMI Mk3へ。狙撃銃はM24からG28E2へ。2020年ごろから、ほぼ同時にこれだけの更新が始まった。
私の知る限り、小銃・拳銃・機関銃・狙撃銃が足並みをそろえて世代交代するのは、自衛隊の歴史で初めてだ。しかも中身をよく見ると、「国産」から「輸入」へという流れがはっきりある。日本の小火器産業にとっても、けっこう大きな曲がり角に来ている。
この記事では、陸上自衛隊を中心に、海自・空自も含めた自衛隊の銃を種類ごとに一覧で整理する。それぞれの銃がいまどういう状況にあるのか、なぜ更新されているのか、そして国産メーカーに何が起きているのかまで見ていく。
- 自衛隊の主な銃は、小銃・拳銃・機関けん銃・機関銃・狙撃銃・てき弾の6系統に分けられる
- 2020年以降、20式小銃・SFP9・MINIMI Mk3・G28E2と、主要な銃が軒並み新型へ切り替わりつつある
- 拳銃や一部の機関銃では、国産・ライセンス生産から輸入への移行が進んだ。背景には国内メーカーの撤退とコストの問題がある
- 20式小銃は年1万丁前後のペースで調達が続いていて、空自・海自への配備も始まった
自衛隊の銃 早見表【2026年】

写真:Hunini/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
まずは全体像から。公開されている資料や報道で確認できる主な銃をまとめた。
| 区分 | 名称 | 口径 | 製造・原型 | 2026年時点の状況 |
|---|---|---|---|---|
| 小銃 | 20式5.56mm小銃 | 5.56mm | 豊和工業 | 調達中・配備拡大中 |
| 小銃 | 89式5.56mm小銃 | 5.56mm | 豊和工業 | 主力だが20式へ更新中 |
| 小銃 | 64式7.62mm小銃 | 7.62mm | 豊和工業 | 一部で現役・更新中 |
| 拳銃 | 9mm拳銃SFP9 | 9mm | H&K(独) | 調達中・更新中 |
| 拳銃 | 9mm拳銃 | 9mm | ミネベア(SIG P220) | SFP9へ更新中 |
| 機関けん銃 | 9mm機関けん銃 | 9mm | ミネベア | 現役 |
| 機関銃 | 5.56mm機関銃MINIMI | 5.56mm | 住友重機(FNライセンス) | 現役 |
| 機関銃 | 5.56mm機関銃MINIMI(B) | 5.56mm | FN(ベルギー)輸入 | 調達中 |
| 機関銃 | 62式7.62mm機関銃 | 7.62mm | 日特金属工業(のち住友重機) | ほぼ更新済み・一部現役 |
| 機関銃 | 74式車載7.62mm機関銃 | 7.62mm | 住友重機 | 車両搭載で現役 |
| 機関銃 | 12.7mm重機関銃M2 | 12.7mm | 住友重機(ライセンス) | 現役・調達継続 |
| 狙撃銃 | 対人狙撃銃(M24 SWS) | 7.62mm | レミントン(米) | 現役・更新中 |
| 狙撃銃 | 対人狙撃銃(G28E2) | 7.62mm | H&K(独) | 調達中 |
| てき弾 | 06式小銃てき弾 | ― | 豊和工業 | 現役 |
| てき弾 | 40mmてき弾発射器(GLX160) | 40mm | ベレッタ(伊) | 調達中 |
| てき弾 | 96式40mm自動てき弾銃 | 40mm | 豊和工業 | 現役 |
表を見るだけでも、「調達中」と「更新中」がずらりと並んでいるのが分かると思う。
「20式」「けん銃」「てき弾」――名前の読み方
区分ごとの話に入る前に、名前の付け方を押さえておくと一覧がぐっと読みやすくなる。
自衛隊の装備の「〇〇式」は、制式化された年の西暦の下2桁だ。20式は2020年、89式は1989年、64式は1964年。分かりやすい。
旧軍はここが違っていた。三八式歩兵銃は明治38年、九九式小銃は皇紀2599年(1939年)、零戦の「零」は皇紀2600年(1940年)の下の桁から来ている。元号と皇紀が混ざっていて、旧軍ファンでも最初は混乱する。戦後の自衛隊が西暦にそろえたのは、地味だけど大きな整理だったと思う。
もう一つ気になるのが、「けん銃」「てき弾」とひらがなが混ざる表記だ。これは、戦後の当用漢字に「拳」や「擲」が入っていなかった名残とされる。法律の「けん銃」という書き方に合わせた表記が、自衛隊の正式名称にもそのまま残った。「拳」は2010年に常用漢字に加わったが、正式名称は簡単には変わらない。お役所らしいといえばお役所らしい。
ここから、区分ごとに中身を見ていく。
小銃|89式から20式へ、30年ぶりの世代交代

写真:Hunini/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
20式5.56mm小銃|いまの主役
2020年に制式化された、自衛隊の最新小銃が20式5.56mm小銃だ。製造は愛知県の豊和工業。選定のときにはH&KのHK416やFNのSCAR-Lといった海外の有名どころも候補に挙がったが、国産の豊和案が選ばれた。
89式との一番分かりやすい違いは見た目だろう。銃身の上下左右にレールがあり、光学照準器やライト、てき弾発射器を後付けしやすい。伸縮式の銃床で体格に合わせて長さも変えられる。銃身は89式より90mm短い330mmで、車両や建物の中で取り回しやすくなった。南西諸島の島嶼防衛で、海水や砂にさらされる環境を考えて、腐食に強い作りにしているのも特徴とされる。
調達のペースはかなり速い。陸自向けにはおおむね年1万丁前後のペースで発注が続いていて、2020年度から2025年度までの累計は4万丁近くに達したと報じられている。令和8年度の予算要求でも、約1万丁・約44億円が計上された。単純に割ると1丁あたり44万円ほど。調達が始まった2020年度は1丁30万円弱だったので、ここ数年でだいぶ値上がりしている。光学照準器などの付属品の違いもあるので単純比較はできないが、円安と物価高は銃の値段にもきっちり効いている。最初に受け取ったのは水陸機動団で、そこから各部隊に広がっている。2025年には航空自衛隊の百里基地で基地警備向けの配備が始まり、海上自衛隊向けの調達も始まった。
一方で、銃身を短くした分、89式と同じ弾では弾速や貫通力が落ちるという弱点もある。これを補うため、防衛省は2023年に、芯を一体の鋼にした新しい5.56mm弾を公開している。銃だけでなく弾まで含めて世代交代が進んでいるわけだ。
選定の舞台裏や性能の細かいところは、20式小銃の解説で詳しく書いた。
89式5.56mm小銃|まだ数の上では最大勢力
1989年に制式化された89式5.56mm小銃は、30年以上にわたって陸自の主力小銃だった。これも豊和工業製。「バディ」の愛称で呼ばれ、PKOやイラク派遣でも隊員と一緒に海を渡った。
20式への更新が進んでいるとはいえ、30年以上かけて大量に配備されてきた銃が、数年で全部入れ替わるわけではない。いまも多くの部隊で現役で、後方の部隊や予備自衛官の訓練などでは、しばらく89式の姿を見ることになるはずだ。銃床を折りたためる「折曲銃床式」は、空挺団や戦車の乗員向けに作られた。
ちなみに89式のセレクター(切り替えレバー)には、「ア(安全)」「タ(単発)」「レ(連発)」「3(3点射)」の4つの表示がある。並べて読むと「アタレ(当たれ)3」。隊員やファンの間ではよく知られたネタだ。もっとも、実際にレバーを回す順番は「ア→レ→3→タ」で、安全から一番遠い位置が単発になっている。慌てて回し切ったら単発、という作りなのが面白い。
89式については89式小銃の解説にまとめている。
64式7.62mm小銃|半世紀を超えた古参
1964年に制式化された64式7.62mm小銃は、戦後初の国産小銃だ。7.62mmのNATO弾を、反動を抑えるために火薬を減らした「減装弾」で撃つという、日本人の体格を意識した設計だった。
陸自ではほぼ89式に置き換わったが、空自や海自では基地警備などで長く使われてきた。空自の基地警備部隊に20式が入り始めたことで、64式もいよいよ最後の世代交代を迎えている。照準眼鏡を付けた「64式狙撃銃」も、狙撃手用として長く使われた。
日本の制式小銃をさかのぼると
ここで少し寄り道をしたい。日本の軍隊の制式小銃は、ざっくり言うとこういう系譜をたどってきた。
- 明治:村田銃 → 三十年式歩兵銃
- 明治末〜昭和:三八式歩兵銃(6.5mm)
- 昭和:九九式小銃(7.7mm)
- 戦後:米軍から貸与されたM1ガーランド
- 1964年〜:64式7.62mm小銃
- 1989年〜:89式5.56mm小銃
- 2020年〜:20式5.56mm小銃
三八式から九九式への切り替えは、口径を大きくして威力を上げる方向だった。ところが戦後は逆で、64式は減装弾、89式は小口径の5.56mm、20式はさらに短銃身と、どんどん「軽く、扱いやすく」へ向かっている。撃ち合いの距離が近くなり、1人の兵士が持ち運ぶ装備の総重量が増えたことを考えると、筋の通った流れだと思う。
三八式・九九式の時代の話は、三八式歩兵銃と九九式小銃の記事で書いている。旧軍の小銃を知っていると、20式の設計の意味がぐっと立体的に見えてくる。
拳銃・機関けん銃|P220からSFP9へ

写真:Hunini/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
9mm拳銃SFP9|40年ぶりの新拳銃
2019年に新しい拳銃として選ばれたのが、ドイツのH&K社のSFP9だ。正式には「9mm拳銃SFP9」。ポリマー製のフレームで軽く、グリップの大きさを手に合わせて交換できる。海外ではVP9という名前で売られている拳銃と基本的に同じものだ。
選定ではグロックなども候補だったとされる。決め手になったと言われるのは、手の大きさに合わせられる調整機能と、手袋をしたままでも扱いやすい操作性だ。詳しい経緯はSFP9の解説にまとめた。
9mm拳銃(SIG P220)|ミネベアが作った定番
1982年から使われてきた9mm拳銃は、スイスのSIG P220をミネベア(現ミネベアミツミ)がライセンス生産したものだ。それまでの米軍貸与のM1911A1(コルト・ガバメント)に代わって採用された。
拳銃は、自衛隊ではそもそも幹部や戦車・航空機の乗員、警務官などが持つもので、一般の隊員が持つことは少ない。そのため調達数も多くなく、SFP9への更新もゆっくり進んでいる。
9mm機関けん銃|評判がいまひとつの国産マシンピストル
1999年に採用された9mm機関けん銃は、ミネベア製の小型の機関拳銃だ。拳銃弾をフルオートで撃てる。もともとは、拳銃を持つ立場の隊員に、より強い火力を持たせる目的で作られた。
ただ、正直に言って、ミリタリーファンの間での評判はあまり良くない。小さくて軽すぎるうえ、銃床もないので、フルオートで撃つと狙いを保つのが難しい。海外でいえばUZIのような小型マシンピストルに近い発想の銃で、現代の短機関銃の主流であるMP7やMP5とは考え方がだいぶ違う。世界の短機関銃との比較はサブマシンガン最強ランキングを見てほしい。
機関銃|国産ライセンスから輸入へ

写真:/Wikimedia Commons(Public domain)
5.56mm機関銃MINIMIとMINIMI(B)
分隊で使う軽機関銃が5.56mm機関銃MINIMIだ。ベルギーのFN社の設計で、陸自は1993年から住友重機械工業のライセンス生産品を調達してきた。小銃と同じ5.56mm弾を使い、ベルト給弾で連続射撃ができる。2017年までに5,000丁近くが発注されたとされる。
ところが、住友重機は次期5.56mm機関銃の評価試験を途中で辞退した。その結果、後継に選ばれたのが、FN社から直接輸入する改良型のMINIMI Mk3、自衛隊での名前は「5.56mm機関銃MINIMI(B)」だ。2023年度に最初の514丁が予算化され、最終的には3,100丁程度を調達する計画と報じられている。ドイツH&KのMG4も候補だったが、MINIMIが選ばれた。
この「国産撤退」の経緯は、MINIMI Mk3の解説で詳しく書いている。アメリカ軍での使われ方はM249 SAWの記事が参考になる。
62式7.62mm機関銃|「言うこと聞かん銃」の汚名
1962年に採用された62式7.62mm機関銃は、戦後初の国産機関銃だ。日特金属工業(のちに住友重機へ統合)が作った。軽量化にこだわった設計だったが、故障や暴発の話が多く、隊員の間では「言うこと聞かん銃」という、ありがたくないあだ名で呼ばれた。
MINIMIの導入で歩兵用の主力からは外れ、いまはほぼ更新が終わっている。ただし一部では支援用として残っているとされる。62式の後継となる7.62mm機関銃の選定も行われてきたが、2026年時点で新しい7.62mm汎用機関銃の大規模な導入は確認できていない。
74式車載7.62mm機関銃
62式を車両に積むために作り直したのが、74式車載7.62mm機関銃だ。戦車の主砲の横や装甲車に固定して使う。歩兵が持ち歩く銃ではないので目立たないが、90式戦車や10式戦車にも積まれていて、いまも現役である。
12.7mm重機関銃M2|90年以上前の設計がいまも現役
アメリカのブローニングM2重機関銃を、住友重機がライセンス生産したのが12.7mm重機関銃M2だ。設計自体は1930年代までさかのぼる超ベテランで、車両や艦艇、ヘリコプターなど、陸海空どこにでも積まれている。
古い銃だからといって消えていくわけではなく、令和8年度の予算要求でも101丁・約10億円が計上された。重い弾を遠くまで飛ばせる重機関銃は、無人機やボートへの対処でかえって出番が増えている。同じ年度には、車内から機関銃を操作できるノルウェー・コングスベルグ社の遠隔操作式銃架も23基要求されていて、90年前の銃が最新の電子機器と組み合わされて使われ続けることになる。M2の歴史はM2ブローニング重機関銃の解説に書いた。
狙撃銃|M24からG28E2へ

写真:LCpl Ricardo Hurtado/Wikimedia Commons(Public domain)
対人狙撃銃(M24 SWS)
自衛隊で初めての本格的な専用狙撃銃が、2002年度から導入されたアメリカ・レミントン社のM24 SWSだ。ボルトアクション式で、1発撃つごとに手で槓桿を引いて装填する。正式には「対人狙撃銃」と呼ばれる。導入数は1,300丁ほどとされる。
ボルトアクションは命中精度が高い反面、連続して撃てない。メーカーのレミントンが経営破綻を経験したこともあって、部品や追加調達の面でも先行きが見えにくくなっていた。詳しくはM24 SWSの解説を見てほしい。
対人狙撃銃(G28E2)
M24の後継として選ばれたのが、ドイツH&K社のG28E2だ。7.62mm弾を使うセミオートマチックの狙撃銃で、引き金を引くたびに1発ずつ撃てる。2023年度に最初の182丁が予算化され、全体で900丁程度を導入する計画とされる。
G28E2は、H&KのHK417という7.62mmの大口径ライフルを狙撃向けに仕上げたものだ。ボルトアクションの「一撃必中」型から、セミオートで素早く次弾を撃てる型へ。狙撃手の戦い方そのものが変わりつつある。詳しくはG28E2の解説とHK417の解説に書いた。
対物狙撃銃
このほか、陸自は少数の対物狙撃銃を持っているとされる。人ではなく、車両や機材を遠距離から撃つための大口径の銃だ。保有数や運用の詳細はほとんど公表されていない。対物ライフルそのものについては対物ライフルとはで解説している。
てき弾・その他
06式小銃てき弾
2006年に採用された06式小銃てき弾は、89式小銃の銃口に差し込んで撃ち出す、小銃用のてき弾(グレネード)だ。豊和工業製。普通の実弾を撃つと、その弾丸をてき弾の中の「弾丸トラップ」が受け止め、その勢いでてき弾が飛んでいく。専用の空包に詰め替える手間がないのが利点とされる。
40mmてき弾発射器(ベレッタGLX160)
20式小銃の銃身の下に取り付けるのが、イタリアのベレッタ社のGLX160だ。40mmのてき弾を撃てる。調達は当初の予定より遅れたが、令和8年度の予算要求では66基・約5,000万円が計上された。
96式40mm自動てき弾銃
1996年に採用された、40mmのてき弾を連続して撃てる大型の火器だ。豊和工業製。三脚に据えるほか、車両にも積まれる。陣地や車両に向けて、面で制圧するための装備である。
番外:84mm無反動砲(カールグスタフ)
銃というより砲だが、歩兵が担いで撃つ火器として触れておく。スウェーデン製のカールグスタフの最新型M4の調達が続いていて、令和8年度の予算要求でも167門が計上された。詳しくはカールグスタフM4の解説に書いた。
特殊作戦群・特別警備隊の銃
陸自の特殊作戦群や海自の特別警備隊(SBU)が使う銃は、公式にはほとんど公表されていない。公開された訓練の写真などから、M4カービン系の小銃、HK416、MP5やMP7といった短機関銃、散弾銃などを使っているのではないかと推測されている程度だ。
ここは「何を持っているか」を断定できる情報がないので、推測で一覧に加えることはしない。部隊そのものについては特殊作戦群の解説と特別警備隊(SBU)の解説で、公開情報の範囲で書いている。
海上自衛隊・航空自衛隊の銃

出典:航空自衛隊
自衛隊の銃というと陸自の話になりがちだが、海自と空自にも銃はある。
海自は、艦艇の警備や立入検査で小銃や拳銃を使うほか、護衛艦には12.7mm重機関銃M2が積まれている。不審船や小型ボートへの対処を考えると、艦上の機関銃はむしろ大事になってきている。小銃は64式や89式が中心だったが、20式の調達が始まった。
空自は、基地の警備が銃を使う主な場面だ。長く64式が使われてきたが、2025年に百里基地の基地警備部隊で20式の配備が始まった。基地警備向けの20式の調達は、ここ数年でまとまった数になっている。
自衛隊の銃は1丁いくら?
「で、結局いくらするの?」というのは、誰もが一度は気になるところだと思う。予算の資料に出ている金額を数量で割ると、ざっくりこんな感じになる。
| 銃 | 予算での数量・金額 | 1丁あたりの目安 |
|---|---|---|
| 20式5.56mm小銃 | 約1万丁・約44億円(令和8年度要求) | 約44万円 |
| 40mmてき弾発射器(GLX160) | 66基・約5,000万円(同) | 約76万円 |
| 5.56mm機関銃MINIMI(B) | 1丁あたり約190万円と報道 | 約190万円 |
| 対人狙撃銃(G28E2) | 182丁・約11.3億円(令和5年度) | 約620万円 |
| 12.7mm重機関銃M2 | 101丁・約10億円(令和8年度要求) | 約1,000万円 |
狙撃銃が小銃の十数倍もするのは、高倍率の照準器や消音器まわりの付属品込みだからだ。重機関銃が1,000万円近いのも、三脚や車載用の部品込みと考えれば納得がいく。それにしても、小銃1丁で国産の軽自動車の半分くらいの値段になったと思うと、なかなか感慨深い。
薬きょう1個で大捜索――自衛隊の銃の管理の厳しさ
一覧の話から少し離れるが、自衛隊の銃を語るなら管理の厳しさは外せない。
自衛隊では、射撃訓練のあとに撃ち終わった薬きょうを1個残らず回収する。数が合わなければ、見つかるまで隊員総出で地面をはいつくばって探す。草むらの中の小さな真ちゅうの筒を、何十人もの隊員が一列になって探す光景は、隊員経験者の思い出話の定番だ。
銃そのものの管理はさらに厳しい。銃は1丁ずつ番号で管理され、保管庫の出し入れのたびに数を確認する。紛失すれば部隊を挙げての捜索になり、報道されることも珍しくない。
世界の軍隊の中でも、ここまで神経質に管理している組織はそう多くないはずだ。弾も銃も1つ残らず数える文化は、自衛隊という組織の性格をよく表していると思う。そして、この厳しい管理が前提にあるからこそ、新しい銃を配るたびに教育や管理の手間も一緒に増える。20式への更新が一気には終わらない理由の一つでもある。
なぜ「国産から輸入」へ? 日本の小火器産業の曲がり角
ここまで見てきて、引っかかった人もいると思う。MINIMIは国産ライセンスから輸入へ。拳銃はミネベアのP220からドイツ製のSFP9へ。狙撃銃もドイツ製。国内で作られている新型の主要な銃は、実質的に豊和工業の20式小銃くらいになった。
理由は大きく2つある。
一つは、注文が少なすぎることだ。自衛隊の銃は、世界の大きな軍隊に比べれば調達数がずっと少なく、しかも数十年に一度しか新型が出ない。その少ない注文を、口径ごとに別々のメーカーが作ってきた。工場や技術者を維持するだけでコストがかさみ、2021年の報道では、国産の機関銃は外国製のおおむね5倍の価格だと指摘されている。
もう一つは、品質の問題だ。住友重機では過去に機関銃の性能試験データの改ざんが発覚し、防衛省から指名停止を受けたことがある。そうした経緯もあり、同社は2021年に次期5.56mm機関銃の評価試験から辞退している。
その中で、豊和工業は20式という大きな仕事を勝ち取った。年1万丁前後の小銃の調達は、同社にとって安定した柱になっている。一方のミネベアミツミは、拳銃の主役の座をSFP9に譲ったが、防衛事業としては航空機部品や弾薬関連なども手がけている。
小火器は、防衛産業の中では金額の小さい分野だ。それでも、「自分の国の兵士が持つ銃を自分の国で作れるか」は、有事の補給を考えると軽い話ではない。輸入に頼れば、いざというときに部品や追加の銃が届くかどうかは相手国しだいになる。このあたりは、防衛産業を見る投資家にとっても気にしておきたいポイントだと思う。
各社の防衛事業は豊和工業の解説とミネベアミツミの防衛事業で詳しく書いている。
防衛関連の銘柄を自分でチェックしてみたい人は、まず証券口座を一つ持っておくと話が早い。
エアガンで手に取る自衛隊の銃
自衛隊の銃に興味を持ったら、手っ取り早く「重さと大きさ」を実感できるのがエアガンだ。東京マルイからは、89式小銃のガスブローバックが出ている。実物どおり、セレクターの「ア・タ・レ・3」の表示まで作り込まれているのがうれしい。
狙撃銃なら、自衛隊がM24の後継に選んだG28の系統のガスガンもある。M24とG28を並べると、ボルトアクションからセミオートへの変化が手で分かる。
サバゲーでこうした銃を使うなら、最初にそろえるべきはゴーグルとBB弾だ。目の保護だけはケチらないでほしい。装備の選び方はサバゲー初心者装備10選にまとめている。
よくある質問
自衛隊の小銃は何式が使われている?
2026年時点で、新しく配備されているのは20式5.56mm小銃だ。ただし数の上ではまだ89式5.56mm小銃も多く、空自や海自の一部では64式7.62mm小銃も残っている。3世代が同時に使われている過渡期と考えればいい。
自衛隊の拳銃は何?
新しいのはドイツH&K社の9mm拳銃SFP9で、P220(ミネベアのライセンス生産品)からの更新が進んでいる。
自衛隊の機関銃は国産?
国産だった、と言うほうが正確だ。MINIMIは住友重機のライセンス生産品だったが、後継のMINIMI(B)はベルギーのFN社からの輸入になった。62式は国産だったがほぼ退いている。12.7mm重機関銃M2は住友重機のライセンス生産品が使われてきた。
自衛隊の狙撃銃は?
M24 SWS(ボルトアクション)と、その後継のG28E2(セミオートマチック)だ。どちらも正式名称は「対人狙撃銃」で、G28E2への更新が進んでいる。
自衛官は自分の銃を家に持って帰れる?
持って帰れない。銃は駐屯地や基地の武器庫で厳重に保管され、訓練や任務のときだけ数を確認して受け取り、終われば返す。銃には番号があり、誰がどの銃を使ったかまで記録される。
体の小さな隊員も同じ銃を使う?
基本は同じ銃だ。ただ、20式は銃床の長さを変えられるので、体格に合わせて調整しやすくなった。固定式の銃床だった89式からの大きな改善点の一つである。
20式小銃は何丁くらい配備された?
陸自向けには年1万丁前後のペースで調達されていて、2025年度までの累計で4万丁近いと報じられている。空自・海自向けの調達も始まった。
まとめ|「国産の小銃」と「輸入の機関銃・狙撃銃」という新しい形
2020年代の自衛隊は、銃のほぼすべてを同時に入れ替えている最中だ。小銃は国産の20式、拳銃はドイツのSFP9、機関銃はベルギーのMINIMI(B)、狙撃銃はドイツのG28E2。こうして並べると、国産で残ったのは小銃だけ、という形になりつつある。
三八式や九九式の時代から、日本の兵士は日本で作った小銃を持ってきた。その伝統は20式でかろうじて守られた。一方で、機関銃や狙撃銃は「良いものを海外から買う」方向にはっきり舵を切った。これは合理的な判断でもあるし、少しさびしい話でもある。
どちらが正しいかは、有事に補給が続くかどうかで初めて分かることなのかもしれない。世界の銃の種類や違いを体系的に知りたい人は、銃の種類完全ガイドから読んでみてほしい。
ここまで読んでくれてありがとう。長い一覧を作るときは、だいたいこれを横に置いている。
出典・参考資料
表紙の写真素材:
写真:Hunini/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。背景・レイアウト・文字を編集。加工版:CC BY-SA 4.0







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