MQ-28ゴーストバットとは|有人戦闘機と飛ぶCCAの性能・役割を解説

オーストラリア内陸上空を飛行するMQ-28級協働戦闘機
オーストラリア内陸上空を飛行するMQ-28級協働戦闘機
長距離飛行と低被探知性を両立するMQ-28の機体構成

MQ-28ゴーストバットは、オーストラリア空軍とボーイング・ディフェンス・オーストラリアが共同開発した無人の協働戦闘機、いわゆるCCAである。従来の偵察ドローンと違い、有人戦闘機や早期警戒管制機と同じ空域へ進出し、センサー、通信、電子戦、さらにはミサイル攻撃まで分担する。

この機体の核心は、パイロットを無人機へ置き換えることではない。有人機の前方にセンサーと武器を置き、危険な空域へ踏み込む距離を伸ばすことにある。私は、MQ-28の本当の武器は搭載ミサイルそのものではなく、有人機の視界と判断時間を前方へ持ち出す能力だと見ている。

この記事の要点

2025年にはE-7Aウェッジテイルから複数機を統制する試験とAIM-120空対空ミサイルによる実標的の撃破を達成した。さらに2026年6月から7月の演習ヴァリアント・シールド26では、米空軍F-15EXと飛行し、前進飛行場での給油を含む分散運用も実施している。MQ-28は、構想模型から実用化を争う段階へ移った。

目次

MQ-28ゴーストバットの基本性能

項目公表内容
開発国オーストラリア
開発主体オーストラリア空軍、ボーイング・ディフェンス・オーストラリア、豪国防科学技術グループ
分類協働戦闘機(CCA)/無人戦闘航空機
全長11.7m
全高2.0m
翼幅7.3m
最大離陸重量最大12,000ポンド、約5.4t
航続性能2,000海里超
最大速度最大マッハ0.9
運用高度4万フィート超
主な特徴自律飛行、有人機との協働、交換式ノーズ、オープンシステム、低被探知設計
実証済み能力E-7Aからの複数機統制、AIM-120による空中標的撃破、F-15EXとの共同飛行、前進拠点運用

数値だけを見れば、MQ-28は小型の低速ドローンではない。練習機に近い全長を持ち、戦闘機と行動できる速度と高度、長距離作戦に使える航続性能を備える。ボーイングは2,000海里を超える飛行能力、最大マッハ0.9、4万フィート超の上昇能力を公表している。豪空軍も全長、翼幅、運用高度を同様に示した。

ただし、2,000海里超という数字をそのまま戦闘行動半径と読むべきではない。兵装やセンサーの重量、飛行高度、待機時間、帰投時の燃料余裕によって実用上の行動範囲は変わる。公式資料も「航続距離」と「戦闘行動半径」を分けて詳細公表してはいない。

MQ-28とは何か|CCAと従来型ドローンの違い

CCAはCollaborative Combat Aircraftの略で、日本語では協働戦闘機、協調戦闘機、連携無人機などと訳される。遠隔操縦だけで飛ぶ無人機ではなく、一定範囲の判断と飛行を自律システムへ任せ、有人機の任務を補助する航空機だ。

重要なのは「Collaborative」、つまり協働である。

MQ-9リーパーのような無人機は、地上の操縦要員がセンサー映像を見ながら長時間飛行させる運用を基本とする。対してMQ-28は、有人戦闘機やE-7Aの乗員が一機ずつ細かく操縦する設計ではない。人間は「指定空域へ進出せよ」「前方を捜索せよ」「この目標を追跡せよ」と任務を与え、飛行経路の調整や編隊維持などは機体側が処理する方向で開発されている。

米太平洋空軍もCCAを「人間の監督下で活動する半自律航空機」と説明し、重大な判断では人間が関与すると明記した。自律化の目的は人間を意思決定から外すことではなく、操縦負担を減らし、少人数で複数機を扱えるようにすることだ。

「ロイヤル・ウイングマン」という旧称は、この性格を分かりやすく表していた。忠実な僚機という響きは強いが、実際のMQ-28は有人戦闘機の翼端に常に張り付く機体ではない。数十km、場合によってはさらに前方へ出て、別の高度や方向から敵を探す。僚機というより、有人編隊から切り離して使える前衛である。

オーストラリアが開発した理由

オーストラリアは国土が広く、主要基地から想定作戦地域までの距離も長い。一方、戦闘機や早期警戒管制機の数を際限なく増やせる国ではない。そこで、一機の有人機が複数の無人機を率い、センサー範囲と攻撃手段を広げる発想が生まれた。

開発は豪空軍、ボーイング、豪国防科学技術グループの協力で進み、2021年3月に初飛行した。2022年にはAirpower Teaming SystemからMQ-28A Ghost Batへ名称が変わった。ゴーストバットはオーストラリアに生息するコウモリで、視覚と反響定位を使って獲物を探す性質が、センサー任務を担う機体に重ねられている。

この計画には航空戦力の増強とは別の狙いもある。オーストラリア国内で軍用機を設計し、ソフトウェアを更新し、量産する能力を取り戻すことだ。MQ-28は同国で50年以上ぶりに設計・開発された軍用戦闘航空機と位置づけられ、計画には200社を超える国内企業が参加している。2025年末の豪政府発表では、関連雇用は440人超、事業支出の70%が国内産業へ向かうとされた。

私はここにMQ-28の戦略的な重みを見る。完成品を輸入するだけなら、機体は増えても設計能力は育たない。MQ-28は航空機であると同時に、オーストラリアが自国で次の改修を決められる産業基盤でもある。

交換式機首を取り外して整備するMQ-28級無人航空機
任務ごとにセンサーを交換できるモジュール式ノーズ

MQ-28の機体設計|ステルス性と交換式ノーズ

MQ-28は機首から主翼前縁へ線が連続する細長い形状を持ち、尾翼は外側へ傾けられている。空気取り入れ口や機体表面も、正面から見たレーダー反射を抑えるよう処理されている。ただし、F-35やF-22と同じ水準のレーダー反射断面積は公表されていないため、「第5世代戦闘機並みのステルス機」と断定することはできない。

低被探知性は必要だ。

CCAは有人機より前へ出る。簡単に発見される機体では、敵防空網へ近づく前に追跡されてしまう。一方で、極端に高価なステルス材料や整備設備を求めれば、数をそろえるというCCAの利点が薄れる。MQ-28は最高級の有人ステルス戦闘機を縮小コピーするのではなく、生存性と価格の均衡を狙った設計と考えるのが妥当だ。

外見以上に重要なのが、任務に応じて交換できるノーズ部分である。豪空軍は、機首へ異なるセンサーやペイロードを搭載できると説明している。ボーイングもオープンシステム構造とミッション化されたノーズを掲げ、第三者が開発した装備を組み込みやすい設計だとしている。

たとえば、ある機体には捜索レーダー、別の機体には電子情報収集装置、さらに別の機体には通信中継装置を載せられる。すべてを一機へ詰め込まず、編隊全体で機能を分ければ、任務ごとの再構成が容易になる。機首を交換する発想は、航空機を一枚岩の完成品から、更新可能な端末へ変えるものだ。

オープン構造は輸出でも効く。採用国が自国製センサー、電子戦装置、暗号通信を統合できれば、機密情報をすべてボーイングへ依存せずに済む。ボーイングは、顧客国が同社から独立して新能力を追加できるデジタル環境を用意すると説明している。

有人戦闘機と編隊飛行するMQ-28級無人航空機
有人機のセンサー範囲と攻撃軸を広げる協働飛行

有人戦闘機とどう飛ぶのか

MQ-28の運用では、離着陸と任務遂行が分けられている。豪空軍の説明では、地上管制所に発進・回収担当と任務実行担当を置く。飛行中は地上だけでなく、E-7Aのような空中プラットフォームからも統制できる。

2025年6月の試験は、その考え方を具体的に示した。E-7Aウェッジテイルに乗った一人のオペレーターが、飛行中のMQ-28二機とデジタル上の一機を同時に扱い、空中目標に対する任務を実施した。無人機は有人機の前方へ進出し、有人資産を守る役割を模擬した。ソフトウェア開発には豪州側だけでなく、米空軍研究所も参加している。

この実証の意味は大きい。一人が二機を飛ばしたというより、オペレーターが二機を一機ずつ操縦しなくても任務を進められた点が重要だ。CCAが増えるたびに操縦者も同数必要なら、無人化による人員節約は起きない。自律飛行と任務指示を組み合わせ、少人数で編隊を管理できて初めて戦力の「数」が増える。

2026年のヴァリアント・シールド26では、MQ-28が初めて大規模な国際統合演習へ参加した。F-15EXと飛び、防勢・攻勢対航空作戦の戦術を検証し、北マリアナ諸島ロタの飛行場ではHC-130Jから直接燃料を受ける前進給油も行った。主基地から離れた場所へ展開し、滑走路と燃料設備が限られる環境で運用するための試験である。

ここで見えてくるのは、MQ-28が「F-35専用の子分」ではないことだ。E-7A、F/A-18F、F-15EXなど、異なる機種のセンサーや指揮系統と接続し、部隊全体の一員として働くことを目指している。将来の試験対象にはF-35との連携も含まれている。

MQ-28が担う5つの役割

MQ-28が分担する任務

前方センサーとして敵を先に見つける

最も現実的な任務は、有人機より前方でレーダーや電子センサーを使うことだ。MQ-28が敵機や地上レーダーへ近づけば、後方の有人機は自機のレーダーを強く発信せずに状況を把握できる。発見されにくい位置を保ちながら、別方向から得た情報を受け取れる。

空中戦は、ミサイルの最大射程だけでは決まらない。誰が先に発見し、識別し、発射条件を整えるかが先にある。MQ-28を前へ出せば、センサーの基線が伸び、同じ目標を複数方向から見ることも可能になる。これが有人機の「目」を増やす意味である。

早期警戒機と戦闘機の間をつなぐ

E-7Aは広い空域を監視し、味方機へ指示を出す空中の司令塔だ。ただし、大型で目立つため、敵の長射程ミサイルが届く前線へ近づけない。MQ-28が前方で情報を集め、E-7Aが後方で整理すれば、早期警戒機の安全距離を保ったまま監視範囲を伸ばせる。

通信中継も重要になる。山岳、地球の曲率、妨害電波によってデータリンクが切れやすい環境では、無人機を空中の中継点として置く価値がある。戦闘機、早期警戒機、艦艇、地上部隊を結ぶネットワークの隙間を埋める役だ。

電子戦と囮を引き受ける

敵レーダーを妨害し、位置を暴露させる任務も想定できる。無人機が電波を発し、敵防空システムに「攻撃編隊が来た」と思わせれば、迎撃機の発進やレーダー照射を誘える。反応した敵の位置は、後方の有人機や長距離ミサイル部隊が利用できる。

危険は高い。それでも、パイロットを乗せたF-35やF/A-18Fを囮にするより損失の政治的・人的代償は小さい。無人機だから失ってよいわけではないが、最も危険な一歩を機械へ任せる選択肢は増える。

空対空ミサイルを運ぶ射手になる

2025年12月、MQ-28はAIM-120 AMRAAMを発射し、豪州製Phoenix Jet無人標的を撃破した。E-7AウェッジテイルおよびF/A-18Fスーパーホーネットと協働した実弾試験であり、MQ-28が偵察専用ではなく、空中目標を攻撃できるCCAへ進んだことを示す。

このとき無人機は、必ずしも自分のセンサーだけで戦う必要はない。E-7Aや戦闘機が目標情報を提供し、MQ-28が有利な位置からミサイルを撃つ形も考えられる。有人機は敵の射程外に残り、前方の無人機だけが発射位置へ入る。有人機一機が持つミサイル数の上限も、編隊全体では増やせる。

対地攻撃と戦果確認を行う

対地攻撃能力は豪空軍向けの詳細がまだ公表途上だが、将来の任務候補である。2026年3月、ボーイングとラインメタルはドイツ向けMQ-28を2029年までに提案し、空対地能力を用意する方針を示した。モジュール構造を生かし、精密誘導兵器、電子戦装置、地上監視センサーを国ごとに組み合わせる構想だ。

対地任務では、有人機より先に防空網へ接近し、目標を探し、攻撃後の画像を送る流れが想定される。もっとも、搭載可能な兵器重量、兵器倉の寸法、同時搭載数は全面公開されていない。将来構想と実証済み能力を混同してはいけない。

MQ-28の強み

有人機を危険から遠ざけられる

最大の利点は明快だ。敵戦闘機や地対空ミサイルへ最初に近づく役を無人機へ移せる。有人機を完全に安全にできるわけではないが、敵の探知範囲、発射位置、電子戦能力を先に探らせれば、パイロットが不利な条件へ飛び込む回数を減らせる。

パイロットの養成には長い年月がかかる。機体を補充できても、熟練搭乗員は短期間で増やせない。CCAは単なる機体価格の節約ではなく、希少な人材を守る装備でもある。

戦闘機一機を小さな航空隊へ変える

豪政府は、将来的に有人戦闘航空機一機に対し、少なくとも三機の無人航空プラットフォームを組み合わせる構想を示した。これが実現すれば、有人機一機の周囲にセンサー機、電子戦機、兵装運搬機を配置できる。

一機の万能戦闘機へすべてを詰め込むのではなく、複数機へ役割を分散する。どれか一機が離脱しても、残る機体で任務を続けやすい。私は、この分散性こそCCAが第五世代戦闘機へ加える最大の変化だと考える。

長距離作戦に向く

2,000海里超の航続性能は、インド太平洋の広い作戦空域に適している。給油機へ全面依存せずに前方へセンサーを出せれば、有人機と空中給油機の負担を軽くできる。2026年の前進給油試験は、長い航続距離だけでなく、分散した小規模拠点から再出撃する運用を狙っていることも示した。

航続距離は翼の長さだけで生まれない。燃料、整備、通信、前進拠点を含む運用全体がそろって初めて戦力になる。

改修速度を上げやすい

交換式ノーズオープンシステムは、数年ごとの大改修を待たず、センサーやソフトウェアを更新するための仕組みだ。敵の電波形式や通信方式が変われば、電子戦装置も早く変えなければならない。機体寿命の途中で任務装備を入れ替えられる設計は、変化の速い無人航空戦に向く。

MQ-28の弱点と課題

実用化で残る課題

本当に安いのかはまだ分からない

ボーイングは、有人プラットフォームの10分の1の費用を設計目標として掲げている。だが、これは確定した量産単価ではない。開発費、試験設備、地上管制、通信網、予備部品、ソフトウェア支援を含めれば、初期計画の総額は大きくなる。

2025年の契約では、豪政府が約14億豪ドルを協働航空能力へ追加投資し、その一部としてBlock 2六機と強化型Block 3試作機を進めると発表した。ボーイングが受けたAIR6015契約は7機の開発・納入・支援で7億5,400万豪ドルである。単純に機数で割った金額を一機価格とするのは誤りだが、安価な自爆ドローンとは別物であることは確かだ。

MQ-28は「使い捨て」より「損失を許容しやすい高性能機」に近い。私は、これを消耗品と呼ぶより、有人戦闘機より危険を引き受けられる再使用型戦力と捉えるべきだと思う。

通信を妨害されたときの挙動が問われる

CCAはデータリンクへ依存する。敵が通信を妨害し、位置情報を狂わせ、偽の目標情報を流せば、有人機との協働が崩れるおそれがある。自律性を高めれば通信断への耐性は増すが、機械が独自判断できる範囲も広がる。

必要なのは、通信が切れた場合の安全な行動規則だ。指定地点で待機するのか、帰投するのか、任務を続けるのか。兵器を持つ機体では、ソフトウェアの信頼性とサイバー防御がエンジン性能と同じほど重要になる。

人間の仕事量が増える危険もある

複数機を一人で統制できても、警報やセンサー映像が大量に流れ込めば、かえって判断が遅くなる。無人機が発見した対象をすべて人間が確認する運用では、機数を増やすほど情報処理が詰まる。

自律システムには、重要度の低い情報を整理し、人間へ選択肢を提示する能力が必要だ。同時に、なぜその目標を脅威と判定したのかを人間が理解できなければならない。自動化の量より、信頼できる自動化かどうかが問題になる。

滑走路と整備は必要である

MQ-28は大型模型のようにトラックから射出する機体ではない。通常の滑走路、燃料、整備員、通信設備が必要になる。敵が飛行場を弾道・巡航ミサイルで攻撃する環境では、基地を分散し、損傷した滑走路を修復し、前方で給油する仕組みが欠かせない。

ヴァリアント・シールド26でFARPと前進飛行場運用を試したのは、この弱点への回答でもある。機体が長距離を飛べても、地上側が一か所へ集中していれば戦力は止まる。

Block 1・Block 2・Block 3の違い

MQ-28は一度に完成型を作るのではなく、ブロックごとに能力を伸ばす方式を採る。細部は非公表だが、公開情報から役割の違いは整理できる。

Block 1は飛行特性、自律制御、センサー搭載、有人機との連携を確かめる開発機である。ボーイングは2025年末までに八機と複数の任務ペイロード・モジュールを製造したとしている。

Block 2は運用能力へ近づける量産代表型で、2025年末時点では三機が最終生産または試験段階にあった。豪政府はさらに六機を契約し、実用的な航空戦闘プラットフォーム能力の基礎にする方針を示した。

Block 3は強化型の試作機である。豪政府は一機の開発を公表したが、センサー、通信、航続性能、兵器搭載量など、具体的な変更点の全容はまだ公表していない。未確認の図面や報道だけで性能を断定すべき段階ではない。

豪政府は追加のBlock 2六機、Block 3試作機一機、センサー、指揮統制、地上設備へ投資し、試験・試作中心だった計画を豪空軍への導入段階へ進める方針を示した。具体的な初期作戦能力の達成時期は公開情報だけでは断定できない。

2026年時点の開発状況と海外展開

2025年はMQ-28が能力を証明した年だった。E-7Aからの複数機統制、豪州北部のティンダル基地への展開、有人機との相互運用、AIM-120実射が続いた。開発試験の段階を越え、任務に使えるかを測る試験へ進んだ。

2026年には国際展開が前面へ出た。ヴァリアント・シールド26でF-15EXと共同飛行し、米軍主導の指揮・兵站環境へ入った。米太平洋空軍は、有人機の到達範囲、状況認識、生存性をMQ-28がどこまで伸ばせるか分析すると説明している。

欧州では、ボーイングとラインメタルがドイツ軍向けCCAとして提案を開始した。2026年3月時点でMQ-28は150回を超える飛行を完了し、両社は2029年までの導入と空対地能力の提供を掲げた。ドイツ国内のデジタル開発環境を使い、同国製装備を統合する構想である。

英国との協力も動いている。2026年6月の豪英閣僚協議では、MQ-28の試験・実証、AESAレーダー技術、供給網、共同研究を進める方針が確認された。これは採用決定ではないが、GCAPを進める英国が豪州のCCA実績へ関心を持つ意味は小さくない。

GCAPの随伴無人機や米国CCAとの違い

MQ-28とGCAPの随伴無人機は、有人戦闘機と自律無人機を組み合わせる点で似ている。ただし、同じ計画ではない。MQ-28は既存のE-7A、F/A-18F、F-15EX、将来のF-35などと連携し、比較的早く実用化する独立プラットフォームである。

GCAP側の無人機は、2035年を目標とする日英伊の次期戦闘機を中心に、センサー、兵器、クラウド型ネットワークを一体設計する構想だ。将来の要求に合わせて高性能化できる一方、機体、通信規格、指揮方式はなお開発途中にある。

米空軍のCCA計画も、次世代航空優勢やF-35などを補完する大規模調達を狙う。MQ-28は米国の正式CCA機種そのものではないが、米空軍研究所がソフトウェア開発に加わり、2026年には米軍主導演習で運用評価を受けた。技術実証機として始まった豪州機が、同盟国の戦術を先に試す教材になっている。

MQ-28の優位は成熟度である。すでに実機が飛び、複数機統制、実弾射撃、国際演習、前進給油まで経験した。一方、将来の米国CCAやGCAP連携無人機が、速度、ステルス性、兵器搭載量で上回る可能性はある。現時点の完成度と将来の潜在性能を同じ物差しで比べるべきではない。

この論点を広く比較するなら、「GCAPの随伴無人機とは|第6世代戦闘機とCCAの役割」もあわせて確認したい。

日本にとってMQ-28が重要な理由

日本がMQ-28を導入するという公式決定はない。それでも、航空自衛隊とGCAPにとって参考になる点は多い。

第一は、既存機との接続だ。次期戦闘機が完成するまで待たず、F-35、早期警戒管制機、地上レーダーと無人機を結べれば、段階的に戦術を学べる。MQ-28がE-7AやF-15EXと連携した実績は、異なる世代・国籍の機体を共通ネットワークへ入れる難しさを先に示している。

第二は、主権的な改修権限である。日本がCCAを運用する場合、国産センサー、暗号、電子戦装置、空対空ミサイルを誰の許可で統合できるかが重要になる。機体を買えるかだけでは足りない。脅威が変わったとき、自国でソフトウェアとペイロードを更新できるかが戦力を左右する。

第三は、基地防護と分散運用だ。南西諸島や太平洋側の航空基地が攻撃される状況では、無人機も前進拠点、給油、整備、通信を分散しなければならない。ヴァリアント・シールド26で実施された前進給油は、日本の航空基地運用にも直結する課題である。

2026年4月の日豪防衛相会談では、MQ-28Aを対象とする協働戦闘機活動の実施枠組みを定めた実施取決めの完成が確認された。これは日本の導入決定ではないが、日豪が実機を使った知見共有や共同活動へ進む制度的な土台になる。

よくある質問

MQ-28は完全自律で敵を攻撃するのか

完全自律で自由に交戦する兵器としては公表されていない。米太平洋空軍は、人間の監督下で活動し、重大な判断では人間が関与するCCAとして説明している。

MQ-28にパイロットは乗るのか

乗らない。離着陸と任務を担当する地上要員がおり、飛行中はE-7Aなど空中の有人プラットフォームから統制することもできる。

MQ-28の航続距離はどのくらいか

ボーイングと豪空軍は2,000海里超としているが、兵装を搭載した状態の戦闘行動半径は公表されていない。

MQ-28はステルス機なのか

低被探知性を考慮した形状を持つが、レーダー反射断面積は非公表であり、F-35と同等とは確認できない。

MQ-28はミサイルを撃てるのか

撃てる。2025年12月にAIM-120空対空ミサイルで無人標的を撃破した。

MQ-28は使い捨てなのか

使い捨て前提の小型ドローンではなく、再使用、整備、改修を前提とする航空機である。ただし、有人戦闘機より危険な任務へ投入しやすい設計思想を持つ。

MQ-28はF-35と一緒に飛べるのか

F-35との連携は計画されているが、公表済みの代表的実証はE-7A、F/A-18F、F-15EXとの協働である。

MQ-28はいつ実戦配備されるのか

豪政府は追加機と支援設備へ投資し、豪空軍への導入方針を示している。ただし、初期作戦能力を達成する具体的な年月は公表資料だけでは確認できない。

まとめ|MQ-28は戦闘機の代替ではなく戦闘チームの増幅器

MQ-28ゴーストバットは、全長11.7m、航続2,000海里超最大マッハ0.9、4万フィート超の飛行性能を持つCCAである。交換式ノーズオープンシステムを備え、偵察、早期警戒、通信中継、電子戦、空対空攻撃などを編隊単位で分担する。

2025年にはE-7Aから二機を統制し、AIM-120による標的撃破へ進んだ。2026年にはF-15EXと国際演習へ参加し、前進飛行場での給油も経験した。豪政府はBlock 2六機とBlock 3試作機を追加し、豪空軍への導入段階へ計画を進めている。

戦闘機の価値を一機の速度、旋回性能、ミサイル搭載数だけで測る時代は終わりつつある。これから問われるのは、有人機が何機の無人機へ仕事を分け、どれだけ遠くへ目と武器を置けるかだ。MQ-28は戦闘機を消す機体ではない。戦闘機一機を、センサーと射手を分散した小さな航空隊へ変える機体である。

主な参考資料

  • <a href="https://www.boeing.com/defense/autonomous-and-unmanned-systems/mq-28-ghost-bat">Boeing「MQ-28 Ghost Bat」</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/news/2025-03-28/steering-air-force-into-new-era-air-power">defence.gov.au</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/news/2025-06-24/ghost-bat-flying-success-tindal">豪国防省「Ghost Bat a flying success in Tindal」</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/news-events/news/2025-12-12/ghost-bat-hits-mark-mid-air">豪国防省「Ghost Bat hits the mark mid-air」</a>
  • <a href="https://www.minister.defence.gov.au/transcripts/2025-12-09/press-conference-sydney">豪国防産業相「MQ-28 Ghost Bat announcement」</a>
  • <a href="https://www.minister.defence.gov.au/transcripts/2025-09-05/press-conference-woomera">豪国防産業相「Ghost Bat capability demonstration」</a>
  • <a href="https://www.minister.defence.gov.au/speeches/2025-08-19/address-queensland-media-club-delivering-australias-defence-capability">minister.defence.gov.au</a>
  • <a href="https://www.pacaf.af.mil/News/Article-Display/Article/4526053/mq-28-ghost-bat-to-join-allied-forces-in-exercise-valiant-shield-2026/">米太平洋空軍公式</a>
  • <a href="https://www.boeing.com/features/2026/06/mq-28-stealth-expands-mission-options-for-customers">Boeing「MQ-28 stealth expands mission options」</a>
  • <a href="https://www.boeing.com/features/2025/06/advancing-into-the-future">Boeing「Collaborative combat aircraft Q&amp;A」</a>
  • <a href="https://www.minister.defence.gov.au/statements/2026-04-18/joint-statement-australia-japan-defence-ministers-meeting">日豪防衛相会談共同声明(2026年4月18日)</a>
  • <a href="https://www.defence.gov.au/sites/default/files/2026-04/2026%20IIP%20Overview%20factsheet%20A4_WEB%20%281%29.pdf">豪国防省「2026 Integrated Investment Program」</a>

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参考資料・主な出典

Boeing「MQ-28 Ghost Bat」|資料を確認

defence.gov.au|資料を確認

豪国防省「Ghost Bat a flying success in Tindal」|資料を確認

豪国防省「Ghost Bat hits the mark mid-air」|資料を確認

豪国防産業相「MQ-28 Ghost Bat announcement」|資料を確認

豪国防産業相「Ghost Bat capability demonstration」|資料を確認

minister.defence.gov.au|資料を確認

米太平洋空軍公式|資料を確認

Boeing「MQ-28 stealth expands mission options」|資料を確認

Boeing「Collaborative combat aircraft Q&A」|資料を確認

日豪防衛相会談共同声明(2026年4月18日)|資料を確認

豪国防省「2026 Integrated Investment Program」|資料を確認

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