自衛隊の小型攻撃用UAV I型・II型・III型の違い|射程・目標・配備部隊を比較

近距離・中距離・遠距離の小型攻撃用UAVを示す島しょ防衛イメージ

自衛隊が導入を進める小型攻撃用UAVには、I型、II型、III型という三つの区分がある。名称だけを見ると、I型を改良してII型、さらにIII型へ発展したように思える。しかし実態は違う。

I・II・IIIという番号は世代順ではなく、攻撃する距離、対象、運搬方法、運用する部隊を分けるための戦術区分である。

最新の防衛省資料では、I型は近距離で車両などを攻撃し、II型は中距離で敵艦艇などを攻撃し、III型は遠距離で敵艦艇などを攻撃する装備と整理されている。さらに陸上幕僚長は、I型を普通科部隊、II型とIII型を野戦特科部隊などに配備する構想を示した。[1][6]

近距離・中距離・遠距離の小型攻撃用UAVを示す島しょ防衛イメージ
I型・II型・III型は機体の序列ではなく、異なる距離と部隊運用を分担する区分だ。

番号が増えるほど単純に高性能になるのではない。歩兵の背嚢から野戦特科の発射陣地へ、火力の主語が移っていく。ここを押さえれば、三つの違いは一気に理解できる。

目次

小型攻撃用UAV I型・II型・III型の違いを一覧で比較

携行型・中型・車両運搬型の3種類のUAVを比較するイメージ
三つの型は、携行方法とシステム規模が段階的に変わる。
この記事の結論

まず結論を表にまとめる。

区分最新の公式な用途2023年の初期構想運搬方法想定配備部隊公表済み機種
I型近距離で車両などを攻撃前線の普通科隊員が携行し、非装甲・非機械化の歩兵部隊などを探知・捕捉して無力化隊員携行普通科部隊Drone40
II型中距離で敵艦艇などを攻撃隊員が携行し、遠方の舟艇や軽装甲車両などを探知・捕捉して無力化隊員携行野戦特科部隊など公式な機種名は未公表
III型遠距離で敵艦艇などを攻撃車両で運搬し、一定時間遊弋しながら、より遠方の舟艇や軽装甲車両などを捜索・識別して無力化車両運搬野戦特科部隊など公式な機種名は未公表

最新資料における最も明快な区分は、I型が近距離、II型が中距離、III型が遠距離というものだ。[1]

ただし、防衛省は近距離中距離遠距離を何kmから何kmまでとするかを公表していない。したがって、民間製品の最大航続距離だけを見て型を断定することはできない。飛行距離だけでなく、弾頭、目標捜索能力、通信方式、発射装置、運搬方法、部隊編成を含めた運用全体で分類されていると見るべきである。

私は、この三分類を単なる機体サイズ表として読むと本質を外すと考える。これは、前線直近の小型目標から洋上の艦艇までを、無人機による異なる射程の火力で重ねる設計図である。

I型・II型・III型は改良型や世代名ではない

自衛隊装備では「○○式」や「能力向上型」という表現が多いため、I型、II型、III型も開発順だと誤解されやすい。しかし、防衛省が2023年7月に示した情報・提案要求書では、三種類を同時に別々の運用要求として提示していた。[3]

I型を採用してからII型を開発し、その改良版としてIII型を作る構造ではない。最初から次の三層を構想していた。

戦術上の層主な役割
I型前線部隊が自ら使う近距離の攻撃手段
II型中距離の目標に届く、携行可能な攻撃手段
III型車両で展開し、より遠方を攻撃する長射程の攻撃手段

陸上幕僚長も、II型、III型は「段々大きくなっていく装備品」であり、使える距離と効果が違うため、運用場面も異なると説明している。[6]

この発言からも、三分類は世代差ではなく、規模と射程と効果の違いを組み合わせたものだと分かる。

小型攻撃用UAV I型とは

Drone40のような小型UAVの本体と交換式ペイロードを整備するイメージ
I型で選定されたDrone40は、本体とペイロードを分けて任務を変えられる構造が説明されている。
I型で公式に確認できること

I型は普通科部隊が持つ近距離攻撃用UAV

I型は、前線で戦う普通科部隊が携行し、空中から車両などを捜索・識別して迅速に対処する装備である。[4][6][7]

普通科は陸上自衛隊における歩兵に相当する。従来、普通科部隊が遠方の目標を攻撃するには、迫撃砲、対戦車火器、野戦特科の支援、航空支援などが必要だった。I型は、その一部を小型無人機によって部隊内に持ち込む。

私はI型を、単なる「小さな自爆ドローン」ではなく、普通科部隊が自前で持つ空中経路の精密火力と見る。遮蔽物の背後や道路上を移動する車両を上空から確認し、そのまま攻撃へ移れる点に価値がある。

I型にはDrone40が選ばれた

2026年2月、陸上幕僚長は小型攻撃用UAV I型として、オーストラリアのDefendTexが開発したDrone40が落札されたと明言した。[6][8] 防衛省も同年5月、I型の機種選定が一般競争入札によって決定したと正式発表している。[7]

陸上幕僚長が示したDrone40のカタログ上の諸元は次の通りである。

項目公表内容
最大飛行時間約60分
最大航続距離35km
最大速度毎秒18m
同時運用3機を連携して運用可能
構造本体と弾薬部を分離可能
任務変更映像送信用などの装備へ交換可能

ここで注意したいのは、最大航続距離35kmだからといって、I型が常に35km先を攻撃する装備という意味ではない点だ。航続距離は機体が飛べる距離のカタログ値であり、通信環境、捜索時間、帰還の有無、弾頭搭載時の重量、地形、妨害電波によって実際の作戦距離は変わる。

防衛省がI型を「近距離」と呼ぶのは、機体の最大飛行可能距離だけでなく、前線の普通科部隊が携行し、自部隊周辺の目標を攻撃するという運用上の位置付けによるものだ。

I型は必ずしも全機が自爆するとは限らない

陸上幕僚長は、I型、II型、III型について、攻撃時には目標へ体当たりする認識でよいと説明している。一方、Drone40は本体と弾薬部を分離でき、映像送信用の装備などへ換装できる。[6]

したがって、攻撃モジュールを搭載した機体は目標への突入で失われるが、偵察や情報収集に使う構成まで一律に「自爆ドローン」と呼ぶのは正確ではない。

自衛隊が取得するI型は、機体、弾薬部、管制装置、訓練、整備、補給を含むシステムである。攻撃時の消耗性だけを取り出すと、装備の全体像を見失う。

小型攻撃用UAV II型とは

II型は中距離で敵艦艇などを攻撃する

最新の防衛省資料では、II型は中距離で敵艦艇などを攻撃するUAVとされている。[1]

2023年の情報・提案要求書では、隊員が携行でき、遠方の舟艇や軽装甲車両などを探知・捕捉して無力化できる小型軽量なものと説明されていた。[3][5]

初期構想では地上と洋上の移動目標の双方が対象だったが、令和8年度予算では敵艦艇への中距離攻撃が前面に出ている。これはII型の役割が、南西諸島を含む沿岸防衛の中で整理されてきたことを示す。

II型は携行可能だがI型より大きい

2023年の要求では、I型とII型はいずれも隊員携行が前提だった。ただし、陸上幕僚長はI型からIII型へ段階的に大きくなると説明している。[3][6]

II型は、I型のように普通科隊員が個人装備に近い感覚で使う機体よりも、発射器、管制装置、通信装置を含めて規模が大きくなる可能性が高い。とはいえ、III型のような車両運搬を前提とする区分ではなく、一定の分解や分担によって隊員が運べる範囲に置かれている。

中距離を効率よく飛ぶには固定翼型が有利になりやすいが、II型の採用機種、翼形式、確定性能は公表されていない。公式イメージ図の形だけから機種を特定することは避けるべきである。

II型は野戦特科の新しい誘導火力になる

陸上幕僚長は、II型とIII型を野戦特科部隊などに配備する構想を示している。[6]

野戦特科は、火砲やロケットなどで離れた目標を攻撃する部隊である。II型が野戦特科に入れば、従来の砲弾とは異なり、発射後に空中を飛びながら目標を捜索し、識別して攻撃する火力を持てる。

砲弾は撃った瞬間に着弾点がほぼ決まる。徘徊型の攻撃UAVは、発射後も目標地域を探し、条件が整わなければ攻撃を保留できる余地がある。この差は大きい。

II型は、歩兵直協のI型と、車両展開型のIII型をつなぐ中間層である。私はこの中間層こそ、島嶼防衛で最も運用頻度が高くなる可能性があると見る。人が運べる機動性を残しながら、海岸線の外側にいる舟艇や艦艇へ手を伸ばせるからだ。

小型攻撃用UAV III型とは

III型は遠距離の敵艦艇を攻撃する

III型は、最新資料で遠距離から敵艦艇などを攻撃するUAVと位置付けられている。[1]

2023年の情報・提案要求書では、車両で運搬し、一定時間遊弋しながら、より遠方の舟艇や軽装甲車両などを捜索・識別して無力化するものとされた。[3]

I型とII型が隊員携行を重視するのに対し、III型は車両運搬を前提とする。この一点だけでも、機体、発射装置、管制装置、アンテナ、電源、予備弾を含むシステム規模が別物であることが分かる。

III型は長い滞空時間と捜索能力が重要になる

遠距離の移動艦艇を攻撃するには、単に遠くへ飛ぶだけでは足りない。

発射時に目標がいた場所と、UAVが到達した時点の場所は異なる。艦艇は移動を続けるため、飛行中の目標情報更新、機上センサーによる再捜索、通信中継、識別、最終誘導が必要になる。

そのためIII型では、次の能力がI型以上に重くなると考えられる。

能力必要になる理由
長時間滞空遠方まで進出し、目標を待ち受けるため
広い捜索範囲艦艇の移動による位置ずれを補うため
長距離通信操作員や指揮所と接続するため
電子戦耐性妨害下でも航法と誘導を維持するため
大きな弾頭艦艇や軽装甲目標に有効な損害を与えるため
車両搭載発射装置大型化した機体を迅速に展開・発射するため

ただし、これらは運用要求から導ける一般的な要素であり、III型の確定した性能値ではない。防衛省は射程、弾頭重量、誘導方式、通信方式、採用機種を公表していない。

III型はミサイルと無人機の間に位置する

III型は見た目だけなら小型巡航ミサイルに近づく可能性がある。しかし、従来のミサイルとは運用思想が異なる。

ミサイルは高速で目標へ直行することを得意とする。徘徊型攻撃UAVは速度では劣る一方、目標地域で待機し、捜索し、より適切な瞬間を選んで攻撃できる。

III型は、翼を持った無人砲弾と、目標を探す偵察機の中間にある。高価な対艦ミサイルだけに頼らず、比較的安価な無人機を大量に組み合わせて侵攻部隊へ継続的な圧力をかけることが狙いだ。

三つの型を分ける5つの決定的な違い

1. 攻撃距離

I型は近距離、II型は中距離、III型は遠距離である。[1]

ただし、公式な距離区分はkmで公表されていない。各機の最大航続距離を並べるだけでは比較できず、目標捜索に使う時間や通信限界も含めた実用上の攻撃圏で考える必要がある。

2. 攻撃対象

最新の整理では、I型は車両など、II型とIII型は敵艦艇などが主な対象である。[1]

2023年の初期要求では、I型は非装甲・非機械化の歩兵部隊、II型とIII型は舟艇や軽装甲車両も例示されていた。[3]

要求の表現が変わっているため、「I型は歩兵専用」「II・III型は艦艇専用」と断定するのも適切ではない。現時点では、I型は前線の地上目標、II・III型は沿岸から洋上へ伸びる対舟艇・対艦火力に重点があると整理するのが正確である。

3. 運搬方法

I型とII型は隊員携行、III型は車両運搬が初期要求で示された。[3]

この差は、機体の重量だけでなく、発射器、管制端末、アンテナ、電源、予備機、整備器材まで含めたシステム全体の規模を表している。

4. 配備部隊

I型は普通科部隊、II型とIII型は野戦特科部隊などに配備する構想である。[6]

I型は前線部隊が自ら目標を見つけて攻撃する。II型とIII型は、より広い範囲の情報を受け取り、火力運用を統制する野戦特科が扱う。この違いは、操縦技術以上に、目標情報の共有と攻撃許可の流れへ影響する。

5. 機体規模と効果

陸上幕僚長は、I型からIII型へ段階的に大型化し、使える距離と効果が異なると説明した。[6]

一般に、機体が大型化すれば搭載燃料や電池、センサー、通信機、弾頭を増やしやすい。一方で、価格、輸送負担、発見されやすさ、発射準備時間も増える。

I型が優れている場面もあれば、III型が必要な場面もある。最強の一機を選ぶのではなく、異なる機体を大量に重ねることが自衛隊の狙いである。

なぜI型は普通科、II・III型は野戦特科なのか

普通科と野戦特科が異なるUAVを点検・訓練するイメージ
機体の違いは操縦だけでなく、配備部隊、訓練、整備、目標情報の統制にも表れる。

普通科と野戦特科では、必要な火力の距離と統制方法が異なる。

普通科は敵と接触する前線にいる。数分以内に現れる車両や火点へ対処するには、他部隊へ火力支援を要請して待つより、自部隊が持つI型を使う方が速い。I型には携行性、即応性、操作の簡便さが求められる。

野戦特科は、より遠方の目標を組織的に攻撃する。II型とIII型で艦艇を狙うなら、沿岸監視レーダー、他のUAV、USV、航空機、艦艇などから得た情報を統合し、どの目標へ何機を投入するかを決める必要がある。

火砲の時代、野戦特科は砲弾を遠くへ送り込む部隊だった。無人機の時代には、センサーを積み、自ら目標を探す弾薬を遠くへ送り込む部隊へ変わる。私はここに、陸上自衛隊の火力運用で最も大きな変化が起きると考える。

SHIELDの中で三つの型はどう使われるのか

SHIELDの中でI型・II型・III型が異なる距離を担うイメージ
I・II・III型は、SHIELDの陸上側における近距離・中距離・遠距離の攻撃層になる。
SHIELD内の位置づけ

防衛省は令和8年度予算で、UAV、USV、UUVを組み合わせる多層的沿岸防衛体制「SHIELD」の構築に1,001億円を計上し、令和9年度中の体制構築を目指している。[1][2]

小型攻撃用UAV I型、II型、III型は、このSHIELDを構成する陸上自衛隊の攻撃用アセットである。

想定される層は次のように整理できる。

防衛の層主な無人アセット役割
前線直近モジュール型UAV、I型情報収集、近距離の車両攻撃
沿岸・中距離II型、小型多用途USV舟艇や艦艇の捜索、攻撃
遠距離III型、艦艇攻撃用UAVなど遠方の艦艇への攻撃
水中小型多用途UUV艦艇などの情報収集

SHIELDの要点は、一つの高性能兵器で全てを処理することではない。安価な無人アセットを陸上、水上、水中、空中に分散し、侵攻側に多数の対処を強いることにある。

I型が撃破されてもII型が残り、II型を避けてもIII型やUSVが待つ。攻撃側は、防空、電子戦、警戒監視を複数方向へ割かなければならない。数と層で相手の処理能力を削るのがSHIELDであり、I・II・III型の区分はその陸上火力版である。

SHIELDの10種類の無人アセットと沿岸防衛構想を読む

モジュール型UAVとI型は何が違うのか

令和8年度予算では、モジュール型UAVと小型攻撃用UAV I型が別々の装備として並んでいる。[1]

モジュール型UAVは、近距離で情報収集などを行うFPVタイプのUAVである。I型は、近距離で車両などを攻撃するUAVである。

両者は前線で使う小型無人機という点では近いが、主目的が異なる。

装備主目的
モジュール型UAV近距離の情報収集など
小型攻撃用UAV I型車両などへの近距離攻撃

ただし、I型に選ばれたDrone40はペイロードを交換して映像送信にも使えるため、機能面では一部が重なる。名称は機体の全機能ではなく、自衛隊が調達する際の主たる任務を表していると考えた方がよい。

自衛隊のモジュール型UAVとI型の違いを確認する

小型攻撃用UAVは「安いミサイル」なのか

価格比較で見落としやすい費用

防衛省は無人アセットの利点として、従来装備より短期間かつ安価に取得できること、危険な環境で運用できること、同時大量運用が可能なことを挙げている。[1]

しかし、機体単価だけをミサイルと比較して「安い」と結論づけるのは早い。

実際の取得費には、機体だけでなく、弾薬部、管制装置、通信機材、教育、整備器材、予備部品、技術支援、試験、保管設備が含まれる。I型の選定結果でも、弾薬費を除くライフサイクルコストは引き続き精査するとされている。[7]

さらに、攻撃用UAVは電子妨害や対ドローン火器で撃墜されることを前提に、一定数を消耗する。安価であることは重要だが、平時の少数調達では量産効果が出にくい。

私は、自衛隊の成否を分けるのは一機の性能より、毎年どれだけ更新し、改良し、訓練で消費できるかだと見る。ドローンは十年使う完成品というより、短い周期でソフトウェアと部品を更新する弾薬に近い。

II型・III型の採用機種は何か

2026年7月時点で、防衛省が機種名を公表していることを確認できるのはI型のDrone40である。[6][7]

II型とIII型については、概念実証や能力向上型の検討が進められてきたが、採用機種名、正式な射程、弾頭、調達数量は公式に公表されていない。

防衛省の予算資料にはII型、III型のイメージ図が掲載されている。しかし、図には「イメージ」と明記されており、翼形や機首の形だけで特定企業の製品だと断定できない。[1]

海外には、Switchblade、HERO、SkyStriker、Warmateなど、携行型から車両発射型まで多数の徘徊型弾薬が存在する。性能が似ているからといって、自衛隊の採用機種であるとは限らない。

正式発表までは、候補機と採用機を分けて扱う必要がある。

I型・II型・III型で今後注目すべき点

無人機の量産・通信・電子戦耐性を検査する防衛産業のイメージ
成否を分けるのは一機の性能だけでなく、更新速度と量産・通信基盤だ。

三つの型を比較するときは、カタログ上の航続距離だけでなく、どの段階で目標を見つけ、誰が攻撃を承認し、通信が切れたときに何をするのかまで確認する必要がある。近距離のI型は前線の判断速度、中距離のII型は携行性と海上目標への接続、遠距離のIII型は滞空・再捜索・中継の設計が焦点になる。

また、配備数が増えるほど、発射機や機体の在庫だけでなく、バッテリー、交換ペイロード、操縦端末、通信鍵、整備員の教育課程が重要になる。I型からIII型までを別々の装備として管理すると補給が複雑になるため、共通の管制画面やデータ形式をどこまで採用できるかも、実際の稼働率を左右する。

公開情報で追うべき更新

射程の数値

近距離中距離遠距離の境界が公表されれば、三つの役割はさらに明確になる。特にII型とIII型の差は、実用攻撃距離だけでなく、滞空時間と通信方式に表れるはずだ。

弾頭と攻撃効果

車両、舟艇、艦艇では必要な弾頭が異なる。I型で軽車両を止める弾頭と、III型で艦艇へ有効な損害を与える弾頭は同一ではない。

電子戦への耐性

現代の戦場では、衛星測位妨害や通信妨害が常態化している。自律航法、画像認識、通信中継、周波数変更などの抗たん性が、カタログ上の航続距離以上に重要になる。

一人で何機を管制できるか

防衛省は多数の無人アセットを同時に管制する機能の実証も進める。[1][2]

一機につき一人の操作員が必要なら、大量配備は人員不足に突き当たる。少人数で複数機を監視し、目標付近だけ人が判断に関与する仕組みを構築できるかが鍵となる。

国内生産と改良速度

海外機を輸入するだけでは、戦場で得たデータを迅速に改良へ反映しにくい。電子部品、通信装置、弾頭、ソフトウェアを国内で更新できる体制が必要になる。

数年ごとの大改修では遅い。数か月単位で妨害対策や認識ソフトを更新できる調達制度へ変えられるかが、I型からIII型まで共通する課題である。

よくある質問:小型攻撃用UAV

I型、II型、III型は世代順か

世代順ではない。近距離、中距離、遠距離の運用と、携行方法、攻撃対象、配備部隊を分ける区分である。

最も強力なのはIII型か

射程や弾頭はIII型が大きくなる可能性が高いが、全ての場面で最も有効とは限らない。前線直近では、即応性と携行性に優れるI型の方が使いやすい。

I型の射程は35kmなのか

Drone40のカタログ上の最大航続距離は35kmと陸上幕僚長が説明している。ただし、実際の攻撃距離や作戦半径が35kmと公表されたわけではない。

II型とIII型は対艦ミサイルの代わりになるのか

完全な代替ではない。速度、弾頭、射程では対艦ミサイルが有利な場面が多い。一方、攻撃UAVは滞空、捜索、大量投入、比較的低い取得費という別の利点を持つ。両者を組み合わせる装備である。

全て自爆ドローンなのか

攻撃時には目標へ体当たりする運用が想定される。ただしI型のDrone40はペイロード交換が可能で、偵察や映像送信にも使えるため、全任務を自爆型と呼ぶのは正確ではない。

II型とIII型の機種は決まったのか

本稿作成時点で、公式な機種名の公表は確認できない。イメージ図だけで機種を断定すべきではない。

まとめ

I型・II型・III型の評価で、読者が最も注意したいのは「数字が大きい機体ほど、すべての場面で上位」という考え方である。I型は小さな部隊が短時間で使えること、中距離のII型は携行性を残して海岸線の外へ届くこと、III型は車両で展開して遠くの目標を待ち受けられることに価値がある。任務と環境が変われば、最適な型も変わる。

今後、正式な採用機種や性能が公表されれば、三つの型の違いはより具体的になる。ただし、実戦での有効性は機体のスペックだけでは決まらない。目標情報を受け取るセンサー、妨害に耐える通信、攻撃を判断する指揮系統、失った機体を補う生産・整備の仕組みがそろって初めて、I型からIII型までの層が一つの火力として機能する。

自衛隊の小型攻撃用UAV I型、II型、III型の違いは、改良順ではなく、射程、対象、運搬方法、配備部隊にある。

I型は普通科部隊が携行し、近距離の車両などへ迅速に対処する。採用機はDrone40である。

II型は隊員携行を維持しながら、中距離で敵艦艇などを攻撃する。I型より大きく、野戦特科部隊などで運用する構想だ。

III型は車両で運搬し、長時間の遊弋と遠距離攻撃を担う。より遠方の艦艇へ届く、野戦特科の無人長射程火力になる。

番号が増えるほど強くなるのではない。I型は前線の即応火力、II型は携行できる中距離火力、III型は車両展開する遠距離火力である。

この三つを重ねることで、自衛隊は歩兵の目の前から洋上の侵攻部隊までを無人機で連続的に覆おうとしている。I・II・III型の本質は機体の序列ではなく、異なる距離の火力を重ねる多層化にある。

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