2026年8月、楽天グループがドイツの防衛スタートアップと組んで、陸上自衛隊に攻撃型ドローンを売り込むというニュースが流れた。楽天は報道を「事実と相違ない」と認め、陸自はそのドローン「HX-2」の実証試験を9月末まで進めていると報じられた。
このとき、多くの人が初めて耳にした社名がHelsing(ヘルシング)だと思う。私もニュースを追っていて、「ネット通販の楽天が、なぜドイツの自爆ドローンの窓口に?」と二度見した。
ヘルシングは2021年にミュンヘンで生まれた会社で、2026年7月には評価額180億ドル(1ドル150円換算で約2.7兆円)をつけた。ところが面白いことに、この会社はもともとドローンメーカーではない。最初はAIソフトだけを作る会社だった。それがわずか5年で、自爆ドローン、潜水グライダー、無人戦闘機まで自分で作り、工場まで建てるようになった。
なぜソフト会社が兵器を作り始めたのか。何を作って、誰に、何を売っているのか。この記事では、ヘルシングの事業を「製品と事業の対応図」で整理しながら、その変身の理由と、報じられた疑問、そして日本との関わりまで見ていく。
- ヘルシングは2021年創業のドイツの防衛テック企業。既存の兵器にAIを載せるソフト事業から始まり、いまは自社のドローンや無人機も作る
- 事業は大きく「AIソフト」「自社ハード」「量産工場」の3層。ソフトが中心にあって、ハードはそのソフトを載せる器という構造
- ウクライナに攻撃ドローンを大量に送る一方、前線での性能には疑問を投げかける報道もあり、会社側は強く反論している
- 2026年8月には楽天が日本での販売窓口になり、陸上自衛隊がHX-2を試験した。正式な調達はまだ発表されていない
Helsingとは|会社の基本情報

写真・素材:Oddlief/Wikimedia Commons(CC BY 4.0)
ヘルシングは2021年3月、ドイツのミュンヘンで設立された。2025年6月には欧州会社(SE)に組織を変え、いまの正式名はHelsing SEだ。英国、フランス、エストニアなどに拠点を持ち、2026年にはアメリカにも工場を構えると発表した。
創業者は3人いて、経歴がばらばらなのが面白い。
トーステン・ライルは、オックスフォードで生物学を学んだ研究者出身の起業家だ。ゲーム向けの物理演算技術で知られるナチュラルモーションを創業し、その会社をゲーム大手のジンガに売った経験がある。グントベルト・シェルフはドイツ国防省に関わっていた人物で、防衛の現場と役所の事情を知る。ニクラス・ケーラーは機械学習のエンジニアだ。ゲームのAI、国防の役所、機械学習。この3つが組み合わさって、防衛AIの会社ができた。
会長職は2人いる。ひとりはSpotify創業者のダニエル・エク。創業時から自分の投資会社を通じて大金を入れてきた、いわば生みの親のひとりだ。もうひとりはエアバスの元CEOトム・エンダース。音楽配信の創業者と、欧州航空宇宙の大物が並んで会長を務めているわけで、この顔ぶれだけでも会社の性格がよく出ている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | Helsing SE |
| 本社 | ドイツ・ミュンヘン |
| 設立 | 2021年 |
| 創業者 | トーステン・ライル、グントベルト・シェルフ、ニクラス・ケーラー |
| 共同会長 | ダニエル・エク(Spotify創業者)、トム・エンダース(エアバス元CEO) |
| 従業員 | 約900人(2025年時点とされる) |
| 評価額 | 180億ドル(2026年7月のシリーズE時点) |
| 方針 | 民主主義国の政府にだけ売るとしている |
資金調達の伸び方も尋常ではない。2021年の最初の調達が1億ユーロ。2024年7月の調達で評価額は約50億ユーロになり、2025年6月には約120億ユーロと報じられた。そして2026年7月のシリーズEで18億ドルを集め、評価額は180億ドルに達した。会社は、いまも「主に欧州資本が持つ会社」であることを強調している。
何を作り、何を売っている会社なのか|製品と事業の対応図

写真:Helsing/Helsing Media Kit
まず全体像から。ヘルシングの製品を事業ごとに並べると、こうなる。
| 層 | 事業領域 | 製品 | 何をするか | 主な顧客・実績 | 段階(2026年10月時点) |
|---|---|---|---|---|---|
| AIソフト | 陸上の偵察・攻撃 | Altra | ドローンやセンサーの情報をまとめ、目標を見つけて砲兵や攻撃ドローンに渡す | ウクライナ、ドイツなど | 運用中 |
| AIソフト | 電子戦 | Cirra | 戦闘機のセンサーが拾った敵レーダー電波をAIで分類し、意図まで推定する | 独空軍の電子戦型ユーロファイター(サーブ独法人と契約) | 開発・統合中 |
| AIソフト | 空戦 | Centaur | 戦闘機を操縦し、空中戦の機動を判断するAIパイロット | スウェーデン国防装備庁の研究でグリペンEに搭載し飛行 | 試験段階 |
| AIソフト | 水中の音響解析 | Lura | 海中の音から艦艇や潜水艦を聞き分ける | SG-1とセットで提供 | 運用・試験中 |
| 自社ハード | 攻撃ドローン | HX-2(前身はHF-1) | 射程最大100kmの電動自爆ドローン。妨害を受けてもAIで目標に向かう | ウクライナ、独陸軍、陸自が試験 | 量産・実戦投入 |
| 自社ハード | 水中無人機 | SG-1 ファゾム | 長期間海中を漂って音を聞く無人グライダー | 英海軍など | 量産開始 |
| 自社ハード | 無人戦闘機 | CA-1 ユーロパ | Centaurを積む自律型の戦闘用無人機 | 未定(2029年の実戦配備が目標) | 開発中 |
| 量産 | 生産拠点 | レジリエンス・ファクトリー | 上の製品を大量・分散して作る工場網 | 独・英・米に展開 | 稼働・建設中 |
この表を眺めると、ヘルシングという会社の骨組みが見えてくる。
真ん中にあるのはソフトだ。Altra、Cirra、Centaur、Luraという4つのAIが、それぞれ陸・電波・空・海を受け持つ。そしてハードの製品は、ほぼすべて「どれかのAIを載せる器」として作られている。HX-2はAltraとつながる攻撃ドローンで、SG-1はLuraの耳、CA-1はCentaurの体だ。
一番下に工場がある。いくらAIが賢くても、戦争では数が要る。ウクライナの戦場で、ドローンは消耗品として月に何千、何万という単位で使われている。だから器を安く大量に作る工場まで自分で持つ。ソフト、ハード、工場の3層を縦に全部そろえるのが、いまのヘルシングの形だ。
出発点はソフトだった|既存の兵器に「AIを後付けする」商売

写真:Saab/Helsing Media Kit
創業からしばらくの間、ヘルシングはハードを作っていなかった。やっていたのは、既存の兵器メーカーが作った戦闘機や車両に、AIのソフトを後から載せる仕事だ。
代表例が電子戦の分野だ。ドイツ国防省は2023年、空軍のユーロファイター15機に新しい電子戦装置を積む計画で、スウェーデンのサーブのドイツ法人とヘルシングを選んだ。サーブがセンサーを作り、ヘルシングがその中で動く頭脳、Cirraを作る。敵の防空レーダーの電波を機上でAIが分類し、「これはどんな種類のレーダーで、何をしようとしているのか」まで推定する。データベースにない未知の電波にも対応できるのが売りだ。2025年11月に本契約が結ばれ、金額は「3桁の百万ユーロ」、つまり1億ユーロ以上とされている。
空戦AIのCentaurもこの延長にある。2025年5月28日と6月3日、バルト海の上空で、サーブのグリペンE戦闘機がCentaurに操縦を任せて飛んだ。安全のための人間のパイロットは乗っていて、いつでも操縦を取り戻せる状態だった。相手役は人間が操縦する別のグリペン。Centaurは複雑な機動をこなし、視界外での空戦も試して、パイロットに発射の指示を出したという。開発側は、強化学習で「数十年分の空戦経験を24時間ほどで積める」と説明している。
この時期のヘルシングは、言ってみれば兵器の「頭脳の下請け」だった。他社の機体にAIを入れる。うまくいけば、機体ごとにソフトの対価が入る。資本はあまり要らないし、欧州の大手メーカーとも喧嘩しない、賢い商売に見える。
ただし、弱点もあった。器を持たないソフト会社は、器を作る会社の都合に縛られる。機体の開発は何年もかかり、AIを試す場もメーカー次第になる。そして決定的だったのが、ウクライナの戦争だ。
なぜハードを作り始めたのか|ウクライナが会社の形を変えた

写真:Helsing/Helsing Media Kit
ロシアの全面侵攻で、ウクライナの戦場はドローンの実験場になった。ロシアがイラン製のシャヘド型自爆ドローンを大量に撃ち込み、ウクライナも安い攻撃ドローンを大量に飛ばして応じる。落とされたら、次を飛ばす。ロシア側は強力な電波妨害でドローンと操縦者の通信を切りにくる。通信が切れたら、ただの模型飛行機になってしまう。
ここでヘルシングの得意分野がそのまま生きた。通信が切れても、ドローン自身がAIで目標を見つけて突っ込めばいい。ただし、そのためには自社のAIを載せられるドローンが、すぐに、大量に要る。他社の開発を待っている時間はなかった。
最初に送り込んだのがHF-1という攻撃ドローンだ。ドイツ政府の資金で、数千機規模がウクライナに渡った。そして2024年12月、本命のHX-2を発表する。
HX-2は、重さ12kgほどの電動の自爆ドローンだ。上から見るとX字型に翼が並ぶ独特の形で、射程は最大100km。最後の突入はAIが受け持つので、途中で通信を妨害されても目標を追い続けられる。さらにAltraを使えば、1人の操縦者が複数機をまとめて扱えるとしている。2025年2月には、ウクライナ向けにHX-2を6,000機作ると発表した。
2026年3月には、ロシア側のドローン関係者のSNSで「後方の修理部隊や道路の作業員がやられている」とHX-2への不満が出ていたと報じられた。前線から離れた「安全なはずの後方」にまで届く、という評価の裏返しでもある。
海と空へ|SG-1ファゾムとCA-1ユーロパ
ドローンで一歩踏み出すと、そこからは早かった。
2025年5月に発表したSG-1ファゾムは、全長2m弱、直径28cmほどの水中グライダーだ。プロペラで走り回るのではなく、浮力を変えながらゆっくり滑空し、最大1,000mの深さまで潜る。速度は2〜3ノットと歩くより少し速い程度だが、そのかわり長期間海中にとどまって音を聞き続ける。拾った音はLuraが解析し、艦艇や潜水艦を見分ける。何十機、何百機とばらまいて海の「聞き耳」の網を張る、という使い方を想定している。2025年11月には英国南西部のプリマスに専用工場を開き、生産を始めた。
空ではもっと大きなものを作り始めた。2025年9月に発表したCA-1ユーロパは、重さ3〜5トン級の自律型の戦闘用無人機で、Centaurを積んで単独でも群れでも戦う構想だ。音速に近い速度で飛び、2029年の実戦配備を目指す。発表の舞台になったのは、2025年6月に買収を決めたドイツの練習機メーカー、グロブ・エアクラフトの工場だった。飛行機を作る会社を丸ごと買ってしまったわけだ。
アメリカでは有人戦闘機に随伴する無人機(CCA)の開発競争が進み、オーストラリアのMQ-28ゴーストバットのような先行例もある。CA-1は、欧州の部品と欧州の会社だけでそこに割って入ろうという挑戦状だ。
レジリエンス・ファクトリー|「場所を明かさない工場」

写真:Helsing/Helsing Media Kit
3層目の工場網を、ヘルシングは「レジリエンス・ファクトリー」と呼んでいる。直訳すれば「回復力の工場」だ。
最初の工場RF-1はドイツ南部に完成し、2025年2月の時点で月1,000機のドローンを作れるとされた。英国プリマスにはSG-1の工場ができ、2026年7月にはアメリカ・ウェストバージニア州マーティンズバーグに最初の米国工場を置くと発表した。こちらは約5,000万ドルを投じ、完全に動き出せば月2,000機以上のHX-2を作れる計画だ。
面白いのは、ヘルシングが一部の工場の場所を伏せていることだ。理由はロシアによる破壊工作への警戒。ウクライナ支援が本格化して以降、欧州では軍需企業の工場で破壊工作が疑われる火災などがたびたび報じられてきた。
これを聞いて、私は第二次世界大戦末期のドイツを思い出した。連合軍の爆撃が激しくなると、ドイツは航空機の工場を森の中や地下のトンネルに散らし、場所を隠して生産を続けた。ジェット戦闘機Me262を森の中の工場で組み立てていた話は有名だ。80年たって、同じドイツの会社が、今度は破壊工作を避けるためにドローン工場の場所を隠している。脅威の形は変わっても、「工場を狙われたら終わり」という発想は変わらないらしい。
順風満帆ではない|報じられた疑問と会社の反論
ここまで読むと、飛ぶ鳥を落とす勢いの会社に見える。ただ、ヘルシングには厳しい報道もついて回っている。
2025年4月、米ブルームバーグは元社員や投資家、軍事の専門家の話として、ドローンの価格が割高で、ソフトの信頼性にも問題があるという指摘を報じた。
2026年1月19日には、同じブルームバーグが「ウクライナがHX-2の追加発注を見合わせている」と報じた。ドイツ国防省側の資料をもとに、離陸の失敗が多いこと、自律制御のためのAI機能の一部がまだ載っていないこと、前線では電波妨害で操縦者との通信が切れることなどを挙げた内容だった。
ヘルシングは同じ日に声明を出して反論した。6つ以上のウクライナ軍部隊が具体的に発注を求めていること、前線で試した部隊が1,000機以上の追加を要望したこと、毎月数百機をウクライナに届けていること。ドイツ、英国、ケニアでの軍の試験では、命中率がほぼ100%だったとも主張している。どちらが正しいのか、外から判定するのは難しい。ただ、前線でのドローンの性能は、相手の妨害手段が数か月単位で変わるので、ある時点の評価がずっと続くとは限らない。
一方で、ドイツ政府はヘルシングを選んだ。2026年1月には、ドイツ軍の徘徊型弾薬(自爆ドローン)の調達で、ヘルシングと同じドイツの新興企業スターク・ディフェンスがそれぞれ約3億ユーロの契約を得る見通しと報じられた。老舗の大手ラインメタルは、試験で動く実機を示せずに外れたとされる。連邦議会は2月25日に初回分の予算5億4,000万ユーロを承認し、ドローンは2027年からリトアニアに駐留するドイツ軍の旅団に配備される予定だ。
もうひとつ、少し毛色の違う逆風もある。会長のダニエル・エクがヘルシングに投資したことに反発して、Spotifyから自分の楽曲を引き揚げるアーティストが出たのだ。防衛産業への投資が「普通の企業」にとってどれだけ敏感な話題かを示す出来事だった。
Helsingと日本|楽天が窓口になり、陸自がHX-2を試験した
ようやく冒頭の話に戻ってくる。
2026年8月17日、楽天は、ヘルシングが日本の防衛市場に入るための商談の取りまとめを支援すると明らかにした。楽天は日本での販売窓口になり、防衛省への導入を支援する。陸上自衛隊はHX-2の実証試験を進めていて、9月末まで続ける予定だと報じられた。ヘルシング側は、日本政府が同社のシステムを使うことで初期合意に達したと説明している。
楽天の説明によると、HX-2の狙いは、陸上の安全な場所から遠隔で操作し、沿岸に近づく目標を精密に狙うことで、上陸を思いとどまらせたり阻止したりすることにある。これは、防衛省が進める無人機を組み合わせた沿岸防衛の構想「SHIELD」の考え方とよく重なる。2026年度予算では、このSHIELDの構築に1,001億円が計上されていて、次の年度の要求でも無人機は柱のひとつになっている(令和9年度概算要求の解説)。
日本での生産については、日本経済新聞が国産化も視野に入ると報じた一方、楽天は現時点で量産の協議はしていないと説明している。私が確認できた10月上旬の時点では、試験の結果や正式な調達契約は発表されていない。
楽天がなぜ防衛なのか、という疑問への答えも少し見えてきた。楽天は2025年5月、ウクライナ政府系の防衛技術支援機関と組んで、ウクライナの防衛スタートアップの日本進出を手伝っている。2026年4月には、ウクライナ系のドローン企業が自衛隊の部隊向けに群制御のデモをした際の段取りも担ったと報じられた。ドローン配送の経験もある楽天が、海外の防衛テックと日本の防衛省をつなぐ「通訳」の役回りを取りにいっている、というのが私の見立てだ。
日本のドローン企業の動きは日本の防衛ドローン企業一覧、国内の新興勢は日本の防衛スタートアップ一覧で整理している。ウクライナで実績を積んだ日本企業の迎撃ドローンについてはTerra A1/A2の記事も参考になると思う。
アンドゥリルと何が違うのか
防衛テックの話になると、アメリカのアンドゥリルと並べて語られることが多い。どちらも「AIソフトを軸に、自前の無人機まで作る新興の兵器メーカー」なので、似て見えるのは当然だ。
ただ、出発点と立ち位置が違う。アンドゥリルは最初から自前のハードとソフトを一体で作り、アメリカ政府に「作ってから売る」会社として伸びてきた。ヘルシングは、欧州の既存メーカーの兵器にAIを載せる下請けから始まり、ウクライナをきっかけにハードへ広げた。そして何より、「欧州の資本、欧州の部品、欧州の工場」という主権を前面に出している。アメリカ頼みの安全保障に不安を感じる欧州の政府にとって、この看板は性能と同じくらい効いている。
ちなみに、ウクライナの防衛テック企業全般の動きはAmazing DronesとWinnyLabの記事でも触れている。
投資家目線|Helsing株は買えるのか
結論から言うと、買えない。ヘルシングは上場していない未公開企業で、株を持っているのは創業者や、ダニエル・エクの投資会社、ベンチャーキャピタル、そしてシリーズEで入ったゴールドマン・サックスやJPモルガン、カナダ年金基金などの機関投資家だ。
個人が間接的に関われる道はいくつかある。ひとつは、スウェーデンのサーブ。2024年の調達のあと、約5%の株を持つとされた(その後の増資で比率は薄まっている可能性が高い)。もうひとつは、日本の楽天グループだが、楽天の役割はあくまで窓口で、業績へのインパクトは今のところ小さいと見たほうがいい。
むしろ、ヘルシングの成長は「欧州の防衛テック全体にお金が流れている」というサインとして読むのが現実的だと思う。競合でもある独ラインメタル(RHM)株、ソフトで防衛に食い込んだ米パランティア(PLTR)株、そして防衛テック銘柄をまとめて持てる466A(グローバルX 防衛テックETF)あたりが、同じ流れに乗る候補になる。防衛株全体の地図は防衛関連銘柄の完全投資ガイドにまとめている。
将来の上場を期待する声もあるが、会社は時期について何も公表していない。
米国株や国内上場のETFも含めて防衛テックの銘柄をチェックしたいなら、日本株と米国株の両方を扱える証券口座をひとつ持っておくと便利だ。
防衛産業がなぜいま世界で伸びているのか、地政学の側から押さえておきたい人にはこの本がちょうどいい。
よくある質問
Helsingの読み方は?
日本語の報道では「ヘルシング」と表記されることが多い。正式な社名はHelsing SEで、ドイツ・ミュンヘンに本社がある。
Helsingは上場している?
していない。2026年7月の資金調達での評価額は180億ドルで、株は投資会社や機関投資家が持っている。上場の予定も公表されていない。
Helsingは日本で何をしている?
2026年8月に楽天が日本での販売窓口になり、陸上自衛隊が攻撃ドローンHX-2の実証試験を9月末まで行ったと報じられた。10月上旬の時点で、正式な調達契約は発表されていない。
HX-2とはどんなドローン?
重さ12kgほどの電動の自爆ドローンで、射程は最大100km。最後の突入をAIが受け持つため、電波妨害で通信が切れても目標を追える。ウクライナで使われているほか、ドイツ軍も調達を決めた。
アンドゥリルとの違いは?
アンドゥリルは米国の会社で、最初からハードとソフトを一体で開発してきた。ヘルシングはドイツの会社で、既存兵器にAIを載せるソフト事業から始まり、あとからハードに広げた。欧州の主権を強く打ち出している点も大きな違いだ。
まとめ|Helsingは「AIの器」を自分で作り始めたソフト会社
ヘルシングの5年間を一言でまとめると、「器を待てなかったソフト会社」だと思う。
最初は他社の戦闘機にAIを載せる頭脳の下請けだった。ところがウクライナの戦場は、何年もかけて開発される高価な器を待ってはくれなかった。だから自分でドローンを作り、潜水グライダーを作り、無人戦闘機まで作り始め、ついには工場の場所を隠すところまで来た。HX-2の前線での実力には疑問の声もあるが、ドイツ政府は採用を決め、日本の陸上自衛隊も試験に乗り出した。
日本にとっての意味もはっきりしてきた。島の多い日本の沿岸を守るには、安くて数をそろえられる無人機が欠かせない。その器をどこから、どれだけ手に入れるのか。ヘルシングと楽天の話は、その答えのひとつが欧州から来るかもしれない、という最初のサインなのだと思う。
最後まで読んでくれてありがとう。長い記事を書くときのお供は、だいたいこれだ。
出典・参考資料
- Helsing:会社紹介
- Helsing:2026年7月の資金調達
- Helsing:欧州会社への組織変更
- ITmedia NEWS:楽天とHelsingの協力に関する企業説明
- Helsing:会社概要資料(2025年)
表紙の写真素材:
写真・素材:Oddlief/Wikimedia Commons(CC BY 4.0)。背景・レイアウト・文字を編集。







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