11兆円。
この数字を見て、何を感じるだろうか。2022年度にわずか5.4兆円だった日本の防衛費が、2027年度には関連経費を含めてGDP比2%、つまり約11兆円規模に膨れ上がる。たった5年で倍増だ。戦後日本の安全保障政策において、これほどの大転換が起きた時代はない。
そして2025年10月、高市早苗首相が就任するや否や、この2027年度目標を2025年度中に前倒し達成すると宣言した。補正予算で約1.3兆円を積み増し、当初予算のGDP比1.8%を一気に2.0%に引き上げるという。さらにNATOが2035年までにGDP比3.5%という新目標を採択し、米国からも日本に対してGDP比3.5%への引き上げ要求がなされたとの報道もある。防衛費増額の波は、当分収まる気配がない。
では、この巨額マネーはいったい「どこに流れるのか」。
本記事では、防衛装備庁が公開した令和6年度(2024年度)の調達実績データを軸に、防衛予算GDP比2%時代の恩恵を最も受ける企業を、大手から中小まで完全ランキング形式で解説する。株式投資の判断材料としてはもちろん、「日本の防衛力を支えている企業の正体」を知りたいすべての読者に向けて、徹底的に語り尽くす。
防衛費GDP比2%とは何か――「43兆円計画」の全貌
まず前提を整理しておこう。
2022年12月、当時の岸田文雄首相が閣議決定した「国家安全保障戦略」において、日本は2023年度から2027年度までの5年間で防衛関係費として約43兆円を投じ、2027年度には防衛費と関連経費を合わせてGDP比2%を達成する方針を明記した。
この「GDP比2%」という数字は、NATOが加盟国に求めてきた国防費の努力目標に由来する。日本は1976年の三木武夫内閣以来、事実上「GDP比1%枠」を守り続けてきたが、ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍拡、北朝鮮のミサイル発射と、安全保障環境の激変がこの50年来の「常識」を一気に吹き飛ばした。
実際の予算推移を見てみよう。
- 2022年度:約5.4兆円(GDP比約1.0%)
- 2023年度:約6.8兆円
- 2024年度:約7.9兆円
- 2025年度:約8.7兆円(当初予算、GDP比1.8%)
- 2027年度目標:約11兆円(関連経費含む、GDP比2.0%)
年間およそ1兆円ずつ、着実に積み増されている。しかも高市政権は、この2%をさらに前倒しで達成すると明言し、次期防衛力整備計画ではGDP比2%を超える新たな数値目標が盛り込まれる可能性すらある。
つまり、防衛産業にとっては「追い風」などという生ぬるい表現では足りない。これは国策による構造的な需要拡大であり、一過性のバブルではない。
では、この巨大マネーの受け皿となる企業を、具体的なデータで見ていこう。
令和6年度 防衛装備品「受益企業ランキング」TOP20
防衛装備庁が公開した令和6年度(2024年度)の中央調達実績によると、調達総額は5兆7,943億円。前年度の5兆5,736億円から約4%増加している。
このうち契約方式別で見ると、随意契約が4兆6,755億円と全体の80.7%を占め、FMS(対外有償軍事援助=米国からの調達)が8,834億円で15.2%。一般競争入札はわずか2,354億円、全体の4.1%に過ぎない。
つまり、防衛調達の世界は「特定の企業が指名されて契約する」構造が支配的であり、一度この輪の中に入った企業は、安定的かつ巨額の契約を受け続けることができる。逆に言えば、新規参入のハードルは極めて高い。
以下が令和6年度の上位20社ランキングだ。
第1位:三菱重工業――契約額1兆4,567億円(238件)

圧倒的な王者。2位の川崎重工業の2倍以上という契約額が、この企業の防衛産業における支配的地位を物語っている。
主な調達品目を見ると、まずイージス・システム搭載艦1番艦の製造(その3)に1,397億円。これは従来のイージス・アショア計画が撤回された後に浮上した、洋上プラットフォームとしての新型イージス艦だ。さらに12式地対艦誘導弾能力向上型に1,047億円、島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)に838億円、極超音速誘導弾の研究試作に629億円、次期戦闘機(その5)に678億円と、日本の「反撃能力」の中核を担う装備のほぼすべてが三菱重工に集中している。
さらに注目すべきは、2025年8月にオーストラリア政府が次期汎用フリゲートとして「もがみ型護衛艦」改良型を選定したことだ。約100億ドル規模ともいわれるこの契約は、戦後日本初の大型防衛装備品輸出であり、三菱重工の長崎造船所と玉野工場がフル稼働する見通しとなっている。護衛艦の製造には800社超の下請けが関わるとされ、この1件だけでも日本の防衛産業全体に波及効果がある。
三菱重工の2026年3月期通期業績予想では、防衛・宇宙の売上高が前期比30%増を見込んでおり、全社としても事業利益で過去最高を更新する計画だ。
日本の防衛産業を語る上で、三菱重工を外すことは絶対にできない。この企業の動向が、すなわち日本の防衛力の方向性そのものである。
三菱重工の防衛事業について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてほしい。 → 三菱重工の防衛産業を徹底解説
第2位:川崎重工業――契約額6,383億円(133件)
「軍事銘柄御三家」の一角にして、前年比64.2%増という驚異的な伸び率を見せた。
最大の調達品は輸送ヘリコプターCH-47JAの12機で1,611億円。次いでCH-47J輸送ヘリコプター5機に714億円、P-1固定翼哨戒機3機に614億円、潜水艦(8135)1隻に565億円、RC-2偵察機1機に444億円と続く。
川崎重工の最大の強みは、潜水艦の建造能力だ。日本で潜水艦を製造できるのは川崎重工と三菱重工の2社のみ。しかも両社が交互に建造する体制を取っており、川崎重工が「たいげい型」潜水艦の建造を担当する年は、それだけで数百億円規模の契約が発生する。
2026年3月期の業績予想では、航空宇宙システムカンパニーが大幅な増収を見込み、全社としても事業利益で過去最高更新を計画している。
川崎重工の防衛事業の詳細はこちら。 → 川崎重工の防衛事業を徹底解説
第3位:三菱電機――契約額4,956億円(139件)
「陰の功労者」という表現がこれほど似合う企業はない。三菱電機は、自衛隊の「目」と「耳」を担うレーダー、通信システム、誘導弾の心臓部であるシーカーやセンサーを一手に引き受けている。
主な調達品はシースパローミサイルRIM-162ブロックIIに517億円、統合装備計測評価システムに381億円、03式中距離地対空誘導弾(改善型)に359億円+初度費661億円、次期中距離空対空誘導弾に263億円。
防衛の大規模システムと衛星システムの双方に高い技術力を持つ点が他社にない強みだ。宇宙領域が安全保障の最前線となる時代において、三菱電機の重要性は今後さらに増していくだろう。
三菱電機の防衛事業についてはこちら。 → 三菱電機の防衛事業完全ガイド
第4位:日本電気(NEC)――契約額3,117億円(282件)

件数で見ると実は全社トップの282件。1件あたりの金額は大きくないが、自衛隊のネットワークとC4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察)を支える「デジタルの守護神」である。
自動警戒管制システム等(06機能付加等)に373億円、広帯域多目的無線機(野外通信システムの更新)に191億円、野外通信システムに168億円。地理空間情報支援システム、総合解析システムなど、情報系インフラの更新案件が目白押しだ。
サイバー防衛の強化が国策として進む中、防衛省は2027年度までに約4,000人規模のサイバー要員確保を目指している。このサイバー領域こそ、NECが最も存在感を発揮できるフィールドである。
NECの防衛事業の全貌はこちら。 → NECの防衛事業完全ガイド
第5位:富士通――契約額1,736億円(144件)
防衛というとハードウェアのイメージが強いが、現代の防衛力は「情報処理能力」がなければ成り立たない。富士通は自衛隊のIT基盤を支える中核企業であり、MSIIオープン系システム用器材の借上、陸自クローズ系クラウド基盤、海自ロジスティクス基盤システムなど、ソフトウェア・インフラ系の大型案件を多数受注している。
スーパーコンピュータ「富岳」の技術力を背景に、防衛シミュレーションやAI解析分野でもその存在感は増す一方だ。
富士通の防衛事業についてはこちらで詳しく解説している。 → 富士通の防衛事業完全ガイド
第6位:ジャパンマリンユナイテッド(JMU)――契約額1,614億円(3件)
たった3件で1,614億円。驚異的な1件あたり単価だ。イージス・システム搭載艦2番艦の製造(その2)に1,324億円、掃海艦、輸送艇の建造と、艦船建造に特化した企業ならではの契約構造である。
JMUはIHIマリンユナイテッドと住友重機械工業のマリンエンジニアリングが統合して誕生した造船会社であり、横浜の磯子工場を拠点に護衛艦や補助艦艇の建造を手がけている。三菱重工の長崎造船所と並ぶ日本の軍艦建造の二大拠点の一つだ。
第7位:東芝インフラシステムズ――契約額1,569億円(93件)
11式短距離地対空誘導弾、機上電波測定装置、移動型電波測定装置が主な調達品。なお、東芝インフラシステムズは2025年4月1日付で株式会社東芝に統合されており、今後は東芝ブランドとしての防衛事業展開が注目される。
第8位:日本製鋼所――契約額1,206億円(46件)
ここからが「中堅防衛株」の領域に入ってくる。日本製鋼所は装輪装甲車(人員輸送型)AMVを26両納入する契約を含む46件を締結。さらに将来レールガン(その3)の研究試作に236億円、MK25キャニスタの製造と、火砲・装甲車両・先端兵器の分野で独自の地位を築いている。
レールガンは「電磁加速によって弾丸を発射する」次世代兵器であり、防衛装備庁のプロジェクト管理対象装備品にも選定されている。まさに「未来の防衛技術」の最前線に立つ企業だ。
第9位:伊藤忠アビエーション――契約額971億円(44件)
商社系防衛企業の代表格。JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)に297億円、高性能20mm機関砲、CH-47JA用初度部品の輸入など、主として海外製装備品の輸入仲介を担う。FMS以外のルートでの輸入調達において、伊藤忠アビエーションの存在は不可欠だ。
第10位:日立製作所――契約額798億円(98件)
機雷捜索用水中無人機(小型)OZZ-7、情報本部共通基盤の器材借上、掃海艦ソーナーシステムOQQ-10-5が主要品目。無人水中航走体(UUV)の分野は今後の成長が見込まれ、日立の防衛事業はここからさらに拡大する可能性がある。
第11位〜第20位:注目すべき「第二集団」

続く11位から20位も、それぞれに注目すべきポイントがある。
第11位の沖電気工業(691億円)はソノブイ(対潜水艦探知用の投下式ソーナー)や将来潜水艦用ソーナー装置など、対潜戦の「耳」を担う。
第12位のSUBARU(595億円)は多用途ヘリコプターUH-2の製造で存在感を示す。旧中島飛行機の遺伝子を受け継ぐ同社は、T-5初等練習機の製造も手がけており、航空分野での実績は揺るぎない。SUBARUの防衛事業についてはこちらで詳しく解説している。 → SUBARUの防衛事業完全ガイド
第13位のIHI(578億円)は「軍事銘柄御三家」の一角にして、日本のジェットエンジン生産の約7割を担う。次期戦闘機用エンジンシステム、P-1用エンジン、T-4用エンジンのオーバーホールが主要品目だ。次期戦闘機GCAP(日英伊共同開発)のエンジン部分を受け持つ同社の重要性は、今後さらに高まるだろう。 → IHIの防衛事業を徹底解説
第14位の三菱重工機械システム(549億円)は極超音速燃焼風洞試験装置(その2)1件のみで549億円。極超音速兵器の研究開発を支える基盤設備であり、この分野への国の本気度がうかがえる。
第15位の三井物産エアロスペース(418億円)は商社系として、USV(無人水上艇)の供試器材やCH-47JA用搭載電子機器の輸入を担う。
第16位のENEOS(345億円)と第17位の中川物産(340億円)は燃料供給企業。航空タービン燃料や艦船用軽油の納入は、自衛隊の「動脈」そのものだ。地味だが絶対に欠かせない存在である。
第19位のダイキン工業(269億円)は、エアコンメーカーとしてのイメージが強いが、防衛分野では120mm戦車砲用弾薬や将来EMP装備の研究試作を手がける「弾薬の雄」である。
第20位の小松製作所(256億円)は建設機械大手だが、防衛分野では120mmりゅう弾や155mmりゅう弾など砲弾の製造を担う。なお、小松は2023年に装甲車事業から撤退しており、弾薬製造に事業を絞り込んでいる。その経緯についてはこちらで詳しく解説している。 → コマツの防衛事業撤退の真相
ランキング外だが注目すべき「中小防衛銘柄」
ここからが本記事の真骨頂だ。TOP20に入らない中小企業の中に、「防衛費GDP比2%」の恩恵を最も敏感に反映する企業が潜んでいる。
石川製作所(証券コード:6208)
石川県白山市に本社を置く、大正10年創業の繊維機械メーカー。しかしこの企業の真の顔は「機雷・地雷・爆弾メーカー」である。1936年に軍事産業に参入して以来、自衛隊向けの機雷を独占的に供給し続けている。
2026年3月期第3四半期の連結業績は、防衛機器部門の好調により売上高116億5,500万円(前年同期比11.8%増)、営業利益9億1,000万円(同65.2%増)と大幅な増収増益。防衛費増額の恩恵をダイレクトに受けている。
さらに注目すべきは、無人潜水機(UUV)関連の技術開発だ。機雷製造で培った水中技術をUUVに応用する可能性があり、防衛装備庁のプロジェクト管理対象には「管制型試験UUV」や「長期用型無人水中航走体(UUV)」が含まれている。
地政学リスクが高まるたびに株価が急騰する「防衛関連小型株の代表格」であり、北朝鮮のミサイル発射報道や中東情勢の緊迫化で一日に8%以上上昇することも珍しくない。
豊和工業(証券コード:6203)
自衛隊が使用する小銃を製造する、日本唯一の国産ライフルメーカー。最新の20式5.56mm小銃の製造を独占的に担い、旧来の89式5.56mm小銃からの更新需要が今後数年間にわたって見込まれる。
トヨタグループにルーツを持つ工作機械メーカーでもあるが、防衛関連の売上比率は高く、防衛費増額の恩恵を受けやすい銘柄として投資家の注目を集めている。
豊和工業の歴史と技術については、こちらの記事で詳しく解説している。 → 豊和工業とは何者か?
細谷火工(証券コード:4274)
自衛隊向けの照明弾・発煙筒では国内最大手。時価総額が小さいため、地政学リスクに反応した短期マネーで株価が大きく振れやすい。自己資本比率71.3%と財務体質は堅実で、防衛費拡大の恩恵を着実に取り込んでいる。
日本アビオニクス
NECグループに属する防衛電子機器メーカー。陸・海・空すべての自衛隊向けに対空戦闘指揮システム、指揮統制表示装置、信号処理装置等を提供している。地味だが、自衛隊のC4ISR能力を底支えする重要な存在だ。
FMS(対外有償軍事援助)――「もう一つの受益者」
見落としてはならないのが、FMS経由で米国に流れる資金の存在だ。令和6年度のFMS調達額は8,834億円、全体の15.2%を占める。
主な調達品は以下の通り。
- F-35A/B戦闘機:2,668億円(米空軍省)
- F-35 ALGSの態勢整備:815億円
- 弾道ミサイル防衛用誘導弾SM-3ブロックIIA:583億円(米海軍省)
- イージス・システム構成品等の整備:653億円(米海軍省)
- 地対空誘導弾ペトリオット再保証弾:754億円+200億円
- AIM-120等:421億円
- F-35能力向上改修:294億円
つまり、日本の防衛費のうち約1兆円近くが毎年米国に流れている構造だ。この構造は、防衛費が増額されても「国内産業への還元」が限定的になるリスクをはらんでいる。
実際、2024年度の防衛装備品購入費に占める米国からの調達(FMS契約額)は約9,316億円とされ、装備品購入費全体の50%超に相当するとの指摘もある。
防衛費をいくら増やしても、その大半が米国への支払いに消えるのでは、国内の防衛産業基盤は強化されない。ここが、日本の防衛政策が抱える構造的なジレンマである。
この「FMS問題」は、三菱重工が次期戦闘機GCAPの開発を日英伊共同で進めている背景とも深く関わっている。自国で戦闘機を設計・製造できる能力を維持することは、FMSへの過度な依存から脱却するための生命線なのだ。
「防衛バブル」の先にあるもの――武器輸出と産業基盤の未来
防衛費増額だけでも巨大なインパクトだが、さらに大きなゲームチェンジャーがある。「武器輸出」の解禁だ。
2025年8月、オーストラリア政府が三菱重工の「もがみ型護衛艦」改良型を次期汎用フリゲートに選定したことは、戦後日本の防衛装備移転政策における歴史的転換点となった。約100億ドル規模とされるこの大型契約は、フィリピンへの警戒管制レーダー輸出に次ぐ完成品輸出の2例目であり、殺傷能力を持つ大型装備品としては初めてだ。
さらに高市政権は、武器輸出の対象を絞っている「5類型」を2026年通常国会中に撤廃する方針を示している。5類型とは、完成品の輸出を救難・輸送・警戒・監視・掃海の5用途に限定する要件で、これが撤廃されれば、戦闘機や戦車といった主要装備品の直接輸出が可能になる。
この動きは、防衛産業の市場規模を根本から変える可能性がある。これまで「防衛省だけが唯一の顧客」だった日本の防衛産業が、海外市場という新たな収益源を獲得することになるからだ。
護衛艦の製造には800社超の企業が関わっているとされる。オーストラリアへの輸出が軌道に乗れば、三菱重工だけでなく、その下請けを担う中小企業にも恩恵が広がる。日本の防衛産業は「内需型」から「外需も取り込む成長産業」へと変貌しつつある。
日本の防衛ビジネスの全体像については、こちらの記事でさらに深堀りしている。 → 日本の防衛ビジネス超入門 → 日本の防衛産業・軍事企業一覧
7つの重点分野と「次に来る」装備品
防衛力整備計画が掲げる7つの重点分野を押さえておくと、今後どの企業がさらに伸びるかが見えてくる。
1. スタンド・オフ防衛能力
12式地対艦誘導弾能力向上型(三菱重工)、島嶼防衛用高速滑空弾(三菱重工)、極超音速誘導弾(三菱重工)、ASM-3改(三菱重工)、トマホーク(FMS)。「反撃能力」の中核であり、最も予算が集中する分野だ。
→ 日本が保有するミサイル全種類を完全解説 → 12式地対艦誘導弾とは?(※企画中)
2. 統合防空ミサイル防衛能力
SM-3ブロックIIA(FMS)、PAC-3(三菱重工)、03式中距離地対空誘導弾改善型(三菱電機)、イージス・システム搭載艦(三菱重工・JMU)。北朝鮮・中国の弾道ミサイルに対する多層防衛網の構築が急がれている。
→ 日本のミサイル防衛システム完全解説(※企画中)
3. 無人アセット防衛能力
滞空型無人機シーガーディアン、戦闘支援型多目的USV(三菱重工)、管制型試験UUV(日立)、長期用型UUV。この分野は新規参入企業の余地が最も大きく、防衛テック系スタートアップの参入も活発化している。
4. 領域横断作戦能力
自動警戒管制システム(NEC)、広帯域多目的無線機(NEC)、統合装備計測評価システム(三菱電機)。情報共有と意思決定のスピードを高めるC4ISR領域だ。
5. 機動展開能力・国民保護
C-2輸送機(川崎重工)、CH-47JA輸送ヘリコプター(川崎重工)、オスプレイ。島嶼防衛のための迅速な部隊展開に不可欠な分野である。
6. 持続性・強靭性
弾薬の備蓄強化(ダイキン工業・小松製作所)、施設の強靭化(五洋建設等ゼネコン各社)。地味だが予算配分は大きい。
7. 先端技術
次期戦闘機GCAP(三菱重工・IHI)、将来レールガン(日本製鋼所)、極超音速燃焼風洞試験装置(三菱重工機械システム)、HGV対処用誘導弾システム。日本の技術力の粋を結集した最先端分野だ。
自衛隊を支える「人」にもカネが流れる
防衛予算の増額は装備品だけではない。自衛官の処遇改善にも大きな予算が割かれている。
2025年12月には防衛省職員の給与改正法が成立し、全号俸の俸給月額が引き上げられた。高校新卒の2士で224,600円から239,500円へ(+14,900円、6.6%増)、自衛官候補生は179,000円から190,500円へ(+11,500円、6.4%増)と、いずれも過去最大級の引き上げ幅だ。
ボーナスも一般の隊員で年間4.60月分から4.65月分に引き上げられている。
少子化で自衛官の確保が年々困難になる中、この処遇改善は「人的防衛力」の維持に直結する。給与が上がれば消費も増え、駐屯地周辺の地域経済にもプラスの波及効果がある。「防衛予算の増額は軍事だけの話ではない」ということを、ここでは強調しておきたい。
まとめ――「国を守るカネの流れ」を知ること
防衛予算GDP比2%。この数字の裏側には、日本の安全保障を支える企業群の壮大な生態系が広がっている。
三菱重工を頂点とする大手重工3社が防衛産業の骨格を形成し、NEC・三菱電機・富士通がデジタルの神経系統を、JMU・川崎重工が艦船や潜水艦の建造を、そして石川製作所・豊和工業・細谷火工といった中小企業がニッチだが不可欠な装備品を供給する。この構造全体が、日本の「防衛力」なのだ。
2027年度に向けてさらに増額される防衛予算、高市政権による前倒し達成、NATOのGDP比3.5%新目標、武器輸出の本格化。すべてのベクトルが「防衛産業の拡大」を指し示している。
この記事を読んで「防衛産業って面白いな」と思った方は、ぜひ個別の装備品記事や企業解説も読んでみてほしい。日本を守る「モノ」と「ヒト」と「技術」の実態が、より鮮明に見えてくるはずだ。
→ 海上自衛隊の艦艇完全ガイド → 陸上自衛隊の日本戦車一覧 → 航空自衛隊の戦闘機一覧 → 世界最強戦闘機ランキングTOP10 → 世界最強戦車ランキングTOP10
最後にひとつ言わせてほしい。
この11兆円は、我々国民の税金だ。だからこそ、そのカネがどこに流れ、何に使われ、どの企業が恩恵を受けているのかを知ることは、民主主義国家の国民として当然の権利であり、責任でもある。「国防はお上に任せておけばいい」という時代は、もう終わった。
この記事が、読者の知的好奇心と投資判断の双方に役立つことを願っている。
そして、日本の防衛産業で働くすべての人々に、深い敬意を表したい。彼らが作る「モノ」が、この国を守っている。

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