防衛関連の穴株10選──時価総額500億円以下で2026年に急騰が期待できる銘柄

三菱重工、川崎重工、IHI──防衛銘柄といえば、まず頭に浮かぶのはこの「御三家」だろう。事実、高市早苗政権が防衛費GDP比2%への前倒し達成を宣言して以降、三菱重工の株価は上場来高値を更新し続けている。だが正直に言おう。「もう高すぎて手が出ない」と感じている個人投資家は少なくないはずだ。私もその一人だ。今から買うのは躊躇ってしまう。

しかし、防衛費増額の恩恵を受けるのは大手だけではない。むしろ、時価総額が小さい企業ほど防衛予算の増額が業績に直撃する。売上の半分以上が防衛省向け、というような企業が時価総額100億~300億円台でゴロゴロしているのだ。

この記事では、時価総額500億円以下(2026年3月時点の概算)に絞り込み、防衛費倍増の「国策相場」で急騰が期待できる穴株を10銘柄紹介する。三菱重工に乗り遅れたと嘆く前に、まだ間に合う「次の弾」を仕込んでおこう。

本記事は筆者個人の分析・見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではない。投資は自己責任で行っていただきたい。


目次

なぜ今、防衛関連の「小型株」なのか

まず大前提として、日本の防衛予算がどれほど激変しているかを押さえておきたい。

2022年度の防衛費は約5.4兆円だった。それが2027年度には約11兆円へ倍増する見通しである。5年間の総額は43兆円。しかも高市政権は当初計画を2年前倒しし、2026年度中にGDP比2%水準を達成する方針を打ち出している。2026年度の防衛予算は過去最高の約8.8兆円に達する見込みだ。

この「倍増」のインパクトは、大型株より小型株にこそ効く。理由は単純で、三菱重工の売上高は約4.8兆円あり、防衛部門が伸びても全社への影響は限定的だ。一方、売上高100億~200億円規模で防衛省向け比率が50%を超えるような企業であれば、防衛予算の増額がそのまま売上・利益の急拡大に直結する。

さらに見逃せないのが、2023年10月に施行された「防衛生産基盤強化法」の存在である。この法律により、防衛装備品の想定営業利益率が従来の8%から最高15%へと引き上げられた。要するに国が「防衛関連メーカーはもっと儲けていい」と公認したわけだ。かつてコマツや住友重機械が「儲からないから」と撤退した防衛産業が、今や高利益率の成長産業へと変貌しつつある。

防衛企業の事業環境や利益構造の変化については、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。

日本の防衛ビジネス超入門|三菱重工から町工場まで

日本の防衛産業・軍事企業一覧【2025年最新】


防衛関連の穴株10選

ここからは、時価総額500億円以下を目安に、防衛予算倍増の恩恵を受ける小型株を厳選して紹介する。いずれも防衛省との取引実績がある企業ばかりだ。


第1位:日本アビオニクス(6946)── 護衛艦の「目と頭脳」を握る隠れた本命

証券コード:6946(東証スタンダード)

日本アビオニクスは、NEC系列の防衛・産業用電子機器メーカーである。一般にはあまり名前を知られていないが、その実力は凄まじい。海上自衛隊が運用中の護衛艦50隻、潜水艦22隻、掃海艦艇21隻──そのほとんどに同社製の情報表示装置が搭載されているのだ。

主力製品は対空戦闘指揮装置、艦船用情報表示装置、自動警戒管制システムなど。いわば護衛艦の「目」であり「頭脳」にあたる装備を一手に担っている。

2026年3月期の業績は凄まじい。第3四半期累計で売上高197億円(前年同期比44.3%増)、営業利益33.7億円(同102.4%増)と、売上・利益ともにほぼ倍増のペースで走っている。通期でも売上高250億円、営業利益40億円への上方修正を発表済みだ。受注残高は321億円と前年同期比で2倍以上に膨らんでおり、来期以降も高成長が続く可能性が高い。

スタンドオフ防衛や無人機活用が重点領域になる中、同社が得意とするセンサーや情報処理装置は不可欠な存在だ。時価総額はすでに1,000億円を超えてきているが、業績の伸びを考えれば割高とは言い切れない。防衛関連中小型株の中では、実力で選ぶなら筆頭候補と言える。

海上自衛隊の艦艇がどのような装備を搭載しているかは、以下の記事で詳しく解説している。

海上自衛隊の艦艇完全ガイド|護衛艦から潜水艦まで全艦種を徹底解説


第2位:石川製作所(6208)── 機雷と誘導装置の老舗、防衛小型株の「顔」

証券コード:6208(東証スタンダード)

防衛関連の小型株と聞いて、真っ先に名前が挙がるのが石川製作所だ。北朝鮮がミサイルを発射するたびに株価が急騰する、いわば「有事銘柄の代名詞」である。

同社は大正10年(1921年)に繊維機械メーカーとして創業し、1936年から軍需産業に参入。現在は機雷、爆弾、誘導装置といった防衛機器の製造を主力としている。地味な企業に見えるが、海上自衛隊の機雷戦能力を根底から支えている存在だ。

従来は「北朝鮮ミサイルが飛ぶと上がる思惑株」という見方が大半だったが、状況は変わりつつある。防衛費の継続的な増額により、実際の受注が積み上がり始めているのだ。時価総額も小さいため、業績の改善がそのまま株価に跳ねやすい構造になっている。

中国海軍の急速な拡張に対し、機雷戦能力の強化は海上自衛隊の喫緊の課題である。詳しくはこちらの記事を参照してほしい。

日本が保有するミサイル全種類を完全解説!


第3位:細谷火工(4274)── 照明弾と発煙筒、「弾薬増産」の直接的な恩恵

証券コード:4274(東証スタンダード)

細谷火工は自衛隊向けの照明弾、発煙筒、各種火工品を製造するニッチ企業だ。主要取引先に防衛省、海上保安庁、消防庁が並ぶ、正真正銘の官公庁銘柄である。

防衛力整備計画の中で「弾薬・誘導弾の十分な確保」は最重要項目のひとつに位置付けられている。これまで日本は「有事の際に弾薬が数日で底をつく」と言われてきたが、この致命的な弱点を解消するために、弾薬関連の調達予算は大幅に増額されている。

時価総額が極めて小さいため、値動きは荒い。有事報道ひとつで10%以上動くこともザラだ。短期のスイングトレードにも向いているが、防衛予算の構造的な拡大を考えれば、中長期で仕込む価値も十分にある。


第4位:豊和工業(6203)── 国内唯一の小銃メーカー、替えがきかない存在

証券コード:6203(東証スタンダード)

豊和工業は日本で唯一の防衛用小銃メーカーである。陸上自衛隊が現在配備を進めている「20式5.56mm小銃」を製造しているのがこの会社だ。それだけではない。迫撃砲、無反動砲発煙弾、手榴弾なども手がけている。

「国内唯一」という点がこの銘柄の最大の強みだ。防衛装備品には高度なセキュリティ要件があり、小銃の製造を海外に委託するわけにはいかない。豊和工業が作らなければ、自衛隊員は新しい小銃を持てないのである。

工作機械事業も持っており、防衛一本足ではないが、自衛隊の人員増強や装備近代化が進む中で、火器事業の売上増加は確実に見込める。中国の現地法人縮小で一時的に業績が下振れしているが、防衛部門の成長ストーリーは揺らいでいない。

自衛隊の小火器装備については、以下の記事も参考になるだろう。

豊和工業とは何者か?トヨタゆかりの「国産ライフル」を支える老舗メーカーの歴史と現在


第5位:放電精密加工研究所(6469)── 三菱重工が筆頭株主の「防衛サプライチェーン」本命

証券コード:6469(東証スタンダード)

放電精密加工研究所は金属放電加工の専業メーカーで、高い技術力を持つ。注目すべきは2024年1月に三菱重工業と資本・業務提携を行い、三菱重工が株式34%を保有する筆頭株主になったことだ。

この提携により、三菱重工から発注される防衛装備品を含む航空宇宙関連部品の受注が急増している。2026年2月期の第3四半期累計では、売上高105億円(前年同期比14%増)、営業利益8.6億円(同173%増)と利益が約2.7倍に急拡大。通期計画に対する経常利益の進捗率は112%と、すでに計画を超過している。

三菱重工の防衛・宇宙部門は前期比30%増の売上高を見込んでおり、その部品供給を担う放電精密への発注は今後も増え続ける公算が大きい。三菱重工の「防衛特需」をより小さな時価総額で享受できる銘柄として、機関投資家からの注目度も高まっている。

三菱重工の防衛事業の全体像については、以下の記事で解説している。

三菱重工の防衛産業:軍事部門の割合から防衛装備庁連携、輸出まで


第6位:理経(8226)── 防衛省向けIT商社、VRシミュレーターで先行

証券コード:8226(東証スタンダード)

理経はIT・情報機器の輸入販売を手がける技術商社だが、官公庁向け、特に防衛省との取引に強みを持っている。

連結子会社のエアロパートナーズを通じて防衛省向け航空機部材や保守点検ビジネスを展開し、売上拡大に寄与している。また、ヘリコプター用VRフライトシミュレーターでも実績があり、自衛隊の訓練インフラを支える役割も担い始めている。

さらに同社はエルム社と衛星通信用地上局アンテナの開発で戦略的提携を結んでおり、宇宙防衛の領域にも足場を築きつつある。防衛省向けの売上比率は年々上昇傾向にあり、2027年3月期には2ケタ成長トレンドに復帰するとの見方もある。

Jアラート(全国瞬時警報システム)の受信機を販売していることから、北朝鮮のミサイル発射時にも物色されやすい銘柄だ。


第7位:カーリットホールディングス(4275)── 宇宙ロケット推進薬の隠れた担い手

証券コード:4275(東証プライム)

カーリットホールディングスは化学品メーカーで、産業用火薬・推進薬の製造を行っている。防衛関連としては、ロケットモーターや弾薬に使用される推進薬のサプライヤーとして知られる。

時価総額は300億円台と小さく、一般的な認知度も低い。だが、ロケット推進薬は代替が効かない素材であり、日本の防衛・宇宙産業にとって不可欠な存在だ。ミサイルの増産体制構築という国策に直接恩恵を受ける立場にある。

直近の業績は微増収微増益だが、防衛・宇宙関連の受注が本格化すれば、収益の上振れ余地は大きい。長期保有でキャピタルゲインを狙う投資家にとっては面白い銘柄だろう。

日本のミサイル戦力の全体像を知りたい方は、以下の記事を参照してほしい。

日本が保有するミサイル全種類を完全解説!


第8位:櫻護謨(5765)── 航空機燃料タンクのシール材、防衛の「見えない部品」

証券コード:5765(東証スタンダード)

「櫻護謨(さくらゴム)」という社名を聞いてピンとくる投資家は少ないだろう。同社は航空機用のゴム製品、特に燃料タンク用のシール材や防弾タンクセルを製造している。自衛隊のヘリコプターや航空機に搭載される燃料タンクの気密性・耐弾性を確保する、まさに「命綱」の部品メーカーだ。

防衛装備品の中でも最も地味な「裾野産業」に位置するが、だからこそ参入障壁が高い。航空機用ゴム製品は厳格な品質規格を満たす必要があり、新規参入は極めて困難だ。

防衛費倍増に伴い、航空機の稼働率向上やヘリコプターの増勢が進めば、同社の製品需要も自ずと増加する。時価総額が小さいだけに、一度火がつけば値動きは大きくなりやすい。


第9位:極東貿易(8093)── 防衛関連専門商社のダークホース

証券コード:8093(東証スタンダード)

極東貿易は防衛・産業機械分野に特化した専門商社だ。防衛省向けのエンジン部品や特殊素材の輸入・供給を手がけており、自衛隊の装備調達チェーンの中で独自のポジションを確保している。

2026年3月期の第3四半期は売上高476億円(前年同期比35.7%増)、営業利益18.2億円(同26.8%増)と大幅な増収増益を達成。M&Aの効果もあり、通期予想も売上高640億円、営業利益24億円へと上方修正された。増配も発表済みで、年間配当は74円を予定している。

防衛装備品は海外製の部品・素材を多く使用するため、輸入を担う専門商社の存在は不可欠だ。防衛費の拡大は、装備品メーカーだけでなくその調達を支える商社にも直接的な恩恵をもたらす。


第10位:興研(7963)── NBC防護マスクと「有事」の最前線

証券コード:7963(東証スタンダード)

興研は防じんマスク・防毒マスクのトップメーカーであり、自衛隊向けにはNBC(核・生物・化学)防護マスクを供給している。

「マスクなんて地味だな」と思うかもしれないが、NBC防護装備は現代戦において最も重要な個人防護装備のひとつだ。北朝鮮の化学兵器使用懸念、中国ロケット軍の弾道ミサイル脅威など、日本周辺のNBCリスクは年々高まっている。

有事報道が出ると重松製作所(7980)とともに買われやすい銘柄で、地政学リスクのヘッジとしてポートフォリオに組み込んでおく価値がある。時価総額が小さいため、一度物色が始まると値動きが極めて軽い。

北朝鮮や中国の弾道ミサイル脅威と日本のミサイル防衛体制については、以下の記事で詳しく解説している。

中国ロケット軍とは何者か?弾道ミサイル部隊の全貌を徹底解説

中国の極超音速兵器は本当に止められないのか?


穴株投資で押さえるべき3つのリスク

世界の名銃が一堂に会したイメージ。S&W M500、デザートイーグル、グロック17、SIG P320、ベレッタ92が並ぶ

ここまで10銘柄を紹介してきたが、小型の防衛関連株には大型株にはないリスクも存在する。飛びつく前に、以下の3点は頭に入れておいてほしい。

まず第一に、値動きの荒さだ。時価総額が小さい銘柄は、少しの売り買いで株価が大きく動く。北朝鮮のミサイル発射で10%上がった銘柄が、翌週には何事もなかったかのように戻していることも珍しくない。短期の思惑で飛び乗ると、はしごを外される可能性がある。

第二に、防衛省依存のリスクだ。防衛省向け売上比率が高い企業は、防衛予算が削減される局面では業績が大きく悪化する。現在は拡大基調にあるが、政権交代や財政悪化で流れが変わる可能性はゼロではない。

第三に、流動性リスクだ。出来高が少ない銘柄では、大きなポジションを取ると売却時に思うような価格で売れないことがある。投資金額は自分のリスク許容度に合わせて慎重に設定すべきだ。


まとめ──防衛費倍増は「小型株」にこそ効く

三菱重工やIHIといった大型株はすでに市場に織り込まれつつある。だが、防衛費の倍増という「世紀の国策」のすそ野は、まだまだ広がりきっていない。

機雷を作る石川製作所、小銃を作る豊和工業、護衛艦の表示装置を作る日本アビオニクス、三菱重工の部品を加工する放電精密──こうした企業こそが、防衛予算倍増の果実を最も直接的に受け取る立場にある。

2026年の防衛予算は過去最高の8.8兆円に達する見込みだ。高市政権は防衛力強化を政策の柱に据えており、この流れが少なくとも2027年度まで続くことは確定している。防衛関連の小型株は、国策銘柄の中でも最もリスク・リターンの振れ幅が大きいカテゴリーだが、その分、大化けの期待も大きい。

本記事で紹介した10銘柄は、いずれも防衛省との取引実績があり、防衛予算の拡大から直接的に恩恵を受ける企業ばかりだ。「三菱重工に乗り遅れた」と嘆く前に、足元に転がっている穴株を拾い上げてみてはいかがだろうか。

もちろん、投資は自己責任が大前提だ。だが、国が「防衛に金を使う」と宣言し、しかもメーカーの利益率まで引き上げてくれるという状況は、戦後の日本株市場においてかつてない追い風である。この風を背中に受けるか、見送るか──判断は読者に委ねたい。

防衛関連銘柄の投資判断に役立つ、各社の事業内容や防衛装備品との関連は、以下のハブ記事から体系的に学べる。

日本の防衛産業・軍事企業一覧

日本の防衛ビジネス超入門

世界の軍事力を”仕組み”で読み解く:8つの指標


※本記事は2026年3月時点の情報に基づいて執筆している。株価・時価総額・業績データは日々変動するため、投資判断の際は最新の情報を確認してほしい。また、本記事は特定銘柄の購入・売却を推奨するものではない。

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