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F-14トムキャットのプラモデルを買おうとして、最初に驚くのはその大きさだと思う。タミヤの1/48のF-14は、主翼を広げると幅が40cmを超える。同じ1/48の零戦の倍近い大きさだ。そして次に迷うのが、箱に書かれた「F-14A」と「F-14D」の違いだ。
2026年1月、タミヤから1/72のF-14Dが出て、F-14のキット選びは大きく変わった。従来のタミヤの1/48 F-14は、置き場所に困る大きさだったからだ。この記事では、タミヤのF-14の4つのキットを中心に、A型とD型の違い、1/72と1/48の違いを整理して、自分に合う1機の選び方をまとめた。実機の性能比べではなく、模型として何を選ぶかの話だ。
- 最初の1機なら、2026年1月に出たタミヤ1/72のF-14D(60795)。タミヤが自社で設計した新しいキットで、可変翼が歯車で動き、大きさも棚に収まる
- 1986年の映画『トップガン』の機体を作りたいならA型。エースコンバット8は、本編のF-14Dと早期購入特典のF-14Aの両方に乗れるので、どちらでもいい
- A型とD型は、エンジンのノズルの形と、機首の下のセンサーのポッドで見分けられる
- 1/48は全長も全幅も40cm前後になる。主翼を後ろに畳んで飾れば、横幅はおよそ6割まで詰められる
- 空母の発艦の場面を作りたいなら、甲板のシートとカタパルト士官の人形がついた1/48の「発艦セット」がある
結論:今回比べるタミヤのF-14は4種類、こう選ぶ
まず、この記事で比べるタミヤのF-14のキットを一覧にしておく。
このほかに、2012年に出た1/72のF-14A(60782)がある。こちらはほかのメーカーのキットをタミヤの箱で出した製品で、2026年の60795とは生まれがまったく違う。同じ「タミヤの1/72 F-14」でも中身は別物なので、買うときは品番を確かめたほうがいい。
一覧を見てわかるとおり、1/48の3つはどれも全長・全幅が約40cmある。F-14という飛行機は、全長約19mに対して主翼を広げた幅も約19.5mあり、上から見るとほぼ正方形に近い。この形が、模型では置き場所の問題として効いてくる。

A型とD型、実機は何が違う?
F-14には大きく分けてA型、B型、D型の3つがある。模型を選ぶうえで知っておきたい違いはこうだ。
| 型 | 時代 | 見分けるところ | 主な登場作品・使った国 |
|---|---|---|---|
| F-14A | 1970年代から | 細長いエンジンのノズル。後期型は機首の下にカメラのポッドが1つ | 映画『トップガン』(1986年)、イランにも輸出 |
| F-14B | 1980年代の終わりから | エンジンを新しいものに換装し、ノズルが短く太くなった | タミヤのキットはない |
| F-14D | 1990年代から2006年の退役まで | B型と同じエンジンに加え、機首の下にセンサーのポッドが2つ並ぶ | エースコンバット8の本編、アメリカ海軍の最後のトムキャット |
いちばんわかりやすいのは、お尻のエンジンのノズルだ。A型は細長い形で、エンジンを換装したB型とD型は、短く太い形をしている。タミヤの1/48のF-14Dも、D型のエンジンのノズルを新しい部品で再現している。アフターバーナーを焚くとノズルがどう開くのかはアフターバーナーの仕組みで書いた。
もうひとつは機首の下だ。D型には、赤外線で目標を探るセンサーと、遠くの機体を見分けるカメラが、2つ並んだポッドとしてぶら下がっている。後期のA型にはカメラのポッドが1つだけつく。キットの箱絵で機首の下を見れば、どの型かがすぐにわかる。
F-14という飛行機そのものの歴史はF-14トムキャットの解説に詳しく書いた。
型で選ぶ:トップガン派か、エースコンバット派か
F-14のキットを選ぶとき、私がまず聞きたいのは「どこでF-14を好きになったか」だ。
映画『トップガン』から入ったならA型
1986年の映画『トップガン』に出てくるF-14は、A型だ。あの映画の機体を作りたいなら、A型のキットを選ぶ。
タミヤなら1/48のF-14A(61114)がある。2016年に新しく作られたキットで、1973年に配備が始まった初期のA型を再現している。主翼は20度から75度のあいだで好きな角度に動かせ、マーキングはアメリカ海軍の2種類と、イラン空軍の1種類から選べる。
映画の機体そのものの塗装にこだわるなら、ドイツのレベルから『トップガン』の主人公マーヴェリックのF-14Aが1/48で出ている。部品は97点と、タミヤの1/48よりかなり少なく、映画の機体のデカールがついている。作りの細かさはタミヤに譲るが、映画の機体を手早く形にしたい人には向いている。
作る前に映画を見直しておくと、手が止まったときの気分転換にもなる。
エースコンバット8から入ったなら、どちらでもいい
ゲームの『エースコンバット8』から入った人は、A型でもD型でもいい。エースコンバット8では、F-14Dが本編に収録されていて、F-14Aはパッケージ版の早期購入特典、ダウンロード版の予約特典として手に入る。ゲームの中で長く乗っている型を選べばいい。ゲームの中の機体の一覧と入手方法はエースコンバット8の機体一覧にまとめた。
私のおすすめは、ゲームで乗り回したF-14Dを1/72で作ることだ。新しいキットなので作りやすく、完成したら机の上に置いて、ゲームの合間に眺められる大きさになる。
最後のトムキャットが好きならD型
アメリカ海軍でF-14が最後まで飛んでいた姿を作りたいなら、D型だ。1/72のF-14D(60795)には、全身が真っ黒な試験部隊VX-9「ヴァンパイアーズ」の機体や、2006年の退役直前まで飛んだ第213戦闘飛行隊「ブラックライオンズ」の、航空団司令の乗る特別塗装機(CAGバード)など、5種類のマーキングが入っている。退役の直前、F-14は爆弾を積んで地上を攻撃する役目も担っていて、キットにもレーザー誘導爆弾と照準用のポッドが入っている。
1/48のF-14D(61118)は、偵察用のカメラポッドや電子妨害のポッドまで選べる。F-14の最後の時代を細かく作り込みたい人に向いている。
空母の発艦の場面を作りたいなら「発艦セット」
1/48のF-14A後期型の発艦セット(61122)は、ほかのキットにない面白さがある。46×27.6cmの紙の飛行甲板と、カタパルトに機体をつなぐ部品、発艦の合図を出すカタパルト士官の人形がついていて、発艦直前の場面をそのまま作れる。前脚も、カタパルトにつないで縮んだ状態の短い部品が入っている。
甲板の上の人の服の色が、仕事によって違うことは空母の甲板員の服の色で書いた。人形を塗るときに読んでおくと、色で迷わない。
縮尺で選ぶ:1/48は40cm、1/72は27cm
型が決まったら、次は縮尺だ。F-14は大きな機体なので、縮尺の違いがほかの戦闘機よりずっと大きく効いてくる。
| 1/72 | 1/48 | |
|---|---|---|
| 全長 | 26.5cm | 39.8cm |
| 主翼を広げた幅 | 27.2cm | 40.8cm |
| 主翼を後ろに畳んだ幅(計算の目安) | 約16cm | 約24cm |
| 置き場所の目安 | A4の紙に少しはみ出すくらい | 棚の1段をまるごと使う |
主翼を後ろに畳んだ幅は、実機が最も深く主翼を畳んだときの幅(約11.65m)から計算した目安だ。F-14は可変翼の飛行機なので、主翼を後ろに畳んで飾れば、横幅は広げたときのおよそ6割まで詰められる。棚に並べるときは、この可変翼が大きな味方になる。
それでも1/48の全長40cmは大きい。カラーボックスの奥行きは30cm弱なので、1/48のF-14は機首を奥に向けて置くと前にはみ出す。飾る場所の奥行きを測ってから買ったほうがいい。
最初のF-14なら、私は1/72をすすめる。タミヤの1/72のF-14Dは、1/48のキットを単純に縮めたのではなく、1/72で作りやすいように設計し直されている。複雑な形の空気取り入れ口が一体の部品になっていて、部品の合いもよく、接着剤を使わずに仮組みしやすいと紹介されている。縮尺の選び方の基本は戦闘機プラモデル初心者のおすすめでも書いた。
1/48は、F-14を棚の主役として作り込みたい人のためのものだ。コクピットや兵装の細かさは、やはり大きい縮尺のほうが映える。ちなみに1/72のF-14Dにも、F-14の代名詞だった長距離ミサイルのフェニックスが入っているので、小さい縮尺でもF-14らしい姿は作れる。
可変翼を楽しむための3つのこつ
F-14の模型のいちばんの楽しみは、主翼の角度を変えられることだ。タミヤのキットは、1/72も1/48も、完成したあとで主翼を動かせる。そのぶん、組み立てで気をつけたいところがある。
1つ目は、飾るときの主翼の角度を先に決めておくことだ。タミヤのキットには、主翼を広げたときと畳んだときで、主翼の付け根の隙間をふさぐ部品が2種類入っている。どちらの姿で飾るかによって、使う部品が変わる。
2つ目は、主翼を取り付ける順番を説明書どおりに守ることだ。1/72のF-14Dは、胴体を組み立てたあとに主翼を差し込む作りになっていて、左右の主翼は胴体の中の歯車で連動して動く。順番を間違えると、歯車がうまくかみ合わない。
3つ目は、可変翼の付け根の汚れだ。実機は主翼が胴体の中に出入りするので、付け根のまわりがこすれて汚れる。1/48の発艦セットには、このこすれた跡を描いたデカールまで入っている。ほかのキットでも、付け根のあたりを少しだけ汚すと、ぐっと実機らしくなる。
道具をそろえるならミリタリープラモデルの道具一式にまとめた。
塗装で選ぶ:1970年代の派手な塗装か、退役前のグレーか
F-14は、時代によって塗装の印象がまるで違う飛行機でもある。
1970年代のA型は、機体の上が明るいグレー、下が白で、尾翼には飛行隊ごとの派手なマークが大きく描かれていた。タミヤの1/48の初期型A型(61114)は、この時代の機体を作るためのキットだ。白とグレーの塗り分けがあるぶん、手間は少し増える。
1980年代の後半からは、目立たないように濃さの違うグレーで塗られるようになり、マークも小さく控えめになった。D型の多くはこの塗装なので、塗装の手間はA型の初期型より少ない。その一方で、1/72のF-14Dに入っているVX-9の真っ黒な機体のように、目立つ例外もある。
塗装に自信がないなら、グレーの濃淡で塗られた後期の機体から始めるといい。派手な尾翼のマークはデカールで貼れるので、1970年代の機体も見た目ほど難しくはない。
タミヤ以外の選択肢
ハセガワは、1/72と1/48でF-14のA型、B型、D型を長く出してきたメーカーだ。限定版も多く、ゲームの『エースコンバット』とのコラボレーションで、作中の塗装のF-14Dを出したこともある。タミヤにないB型を作りたい人は、ハセガワを探すことになる。古い設計のキットが多いので、タミヤの新しいキットより手間はかかる。
レベルの1/48のマーヴェリックのF-14Aは、先に書いたとおり、映画の機体を手早く作りたい人向けだ。
2機目の楽しみ:同じ空母の仲間と並べる
F-14を1機作ったら、同じ時代の空母の仲間と並べると楽しい。並べるときは縮尺をそろえるのが基本だ。1980年代の空母では、F-14の隣に攻撃機のA-6イントルーダーが並んでいた。1/72のF-14Dと並べるなら、ハセガワの1/72のA-6Eがちょうどいい。A-6がどんな飛行機だったかはA-6イントルーダーの解説で書いた。
F-14の後を継いだのは、F/A-18E/Fスーパーホーネットだ。映画『トップガン マーヴェリック』で主役を務めた機体でもある。レベルからは1/48のF/A-18Eが出ているので、1/48のF-14と並べると、空母の主役の世代交代がひと目でわかる。スーパーホーネットの話はF/A-18E/Fスーパーホーネットの解説にまとめた。
もうひとつ面白いのが、空母の艦上戦闘機の世代を1/72でそろえる並べ方だ。タミヤの1/72には、2025年に出たF-35Cと、2026年に出たF-14Dがあり、どちらも新しい設計なので作りの雰囲気がそろう。半世紀前の可変翼機と、今のステルス艦載機を並べると、同じ「空母で戦う戦闘機」でも、形の考え方がまるで違うことがわかる。F-35のキットの選び方はF-35プラモデルの選び方で書いた。
買う前のチェックリスト
F-14のキットを買う前に、確かめておきたいことをまとめておく。
- 型:作りたいのはA型(トップガン、1970年代)か、D型(最終型、エースコンバット8の本編)か
- 縮尺:1/72か1/48か。1/48なら、飾る場所に40cm四方の余裕があるか
- 主翼の角度:広げた姿か、畳んだ姿か。畳めば横幅は約6割になる
- 場面:普通に飾るか、1/48の発艦セットで空母の甲板の場面を作るか
- 品番:タミヤの1/72なら、2026年の60795(F-14D)か、2012年の60782(F-14A、他社製のキット)か
- 塗装:1970年代の白とグレーか、後期のグレーの濃淡か。最初は後期の機体が楽
1/72のF-14Dを2回の週末で仕上げる段取り
最初のF-14を1/72のF-14Dにした人のために、2回の週末で仕上げる段取りの目安を書いておく。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1週目の土曜 | 説明書を読み、主翼の角度とマーキングを決める。コクピットと脚の収納庫を先に塗る |
| 1週目の日曜 | 胴体を組み立て、主翼を差し込んで、歯車で動くことを確かめる |
| 2週目の土曜 | 機体を塗装する。キャノピーはマスクシールを貼ってから塗る |
| 2週目の日曜 | デカールを貼り、脚や兵装、アンテナなどの細かい部品を付けて仕上げる |
いちばん大事なのは、1週目の日曜に主翼が動くことを必ず確かめておくことだ。塗装のあとで歯車のかみ合わせを直そうとすると、せっかくの塗装を傷つけることになる。
よくある質問
F-14Bは作れる?
タミヤからはB型のキットは出ていない。B型を作りたいなら、ハセガワのキットを探すことになる。D型とB型はエンジンが同じなので、ノズルの形は似ている。
1/72でも迫力はある?
ある。1/72のF-14Dでも、主翼を広げると幅は27cmを超え、1/72の小型の戦闘機よりずっと大きい。双発の大きな機体なので、1/72でも棚の上で存在感がある。
塗装は難しい?
グレーの濃淡で塗られた後期の機体なら、それほど難しくない。1970年代の白とグレーの機体は、塗り分けがあるぶん少し手間が増える。最初は後期の機体から始めるといい。
イラン空軍のF-14は作れる?
作れる。タミヤの1/48の初期型A型(61114)には、イラン空軍の機体のマーキングが入っている。イランは1970年代にF-14Aを導入し、アメリカ海軍がF-14を退役させたあとも使い続けてきた。アメリカ海軍の機体とは違う砂漠向けの迷彩で、並べると同じF-14とは思えないほど印象が変わる。
1/48と1/72、両方作る価値はある?
ある。1/72で可変翼の仕組みや組み立ての流れをつかんでから、1/48で同じF-14を作ると、ずっと細かく作り込めるようになる。同じ機体を2つの縮尺で並べるのも、F-14のような大きな機体ならではの楽しみだ。
まとめ
- 最初の1機は、2026年1月に出たタミヤ1/72のF-14D(60795)。新しいタミヤ設計のキットで作りやすく、棚にも収まる
- 映画『トップガン』の機体ならA型。エースコンバット8派は、本編のD型でも特典のA型でもいい
- A型とD型は、エンジンのノズルの形と機首の下のポッドで見分ける
- 1/48は全長も幅も約40cm。主翼を後ろに畳めば横幅は約6割まで詰められる
- 発艦の場面を作りたいなら、1/48の発艦セット。同じ「タミヤの1/72 F-14」でも、2012年の60782と2026年の60795は別物なので、品番を確かめる
F-14は、翼の角度ひとつで表情が変わる飛行機だ。主翼を広げれば空母に降りてくる姿に、畳めば高速で飛ぶ姿になる。完成した模型の主翼を指で動かすたびに、なぜこの飛行機が初飛行から半世紀以上も愛されてきたのかがわかる気がする。
組み立ての長い時間のお供に。







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