RTX(旧Raytheon Technologies)を投資対象として見るときは、事業の強さと株価の割安・割高を分けます。売上、利益、受注残、会社予想は決算日の情報で、株価、為替、配当利回り、構成比率は取引日に変わります。
- Collins・Pratt & Whitney・Raytheonの3事業
- 2026年Q2実績と更新後の通期見通し
- 防衛受注と民間航空需要の両方を確認
- GTFエンジン・契約執行・為替をリスク評価
参考・公式情報と更新基準
RTXの2026年Q2決算と2025年通期決算を基準にします。配当宣言、株価、取扱いはIRと証券会社で更新します。
| 確認項目 | 使う情報 | 注意点 |
|---|---|---|
| 事業 | 3セグメント | 防衛専業ではない |
| 受注残 | 民間・防衛の内訳 | 納期と採算を確認 |
| 見通し | 会社ガイダンス | 確定実績ではない |
| 配当・株価 | 当日情報 | 利回りは価格で変動 |
レイセオン(RTX)の基本情報

| 項目 | 公式確認値 |
|---|---|
| 2025年売上 | 886.03億ドル |
| 2025年調整後EPS | 6.29ドル |
| 2026年Q2売上 | 247.08億ドル |
| 2026年Q2調整後EPS | 1.89ドル |
| 2026年6月末受注残 | 2,890億ドル |
| 更新後2026年会社予想 | 調整後売上950〜960億ドル |
| 更新後調整後EPS予想 | 7.10〜7.25ドル |
数値はRTXのIR資料や決算発表など一次情報を確認したうえで判断してほしい。株価・配当・業績は刻々と変わるため、本記事の数字は執筆時点のものである。
レイセオン(RTX)とはどんな企業か
RTXは、2020年に航空・産業大手のユナイテッド・テクノロジーズと、防衛大手のレイセオンが合併して誕生した企業だ。2023年7月に社名を「Raytheon Technologies」から「RTX Corporation」へ改め、本社は首都ワシントン近郊のバージニア州アーリントンに置く。従業員はおよそ18万人にのぼる。
RTX最大の特徴は、民間航空と防衛の売上がほぼ半々というバランスにある。多くの同業他社はどちらか一方に大きく偏るが、RTXは両方に厚いエクスポージャーを持つ点でユニークだ。これは、世界の防衛予算の拡大という追い風に乗りつつ、コロナ後に回復した航空旅客需要の恩恵も同時に受けられることを意味する。
地政学的な緊張の高まりは防衛部門の、世界的な空の旅の回復は民間部門の、それぞれ追い風になる。その背景として中国人民解放軍の軍事力の拡大などを押さえておくと、防衛需要の構造が理解しやすい。
RTXの3つの事業|民間航空と防衛のハイブリッド

RTXは3つのセグメントで成り立っている。
ひとつ目が「コリンズ・エアロスペース」。民間機・軍用機向けのアビオニクス(電子機器)、内装、機械システム、電源などの装備品と、それらの整備・部品交換といったアフターマーケット事業を担う。航空機が飛び続ける限り部品交換と整備の需要が生まれるため、安定した収益源になる。
ふたつ目が「プラット&ホイットニー」。航空機エンジンのメーカーで、民間機向けのGTF(ギアード・ターボファン)エンジンと、軍用エンジンの両方を手がける。注目すべきは、ステルス戦闘機F-35のエンジン「F135」を供給している点だ。つまりF-35は、機体をロッキード・マーチンが、エンジンをRTX(プラット&ホイットニー)が担うという関係にあり、米防衛産業の分業構造を象徴している。
三つ目が、社名の由来でもある「レイセオン(防衛)」セグメントだ。ここがミサイル・ミサイル防衛・センサーを担う心臓部で、地対空ミサイルシステム「パトリオット」、防空システム「NASAMS」、艦載迎撃ミサイル「SM-3/SM-6」、巡航ミサイル「トマホーク」、空対空ミサイル「AMRAAM」など、現代戦に欠かせない装備を多数抱える。
ここで「パトリオットのメーカー」という点を正確に押さえておきたい。パトリオットの地対空ミサイルシステム本体(レーダー、管制、発射機、GEM-T迎撃弾など)はレイセオンが手がけるが、より新しい迎撃ミサイル「PAC-3」そのものはロッキード・マーチン製であり、両社がパトリオットシステムを支える形になっている。
日本の弾道ミサイル防衛におけるPAC-3やSM-3の役割は日本のBMD(PAC-3/SM-3)解説に、日本のミサイル全体像は日本が保有するミサイル完全ガイドに、SM-3/SM-6を運用するイージス艦については世界最強イージス艦ランキングに詳しい。
なぜレイセオン株が注目されるのか|防衛と航空回復の二段ロケット
レイセオン株の魅力は、性質の異なる二つの追い風を同時に受けられる点にある。
防衛面では、ウクライナや中東をめぐる緊張で、パトリオットやNASAMSといった防空システム、各種ミサイルの需要が世界的に急増している。実際、米陸軍からのNASAMS関連で10億ドル規模の契約を受注するなど、受注の動きは活発だ。ミサイルや迎撃弾は消耗品としての側面もあり、継続的な需要が見込める。
民間航空面では、コロナ後の旅客需要の回復が追い風だ。航空機が飛ぶほどエンジンや装備の整備(アフターマーケット)需要が増える。とくにプラット&ホイットニーのGTFエンジンが新型機に多く採用されることで搭載基盤が広がり、今後数十年にわたる高採算のサービス収益につながると期待されている。この「防衛+民間航空」の二本立てこそ、純粋な防衛大手にはないRTXの強みだ。
RTXの最新業績|2025年実績と2026年ガイダンス

2025年通期売上は886.03億ドル、調整後EPSは6.29ドル、フリーキャッシュフローは79億ドルでした。2026年第2四半期売上は247.08億ドル、調整後EPSは1.89ドル、受注残は2,890億ドルです。
2026年第2四半期決算で、会社は通期の調整後売上予想を950〜960億ドル、調整後EPSを7.10〜7.25ドル、フリーキャッシュフローを85.0〜87.5億ドルへ更新しました。見通しは確定実績ではありません。
レイセオン株の配当|利回りは控えめ、成長と両立

RTXは配当を実施していますが、四半期配当の宣言額と権利日、利回りは変わります。最新額はRTXの配当履歴と利用する証券会社で確認してください。
配当余力を見るときは、フリーキャッシュフローだけでなく、GTF関連支出、設備投資、債務、買戻し、取締役会の配当決議を確認します。高配当・増配を前提にしません。
レイセオン株は割高か|バリュエーションと評価
RTXの株価、時価総額、52週レンジ、PERは取引日ごとに変わります。記事内の過去価格を現在値として使わず、注文日の市場価格と最新の会社予想で評価します。
複数のアナリストはRTXに対しておおむね強気の評価を示し、目標株価も現値より高めに置かれることが多い。ただしこれはあくまで参考情報であり、将来の株価を保証するものではない。民間航空と防衛の両輪が好調に回る限り、増収増益のシナリオは生きているが、後述するエンジン問題など固有のリスクも抱えている点は理解しておきたい。
レイセオン株は日本から買えるのか|買い方

朗報として、RTXはNYSE上場の米国株のため、日本の個人投資家でも買いやすい。主要なネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)の米国株取引で取り扱われており、1株単位、証券会社によっては端株からでも購入できる。
必要なのは米国株を扱う証券口座だ。RTX株はドル建て資産になるため、ドル円の為替変動が円換算のリターンや配当額に影響する点は押さえておきたい。
なお、「RTX1銘柄に集中するのは不安だが、世界の防衛大手にまとめて投資したい」という場合は、RTXを上位(およそ8%前後)に組み入れた466A(グローバルX 防衛テックETF)経由で間接的に保有する方法もある。
466Aなら東証で円建て・1口から買え、新NISAの成長投資枠も使えるため、1銘柄への集中を避けながら防衛テーマに参加できる。米国株個別も新NISAの成長投資枠の対象になり得るが、取扱いや外国税額控除の扱いは証券会社により異なるため、口座開設前に確認しておくと安心だ。
レイセオン株の今後と注目点・リスク
今後を考えるうえで、注目点とリスクを並べておきたい。
注目点としては、世界の防衛予算の拡大、ミサイル・防空システムの生産と納入の増加、民間航空アフターマーケットの回復、そして国際契約の積み上がりが挙げられる。受注残が巨大であるため、これを着実に売上へ変えていけば、増収増益の流れは続きやすい。
一方でリスクも明確だ。最も注目されるのが、プラット&ホイットニーのGTFエンジンをめぐる耐久性の問題だ。一部エンジンの不具合で機体の地上待機(運航停止)が生じた経緯があり、整備需要を生む一方で、サービス収益や顧客の信頼に影響しうる懸念として意識されている。
加えて、厚い受注を実際の納入に変える実行リスク、航空部品事業のマージン圧力や関税の影響、米軍予算への依存、そして為替リスクもある。民間航空に厚い分、景気や航空需要の波を受けやすいのも、防衛ピュアプレイにはない特徴で、これは強みであると同時にリスクでもある。
レイセオンと他の防衛株・ETF|どう組み合わせるか
防衛・航空テーマは、性格の異なる銘柄を組み合わせることで、より立体的に押さえられる。主要銘柄の性格を整理すると次のとおりだ。
| 銘柄 | 性格 | 配当 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| レイセオン(RTX) | 防衛+民間航空のハイブリッド | あり(最新額を確認) | パトリオット等+エンジン、航空回復にも乗れる |
| ロッキード・マーチン | 防衛ピュアプレイ | あり(最新額を確認) | F-35、連続増配の安定インカム |
| パランティア | AIソフトの高成長 | なし | 高ボラ・割高、AI×防衛の象徴 |
| ラインメタル | 欧州の防衛ハード | 低〜中 | 弾薬・装甲車、欧州再軍備のモメンタム |
このように、安定インカムのロッキード・マーチン、AIソフトで高成長のパランティア、欧州ハードのラインメタルと、RTXは値動きの源泉が異なる。これらをまとめて持ちたいなら、世界の防衛大手を一括で組み入れた466AのようなETFが土台になる。複数の防衛ETFの比較は防衛ETF・投資信託の比較ガイドに、RTXが世界の防衛産業の中でどの位置にいるかは世界の防衛産業企業ランキングにまとめている。
日本株で攻めたいなら、国内の防衛本命である三菱重工(7011)の株価分析や川崎重工 vs 三菱重工の投資比較、より大きな値幅を狙う防衛関連の穴株10選が候補になる。日本株版の防衛テックETF513Aは日本企業のみのためRTXは含まれないが、国内テーマを押さえる選択肢だ。テーマ全体の戦い方は防衛関連銘柄 完全投資ガイドで、防衛費増額の受益という観点は防衛費GDP2%受益銘柄ランキングで整理している。
安定と成長のバランスを取りながら資産形成を進めたい人は、まず米国株を扱う証券口座とNISAを整え、少額から始めるのが王道だ。考え方の整理には自衛官の貯金・資産形成ガイドも役立つ。
よくある質問
RTXは何の会社ですか?
Collins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheonを持つ航空・防衛企業です。
2026年Q2売上は?
247.08億ドルで、前年同期比14%増でした。
受注残は?
2026年6月末で2,890億ドル、民間1,700億ドル、防衛1,190億ドルです。
パトリオットのメーカーですか?
Raytheonはシステム、レーダー、GEM-Tなどを担当し、PAC-3迎撃弾はLockheed Martinが担当します。
配当はいくらですか?
宣言額と権利日は変わるため、RTXのIRと証券会社で最新情報を確認してください。
日本から買えますか?
NYSE上場米国株として取扱う証券会社があります。為替・手数料・税を確認してください。
まとめ|レイセオンは「防衛+航空」の二刀流銘柄
レイセオン(RTX)は、パトリオットなどのミサイル防衛と、民間航空のエンジン・装備を併せ持つ、防衛・航空の二刀流企業だ。2,890億ドルの巨大な受注残を背景に、防衛予算の拡大と航空需要の回復という二つの追い風を同時に受けられる点が、純粋な防衛大手にはない強みになる。
一方で、GTFエンジンの耐久性問題、受注を納入に変える実行リスク、米軍予算依存、為替、そして民間航空ゆえの景気感応度といったリスクもある。だからこそ、安定インカムのロッキード・マーチンや、性格の異なる銘柄と組み合わせたり、466AのようなETFを土台に据えたりして分散するのが、多くの個人投資家にとって現実的だろう。
まずは米国株を扱う証券口座を一つ用意し、少額から、自分の投資方針に合わせて触れていくことが第一歩になる。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入を推奨したり、将来の株価・配当・運用成果を保証したりするものではありません。投資判断はご自身の責任で、最新の企業IR・各証券会社の情報をご確認のうえ行ってください。記載の数値・株価・配当は執筆時点のものです。
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