2024年11月17日、山口県の岩国基地に、翼の大きなF-35が降りてきた。米海軍第5空母航空団の第147戦闘攻撃飛行隊「アルゴノーツ」のF-35Cだ。
これで日本は、アメリカ本国を除けば、F-35のA型・B型・C型の3種類すべてが日常的に飛んでいる世界でただ一つの国になった。三沢には空自のF-35A、岩国には海兵隊のF-35B、新田原には空自のF-35B、そして岩国にはもう一つ、海軍のF-35Cがいる。
ただ、正直に言うと、C型は3兄弟の中でいちばん地味だ。A型は数が多く、B型には垂直に降りる派手さがある。C型は「空母用」の一言で片づけられがちで、どこがどう違うのかまで説明されることは少ない。
私も最初は「翼がちょっと大きいF-35」くらいに思っていた。ところが掘っていくと、これがかなり面白い。空母に叩きつけるように降りるための脚、ワイヤーを引っかけるフック、狭い艦内に収めるための折りたたみ翼。その代わりに機関砲は内蔵せず、9Gも引けず、超音速で飛べる時間にまで上限がついた。
この記事では、F-35CをA型・B型と並べながら、何が違うのか、なぜそう設計されたのかを整理する。後半では2026年のイラン攻撃での実戦、岩国配備の意味、価格と調達数、そして9月に決まった次世代艦上戦闘機F/A-XXとの関係まで見ていく。
- F-35Cは米海軍と海兵隊だけが使う空母用の型で、カタパルト発艦とワイヤー着艦に合わせて翼・脚・フックが作り替えられている
- 翼面積はA型・B型の約1.45倍。この大きな翼は速く飛ぶためではなく、空母に「ゆっくり」降りるためにある
- 2024年にフーシ派への攻撃で初陣を飾り、2026年のイラン攻撃「エピック・フューリー作戦」でも空母から出撃した
- 2024年から岩国に前方展開していて、日本はアメリカ以外でA・B・Cの3型がそろう唯一の国になった
F-35Cとは|空母から「投げ出され」、ワイヤーで「止められる」ためのF-35

写真:Andy Wolfe/Wikimedia Commons(Public domain)
F-35Cは、ロッキード・マーチンが開発したステルス戦闘機F-35ライトニングIIの艦上機型だ。CはCarrier Variant(艦載型)の頭文字。カタパルトで射出されて発艦し、着艦のときは機体後部のフックで甲板のワイヤーを引っかけて止まる。いわゆるCATOBAR方式の空母で使うことを前提に作られている。
使っているのは米海軍と米海兵隊だけだ。A型は世界中の空軍が買い、B型もイギリスやイタリア、日本が導入したが、C型を買った外国はまだない。カタパルト付きの空母を持っている国が、アメリカのほかにはフランスと中国くらいしかないのだから、当然といえば当然だ。フランスは自国のラファールMを積んでいるし、中国の空母「福建」に載るのはもちろんJ-35など自前の機体である(福建については中国空母「福建」の解説を参照)。
開発から実戦までの流れをざっと並べると、こうなる。
- 2010年6月:C型の試作1号機CF-1が初飛行
- 2014年11月3日:試験機CF-03が空母ニミッツで初の着艦
- 2019年2月28日:米海軍が初期作戦能力(IOC)を宣言
- 2021年8月〜2022年2月:空母カール・ヴィンソンで初の実戦配備航海(VFA-147)
- 2024年11月:イエメンのフーシ派攻撃で初の実戦投入(海兵隊VMFA-314)
- 2024年11月:VFA-147が岩国に前方展開
F-35というシリーズ全体の位置づけや、空自が使うA型・B型については航空自衛隊のF-35A/B完全解説で詳しく書いた。合わせて読むと、C型の「変わり者」ぶりがよく分かると思う。
F-35A・B・Cの違い|まずは一枚の表で
| 項目 | F-35A | F-35B | F-35C |
|---|---|---|---|
| 主な使い手 | 空軍 | 海兵隊・小型空母 | 海軍・海兵隊(大型空母) |
| 離着陸 | 普通の滑走路 | 短距離離陸・垂直着陸 | カタパルト発艦・ワイヤー着艦 |
| 全幅 | 約10.7m | 約10.7m | 約13.1m |
| 翼面積 | 約42.7㎡ | 約42.7㎡ | 約62.1㎡ |
| 戦闘行動半径(機内燃料) | 約1,090km以上 | 約830km以上 | 約1,100km以上 |
| 内蔵機関砲 | あり(25mm) | なし(ガンポッド) | なし(ガンポッド) |
| 最大荷重 | 9G | 7G | 7.5G |
| 日本との関係 | 空自が導入 | 空自・在日米海兵隊 | 在日米海軍(岩国) |
表にすると、C型の特徴ははっきりしている。翼が段違いに大きく、機関砲を積まず、Gの上限はAとBの中間。この3つが全部「空母で使うため」という一点につながっている。
個人的に一番面白いと思ったのは行動半径だ。C型は機内燃料がA型より多く、B型と比べれば2.5トン以上も多い。それなのに、カタログ上の行動半径はA型とほとんど変わらない。翼を大きくして脚を頑丈にした分だけ機体が重くなり(空虚重量はA型より2トン半ほど重い)、燃料を増やした効果をかなり食ってしまっているからだ。B型よりは明らかに足が長い。でも「C型は燃料が多いから一番遠くまで飛べる」と言えるほど単純な話でもない。
B型と中国のJ-35の比較はF-35B vs J-35に、空軍型同士の比較はF-22 vs F-35にまとめてある。
翼が大きい理由|速く飛ぶためではなく「ゆっくり降りる」ため

写真:U.S. Navy photo by Andy Wolfe/Wikimedia Commons(Public domain)
C型の翼は、全幅でA型より2.4mほど長く、面積では約1.45倍もある。写真で見た印象以上に違う。
この大きな翼の目的は、空母に着艦するときの速度を下げることにある。空母の甲板は止まっていない。前に進み、波で上下に揺れ、横風も吹く。そこに20トン前後の機体を、決められたわずかな範囲に降ろさなければならない。進入速度が速すぎると、ずれたときに修正が間に合わないし、ワイヤーや機体にかかる負担も跳ね上がる。
翼を大きくすれば、同じ重さでも低い速度で浮いていられる。だからC型は翼を広げ、さらに外側の翼に補助翼(エルロン)を追加して、低速でも機体を細かく操れるようにした。A型・B型は補助翼とフラップを兼ねた舵面(フラッペロン)で済ませているので、ここも見分けるポイントになる。
折りたたみ翼は、零戦21型の頃から続く艦上機の宿命
翼を大きくすれば、今度は艦内に収まらなくなる。そこでC型は、外側の翼を上に折りたためるようになっている。
この話、旧海軍好きならピンとくるはずだ。零戦も、11型から21型になるときに翼端を左右50cmずつ折りたためるようにした。空母のエレベーターに載せるためだ。翼を広げたい設計者と、1機でも多く積みたい空母側。艦上機はいつの時代も、このせめぎ合いの中で形が決まる。80年以上たっても悩みの中身がほとんど同じなのは、なんだか可笑しい。
零戦の型ごとの違いは零戦の21型・52型の違いと弱点で書いている。
脚とフック|カタパルトと着艦が機体を痛めつける

写真:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Anderson W. Branch/Wikimedia Commons(Public domain)
空母での発着艦は、飛行機にとってかなり乱暴な使い方だ。
発艦では、カタパルトがわずか2秒ほどで機体を発艦速度まで引っ張る。C型は前脚が2輪になっていて、そこにカタパルトと連結する「ランチバー」がついている。射出の瞬間に前脚へかかる力を受け止めるため、前脚まわりの構造はA型よりずっと頑丈に作られている。
着艦はもっと過酷だ。陸上機のように滑走路でふわっと接地させるのではなく、ほとんど減速しないまま甲板に落とすように降りる。そのまま機体後部のフックでワイヤーを引っかけ、ごく短い距離で一気に止まる。主脚も機体構造も、その衝撃に毎回耐えられるよう強化されている。
こうした補強は、すべて重さとして跳ね返ってくる。C型の最大荷重が9GのA型より低い7.5Gに抑えられているのも、大きな翼と重い機体のバランスを取った結果と考えていい。
最初のF-35Cは、ワイヤーを一度も捕まえられなかった
C型の開発には有名な失敗談がある。2011年、米海軍の試験施設レイクハーストで行われた着艦フックの試験で、F-35Cは8回挑戦して8回ともワイヤーを捕まえられなかった。
原因は、主脚とフックの位置関係だった。F-35Cは主脚のタイヤからフックの先端までが約2.2mしかなく、F/A-18の約5.5mと比べてずっと短い。主脚がワイヤーを踏んで押さえつけた直後にフックが通過するので、ワイヤーが跳ね上がる前の、ほぼ平らになった状態の上をフックが素通りしてしまったわけだ。
ステルス機は、フックを機体の中にしまっておかなければならない。出しっぱなしではレーダーに映ってしまう。その制約の中で、フックを置ける場所は限られていた。最終的にはフックの先端の形と、フックを甲板に押しつけるダンパーを作り直して解決し、2014年11月3日に空母ニミッツで初の着艦に成功している。
ステルスと艦上機を両立させるのがどれだけ面倒か、よく分かる話だと思う。
着艦を「ソフトでラクにした」Delta Flight Path
一方で、C型には着艦を簡単にする仕掛けも入っている。Delta Flight Pathと呼ばれる飛行制御のモードで、パイロットが降下の角度を決めると、機体が自動でその降下経路を保ってくれる。従来の艦上機のように、スロットルと操縦桿を同時に細かく動かし続ける必要がかなり減った。
2016年の空母での試験では、教官パイロット12人がそれぞれ10回ずつ着艦し、ワイヤーを捕まえ損ねてやり直す「ボルター」はその時点で1回も起きていなかったと報じられている。
昔の艦上機乗りが聞いたら、うらやましがる話だろう。旧海軍の空母は実用的なカタパルトを持たないまま戦争を終え、発艦は向かい風と甲板の長さ、着艦はパイロットの腕と度胸に頼りきりだった。
艦上機と空母の設計の違いを写真で見比べたいなら、世界の空母と艦載機をまとめた図鑑が一冊あると、こういう話がぐっと分かりやすくなる。
機関砲なし、超音速飛行にも制限|C型が背負った妥協

写真:U.S. Department of Defense/Wikimedia Commons(Public domain)
機関砲は外付けのガンポッド
A型は機体に25mm機関砲を内蔵しているが、B型とC型は内蔵していない。必要なときは、胴体の下に25mm機関砲のガンポッドを吊るす。
B型の場合は、垂直着陸のためのリフトファンで機体の中がいっぱいで、機関砲を入れる余裕がなかった。C型は、常に機関砲の重さを抱えて飛ぶより、必要な任務のときだけ吊るすほうを選んだと説明されることが多い。もっとも、外に吊るせばステルス性はそのぶん落ちる。
マッハ1.3での飛行時間制限
もう一つ、あまり知られていない制限がある。2019年に米国防ニュースサイトが報じたところでは、C型はマッハ1.3でのアフターバーナー飛行が累計50秒までに制限されていた。これを超えると、水平尾翼や尾部に熱による損傷が出たり、ステルス用の塗装が傷んだりするおそれがあるためだ。
同じ種類の問題はB型でも見つかっている。どちらも開発中の試験で一度ずつ起きた現象で、国防総省は根本的な改修はせず、塗装の改良と飛行時間の制限で対処すると決めた。その後の運用でこの制限がどう扱われているかは、公開情報からは分からない部分が多い。
これだけ聞くと「欠陥機じゃないか」と思うかもしれない。ただ、F-35はもともと超音速で長く飛び回るタイプの戦闘機ではない。ステルスで見つからずに近づき、センサーで先に見つけ、先に撃つ。マッハ2超で敵を追い回したF-14の時代とは、戦い方の前提がまるで違う(F-14から今の艦上戦闘機への流れはF/A-18E/Fスーパーホーネットの解説で書いた)。とはいえ、全力を出せる時間に上限があるのは、乗る側にとって気持ちのいい話ではないはずだ。
実戦のF-35C|フーシ派、そしてイラン

写真:U.S. Marine Corps photo by Sgt. Joealfred Damaso/Wikimedia Commons(Public domain)
C型の初陣は2024年11月9〜10日だった。空母エイブラハム・リンカーンに乗っていた海兵隊のVMFA-314「ブラックナイツ」のF-35Cが、イエメンのフーシ派の武器貯蔵施設を攻撃した。3兄弟の中では最後の実戦デビューで、これでF-35はA・B・Cの3型すべてが実戦を経験したことになる。
2026年は、C型にとって本格的な戦争の年になった。2月3日、アラビア海で空母リンカーンに近づいてきたイランの無人機シャヘド139を、同じVMFA-314のF-35Cが撃墜した。そして2月28日、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を始める。米中央軍の作戦名は「エピック・フューリー」。国防総省の整理では5月5日まで続いたこの作戦で、リンカーンのF-35Cも空母から出撃した。中央軍が公表した攻撃目標には、革命防衛隊の指揮施設、防空網、ミサイルや無人機の発射拠点、軍用飛行場が含まれていた。
作戦後に撮影されたVMFA-314のF-35Cには、潜水艦3隻、タンカー、コルベットかフリゲートのような水上艦、無人機、砲などのシルエットが描かれていたと報じられている。どの目標にどう関わったのかは公表されていないので、ここは「そういうマークが描かれていた」以上のことは言えない。それでも、空母から出たステルス機が敵の防空網の内側まで入っていく役を担ったことは、まず間違いないだろう。リンカーンはその後、302日に及んだ長い展開を終えている。
作戦全体で空母がどう使われたかはエピック・フューリー作戦の完全解説に、F-35の前に電子戦で道を開いた機体についてはEA-18Gグラウラーの解説に詳しく書いた。イラン側の戦力についてはイランの軍事力解説がある。
事故も含めた「運用の現実」
C型の運用は、順調なことばかりではない。
2022年1月24日、南シナ海で空母カール・ヴィンソンへの着艦に失敗した機体が甲板にぶつかって海に落ち、パイロットを含む計7人がけがをした。機体は3月2日に、水深約3,800mの海底から引き揚げられている。ステルス機の機体を海の底に残しておくわけにはいかない、という事情もあっての大がかりな回収だった。のちの調査で、原因は操縦ミスとされた。
2025年7月30日には、カリフォルニア州のリムーア海軍航空基地の近くで、訓練部隊VFA-125のF-35Cが墜落している。こちらはパイロットが脱出して無事だった。
岩国のF-35C|日本で「3兄弟」がそろった意味
2024年11月に岩国へF-35Cがやってきた背景には、横須賀を母港とする空母の交代がある。9年近く日本にいたロナルド・レーガンが去り、代わりにジョージ・ワシントンが戻ってきた。艦載機部隊の第5空母航空団もこれに合わせて機種を入れ替え、F/A-18を使っていたVFA-115と交代する形で、VFA-147のF-35Cが加わった。輸送機も、C-2AからCMV-22Bオスプレイに替わっている。
第5空母航空団は1973年に空母ミッドウェーとともに日本へ来て以来、50年以上日本を拠点にしてきた部隊だ。2026年時点の構成は、F/A-18E/Fの飛行隊が3つ、F-35Cが1つ、電子戦機EA-18Gが1つ、E-2Dアドバンスドホークアイが1つ、それにオスプレイとヘリコプターの部隊。F-35Cはまだ航空団の一部で、数の主力はスーパーホーネットのほうだ。
地元にとって切実なのは騒音の問題だ。空母艦載機のパイロットは、空母に乗る前に陸上で着艦の練習(FCLP)をしなければならない。基本は硫黄島で行うが、天候などで使えないときは岩国などが予備になる。2025年9月に岩国でFCLPが行われたときは、市に1日1,000件を超える苦情が寄せられたと報じられた。恒久的な訓練施設は鹿児島県の馬毛島に整備中で、完成は2030年3月の予定とされている。
在日米軍全体の配置は在日米軍基地一覧【2026】で整理している。
なぜ自衛隊はC型を買わないのか
答えは単純で、カタパルトとワイヤーを備えた空母を持っていないからだ。いずも型護衛艦の空母化は、短い距離で発艦して垂直に降りるB型を載せる前提で進められている。いずも型にC型を載せることはできない。
逆に、C型を使える空母を持とうとして断念した国もある。イギリスだ。2010年、イギリスは建造中のクイーン・エリザベス級空母にカタパルトを付け、C型を運用する方針に切り替えた。ところが改造費が当初見込みの約10億ポンドから約20億ポンドに膨らむ見通しとなり、2012年5月にB型へ戻している。カタパルトのある空母は、それだけで国の財布にのしかかる重さが違うということだ。
日本の空母化についてはいずも型護衛艦の完全解説、イギリスの空母はクイーン・エリザベス級空母の解説で詳しく書いた。
価格と調達数|1機いくらで、何機作るのか
最新の第18・19ロットの契約で、C型の平均調達単価(エンジンやレーダーを含む機体価格)は約1億1,080万ドル。A型の約9,200万ドルより高く、B型の約1億2,140万ドルよりは安い。1ドル150円で単純計算すると、C型は1機およそ166億円になる。前の第15〜17ロットの約1億210万ドルから1割近く上がっていて、F-35全体の値上がりはC型も例外ではない。
調達数は、米海軍が273機。海兵隊は2025年の航空計画で、B型を353機から280機に減らす一方、C型を67機から140機に倍増させた。数字だけだと地味に見えるが、海兵隊が「自前の強襲揚陸艦でB型を飛ばす」だけでなく、「海軍の大型空母にC型で乗り込む」路線をはっきり強めたということだ。2027会計年度の予算要求でも、海軍20機・海兵隊17機のC型が計上されている。
C型が乗る空母の顔ぶれはアメリカ海軍の空母一覧【2026年版】に、他の戦闘機との値段比べは戦闘機の価格ランキングにまとめてある。
投資家目線|F/A-XXが決まって、F-35Cの立ち位置はどうなるか

写真:Dane Wiedmann/Wikimedia Commons(Public domain)
2026年9月29日、米海軍は次世代艦上戦闘機F/A-XXの開発をボーイングに発注した。開発契約は200億ドルを超える規模と報じられている。空軍のF-47に続いて、ボーイングは第6世代戦闘機を2つ同時に抱えることになった。
ここで押さえておきたいのは、F/A-XXが置き換えるのは主にF/A-18E/Fスーパーホーネットで、F-35Cではないという点だ。2030年代以降の空母航空団は、F-35CとF/A-XXの2本立てになる見込みが高い。そこに無人給油機MQ-25が加わる計画だが、こちらは初期作戦能力の獲得が2029年にずれ込んでいる。
つまりF-35Cは「つなぎ」ではなく、この先何十年も空母航空団のステルス攻撃役を担い続ける機体だ。ロッキード・マーチンにとっては、機体の納入だけでなく、長い年月にわたる維持・改修の仕事が見込める。一方で、新しい艦上戦闘機の主契約はボーイングが取った。艦上機の世界で、ロッキードとボーイングが役割を分け合う形になったとも言える。
日本企業も無関係ではない。F-35は日本国内で最終組立や検査が行われ、エンジン部品や整備の一部も日本企業が担っている。岩国のF-35Cの整備に国内の拠点がどこまで関わっていくのかは、今後見ておきたいポイントだ。
銘柄ごとの詳しい分析はロッキード・マーチン(LMT)株の解説とボーイング(BA)株の解説、日本の供給網はF-35を作る日本企業一覧で整理している。
米国株も含めて防衛関連の銘柄をチェックしたい人は、日本株と米国株の両方を扱える証券口座を一つ持っておくと何かと便利だ。
模型で並べると、違いが一発で分かる
C型の大きな翼は、写真よりも模型で並べたほうがずっと分かりやすい。手に入りやすいところでは、タミヤからF-35Aの1/48とF-35Bの1/72が出ている。C型のキットを買うときは、手持ちのA型・B型とスケールをそろえておくと、翼の違いに素直に驚けるはずだ。
C型を載せる大型空母まで作りたいなら、最新のフォード級のキットもある。艦上機と空母はセットで並べると、急に「艦隊」っぽくなるから不思議だ。
よくある質問
F-35Cはいずも型護衛艦に載せられる?
載せられない。C型はカタパルトで射出し、ワイヤーで止める空母が前提の機体だ。いずも型にはどちらの設備もないので、短い距離で発艦して垂直に降りられるB型を載せる計画になっている。
F-35Cに機関砲はある?
内蔵はしていない。必要なときは25mm機関砲のガンポッドを胴体の下に吊るす。機関砲を内蔵しているのはA型だけだ。
日本にF-35Cは配備されている?
されている。ただし米海軍の機体で、自衛隊の機体ではない。2024年11月から、第5空母航空団のVFA-147が岩国基地に前方展開し、横須賀の空母ジョージ・ワシントンに乗って行動している。
F-35Cの航続距離はA型より長い?
機内燃料はA型より多いが、カタログ上の戦闘行動半径はほぼ同じだ。大きな翼と頑丈な脚で重くなった分、燃料を増やした効果がかなり相殺されている。B型と比べれば、はっきり長い。
F-35Cは何機作られる予定?
米海軍が273機、海兵隊が140機の計画だ。海兵隊は2025年に、C型を67機から140機へ大きく増やしている。
まとめ|F-35Cは「空母に合わせて重くなった」F-35
F-35Cは、F-35という同じ名前を持ちながら、空母という特殊な職場に合わせて体つきから作り直された機体だ。翼を大きくしてゆっくり降りられるようにし、脚とフックを頑丈にし、そのぶん重くなった。機関砲を内蔵せず、Gの上限も下げた。全部が「空母から飛んで、空母に帰る」ための選択である。
零戦の翼端が折れたのと同じ理由で、80年後のステルス機も翼を折りたたんでいる。艦上機というのは、いつの時代も空母に縛られた飛行機なのだと思う。そして、その縛りの中でいちばん遠くまで届く「見えない槍」として、F-35Cはイランの空で実戦をくぐり、いまは岩国から西太平洋をにらんでいる。
F/A-XXがボーイングに決まったことで、F-35Cの役割はむしろはっきりした。これから先も、アメリカの空母が出ていく場所には、たいていこの翼の大きなF-35がいるはずだ。ほかの戦闘機との強さの比べっこは世界最強戦闘機ランキングでやっているので、気になる人はどうぞ。
長い記事を最後まで読んでくれてありがとう。執筆のお供はだいたいこれだ。
出典・参考資料
表紙の写真素材:
写真:Andy Wolfe/Wikimedia Commons(Public domain)。背景・レイアウト・文字を編集。







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