「三菱重工の株を買いたいけど、1株で何万円もするし、もし暴落したら……」
そう思って二の足を踏んでいる読者は、おそらくこの記事にたどり着くべくしてたどり着いた。防衛銘柄に興味はあるが、個別株を買うリスクが怖い。その気持ち、痛いほどわかる。自衛隊の装備が好きで、日本の防衛力強化を応援したい気持ちはあるのに、投資となると急に腰が引ける──それは至極まっとうな感覚だ。
だが安心してほしい。2025年末から2026年にかけて、日本の投資環境は激変した。防衛関連に特化したETF(上場投資信託)や投資信託が相次いで登場し、「防衛テーマに丸ごと投資する」という選択肢が、ようやく日本の個人投資家にも開かれたのだ。
本記事では、ミリタリーオタクの筆者が「装備の性能」を語るのと同じ熱量で、主要な防衛ETF・投資信託を徹底比較する。どれを選べばいいのか、NISAで買えるのか、信託報酬はいくらか──投資初心者でもわかるように、すべて解説していく。
なお、本記事は投資助言を目的としたものではなく、あくまで情報提供と筆者個人の見解である。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任で行っていただきたい。
なぜ今、防衛テーマ投資なのか──数字が語る「国策」の重み
まず大前提として、なぜ防衛セクターがこれほど注目されているのか。ミリオタ的な情熱だけでなく、冷徹な数字の裏付けがある。
日本政府は2022年末に閣議決定した安保関連3文書で、2027年度までに防衛関連予算をGDP比2%に引き上げると明記した。三木武夫内閣以来、約半世紀にわたってGDP比1%前後で推移してきた防衛費が、一気に倍増する計画だ。
実際、この計画は着々と実行されている。2025年度の防衛省単体の当初予算は約8兆5000億円、関連経費を含めた総額は9兆9000億円に達し、GDP比で約1.8%まで上昇した。さらに高市早苗首相は、当初2027年度の達成を予定していた2%目標を2年前倒しし、2025年度中に補正予算で達成する方針を表明している。2026年度の防衛予算案は初めて9兆円を超え、前年度比9.4%増の過去最大を更新した。
日本だけではない。世界全体の軍事費は2024年に約2.7兆ドル(約400兆円)に達し、冷戦終結後最大の伸びを記録した。NATO加盟国はGDP比2%を最低基準とし、さらに2035年までに5%への引き上げすら議論されている。ロシアのウクライナ侵略、中東での米国・イスラエルによるイランへの攻撃、そして中国の台湾への武力行使方針の明言──世界中で安全保障環境が急速に悪化する中、防衛費の増加は「一時的なブーム」ではなく「構造的なメガトレンド」と言っていい。
ここで重要なのは、防衛予算というものが本質的に「国策予算」であるという点だ。景気が悪くなったからといって戦闘機の調達をやめるわけにはいかない。ミサイルの配備を先延ばしにすることは国家の存亡に関わる。つまり防衛セクターは、半導体やAIのようなテック銘柄と比べて景気循環の影響を受けにくい。これは投資先として極めて重要な特性である。
日本の防衛予算がどのような装備品に使われているのか気になる読者は、当サイトの「日本が保有するミサイル全種類を完全解説」や「海上自衛隊の艦艇完全ガイド」も参照してほしい。あの装備品の一つひとつが、防衛関連企業の受注と利益に直結しているのだ。
ETFと投資信託──そもそも何が違うのか

本題に入る前に、投資初心者の読者のために、ETFと投資信託の違いを手短に整理しておく。
ETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場している投資信託だ。株式と同じようにリアルタイムで売買できる。証券口座さえあれば、スマホからでもワンタップで購入可能である。
一方、通常の投資信託(いわゆる「投信」)は、証券会社や銀行の窓口、あるいはネット証券のサイトから申し込む。売買価格は1日1回算出される基準価額で決まり、注文してから約定するまでにタイムラグがある。
どちらが優れているということはなく、それぞれに特徴がある。ETFは機動的な売買に向いており、投資信託は毎月一定額を自動で積み立てる「積立投資」との相性が良い。NISAの成長投資枠ではどちらも購入できるので、自分の投資スタイルに合ったものを選べばいい。
主要な防衛ETF・投資信託を一挙比較
ここからが本記事の核心だ。2026年3月現在、日本の個人投資家が購入できる主な防衛テーマのETF・投資信託を紹介する。
1. グローバルX 防衛テック ETF(銘柄コード:466A)──世界の防衛テックに丸ごと投資
2025年11月に東証に上場した、日本で買える初の本格的な防衛テーマETFだ。
対象指数はGlobal X Defense Tech Index。世界の防衛テック関連銘柄から、売上高に占める関連事業の割合が50%以上の企業を抽出し、時価総額上位50銘柄で構成される。つまり「防衛が本業の企業」だけを集めたポートフォリオということだ。
組入上位にはロッキード・マーチン、BAEシステムズ、ラインメタル、ゼネラル・ダイナミクスといった世界の防衛産業の巨人が名を連ねる。さらにパランティア・テクノロジーズやレイドス・ホールディングスといったデータ分析・サイバーセキュリティ企業も含まれており、「旧来型の重工業だけでなく、防衛テックの新しい潮流」もカバーしている。
信託報酬は税込0.0275%だが、投資先のETF(米国上場のSHLD)の運用管理費用を含めた実質負担は年率約0.5275%程度。NISA成長投資枠で購入可能だ。
ただし注意点がある。このETFは「世界」の防衛テック企業に投資するものであり、為替リスクがある。円安が進めば追い風だが、円高に振れれば基準価額の下落要因になる。
こういった世界の防衛産業の構造に興味がある読者は、「世界の軍事力を”仕組み”で読み解く:8つの指標」で各国の防衛支出がどう使われているかも確認してみてほしい。
2. グローバルX 防衛テック-日本株式 ETF(銘柄コード:513A)──「日本の防衛産業」に特化した注目のニューフェイス
2026年2月26日に東証に上場したばかりの、日本国内の防衛関連銘柄に特化したETFだ。個人的に、ミリオタ投資家としてはこれが一番「刺さる」商品だと思っている。
なぜか。このETFの組入銘柄を見れば一目瞭然だ。三菱重工業、川崎重工業、IHI──当サイトで何度も取り上げてきた防衛企業の「御三家」がしっかり入っている。さらにNEC、三菱電機、富士通といったC4ISR(指揮・統制・通信・情報)系の企業、スカパーJSATホールディングス(衛星通信)、FFRIセキュリティ(サイバー防衛)、そしてアストロスケールホールディングス(宇宙デブリ除去)まで、日本の防衛テクノロジーの最前線を網羅している。2026年1月時点での構成銘柄は13銘柄。少数精鋭のポートフォリオだ。
対象指数はMirae Asset Japan Defense Tech Index。銘柄選定は「サイバーセキュリティ」「防衛テクノロジー」「高度な軍事システムやハードウェア」「中核サプライヤー」の4分野から行われる。1銘柄あたりの組入比率上限は主要企業が15%、準主要企業・潜在企業が5%と設定されており、特定の一社に偏りすぎない設計になっている。
信託報酬は税込0.649%。為替リスクがなく、日本円のまま投資できるのが最大のメリットだ。
このETFの組入企業について深く知りたい読者には、当サイトの個別企業解説記事をぜひ読んでいただきたい。「三菱重工の防衛産業」「川崎重工の防衛事業」「IHIの防衛事業」「三菱電機の防衛事業」「NECの防衛事業」──それぞれの企業がどんな装備品を作り、自衛隊のどの部分を支えているのかを知れば、このETFへの投資がぐっとリアルに感じられるはずだ。
3. iシェアーズ 米国航空宇宙&防衛 ETF(ティッカー:ITA)──老舗の米国防衛ETF
米国市場に上場している、BlackRock社が運用するETFだ。日本のネット証券でも外国株取引口座を開設すれば購入できる。
米国の航空宇宙・防衛セクターの株式で構成される指数に連動する。経費率は0.38%と比較的低コスト。歴史のある商品で、運用実績も長い。
ただし、米ドル建ての外国ETFであるため、購入時に円をドルに換える必要がある。為替コストや確定申告の手間を考えると、投資に慣れている中上級者向けと言えるだろう。NISAの成長投資枠での購入も可能だが、証券会社によって取り扱いが異なるため事前に確認してほしい。
4. たわらノーロード フォーカス 防衛・航空宇宙──投資信託でコツコツ積立したい人向け
アセットマネジメントOneが2025年11月28日に設定した投資信託だ。名前に「防衛」を冠した投信として、設定時から注目を集めた。
「たわらノーロード」シリーズはその名の通り、購入時の手数料が無料(ノーロード)。信託報酬は年率0.770%(税込)で、テーマ型投信としては抑えめだ。
この投信の特徴は、先進国の防衛・航空宇宙関連企業に幅広く投資する点にある。米国の大手防衛企業はもちろん、欧州のラインメタルやロールス・ロイスなどにもアクセスできる。為替ヘッジはなし。NISA成長投資枠で購入可能で、楽天証券やSBI証券など主要ネット証券で取り扱いがある。
毎月100円から積立設定ができるネット証券もあるため、「まずは少額から防衛テーマに触れてみたい」という初心者には最適な入口と言えるだろう。
5. 欧州防衛・航空宇宙株式インデックスファンド──米国一極集中を避けたい人に
2025年11月に設定された比較的新しいインデックスファンドで、投資対象を欧州に限定している点が特徴だ。「MSCI Europe Aerospace and Defense Ex Controversial Weapons Capped Index」に連動する。
ロシアのウクライナ侵攻以降、欧州各国は急速に防衛費を増額しており、BAEシステムズ(英国)やラインメタル(ドイツ)といった欧州の防衛大手は株価が大きく上昇した。米国防衛銘柄との相関を分散させたい投資家にとっては検討に値する選択肢である。
6. eMAXIS Neo 宇宙開発 / SMT MIRAIndex 宇宙──「宇宙×防衛」のハイブリッド
厳密には「防衛ETF・投資信託」ではないが、組入銘柄の多くが防衛関連企業と重複しているため、実質的に防衛テーマ投資として機能しうる商品だ。
eMAXIS Neo 宇宙開発は米国上場株式に特化し、スタートアップ的な中小型株も含む攻めの設計。SMT MIRAIndex 宇宙は米国が7割超ながら日本を含む8カ国・地域に分散投資する。どちらも直近5年で上昇率300%超という驚異的なリターンを記録しているが、そのぶん値動きも荒い。テーマ型インデックスでありながら、リスクはアクティブ投信並みかそれ以上であることは理解しておく必要がある。
NISA成長投資枠で購入可能。信託報酬もインデックス型として低コストだ。
一目でわかる比較表
商品選びの参考に、主要商品の特徴を整理しておく。
| 商品名 | 種別 | 投資対象地域 | 信託報酬(税込・実質) | NISA成長投資枠 | 積立設定 | 為替リスク |
|---|---|---|---|---|---|---|
| GX 防衛テック ETF(466A) | 東証ETF | 世界(米国中心) | 約0.5275% | ○ | △(証券会社による) | あり |
| GX 防衛テック-日本株式 ETF(513A) | 東証ETF | 日本 | 0.649% | ○ | △ | なし |
| iシェアーズ ITA | 米国ETF | 米国 | 0.38% | △(証券会社による) | × | あり |
| たわらノーロード 防衛・航空宇宙 | 投資信託 | 先進国 | 0.770% | ○ | ○ | あり |
| 欧州防衛・航空宇宙インデックスF | 投資信託 | 欧州 | ─ | △ | ○ | あり |
| eMAXIS Neo 宇宙開発 | 投資信託 | 米国 | 低コスト | ○ | ○ | あり |
| SMT MIRAIndex 宇宙 | 投資信託 | 世界(米国中心) | 低コスト | ○ | ○ | あり |
筆者のミリオタ的「使い分け」ガイド
ここからは筆者の完全なる主観だが、読者の属性別にどの商品が合いそうかを語ってみたい。
「日本の防衛産業を応援したい。三菱重工もIHIも好きだが、1銘柄に集中投資するのは怖い」──そんな読者には、513A(GX 防衛テック-日本株式 ETF)が最有力候補だ。為替リスクなし、組入銘柄13社はすべて日本の防衛テック企業。自衛隊の装備を知っている人間なら、ポートフォリオの中身を見て「ああ、あの装備を作っている会社か」とニヤリとできる。
当サイトの「日本の防衛産業・軍事企業一覧」や「日本の防衛ビジネス超入門」で取り上げた企業群が、そのままETFの中身なのだ。
「世界の軍事大国がどんどん防衛費を増やしている。そのトレンド全体に乗りたい」──この場合は、466A(GX 防衛テック ETF)やたわらノーロード 防衛・航空宇宙が向いている。ロッキード・マーチンやBAEシステムズなど、世界の防衛産業のトップ企業に幅広く投資できる。
「投資は初めて。毎月少額からコツコツやりたい」──なら投資信託一択だ。たわらノーロード 防衛・航空宇宙は購入手数料無料、主要ネット証券で100円から積立可能。「戦闘機の模型を1個買うくらいの金額」から始められる。
「米国株はもう持っている。分散先として欧州の防衛に投資したい」──欧州防衛・航空宇宙株式インデックスファンドが選択肢に入る。ラインメタルの株価がここ数年で何倍にもなっているのは、欧州の安全保障環境の激変を如実に物語っている。
防衛テーマ投資の「リスク」
ここまで読むと「防衛関連は国策テーマだし、買えば上がるんじゃないか」と思うかもしれない。だが、投資にはリスクがつきものだ。ミリオタだからこそ、装備品の性能と同じくらい正直にリスクについても語りたい。
まず、テーマ型投資である以上、セクター集中リスクがある。防衛関連銘柄が何らかの理由で一斉に売られる局面では、分散投資しているポートフォリオ全体が下落する。例えば、ウクライナ停戦が実現して地政学リスクが後退した場合、防衛株は大きく調整する可能性がある(もっとも、構造的な防衛費増加トレンドはそれだけでは覆らないだろうが)。
次に、ETFや投資信託によっては流動性の問題もある。特に上場直後のETFは出来高が薄く、売買したいときに希望する価格で取引できないリスクがある。513Aは上場して間もないため、この点は注意が必要だ。
そして為替リスク。世界の防衛株に投資する商品は、円高が進めば円ベースのリターンが目減りする。2025年から2026年にかけては円安基調が続いたが、これが永遠に続く保証はない。
最後に、テーマ型投資はあくまでポートフォリオの一部として活用すべきだ。全財産を防衛ETFに突っ込むのは、いくら防衛が好きでもやめておいたほうがいい。インデックスファンドなどのコア資産をしっかり持ったうえで、サテライト的に防衛テーマを組み入れるのが合理的なアプローチである。
「防衛費増額」の中身を知れば、投資の解像度が変わる

ここからは、当サイトならではの視点を提供したい。
多くの投資系メディアは「防衛費が増えるから防衛株が上がる」という単純なロジックで記事を書く。だが、ミリオタは知っている。防衛費の中身──つまり「何に金が使われるか」を知ることで、どの企業がどれだけ恩恵を受けるかが見えてくるのだ。
たとえば2026年度の防衛予算案では、スタンドオフ・ミサイル能力の強化に約9,733億円が計上されている。このうち約1,770億円が12式地対艦誘導弾の改良型(スタンドオフ拡張型)に充てられる。これを製造しているのは三菱重工業とIHIだ。12式ミサイルがどんな兵器か知りたければ「12式地対艦誘導弾とは?」で詳しく解説しているので、ぜひ読んでほしい。
また、無人アセット(ドローン)による多層的沿岸防衛体制の構築にも約1,000億円が投じられる。UAV(無人航空機)、USV(無人水上艇)、UUV(無人水中航走体)──これらの導入は、従来型の重工業企業だけでなく、IT・通信・センサー技術を持つ企業にも恩恵をもたらす。513Aの構成銘柄にNECやFFRIセキュリティが入っているのは、まさにこの文脈だ。
さらに次世代戦闘機GCAP(旧F-X/F-3)の共同開発にも約1,560億円が計上されている。英国・イタリアとの3カ国共同開発で、2035年の配備を目指すこのプロジェクトは、三菱重工業やIHI(エンジン)にとって巨大な受注機会となる。「航空自衛隊の戦闘機一覧」で取り上げているF-35やF-15Jの後継機として、日本の航空防衛の将来を左右する一大プロジェクトだ。
つまり、防衛予算の「中身」を知っている読者ほど、ETFや投資信託の組入銘柄を見て「なるほど、だからこの企業が入っているのか」と腑に落ちるはずなのだ。ミリタリー知識がそのまま投資判断の材料になる──これは、我々ミリオタにとって最大のアドバンテージである。
NISAで防衛テーマに投資する方法
2024年からスタートした新NISA制度では、「成長投資枠」で年間240万円まで非課税で投資できる。本記事で紹介した商品のうち、東証上場のETF(466A、513A)や主要な投資信託(たわらノーロード 防衛・航空宇宙、eMAXIS Neo 宇宙開発など)はNISA成長投資枠の対象だ。
NISAで運用すれば、値上がり益や配当金に通常かかる約20%の税金がゼロになる。長期保有を前提とした防衛テーマ投資との相性は極めて良い。
購入手順はシンプルだ。楽天証券やSBI証券などのネット証券で口座を開設し、NISA口座を設定。あとは該当商品を検索して購入するだけ。投資信託なら積立設定も可能で、一度設定すれば毎月自動的に買い付けてくれる。
中国の軍拡と日本の防衛力強化──投資家として知っておくべき地政学
この記事を読んでいる読者であれば、中国の軍事力拡大が日本の防衛予算増加の最大の推進力であることは説明不要だろう。
中国人民解放軍はすでに空母3隻体制を確立し、極超音速兵器DF-17を実戦配備している。習近平国家主席は台湾への武力行使を放棄しない方針を繰り返し明言している。この安全保障環境の変化が、日本の防衛費倍増を不可避にしたのだ。
当サイトでは、「中国人民解放軍の軍事力とは?」「中国空母3隻体制で何が変わる?」「中国ロケット軍の全貌」「中国の極超音速兵器の脅威」などで中国の軍事力を徹底解説している。「敵」を知ることは、防衛力整備の方向性──すなわち、どの分野に予算が集中するか──を予測するうえで不可欠な知識だ。
そしてその知識は、防衛テーマ投資においてもそのまま活きる。中国のミサイル戦力が脅威だからこそ、日本はイージス艦の追加建造やPAC-3の調達を加速する。それは「日本のミサイル防衛システム」の解説記事で詳しく取り上げている通りだ。防衛予算の「使い道」を読めるようになれば、あなたはもう単なる個人投資家ではない。ミリオタ投資家だ。
防衛装備品輸出の解禁──さらなる追い風の可能性
2026年の防衛テーマ投資を語るうえで、もう一つ見逃せないトピックがある。防衛装備品の輸出拡大だ。
日本政府は2026年中に安保関連3文書の前倒し改訂を目指しており、その中には防衛装備品の輸出要件の大幅な緩和が含まれる見通しだ。従来の厳格な輸出制限が緩和されれば、三菱重工のモガミ型護衛艦がオーストラリアに輸出される(すでにアンザック級後継として選定済み)ように、日本の防衛企業が海外市場で収益を上げる道が開ける。
これは投資的には非常に大きい。国内の防衛予算だけでなく、海外市場からの売上という「第二の収益源」が加わることで、防衛関連企業の業績拡大期待は一段と高まる。513AやGX防衛テック日本株式ETFの組入銘柄にとっては、まさに追い風だ。
「日本の防衛ビジネス超入門」では、武器輸出三原則の変遷や防衛装備移転の現状についても詳しく解説している。投資判断の参考として一読をお勧めする。
自衛官の待遇改善も防衛セクターの追い風
余談だが、2025年12月に成立した防衛省職員の給与改正法も紹介しておきたい。
2士(高卒新卒)の俸給月額が224,600円から239,500円へと14,900円(6.6%)引き上げられ、自衛官候補生も179,000円から190,500円へと11,500円(6.4%)増額された。ボーナスも年間4.60月分から4.65月分に引き上げられている。
これ自体は防衛ETFの値動きに直接影響するわけではないが、「防衛分野全体に国として予算を振り向ける姿勢」の表れとして注目に値する。自衛官の処遇改善は人材確保の基盤であり、人材がいなければ装備品を運用できない。装備品の調達と人材への投資が両輪で進んでいるという事実は、防衛セクターへの投資に対する安心材料の一つだ。
まとめ──ミリオタの知識は、投資でも武器になる
本記事で取り上げた防衛ETF・投資信託は、いずれも2025年後半から2026年初頭にかけて相次いで登場した「新しい投資手段」だ。つい数年前まで、日本の個人投資家が防衛テーマに特化して投資できる商品はほとんど存在しなかった。それが今、東証上場のETFから低コストの投資信託まで、選択肢が一気に広がっている。
防衛費のGDP比2%達成、防衛装備品輸出の解禁、次世代戦闘機GCAPの共同開発、そして世界的な地政学リスクの高まり──これらの「構造的な追い風」は、数年で終わるものではない。少なくとも今後10年単位で続くメガトレンドだと筆者は見ている。
そして何より、我々ミリオタには「防衛産業を理解する素養」がすでに備わっている。三菱重工が何を作っているか、IHIのジェットエンジンがどの機体に搭載されているか、NECのレーダーシステムがどう自衛隊を支えているか──そういった知識が、投資の世界ではそのまま「情報の優位性」になるのだ。
プラモデルを組む手を止めて、たまには証券口座を覗いてみてほしい。あなたが愛する装備品を作っている企業に、ETFを通じて「もう一つの応援」をするのも、悪くない選択だと思う。
最後に改めて述べておくが、本記事の内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の購入を推奨するものではない。投資は自己責任で行い、不明点は各証券会社や金融の専門家に相談していただきたい。
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